ライト級。プロボクシング17階級のうちで、ちょうど真ん中に当たる階級。ミドル級、ヘビー級と並び、もっとも伝統のある階級です。
そして今、世界のライト級はかつてないほどタレントに満ちていると言っても過言ではないでしょう。
現在、PFPキングとも言われるワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)をはじめ、若く、勢いのある次期スター候補が揃っているライト級のトップボクサーたち。
その中で、誰がロマチェンコ戦にたどり着き、ロマチェンコを攻略するのか。今回のブログでは、現在のライト級のトップボクサーたちをピックアップしていきます。
まずは世界王者から
WBAスーパー・WBCフランチャイズ・WBOスーパー王者
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)15戦14勝(10KO)1敗
最新のリング誌ランキングではカネロ・アルバレスにその座を譲ったものの、言わずと知れたPFPキング、ワシル・ロマチェンコ。ハイテクと呼ばれるそのスタイルは、変幻自在のステップからコンパクトなコンビネーションで他の追随を許さず、圧倒された対戦相手は途中で試合放棄するほど。「ロマチェンコ勝ち」とか「ノーマスチェンコ」とかの造語が飛び出したのも記憶に新しいですね。
スーパーフェザーの王座時代から比べると、若干パワーレスに感じます。ライト級初戦、ホルヘ・リナレスにダウンを喫した他、前戦のルーク・キャンベル(イギリス)戦は粘られ、キャンベルの評価を上げる結果になりました。
つまり、ライト級のロマチェンコは評価は高いながらも、攻略可能に思えます。
ただ、ロマチェンコが出てきてから、世界中のボクシングの技術がワンステップ上がったのではないか、と思える程の影響を与えた素晴らしいボクサーです。
WBAレギュラー王者
ジャーボンタ・デービス(アメリカ)23戦全勝(22KO)
ガーボンタ、ゲルボンタ、ジャーボンテイ。。。表記が全く統一しなさそうな気配のする、「タンク」(戦車)。フロイド・メイウェザーの秘蔵っ子と言われ、はじめて獲得したスーパーフェザー級タイトル(IBF)は当時全勝のホセ・ペドラサ(プエルトリコ)をTKOして奪ったものです。その後体重超過で失うも、WBA同級王座を獲得、前戦ではレジェンド、ユリオルキス・ガンボアを最終回でKOしてライト級王座を獲得しています。
ガンボア戦でもあわや体重超過(再計量でクリア)しそうになる、暴行事件を起こす等々問題児ぶりも取り沙汰されますが、そのエキサイティングな試合は人気絶大です。
スーパーフェザー級時代から、打倒ロマチェンコの最右翼と見られていましたが、とにかく素行が悪く、心配。最近は元交際相手へのDVで逮捕。
WBC王者
デビン・ヘイニー(アメリカ)24戦全勝(15KO)
「タンク」デービスがメイウェザーの秘蔵っ子なら、ヘイニーは「メイウェザー2世」。ハンドスピード、空間把握能力に優れ、とにかくダメージを受けない。WBC暫定王座を獲得した試合は圧巻で、当時無敗のザウル・アブドゥラエフに圧勝。そして、当時正規王者だったロマチェンコとの統一戦に臨むかと思いきや、なぜかロマチェンコが謎のフランチャイズ王者に。そしてヘイニーは正規王者に昇格。
最近、メイウェザーがヘイニーのミットを持つ姿もSNSで公開されています。「メイウェザー2世」と呼ばれている間は大成できないと思いますが、21歳とまだ若く、まだまだこれから円熟味を増していくと感じさせるボクサー。
ロマチェンコも、他のボクサーもヘイニーとは正直やりたがらないと思うので、もっともっと名前を売って、「ヘイニーとやればビッグマネーを手にできる」ところまでいかなければ、クロフォード同様試合枯れの可能性がある、といらぬ心配をしてしまいます。
IBF
テオフィモ・ロペス(アメリカ)15戦全勝(12KO)
中谷正義戦で若干評価を落としたともいえるロペスですが、前戦のタイトルマッチで評価の高かったリチャード・コミー(ガーナ)を戦慄の一撃KO。こちらも22歳とまだ若く、強敵との対戦経験がなかったために(中谷も東洋王者ということで本場では見くびられていた感)時期尚早と見られたタイトルマッチで、見事見事な右カウンターを決めたロペス。ロマチェンコが唯一持っていないIBF王座を獲得したことで、ロマチェンコ挑戦ということでいえば他のボクサーより抜きん出ています。
ロマチェンコvsロペスは5月に実現していたはずですが、コロナ禍により、最新情報では9月に計画との報。両陣営ともにやる気満々で、調整試合も必要ない!とのこと。
楽しみですね!ロマチェンコは勝って当たり前、ロペスは一矢報いられれば評価は落ちない。そして勿論、番狂わせでロペスのKO勝利もありうる、至高の一戦です。
そんな個性的な王者たちの他、ランカーにもたくさんの強豪が!
