テオフィモ・ロペスvsジャーメイン・オルティスはその週末にスーパーボウルがあったため、平日開催の興行でした。
理由を聞けば納得はするのですが、今週末(2/17、18)にも何かあるのでしょうか?
今週のボクシング興行は、現地時間で2/15(木)、2/16(金)となっており、またも平日興行ですね。ボクシング人気はやはりアメリカ大陸でもこの程度なのか。。。それともビッグイベントがあるのでしょうか。
ともあれ、今回のブログはDAZNで放映されるメキシコ興行、アドリアン・クリエルvsシベナチ・ノンシンガの再戦についてのプレビュー。
2/16(日本時間2/17)メキシコ
IBF世界ライトフライ級タイトルマッチ
アドリアン・クリエル(メキシコ)24勝(5KO)4敗1分
vs
シベナチ・ノンシンガ(南アフリカ)12勝(9KO)1敗
2023年11月4日、モナコ公国、モンテカルロ。
ライトフライ級で驚愕的なKO率の高さを誇るIBF王者、シベナチ・ノンシンガは挑戦者としてアドリアン・クリエルを迎えました。
このライトフライ級の絶対王者といえばWBA・WBCのユニファイド王者である日本の寺地拳四朗(BMB)ですが、このノンシンガも非常に侮れない存在。拳四朗が4団体統一に向かうのならば、最後の障壁となりえるボクサーだと思っていました。
2021年にクリスチャン・アラネタ(フィリピン)に勝利してIBF王座への挑戦権を獲得したノンシンガは、当時無敗のエクトル・フローレス(メキシコ)との王座決定戦に出場。これは、フェリックス・アルバラードの王座返上によるものでしたね。
フローレスとの決定戦に勝利したノンシンガは、初防衛戦でまたも無敗のレジー・スガノブ(フィリピン)を迎えこれをクリア、2度目の防衛戦が前述のモンテカルロ興行であり、対戦相手は当時23勝(4KO)4敗1分、悪くはないですが物足りない戦績のアドリアン・クリエルでした。
ノンシンガは非常に身体能力が高く、パンチのキレも優れています。挑戦者決定戦以降では12ラウンズを戦っていることもあり、スタミナも証明済み。
クリエルはメキシカンらしいアグレッシブなファイターですが、そのKO率の低さから、パワーレスの印象を拭えないボクサー。
こうなるとはっきり言ってクリエルに王座を奪われる可能性はかなり低い、と言わざるを得ませんでした。
しかし結果はなんとクリエルの2RKO勝利、なんともあっけなく王座を奪われてしまったノンシンガ。
↓観戦記
これはかなりのアップセットでしたが、ノンシンガ自体の知名度もあまりなく、さほど話題には登らなかったと思います。
ただ、これは日本のボクシングファンにとっては大ニュース。
ちょうどこの1週間前、本来でれば防衛戦を行う予定だったWBO王者、ジョナサン・ゴンサレス(プエルトリコ)は防衛戦を病気によりまたも欠場、暫定王座決定戦が行われたばかりでした。
本来であればここでジョナサン・ゴンサレスが王座を防衛し、2024年初頭には来日して寺地拳四朗との3団体王座統一戦を行う、というのが既定路線。ただ、この暫定王座確率によりゴンサレスは暫定王者との団体内王座統一戦を優先せざるを得なくなり、今年初めの来日が絶望的になったところでした。
そうなると必然的にその戦いの1週間後に起こるノンシンガvsクリエルの勝者、というかシベナチ・ノンシンガにターゲットを変更して交渉をする、というのが自然な流れとなるはずだったからです。
しかし、このアップセットという結果は、拳四朗vsノンシンガが少なくとも年始には起こり得ない、ということを示唆するもの。というのも、初防衛戦で王座統一戦というのはあまり現実的ではないし、おおよそ王座側はいくつかのオプションをつけており、しかもこのクリエルというランキング下位(挑戦時12位)の選手に対しては、もしかしたら数試合のオプション興行権を握っていることは明白だったからです。
