8月31日、ボクシング界の新たな試みといってもいい「ファーストレートpresents A-SIGN.BOXING」の興行が感動のうちに終わりました。
ボクサーひとりひとりのドラマ性にスポットを当て、その集大成として試合を楽しんでもらうというスタイルは、観る人に感動を与えてくれる、と改めて感じました。
このボクサーの試合を観たい、と思うのが、「試合を観て次戦を観たい」と思う場合と、ドキュメンタリー等を見てその「ボクサーの人間性に共感して観たい」と思う場合と、大きく2パターンにわけられると思います。
そして、私にとってはそのふたつを兼ね備えるボクサーが今週登場します。細川バレンタインです。少し前の(で、しかも結構長い)ドキュメンタリーにはなりますが、まだ見ていない人は是非みてもらいたい動画があります。(記事の中間くらいにリンクを貼ってあります)
今日は、これから1週間のうちに行われるボクシング興行の注目試合について書いていきます。
【日本】
ダイヤモンドグローブ
日本・OPBF・WBOアジアパシフィックライト級タイトルマッチ
吉野修一郎(三迫)12戦全勝(10KO)
vs
細川バレンタイン(角海老宝石)35戦25勝(12KO)7敗3分
日本、いやアジアに敵なしの3冠王者、吉野修一郎。前戦ではホープ、富岡樹(REBOOT.IBA)からダウンを奪われましたが、逆転KOで退け、トラブルにも対処できる強さを証明してみせました。
↓観戦記はこちら
その吉野は2015年のデビュー以来連戦連勝、2017年に王座決定戦で日本タイトルをつかむと、防衛を重ねながら2019年10月、OPBF東洋太平洋及びWBOアジア・パシフィックタイトルの決定戦を1RKO勝利して3冠王者になりました。
圧倒的なパンチングパワー、そして技術を誇る、日本のライト級を背負って立つ存在です。
そんな吉野が、ボクシングモバイル - NO.1 ボクシング情報サイトのインタビューで「闘いたい人は伊藤雅雪(横浜光)か細川バレンタイン(角海老宝石)」と語った事から実現したこのマッチメイク。
吉野は細川を退け、国内無敵を証明できるか。
対する細川は、2006年にデビューした古豪。既に年齢も39歳、ナイジェリアの父と日本人の母を持つハーフ。2008年の全日本新人王にとなった後は勝ち負けを繰り返し、スーパーライト級で日本王者となったのは2017年の事でした。
その後、年収1,000万円を稼いでいたとも言われる外資系金融企業を退職、ボクシング一本に絞り(現在は起業)、2度の防衛に成功します。
3度目の防衛戦で井上浩樹(大橋)に判定負けで王座陥落、再起戦では三迫ジムの日本ランカー、有岡康輔を1R45秒で屠りました。
この試合と、11/5に行われる伊藤雅雪(横浜光)vs三代大訓(ワタナベ)(ともにスーパーフェザー級から転向)の1戦が、日本のライト級の頂上決戦でしょう。
海外でもライト級ウォーズが開幕される予定でいますが、一足早く国内のライト級ウォーズが開幕です。バケモノ揃いの世界ライト級へ挑むのは、吉野か、細川か、伊藤か、三代か。
ライト級3冠王者の吉野、スーパーフェザー級元世界王者の伊藤、OPBFスーパーフェザー級現王者でる三代と比べると、細川は現在のランクもこれまでの経歴も落ちるかもしれません。
しかし、私はこの細川バレンタインに期待せずにはおれません。
よくしゃべる、明るいキャラクターと、激闘型のファイトスタイル。加えて明晰な頭脳の持ち主。
万能型・吉野が細川をパワーで潰しにかかるのか、それとも脚を使っていなすのか、それともその両方か。先日吉野が苦戦した富岡のようなシャープなパンチも、スピードも細川にはありません。あるのは鍛え上げられたフィジカルと、アツいハート。どこまで食い下がれるのか、それを越えてアップセットを起こせるのか、非常に興味深い試合です。
この細川バレンタインの魅力は、以下のドキュメンタリーが非常にわかりやすいです。
FIGHT STORYというYoutubeチャンネルで、この密着ドキュメントは2018年、初防衛戦のデスティノ・ジャパン(ピューマ渡久地)との1戦の前(から終わるまで)のものです。
これを見れば間違いなく細川バレンタインのファンになること請け合いです。
順当にいけば吉野の勝利。しかし個人的に細川バレンタインに期待。いずれにしろ楽しみな1戦です。
そしてこの日、全2試合中の1試合目は昨年の中日本新人王が登場!
藤田裕崇(三迫)6戦5勝(5KO)1敗
vs
中村堅亮(BMB)14戦4勝8敗2分
早稲田大学でボクシングをはじめ、卒業後に名古屋大橋ジムに所属し、プロデビュー。リクルートに勤務しながら新人王戦に参加、中日本新人王となり西軍代表決定戦を勝ち抜きます。ここまで5戦全勝全KO。
中部期待のホープとして臨んだ全日本新人王決定戦で、東日本新人王の本多航大(川崎新田)から初回に2度のダウンを奪うも、4Rに2度のダウンを奪われ逆転KO敗け。ものすごい大激闘でした。
その後、転勤を期に三迫ジムへ移籍。三迫ジム初戦であり、再起戦でもある今回の1戦を迎えます。
対する中村は、2017年8月以来勝ち星に恵まれていない選手です。しかしこの最後の勝利は先日日本フェザー級タイトルマッチで佐川遼(三迫)に挑んだ竹本雄利(クラトキ)。自身が勝利した相手に水を空けられてしまったのは悔しいところでしょう。ここでキャリアの差を活かし、意地を見せられるか。
所属は寺地拳四朗の父、寺地永が主催するBMBジム。
公開スパーリング
寺地拳四朗(BMB)vs勅使河原弘晶(三迫)
階級差(ライトフライとスーパーバンタム)はあるとはいえ、これも楽しみですね。互いに距離感抜群のふたり。
この日のダイヤモンドグローブは、9/6(日)AM3:15〜フジテレビで放送があるようです。(勿論関東ローカル)
【海外編】
9/5(日本時間9/6)
WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ
ジャメル・ヘリング(アメリカ)23戦21勝(10KO)2敗
vs
ジョナサン・オケンド(プエルトリコ)37戦31勝(19KO)6敗
伊藤雅雪(横浜光)から王座を奪ったヘリングの2度目の防衛戦。当初は7/2にセットされていましたが、ヘリングがコロナに感染し延期。その後7/14へ日延するも、直前でまたも陽性反応が出たために再セットされた日程です。
今度こそ、大丈夫でしょうか。
海兵隊出身の人気者、ヘリング。飛び抜けたものは持っていませんが、やりづらい長身サウスポーです。ボクシングスタイル自体は人気が出そうな感じはしませんが、世界タイトルを獲得した日は亡くなった娘さんのバースデー、初防衛戦は海兵隊の記念日とドラマ性のあるボクサーです。
対するオケンドは、強豪と闘い続けてきたベテラン。対戦相手の質という意味では、ヘリングの一歩先を行きます。力強いパンチを振っていく激闘型のボクサーファイター、ヘリングとの相性は悪そうです。
しかし、オケンドのハードパンチがヒットするようであれば充分に勝機はあると思われますが、如何に。
この試合はFITE.TV(https://www.fite.tv)で生配信!
今週はとにかく吉野vs細川に注目です!バレンさんのドキュメンタリーは本当にすごくすごく良いので是非見て下さい!