リチャード・コミー(ガーナ)32戦29勝(26KO)3敗
前戦、テオフィモ・ロペスにKOされましたが、まだまだ怖さのあるパンチャー。しかし初のKO負けによりハードパンチャー特有なのか、打たれ脆さを露呈した面も。1発の破壊力という点では非常に魅力的な選手ですが、初のKO負けから復活するのか、この後若手の踏み台になっていくのか?
ホルヘ・リナレス(ベネズエラ・帝拳)51戦46勝(28KO)5敗
フェザー級、スーパーフェザー級、ライト級を制した3階級制覇王者。スピード、連打に秀で、最高に男前(個人的見解)。ロマチェンコ戦ではプロ初ダウンを与えるも、10RTKO負け。その後スーパーライト級に上げましたが、番狂わせの1RKO負けを喫し、ライト級に戻ってきました。実力は折り紙付きですが、打たれて脆いところがありますので何とも危うい。しかし、個人的には大好きな選手なので何とかもう一度ロマチェンコ戦にたどり着いてほしい!次戦はライアン・ガルシア戦になるのか?
ランセス・バルテレミー(キューバ)30戦27勝(14KO)1敗1分1NC
元IBFライト級の世界王者ですが、リチャード・コミーとの使命防衛戦を回避して返上。唯一の敗戦はスーパーライト級での一戦で、来日経験もあるキリル・レリクに喫したもの。ロバート・イースターとは引き分け。スーパーフェザー、ライトの2階級制覇王者で、誰がやってもやりにくい感じがします。
ロバート・イースター(アメリカ)24戦22勝(14KO)1敗1分
かつてプロスペクトと呼ばれていたイースター。IBFライト級王座決定戦でリチャード・コミーに勝利して初戴冠。防衛戦では下の階級から上がってきた(けど体重超過した)ハビエル・フォルトゥナとの接戦をものにしましたが、マイキー・ガルシアに初黒星、昨年、ランセス・バルテレミーと引き分け。ちょっと停滞している感じがあります。
ハビエル・フォルトゥナ(ドミニカ共和国)39戦35勝(24KO)2敗1分1NC
フェザー級、スーパーフェザー級を制し、3階級目を目指してロバート・イースターに挑戦するも体重超過。(試合は2-1の判定負け)スーパーフェザーの世界王座を失って4年、3階級制覇はかなり険しい道のりに。
ルーク・キャンベル(イギリス)23戦20勝(16KO)3敗
リナレス、ロマチェンコの王座に挑みましたが王座獲得ならずのロンドン五輪金メダリスト。もう一つの敗戦であるイバン・メンディ(フランス)にはリベンジ。並の王者相手なら既に世界王者になれていると思いますが、この面子ではいかに?32歳、伸びしろも気になるところ。
ライアン・ガルシア(アメリカ)20戦全勝(17KO)
スター候補、というよりもすでにスター。SNSチャンピオンともいわれていますがとにかくスピードが速い。前戦で実力者・フランシスコ・フォンセカを見事にKO。パワーもついてきています。同世代のライバルたちが戴冠して焦りがあるのか、SNSで挑発、常に話題を提供し続けている大注目のプロスペクトです。
そして我らが日本からも頑張ってほしい。
吉野修一郎(三迫)12戦全勝(10KO)
WBC11位、IBF14位、WBO11位。日本、OPBF東洋太平洋、WBOアジアパシフィックライト級王者で、既に国内、いやアジア最強を証明済み。これから本場アメリカに打って出られるか、が勝負ですが、吉野のパワーが本場で通用するかと、本場のスピード、パワーについていけるかが鍵とみます。
いつかまた、こんなシーンが訪れるのでしょうか。。。??
今後の興行
トップランクは6/9(日本時間6/10)にラスベガスで興行を無観客ですが再開させる見込みです。メキシコのサンフェルプロモーションも同様に、6月からの興行再開のようです。
おそらくこれに倣って、世界中で中断されているボクシング興行が再開されていくでしょう。とはいえ、ビッグマッチともなるとゲート収入もかなりでかくなるので、そこがいつ再開になるか、ですね。
とりあえずライト級戦は、既に合意に達しているとみられるロマチェンコvsロぺスの4団体統一戦を、何よりも待ちたいと思います!!