そして最近では当然のことながらもダイレクトリマッチが決定、今回の一戦を迎えることになります。
さて、オッズは、初戦がクリエル+500、ノンシンガ-800という大きな開きだったものの、今回はクリエル-130、ノンシンガ+120とほぼ50-50。クリエルが一度は勝利、しかも序盤のノックアウトという結果を受けてもオッズがかなり競っている、ということを考えると、まだまだクリエルに対する期待値は高くありません。
おそらく身体能力だとかボクシングセンス、というものはノンシンガに大きく分があるのでしょうが、前戦のような結果にはならない、と言い切れないのもまた事実であり、ノンシンガが前戦を引きずっている可能性も否定できないし、一つの痛烈なノックアウト負けから一気にそのパフォーマンスが落ちてしまうボクサーは山ほどいます。
さらにこのクリエル、4つの敗戦のうちKO負けは無し。その中で、KO率も低いということはもしかすると判定勝利を得る術を熟知しているのかもしれません。
ノンシンガにとって、前戦の敗北を帳消しにできるのはKO勝利のみ。個人的には、もし今後寺地拳四朗との戦いが起こるのならば、それに見合った勝利を挙げてほしいものです。
アンダーカードと配信情報
この興行はメキシコで行われるため、もしかするとノンシンガに不利なジャッジ、レフェリングがあるかもしれない、ということも念頭に入れておかなければいけませんね。
ともあれアンダーカードには、おそらくセミファイナルになるのでしょうが、マウリシオ・ララ(メキシコ)も登場です。
ダニエル・ルーゴというメキシカンとの対戦ですね。
ララはリー・ウッド(イギリス)戦での敗戦からの復帰戦、9ヶ月ぶりの試合でどのようなパフォーマンスを見せてくれるのか。またタイトル戦線に復帰してきてもらいたいところです。
この興行のプロモートはマッチルーム、なので放映はDAZN。
ちなみに前日(日本時間2/16)には、ジョセフ「ジョジョ」ディアスvsヘスス・ペレスという試合もDAZNで放映されます。これはジョジョの調整試合的な意味合いもありますが、そのアンダーカードにはフライ級プロスペクト、リカルド・サンドバル(アメリカ)vsジェイソン・ママ(フィリピン)という興味深い戦いがあります。ママはサニー・エドワーズ(イギリス)に挑戦経験を持つ、思い切りの良いフィリピン人、サンドバルはここに勝てばステップアップできそうです。
今週の金曜日、土曜日はDAZNでボクシングを楽しみましょう。
蛇足:ライトフライ級の行方
おそらく、このIBF世界ライトフライ級タイトルマッチの後少しの期間で、拳四朗の今後が決まるのではないか、と推察しています。
拳四朗のキャリアは転換期を迎えており、決まりそうで決まらないライトフライ級の王座統一を目指すのか、それともフライ級へ行くのかがまだ不透明なところ。
この戦いでノンシンガが勝とうとも、クリエルが勝とうとも、おそらく帝拳プロモーションは動くのではないでしょうか。いや、もうすでに水面下では仕掛けているかもしれません。
いずれにしろ、もっと不透明なWBOタイトルの行方-これは、ジョナサン・ゴンサレスが階級を上げるとか上げないとか言っており、団体内王座統一戦の開催があるかないかも不明-を見守るよりも、IBFの方が早そうです。
もしクリエルが勝利した場合、まだノンシンガ側がオプションを握っていたとしても、帝拳プロモーションの方で買い取って日本に呼ぶ、ということは現実的にありえることだとも思っています。
拳四朗にはライトフライ級で4団体統一を成し遂げてほしいという気持ちがどこかにちょっとだけありますが、やはり現実的にはフライ級の方が良いパフォーマンスを発揮できそうですね。。。さて、どうなるか。
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