信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

アップセットを目指す田中教仁は、ネガティブな歴史を断てるのか。

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3/3 WBA世界ミニマム級タイトルマッチ

ノックアウト・CPフレッシュマート(タイ) WBA世界ミニマム級王者

20戦20勝(7KO)無敗

vs

田中教仁(三迫) WBA世界ミニマム級13位

26戦19勝(10KO)7敗

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王者のノックアウト・CPフレッシュマートは、全勝王者ですがミニマム級ゆえか世界的な知名度はないでしょう。しかも、タイからなかなか出てこないチャンピオン。唯一、2018年に中国で熊朝忠の挑戦を受けたのが最初で、今のところ最後の海外戦。同国人でWBCの同級王者、ワンヘン・ミナヨーティンもここまでタイから出てこなかったので、(現在はGBPと契約)同じ流れですかね。

ノックアウトは、ミニマム級の王者なので、やはり日本人との対戦も多く、これまでに小野心(ワタナベ)、大平剛(花形)の挑戦をそれぞれ退けています。映像を見る感じでは、攻防のはっきりわかれたファイタータイプ。堅実な試合運び、相手をしっかりと見た上で、ディフェンス面ではステップでかわすか、ガードでしのぐ、オフェンス面では手数をバンバンだすというよりも連打の回転力に優れたボクサー、というイメージです。

距離をつめて、というよりはストレートで勝負したい感じでしょうか、右ストレートが結構まっすぐ入ります。上下の打ち分けもスムーズで、ノックアウトの距離でつかまってしまうと多彩なパンチがどんどん出てくる、ファイタータイプだと内側からパンチをまとめられるとやりづらいタイプだと思います。

しかし!!

田中教仁は、ミニマム級には珍しい、ブンブン思いっきり振り回すファイターです。田中のデビューは2005年、途中5年のブランクもありますが、ここまで濃密なキャリアを過ごしてきました。パンチ力はおそらくミニマム級で突出しているものがありますが、粗さもあります。ノックアウトからすると、やりやすいタイプのファイター、という部類に入ってしまうと思うのです。

それでも、田中の一発には期待せずにはいられません。

田中は、世界に挑むボクサーとしては戦績の上では、期待できるものではないのかもしれません。しかし、闘ってきた相手は、というと、田口良一八重樫東、といった後の世界チャンピオンや、今は三迫ジムの同僚でもある堀川謙一、先日復帰を果たした小浦翼、現日本チャンピオンの高橋悠斗、世界挑戦経験もある小野心等々、強敵揃いなのです。

その中でも勝ったり敗けたりなのですが、どちらかというと相性が悪そうなのは、テクニックのあるボクサーたち。思い切りの良いスイング系のパンチが得意な田中は、当たれば強いですが空転させられる可能性もあります。唯一ストップ敗けを喫した小浦翼戦でも右でダウンを奪うなど、巧さで翻弄されたとしても一発で試合をひっくり返す力を持っています。

つまり、好材料としては、ノックアウトはどちらかというとガードでしのぐパターンが多いので、田中の大振りの左右も受け止めてくれるかもしれません。そうすると、隙が生まれ、連打やコンビネーションの中で当たるパンチも出てくるのではないでしょうか。ストレートを打ってくるノックアウトに対し、サイドからオーバーハンドを叩き込む、そんな展開であれば、それこそストップ勝ちも十分に可能なのではないかと思います。

35度にもなるという屋外リングでの闘い、敵地、タイでの戴冠は特に判定では非常に難しいものです。もうスタミナを気にせず、思いっきりフルスイングしてきてもらいたいものです。

ちなみに、三段論法なんて絶対通用しないのはわかってはいますが、ノックアウトがKOできなかった小野心を、田中は見事KOで破っています。

田中の豪打が火を吹くことを願っています!!!

