今週末の目玉は、DAZNで中継されたデビン・ヘイニー対ユリオルキス・ガンボアのWBC世界ライト級タイトルマッチ!
今回のブログでは、DAZNで中継された全試合の観戦記を書いていきたいと思います。
↓プレビュー記事はこちら
レイモンド・フォード(アメリカ)vsラファエル・レイジェス(メキシコ)
6戦全勝(2KO)のフォード、レイジェスは18勝(14KO)10敗 。フォードのための試合ではありますが、レイジェスはKO率も高く、あなどれませんね。
初回、好戦的なレイジェスが右オーバーハンドをヒットさせます。しかしフォードは速く、まっすぐのストレートでレイジェスからダウンを先取。
2Rもジリジリとプレスをかけるレイジェスに対して打ち終わりを狙い、カウンターで迎え撃つフォード。強引に突っ込んでくるレイジェスの勢いにのまれ、もみ合いになる場面もありますが、概ねレイジェスが出てくる前に左ストレートや左右のボディで止めています。
3R、今度は自ら攻めるフォード。スピードがあります。そしていきなりの左ストレートをクリーンヒットして、ダウンを追加。ここからラッシュ、手が出なくなったレイジェスを見てレフェリーはストップをかけました。
レイモンド・フォードの3RTKO勝利。
フォードは打ってすぐに動くボクサーで、センスを感じますね。まだ21歳、フェザー級は日本人との絡みもある階級なので、これから楽しみですね。
レシャット・マティ(アメリカ)vsマルコス・モヒカ(ニカラグア)
7戦全勝(6KO)のマティ、17勝(13KO)5敗2分というモヒカ。
ウェルター級の壁は厚い。まだまだキャリアを積む時期だとは思いますが、期待のマティ。
初回からマティが左フックでダウンを奪います。その後もモヒカのパンチはパーリング、ブロッキングに阻まれ、逆にマティの速いカウンター、コンビネーションで削られます。
2Rに入ってもモヒカのパンチはなかなかヒットせず、打ったところを狙われます。マティはハンドスピードが速く、モヒカはついていけていません。モヒカは少ない時間でパンチをもらいすぎて効いている状態、ここでマティの左アッパーがモヒカのガードの隙間を割ってヒットし、モヒカはダウン。ここでレフェリーがストップ。
レシャット・マティの2RTKO勝利。
非常にスピーディなジャブを放ち、パーリングでほとんどのパンチをかわしていました、マティ。世界のトップ戦線で闘う時にこのパーリングが機能するかどうかは微妙なところですが、楽しみな選手ですね。
アルツール・ビヤスラノフ(カナダ)vsファン・ホセ・マルティネス(メキシコ)
ビヤスラノフは6戦全勝(5KO)、マルティネスは28勝(20KO)9敗。
初回からサウスポー、ビヤスラノフがガンガン攻めます。そして早々に右フックでダウンを奪います。立ち上がったマルティネスでしたが、レフェリーはストップをかけました。
アルツール・ビヤスラノフの1RTKO勝利。
キビキビとした動きから、シャープなパンチを次々と決めていくビヤスラノフ。勝ち方も圧倒的でしたが、そのボクシングは見ていて非常にキレイです。
これまた層の厚いスーパーライト、すばらしいボクサーが出てきましたね。
続いてはヘビー級が2戦。
チャン・ツィーレイ(中国)vsデビン・バルガス(アメリカ)
21戦全勝(16KO)というツィーレイ、22勝(6KO)9敗というバルガス。
37歳と38歳という年齢のボクサー同士の一戦は、ヘビー級だからこそ興味をそそられるものなのかもしれません。しかし中国にヘビー級ボクサー、しかもこんな良い戦績のボクサーがいたなんて。。。
ツィーレイは北京五輪で銀メダルを獲得した元トップアマで、世界ランクにも入っているそうです。
先程までの前座試合は、非常にスピーディだったがためにより遅くみえるヘビー級の一戦。
ツィーレイがプレッシャーをかけながら前に出て、ガードの隙間を狙ってコンビネーションを繰り出します。対するバルガスは、下がりながら柔軟性をもって対応します。
パワー、テクニックでツィーレイが上回っているように見えましたが、
そして迎えた4R、ツィーレイの右フックがカウンター気味に入り、その後左ストレートをフォロー。バルガスはふっ飛ばされた上にダウン。このまま試合がストップされました。
