信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

中谷潤人世界王座戴冠に思う、石井広三の思い出。

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昨日は中谷潤人が見事、WBO世界フライ級王者となりました!

新人王戦からずっと見てきたボクサーが、着実にステップアップして世界を獲る、というのは何だか格別な思いがありますね。

若干22歳、完成されているように見えてもまだまだ伸びしろは充分あるはずです。

そしてこの中谷潤人を語る際、避けて通れないのが故・石井広三会長。

 

www.chunichi.co.jp

私と同世代、もしくは上の世代のボクシングファンの脳裏にはしっかりと焼き付いているボクサーだと思います。

本日のブログでは、中谷潤人の最初の師、石井広三というボクサーの思い出を書いていきたいと思います。

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生涯戦績は35戦31勝(21KO)4敗。

天熊丸木ジムに所属したこのハードパンチャーは、誰よりもハートが強い、激闘型のファイターでした。

1995年にプロデビューした石井は、翌年の新人王戦(フェザー級)にエントリー。中日本新人王となり、西部日本新人王との対抗戦に臨みますが、ここでスプリットの判定負けを喫し、初黒星。

 

しかしその後は連戦して連勝、その多くをKOで勝利し、1999年8月、OPBF東洋太平洋スーパーバンタム級王座決定戦というチャンスを掴みます。

このディノ・オリベッティ戦では衝撃の1RTKO勝利。

そしてその勢いを駆って、同年11月、WBA世界スーパーバンタム級王者、ネストール・ガルサ(メキシコ)に挑戦することになりました。

当時22歳の石井広三。対する王者、ネストール・ガルサも22歳、37戦36勝(28KO)1敗という、こちらもハードパンチャー。

激闘型の二人の対決は、戦前から打撃戦を予想させるものでした。

同い年の二人は、そのファイトスタイルも似ており、「下がった方が負ける」そんな雰囲気を漂わせます。

↓絶対見た方がいい、ガルサvs石井

 

果たして試合は、1Rから危険な距離での攻防が繰り広げられます。

ガルサが打てば、石井も打つ。

ともに一歩も退かず、大方の予想通り打ちつ打たれつの打撃戦。

まさにこの勝負は、筆舌に尽くしがたい名勝負。

魂と魂がぶつかり合い、根性でそれぞれがしのぎ合う展開。

両者の打ち合いは感動すら覚えるものであり、今見ても拳に力が入り、鳥肌が止まりません。

 

最終ラウンドの残り時間も少ない中、一歩抜け出たガルサが、最後の力を振り絞って攻勢に転じます。石井はこれまでのダメージの蓄積もあり、徐々に手がでなくなったところでレフェリーがストップを宣告。

ここまでの11Rの公式採点では、1-1のドロー。あと一歩、世界に及ばなかった石井。

今も語り草となるこの一戦は、当時の年間最高試合賞を受賞しました。

しかし、この一戦のあと、ガルサはそのダメージを引きずったのか次の防衛戦でタイトルを明け渡します。そして石井は、腰の怪我に悩まされ、後に2度目、3度目の世界挑戦の機会を与えられますが、ガルサ戦のような輝きを取り戻すことはついぞありませんでした。

ハードパンチと、そしてそのハードパンチよりも強いハートを持った石井広三。ガルサ戦は、悔やんでも悔やみ切れない一戦となりました。

 

そして石井広三は2012年、急逝。

交通事故、とのことですが、詳しくはわかりません。

石井広三の初挑戦、あと一歩、いやあと半歩、届かなかった世界王座は、その時から21年後の同じ月、当時の石井と同い年となった教え子、中谷潤人が手にしました。

中谷は、石井が引退後に興したKOZOボクシングフィットネスジムでボクシングを教わり、石井の死後、アメリカへと渡ります。

若き中谷潤人と、今は亡き石井会長

 

↓中谷潤人のキャリアはこちら

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そして一歩一歩着実に、キャリアを積んできた中谷は、充分すぎるほどの実力をつけ、今回の王座決定戦で完勝。

そのキャリアの中では、その類まれなセンスやボクシングIQの他に、師である石井ゆずりの熱いハートを示してくれた試合もありました。

師が果たせなかった夢を果たし、日本屈指の名王者となるべく、チャンピオンロードを歩む中谷潤人。

「愛の拳士」と称する若者は、家族や後援者、ファンたちの愛を一身に受け、これからも私たちに素晴らしいボクシングを見せてくれると信じています。

これからも、中谷潤人の活躍に大いに期待して、見ていきたいと思います。

 

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