どこかでネット配信とかあるんでしょうか。。。???(見たい)

タイで世界タイトルマッチを経験した最初の日本人

1963年1月12日、世界フライ級王者、ファイティング原田。3ヶ月前に前王者、ポーン・キングピッチからタイトルを奪ったファイティング原田。この時は、矢尾板貞雄の代役としての挑戦だったため、特例として当時は(今も基本的には)禁止されているダイレクトリターンマッチでの初防衛戦でした。

控室を出て、アリーナへ出る扉を開けてから、リングに至る道程で、もみくちゃにされ、30分も費やしたそうです。リングに上がった時は既に傷だらけ。

途中、疲れたポーンのために長めにとられるインターバル。ダウンをとってもロングカウント、しかも早めに終了のゴングが鳴る。

結果、原田はタイトルを手放しました。

50年以上昔の話なので、今もこうだとはいいません。(元協栄ジムの金平元会長の話で似たようなものはありましたが)

しかし、アウェイで、しかもタイで世界タイトルマッチに挑むというのはそれだけで不利です。タイでの世界タイトルマッチ、最新のもの、WBC世界ミニマム級タイトルマッチ、ワンヘン・ミナヨーティンvs福原辰弥でも、不思議な事が起きていました。

2R、偶然のバッティングで福原の左目上をカット。写真を見た覚えがありますが、かなり深い、カットでした。

しかし福原はめげず、終始攻撃の姿勢をつらぬき、それを迎え撃つワンヘン。

そして迎えた8R、またもバッティングで、今度はワンヘンが負傷。この傷は大した事はなかったのですが、ドクターのチェックが入ってそのまま試合をストップ。負傷判定でワンヘンの勝利。

穿った見方かもしれませんが、やや落ち目ともいえるワンヘン、このまま続けてしまうと福原の攻勢が強くなり、あわや、ということが起こりうるという判断でストップを早めたのか?とも思ってしまいます。

これまでのタイでの世界戦で、JBCが認可しているものだと25戦して24敗1分。1分は1Rでの負傷判定ドローなので、全敗といっても過言ではありません。

タイで世界タイトルを奪取した唯一の日本人

まず、タイで世界タイトルを防衛した日本人はいませんが、日本人所属選手でいうと勇利・アルバチャコフ(協栄)がいます。ムアンチャイ・キティカセムから奪ったタイトルの防衛戦が、敵地タイで行われました。

ファイティング原田のポーン戦同様、色々と妨害工作があったとのことですが、ここはさすが勇利・アルバチャコフ、ムアンチャイを9RTKOに切って落とします。

そして世界タイトル奪取は、江藤光喜(白井・具志堅)。

2013年8月1日、WBA世界フライ級暫定王者、コンパヤック・ポープラムックに挑む!

当時、この「暫定」王者を、JBCが認めておらず、この試合に勝った江藤のことも、JBCは世界王者として認めてはいません。しかし、まぎれもなく快挙なのです。

この頃、まだまだ日本人ボクサーが世界タイトルに挑戦する以外で海外に出ていくことは稀でしたが、江藤は既にメキシコやタイでノンタイトル戦、地域王座戦を経験していました。タイでは、勿論洗礼を受け、「勝ったと思った」試合を敗けにされた経験も持っていました。

この日も様々な妨害工作を受けたそうですが、最終回のゴングをきかないつもりで最初から飛ばし、1Rには左フックでダウンを奪う。が、スリップ判定。ここでもタイの洗礼を受けましたが、諦めず、最終回の残り20秒で今度こそ明確にダウンを奪う

結局終了のゴングは早めに鳴らされ、KOすることはできませんでしたが、見事判定勝ち!!

日本人の、タイでの世界タイトルマッチの連敗記録は、実はここ(17敗1分の時点)でストップしているのです。

なので、通算成績は26戦1勝24敗1分。

。。。とんでもなく悲惨な数字ですね。。。

基本的には倒すボクシングをするしかない、タイでの世界戦。

田中には、この江藤の快挙を参考に、最初からガンガンいってもらいたいです。

その快挙の瞬間を、朗報を、待っています。

 

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