GWもあと1日。
今回のGWは最終日にビッグイベントが控えているため、「あと1日か〜」とはならない。その分、終わったあとはとんでもない喪失感に襲われるのでしょう。
ともあれ、ロドリゲスvs西田、カネロvsムンギアを終え、井上尚弥vsルイス・ネリを目前に控えたここ数日のニュースをピックアップ。
東京ドーム興行、ルイス・ネリは500gアンダー
この興行に出場するボクサーたちが、しっかりとウェイトを作った、というのは階級制のスポーツとして当たり前のことです。
井上尚弥は「美学」としてリミットピッタリでの計量通貨を心がけているし、他にもそういうボクサーは多い。
ではルイス・ネリの500gアンダーというものをどう見るのか。
実際ネリは前戦のフローイラン・サルダール(フィリピン)戦を119lbsで戦っており、これはバンタム級リミット+1lbというウェイト。その前のホバニシャン戦はスーパーバンタム級の挑戦者決定戦だったために122lbs、その前のダビ・カルモナ(メキシコ)との戦いは128.5lbs。
ウェイトの振れ幅は非常に大きいですが、これまでのインタビューを見る限り、もともと節制していないこと、減量が基本的に下手くそなこと、さらにその減量計画はモチベーションにより大きく左右されること、という可能性が挙げられますね。
今回はウェイトオーバー=リングに立てない=ファイトマネーもらえない、ということになれば、ネリに戦う理由はなくなるため、さすがにここはちゃんと落としてくるところ。ネリはきっとちゃんとやればバンタム(118)まで落とせるでしょうから、特に500アンダーでも驚きはありません。
もともと神経質にウェイト管理なんてしていないでしょうし、この500gがネリにとって有利に働くことも不利に働くこともない、と見ています。
ショーン・ギボンズが言うには「過去最高」のルイス・ネリであり、これは本人も言っていることですし、試合規模や対戦相手を考えるとそれは真実に聞こえます。
例えばカネロに相対したハイメ・ムンギア(メキシコ)は、素晴らしい出来でした。
ムンギアもメキシコ人らしく良い時と悪い時のギャップはありますが、こういう大事な一戦で「悪かった」メキシコ人というのはあまりいないかもしれません。
なのでネリは過去最高の状態で来るはずで、だからこそまた一つ、この試合は楽しみになるのです。
以下はウェイト
WBA/WBC/WBO/IBF super bantamweight titles
Nayoa Inoue – 121 3/4lbs
Luis Nery – 121lbs
WBO bantamweight title
Jason Moloney – 117 3/4lbs
Yoshiki Takei – 117 3/4lbs
WBA bantamweight title
Takuma Inoue – 117 3/4lbs
Sho Ishida – 117 3/4lbs
WBA flyweight title
Sergio Yuri Akui – 112lbs
Taku Kuwahara – 112lbs
Eight rounds super bantamweight
TJ Doheny – 121 3/4lbs
Bryl Bayogos – 121 1/2lbs
西田凌佑は返上&階級アップの可能性も
「アップセット」という言い方は失礼にあたるのかもしれない、と思えるほど見事なボクシングを見せ、大変素晴らしい戦いを経てIBF世界バンタム級王者となった西田凌佑。
大森将平、比嘉大吾にアップセット勝利、そしてエマヌエル・ロドリゲス(プエルトリコ)にもアップセット勝利。9戦のうち3戦、非常に大切なタイミングでのアップセットというのは、もはや番狂せと呼ぶようなものではなく、この西田の実力そのものというものでしょう。
さて、一夜明け会見。
西田の、というか六島ジムの枝川会長からの話ではありますが、減量が苦しく、返上の可能性もあるとのこと。
苦しすぎる減量はトレーニングの質を下げ、上達の機会を奪います。階級アップと言っても現在スーパーバンタム級には井上尚弥がいるからその後釜狙い、とはっきりと言うあたりは素直で素晴らしいことではあるものの、ロドリゲスを破った実績を考えれば全く勝負にならない、なんてことはないかもしれません。
中谷潤人についてもそうですが、実績を積んでいけば対戦相手候補として周りが盛り上がってくるかもしれません。
この西田というボクサーはおそらく非常にマイペース、ブレない自分の軸を持っているボクサー。ここまで行こう、という目標をはっきりもって戦うボクサーもいれば、そうではなくて目の前のことを一つずつこなすことで結果素晴らしい功績を残したボクサーもいます。
西田凌佑、27歳。
まだプライムタイムはもう少し先でしょう。
今は統一戦に興味はない、というものの、ロドリゲスに勝っての新王者ともなるとファンも放ってはおかないでしょうし、周りの期待も大きくなり、自分の見える景色も変わってくるはず。
ここから数ヶ月の間、西田の「やりたい」が出てくるのを心待ちにしましょう。
それが新たな階級の挑戦であるのか、それとも王座統一戦であるのか、どんな形であれこのボクサーはまだまだ世界を、そして日本を驚かせてくれるはずです。
ベテルビエフvsビボルは延期!!