チャン・ツィーレイの4RTKO勝利。
フィリップ・フルゴビッチ(クロアチア)vsライデル・ブーカー(アメリカ)
11戦全勝(9KO)のフルゴビッチ、26勝(13KO)3敗のブーカー。
ここまで順当にAサイドが勝利していますが、波乱は起こるのでしょうか。
ブーカーはかなり重そうですね。ここまでKO負けがないのも頷けるほど、打たれ強そうな体格をしています。
フルゴビッチは素晴らしいKO率を誇りますが、コンビネーションパンチャーのようです。様々なパンチをスムーズに出します。
2R、フルゴビッチに翻弄され、ほとんど手がでないブーカー。そしてこのラウンド終了直前にフルゴビッチはダウンを奪います。
その後もやりたい放題、優勢に試合をすすめたフルゴビッチが、5Rにパンチをヒットし続けたところでレフェリーがストップ。
フィリップ・フルゴビッチの2RTKO勝利。
実力差がありすぎましたね。フルゴビッチは良いボクサーです。
しかし、現在のヘビー級チャンプを考えると、少し物足りないような気もします。
前座試合が、DAZNで中継されたものは全てTKOで終わり、いよいよメインイベント。
WBC世界ライト級タイトルマッチ
デビン・ヘイニー(アメリカ)vsユリオルキス・ガンボア(キューバ)
初回は落ち着いた立ち上がり。速いジャブを飛ばすデビン・ヘイニー。ガンボアは腹回りが分厚く、ライト級だと無理があるのでは?と思ってしまいます。この回はヘイニーのボディへのジャブが冴えます。
2R、距離をキープするヘイニー、フェイントを駆使して攻め込もうとしているガンボア。ヘイニーはバックステップでかわしてジャブを当てますが、これは速くて巧いですね。ガンボアはなかなか手数も出ません。
3R、意を決したようにプレスをかけはじめるガンボア。その出てきたタイミングでヘイニーは打ち返して優位に立ちます。
4R、やや激しさを増してきました。素早いパンチの交換が続きますが、ともに単発で攻めあぐねているように見えます。しかし試合を支配しているのは間違いなくヘイニー。
5R、ヘイニーの方が速く、巧いです。ガンボアは自ら攻めてもヘイニーにかわされてしまうので、ヘイニーが攻めてきたところに合わせるしかありません。
6R、一方的な展開ではありますが、このペースだと倒せそうにないヘイニー。どこかで爆発はあるのか。
7R、やや大きく動き始めたヘイニー。力を込めたパンチも先程のラウンドまでよりは打っています。サークリングも大きく、ガンボアはなかなかついていけません。ここから出入りを多くすれば、ストップも現実的かもしれません。
この後のラウンドも動くヘイニーを捕まえきれないガンボア、かといってヘイニーもチャージはかけません。まだまだガンボアを警戒しているのでしょうか。
10Rにはヘイニーは左アッパーでガンボアの顎を跳ね上げる等、上手くパンチを当てていきます。パンチを当てた後は既にその場にいないので、後続打が出ないかわりにガンボアも攻められません。
11R、12Rはヘイニーがプレスをかけ、ストップを狙っていたのかもしれませんが、ガンボアはクリンチも使ってエスケイプ。クリンチを駆使するガンボアに対し、強引にパンチを振るっていきますが仕留める事はできませんでした。
判定はほぼフルマークで、デビン・ヘイニーを支持。
デビン・ヘイニーの12R判定勝利。
正直退屈ともいえる内容の試合でした。ヘイニーは速く、巧いですがガンボアもまた巧かったのでしょう。
ヘイニーのジャブは素晴らしかったですが、引き出しの多さは感じませんでした。あまり出てこず、そしてはぐらかすのが上手い相手に対して、自ら誘ってカウンターを打つ、というようなことができればガンボアにストップ勝ちできたかもしれません。
今月17日に22歳となるばかりの王者は、これからもまだまだステップアップできるはずです。
ただただそのスピードと身体能力で圧倒するだけではなく、もっともっとボクシングの幅を身につける事ができれば、ライト級のライバル対決ももっと盛り上がるはずです。
テオフィモ・ロペス、ジャーボンタ・デービスの派手さには敵わず、ライアン・ガルシアの人気には敵いません。このままだと、タイトルホルダーではありますが、なかなか地味な立ち位置に甘んじてしまいますね。