信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

ハイレベルなライトヘビー級の展望と、ブアツィvsキャリッチの観戦記。

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 10/4(日本時間10/5)、イギリスのDAZN興行でライトヘビー級のプロスペクト、ジョシュア・ブアツィが登場。対戦相手のマルコ・キャリッチも無敗、全勝同士の一戦となりました。今回のブログではその観戦記と、ライトヘビー級の今後の展望について書いていきたいと思います。

10/4(日本時間10/5)イギリス

ジョシュア・ブアツィ(イギリス)12戦全勝(10KO)

vs

マルコ・キャリッチ(クロアチア)11戦全勝(6KO)

↓フルファイト

 

イギリスのプロスペクト、ブアツィの保持するWBAインターナショナルライトヘビー級王座の5度目の防衛戦です。

ブアツィはガーナで生まれ、その後はイギリスに移住して国籍も取得している英国人。イギリス代表でリオデジャネイロオリンピックに出場、銅メダルを獲得しています。

その実績を引っさげ、2017年にプロ転向、12勝10KOと驚異の戦績を誇りますが、ここまで名のある対戦相手はいませんので、試されていない部分も多いボクサーでもあります。

 

ライトヘビーの中では身体の厚みがあまりなく、細身に見えます。しかしスピードはあり、しかも重量級に珍しいコンビネーションパンチャーでもあります。要は軽量級のようなボクシングをするボクサーですね。

接近した時にガードが空く所も多く見受けられるので、危険にも見えます。

ここまでの試合は、序盤でのKOも多く、対戦相手の質からも評価を定めるには至らないのが現状ですが、スピード溢れるワイルドなパンチを振っていくボクサーで、コンビネーションが得意。ガードの甘さがあり、打たれ強そうな体つきをしていないことから、今後のトップ戦線との闘いではスリリングな試合が望めそうです。

個人的にこういうボクサーは大好きです。

願わくばブアツィにははやく世界戦線に上がってきてもらって、ライトヘビー級をかき回してもらいたいですね。

対するキャリッチは、クロアチアのボクサー。Calicという表記で、カリックとかキャリックとかかと思ったのですが、DAZNはキャリッチという表記だったのでキャリッチと書いておきます。

 

こちらもアマ経験を経て、2016年にプロデビュー。29歳でのプロデビュー(現在33歳)と遅いデビューでしたね。

映像を探してみましたが、2017年の映像が最新(他、トレーニング動画はありましたが)かもしれません。5戦目、4回戦で闘った試合です。

この試合を見る感じでは、スタンダードで優秀なボクサーという感じがします。身長もブアツィよりも(3cmだけですが)高く、同じく身体の厚みはないものの、ジャブがよく伸びてやりづらそうですね。
スピード、パンチを当てるテクニック、そしてパンチングパワーにおいてブアツィに分がありそうですが、何せキャリッチの映像は3年前の、しかもキャリア初期のものです。そこからどれくらいプロに馴染んだのか。
いずれにしろ、両者ともに底を見せていない、という意味では次代のライトヘビー級を担う(可能性がある)一戦となる(かもしれません)。

 

【試合内容】ジョシュア・ブアツィvsマルコ・キャリッチ

初回、ブアツィのジャブのスピードが目を引きます。ブアツィの方が明らかに速く、キャリッチはブアツィに比べて身体が固いです。
しかし2R、キャリッチはブアツィのジャブに右クロスをあわせる等、対応をしてきました。ブアツィは左手を下げたスタイルのため、右クロスが当たり易い。やはり11戦して無敗というのは伊達ではなさそうです。
プレッシャーを与えるのはブアツィ。しかしキャリッチのジャブからワンツーもよく当たります。キャリッチが連打を見舞う場面も。
とはいえ、やはりスピード、テクニックに勝るブアツィの方が優勢に試合を進めているように見えます。先手をとるブアツィが試合をつくっている状況です。

 

ブアツィはあまり身体の厚みがなく、フィジカル的には強くなさそうに見えます。事実、離れた距離では優勢でも、接近するとキャリッチに押されることもしばしば。
5Rには右オーバーハンドをヒットし、ガクンと腰が落ちるキャリッチ。限界が近そうです。
6Rはキャリッチの右が目に入ってしまったのか、反撃を許してしまう場面もあったブアツィでしたが、続く7Rのハーフタイムが過ぎた頃、ワイルドなパンチを振るいキャリッチからダウンを奪います。
その後のラッシュでキャリッチのコーナーがタオルを投入。

 

ジョシュア・ブアツィの7RTKO勝利
若干の線の細さがありながらも、最後は猛攻でTKO勝利をもぎ取ったプロスペクト、ブアツィ。ハンドスピードはライトヘビー級で突出して速く、テクニックもあるものの、フィジカル、パワーの面では王者たちに劣ると思います。
これだけのスピードを持ち、好戦的なので同時に危険がともなうファイトスタイルでもあります。カウンター狙い、待ちのスタイルにならないのが良いところでもありますが、自ら仕掛ける事でしか試合を作れないのは弱点にもなり得ます。

WBAスーパー王者

ドミトリー・ビボル(ロシア)17戦全勝(11KO)

キルギス共和国出身、ロシア国籍をもち、今は米国でキャリアを築いているビボル。元トップアマらしく、教科書的なボクシングながらその全てのレベルが高いです。

 