5/6日本、5/12オーストラリア、5/18サウジアラビア、5/25アメリカ、そして6/1にサウジアラビア。
これはトップランクがMAY HEM ツアーと銘打って行うビッグマッチのプランニング、これらの都市をボブ・アラムは移動するらしい。これはとんでもない。
しかしこのうちの6/1のサウジアラビア興行、このメインイベントが延期という憂き目にあったという悲しいニュースです。
この興行はアルツール・ベテルビエフvsドミトリー・ビボルという「戦わざるライバル」状態だった二人が雌雄を決する戦いであり、ともすれば井上vsネリはもちろんのこと、フューリーvsウシクを差し置いて今年一番の注目ファイトだったのかもしれません。
そういえばこれがあれば1ヶ月のうちに4つの4団体統一王座戦が開催されたのですね。恐るべし。
ともあれ、この延期の理由はベテルビエフの怪我であり、半月板の損傷だそうです。これはかなり復帰に時間を要しそう、と思うニュースですが、一応延期は今年の後半とのことですので、11月とか12月、ともあれ半年ほどのレイオフとなりそうです。
ベテルビエフは本当に気の毒ですし、1日も早い復帰を望んでいますが、もっと不憫なのはビボルでしょう。
ベテルビエフに対しての準備をしっかりとできる、と考えれば聞こえは良いものの、彼らは戦わなければお金にはならず、さらに残り1ヶ月というところまで挑戦したこのモチベーションをぶつける先を探しているようです。
この興行自体はクイーンズベリーvsマッチルームという5vs5の対戦を主として開催される、とのことなので、ビボル側としてはビボルをこのメインイベントに据え置き、別の対戦車候補と戦いたいと伝えているようです。
これが日曜日中に対戦相手を選びたい、ということなので、まもなく結果は出るのでしょう。
いずれにしろ、ここはあまり危険のない相手で良いのでアップセットの可能性を防ぎ、年末ともなる可能性のあるライトヘビー級4団体統一戦が無事に挙行されることを願うばかりです。
ルー・ディベラも来日、「ボクシングは日本の方がアメリカよりも健康的」
ボブ・アラム(トップランク)はわかりますが、ディべラ・エンターテイメントのルー・ディベラ氏も来日しているらしい。
ちなみにこの二人は翌週のワシル・ロマチェンコvsジョージ・カンボソスJrの興行を共同プロモートしているので、このままオーストラリアに向かうはずです。
なのでディベラとしては今回、ただ井上を見たいがためにオーストラリアに行くついでに日本に寄りました、という感じでしょうか。円も安いし、超良い旅行になっているはずです。
さて、そんなディベラが語った記事はこちら。
'Boxing's Healthier in Japan Than It Is In The United States', says Lou DiBella
ディベラ氏は、ライアン・ガルシアのドーピング陽性反応、マイク・タイソンがジェイク・ポールと戦うことが公式試合になったこと、そしてカネロとデラホーヤのプロレス(という言い方は失礼なのか??)に失望している、と書かれています。ここには書かれていませんが、最近のボクシング界に起こっているウェイトオーバーにも失望してくれていると良い。
純粋にボクシングを見るのであれば、日本という国が一番良いかもしれません。
外野の煽り合いはなく、ウェイトオーバーの可能性もドーピング陽性の可能性も他所よりは少ないはずであるし、エキシビジョン的なものがいきなり公式試合になることもありません。
やはりこの辺りのことは日本が主導していくべきであり、海外ではこうだから、というのを国内で罷り通らせてはいけませんね。
ルー・ディベラがそう感じているのであれば、この辺の乱れた部分を何とかして欲しいもの。ボクシング界において、プロモーターの発言力は大きいはずですから。
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