プロボクシングの世界タイトルの統括団体!メジャー団体とは?
WBA、WBC、IBF、WBO。これらの団体の名称は、聞いた事があると思います。
なぜなら、この4つの団体が最も主要な団体だからです。
主要な団体、というのは、認知されているという事で、日本においては、基本的に世界チャンピオンというのはこの4団体の王者のことを指します。
主要な団体、というのは、この4団体の他にも団体が存在する、ということです。上記4団体以外のものは、マイナー団体とも言われ、WBF、WBU、IBAなどといった団体があります。
日本のプロボクシングを統括している団体はJBCただひとつで、JBCは主要4団体しか認めていません。
ちなみに、JBCに加盟せず、フリーで活動しているボクサーも存在しますし、過去にJBCに加盟しているボクサーがマイナー団体のタイトル戦に臨んだこともあります。
ややこしくなってきましたが、以下、認定団体を知るために、歴史の勉強をします!
ざっくりと!ボクシング統括団体の歴史!「リング・マガジン」の創刊
まず、ボクシングのルールがしっかりと定まる前、ベアナックル時代(素手で闘っていた時代)には、統括団体はありませんでした。対戦相手に勝って、勝って、勝ち抜いたボクサーが、多くの観衆に認められたすえ、チャンピオンと名乗り、タイトルマッチを行っていました。
現在のようにメディアが発達する以前にも、ボクシングの記録は印刷メディアである程度確認できるそうです。その最たるものが、今も残る、「リング・マガジン」という雑誌で、1922年に創刊、1924年からボクサーのランキングを独自の基準で選定しています。「ボクシングの聖書」とも言われるこの雑誌の表紙を、井上尚弥が日本人で初めて飾った際、話題にもなった雑誌です。
この、ランキングを作成した、という行為がとても大切で、それまでは順位などつけてなかったわけです。つまり、ボクサーをランキング化することによって、誰がチャンピオンに挑戦するのか、が明確になっていったわけです。リング・マガジンが最も権威があるボクシング雑誌と言われる所以はここにあります。
NYSACとNBA。
とはいえ、リング・マガジンはあくまでもボクシング雑誌だったので、参考にされこそすれ、公式なランキングではありませんでした。20世紀初頭、ボクシングが盛んだったニューヨークに、NYSAC(ニューヨーク州アスレチックコミッション)という団体が誕生します。この団体が「世界チャンピオン」の認定をし、防衛戦を管理しはじめます。
それに対し、他の複数の州が立ち上げたのがNBA(全米ボクシング協会)です。
ここまではアメリカ国内の話ですが、ヨーロッパにもEBU (ヨーロッパボクシング連合)、BBBofC(英国ボクシング管理委員会)という団体ができます。
現在ほど国と国との行き来が簡単ではなかったためか、各地域に団体がつくられていたようです。認定された世界チャンピオンについては、同じボクサーを認定したり、反発したりと色々だったようです。
NBAからWBAへ。WBCの独立。IBFとWBOの分離。
そして1962年、NBAはWBA(世界ボクシング協会)へ名称変更。前身のNBAは1921年に創設され、現在はWBAの名前で続いているので、最古のボクシング統括団体といえます。
このWBAにより、現在の統括団体の形ができあがったといいます。
具体的にいうと、団体独自の「各階級のチャンピオンの擁立」と、「毎月のランキング発表」です。
そして1963年、WBC(世界ボクシング評議会)が設立されます。WBCは、もともと各団体(WBA、EBU、BBBofC他)が討議する機関として誕生しましたが、その後、WBAと対立を深め、1966年に独立。
また、もともとアメリカで立ち上げられたWBAでしたが、運営の基軸は南米に移っていきました。それをアメリカにとりもどそうと、USBA(全米ボクシング協会)が動きますが、あえなく失敗。1983年、USBAはIBF(国際ボクシング連盟)として独立します。
1988年、WBAの会長選挙結果に反対した団体と、それに便乗するかたちで幾人かのプロモーターが、WBO(世界ボクシング機構)として独立。これで現在の主要4団体が揃いました。
ということで、設立の思惑として、WBCには納得がいきます。WBAに様々な問題があり、それに反発した形だったのでしょうか。
IBFやWBOの独立に関しては、私利私欲の域を出ませんね。。。
ただ、このメジャー4団体の中に素晴らしいボクサーはたくさんいます。創設はどうとしても、要は素晴らしいボクサーを我々に認知させてくれる情報ソース、くらいに思ってみればいかがでしょうか。
乱立する世界タイトル!