ジャブで距離を測り、ストレートを当てるという正統派スタイルで、圧倒的な強さを誇る全勝王者。

スピード、テクニックに優れますが、スーパーミドル級でも闘える、という程、体格的にこの階級での不利は否めません。

しかし、フットワークも含めて身体全体のスピードがここまで速いボクサーはこの階級にいませんし、300戦ほどのアマチュアキャリアで培ったテクニックは階級随一。

WBA正規王者

ジャン・パスカル(カナダ)43戦35勝(20KO)6敗1分1NC

古豪、パスカル。スーパーミドルでカール・フロッチ(イギリス)に挑んだ試合が世界初挑戦で、それが2008年のこと、もう10年以上も世界のトップ戦線で闘い続けています。

バーナード・ホプキンス、セルゲイ・コバレフ、エレイデル・アルバレス。。。強豪との対戦は枚挙に暇がありません。

 

ドミトリー・ビボルに敗北しましたが、復帰後WBA暫定王座を獲得。現在は正規王者に昇格しています。

WBA暫定王座戦

10/10(日本時間10/11)

ドミニク・ボーセル(ドイツ)vsロビン・クラスニキ(ドイツ)

Boxrecを見ると、今度の試合がWBA同級暫定王座戦(とIBOの王座戦)となっていました。実は前戦でボーセルがWBA暫定王座を獲得しているという表記もいたる所で見つけました。

しかし、WBAの公式サイトにあるランキングでは1位にボーセルの名前があるものの、暫定を表すINTERIM CHAMPの表記はなし。しかし他のページ(ファイトスケジュール)では今度の試合が暫定王座戦となっています。

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なので今度の試合は暫定王座戦で、表記はなくともおそらくボーセルが暫定王者なのでしょう。多分。

WBC・IBF統一王者

アルツール・ベテルビエフ(ロシア)15戦全勝全KO

パーフェクトレコードの王者、ベテルビエフ。前戦ではIBF王者として、WBC王者のオレクサンドル・グヴォジク(ウクライナ)との激闘を制し、統一王者となりました。

 

パンチングパワーに優れ、身体が強いこの王者は、リング・マガジン認定のPFP(パウンド・フォー・パウンド)ランキングのトップ10にも顔を出す評価を得ています。

ただただ力が強いというだけでなく、時に冷静に獲物を仕留め、時に獰猛に踏み込み、リングの端から端まで攻め込む事もあるこの王者の試合は、とてもエキサイティングです。

地味なビボルに比べ、派手な印象のあるベテルビエフ。この階級の頂上決戦は間違いなくベテルビエフvsビボルです。

次戦は10/23、アダム・デインズ(ドイツ)との防衛戦がセットされています。

WBO王者は不在

サウル・アルバレス(メキシコ)がセルゲイ・コバレフ(ロシア)を降し、WBO同級王座を獲得しましたが、返上。現在は空位となっています。

 

先日、挑戦者決定戦で元王者のエレイデル・アルバレス(コロンビア)を降したジョー・スミスJr(アメリカ)が現在王座に最も近い1位にランクイン。

そして、10/23、ベテルビエフvsデインズのセミにセットされているユマー・サラモフ(ロシア)vsマキシム・ウラソフ(ロシア)のもう一つの挑戦者決定戦を勝ち残った勝者が、このジョー・スミスJrと雌雄を決する事となるようです。

4人のボクサーのトーナメントのようになって、王者を決めるこの試みは素晴らしいですね。時間はかかりますが、一方を勝たせるための予定調和の王座決定戦は減るといいな、と思っています。

 

ライトヘビー級の今後はどうなる。

スーパーミドル級の一つ上の階級であるライトヘビー級。クルーザー級同様、日本人にとっては最も馴染みの浅い階級の一つだと思います。

 

この階級は現在、ドミトリー・ビボルとアルツール・ベテルビエフというふたりの絶対王者が君臨しています。今回のブログの冒頭で登場したジョシュア・ブアツィがそこに風穴を空けられるのか、というと現時点の戦力を考えると正直厳しい。
ビボル相手では技術で勝負にならなそうですし、ベテルビエフ相手では力負けしてしまうでしょう。世界ランク上位にいても、まだキャリアを重ねている段階だと思うので、これからの成長にも期待しています。
尚、WBAは王座が多すぎてちょっと把握しきれないのが正直なところです。いずれにしろ、現在しっかりと認知されている王者は、ビボルとベテルビエフのふたりだけ。ビボルとベテルビエフ、そしてその他の王者。
ちなみに両者ともにロシア系で、WBOの挑戦者決定戦を勝ち残ったジョー・スミスJrはアメリカながら、もう一つのWBOの挑戦者決定戦はともにロシア。この階級はもう完全にロシア系ボクサーの独壇場といっていいほどですね。いつからこうなったのでしょうか。
ロシア系、とはいうもののルーツはおそらくモンゴロイドと思われるビボルをはじめとして、我々日本人と姿形が似通ったボクサーは少し応援の気持ちが傾きます。

 

ビボルのボクシングは美しく、ベテルビエフもただの獰猛な野獣ではありません。
二人の対戦がいつの日か最高の舞台でなされるように期待しています。ボクシングの粋を尽くした、それはそれはハイレベルな攻防が見れるのではないか、と思っています。

 

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