1988年に主要4団体が出揃って、各階級に世界チャンピオンがいる状態になり、20数年で一気にチャンピオンの数が4倍になりました。
しかも今日に至るまで、各団体がさまざまな世界タイトルを作ってしまったのです!
正規チャンピオン
正規チャンピオンという呼び方がどうかと思いますが、他と区別するためにあえて正規チャンピオンとします。
各団体の各階級に1人いる、世界チャンピオンです。
暫定チャンピオン
正規チャンピオンが怪我などで防衛戦ができなくなった際に設けられる、暫定的なチャンピオンです。
各団体にあり、獲得後は正規チャンピオンとの団体内統一戦が義務づけられます。
スーパーチャンピオン
WBA、WBOにあります。
正規のチャンピオンが他の団体のチャンピオンに勝利し、統一チャンピオンとなった場合にスーパーチャンピオンに昇格します。
WBAの場合は、スーパーチャンピオンに昇格した選手がいた場合、すぐに正規タイトルの決定戦が組まれます。謎ですね。だからWBAの正規チャンピオンは、第二王者と揶揄されます。
WBOの場合は、肩書が変わるだけでしょうか?確認が甘いかもしれませんが、現状は数名いるスーパーチャンピオンの階級でも、WBAのような正規チャンピオンの決定戦は組まれていないようです。
ダイヤモンドチャンピオン
WBCが団体の裁量で認定するチャンピオン。WBCの暫定チャンピオンから急にダイヤモンドチャンピオンになったりしています。大いに謎ですね。
WBSS(World Boxing Super Series)の優勝者はもれなく認定されるそうです。
フランチャイズチャンピオン
WBCが認定する、最も意味不明なチャンピオン。サウル・アルバレスとワシル・ロマチェンコが認定されています。
「フランチャイズ」はコンビニなどのフランチャイズチェーンとは別に、「特権」みたいな意味もあるそうです。
また、世界王座よりも下に位置する認定王座として、
WBAにはゴールドチャンピオン、WBCにはシルバーチャンピオンなどがあります。
どちらも、世界チャンピオンの手前、みたいなイメージでいいと思います。
もうチャンピオンと書きすぎて疲れてきました。あまり楽しくない話ですね。
世界チャンピオンの乱立を考える。
このように世界タイトルの乱立、タイトルマッチの乱発は、各団体がそのタイトルマッチによる承認料を稼ぐ事が目的と思われます。
団体の認めたタイトルマッチを行うには、団体に承認料というのを払わないといけないんですね。
それにより、オールドファン、比較的新しいファンも、この状況には辟易としています。
昔ほど、世界チャンピオンという肩書について権威がない、これは事実です。
しかし、団体都合でなくならない。。。
一方で、選手やトレーナー、マネージャーからみると、世界チャンピオンになり易くなった点については、歓迎されているかもしれません。
ボクシングの現役生活よりも、引退後の生活が長いボクサーにとっては、「世界チャンピオン」の肩書の有無はその後の生き方に大いに関わってくるところだからです。
期待するのは、これからの本物志向。
大昔から比べると、世界タイトルは多くのボクサーにとって身近になりました。
そして、数人しかいなかった世界チャンピオンは、現在は70人以上います。
ただ、最近は本物を求めて闘うボクサーが増えてきたように感じます。
井上尚弥のWBSS参戦、岩佐亮介がアメリカで名のある選手と闘ったり、村田諒太も「リアルと闘いたい」という発言をしています。
今、世界チャンピオンになる事は、「リアル」と闘うチケットのようなものです。
世界チャンピオンになったからこそ、統一戦という注目される舞台で、より強いチャンピオンに挑戦できる。
そうやって世界タイトル戦から選手を追いかけても、充分に楽しめるのではないでしょうか。
勝てそうな相手を選んで無理やり複数階級を制覇するよりも、強い相手と戦う方がファンも感動が大きいです。
マッチメークも注目される時代、我々ボクシングファンも本物を見極めて、ボクシングを愉しみましょう!!