3月も最終週に入りましたね。もう来週はムロジョン・アフマダリエフvs岩佐亮佑というビッグマッチが控えています。
岩佐が世界に名を轟かす、今年に入って最も楽しみな一戦!3/26にウズベキスタンに向けて出発ということだったので、順調に調整をしてもらいたいですね。
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さて、本日はまたも激闘必至か、アレクサンデル・ポヴェトキンvsディリアン・ホワイトのWBC世界ヘビー級暫定タイトルマッチの観戦記です。
3/27(日本時間3/28)イギリス
WBC世界ヘビー級暫定タイトルマッチ
アレクサンデル・ポヴェトキン(ロシア)39戦36勝(25KO)2敗1分
vs
ディリアン・ホワイト(イギリス)29戦27勝(18KO)2敗
このDAZN中継の最中、何度も前戦の映像が流れますが、何度見てもポヴェトキンの勝利は奇跡に近かった。
基本的にはホワイトのほうがボクサーとして上回り、ポヴェトキンとしては、10回戦えば1度勝てるかどうかの相手だと思います。その1度を手繰り寄せたのはポヴェトキンの実力の成すところではあるものの、今回もやはりホワイト優位でしょう。
初回から、ポヴェトキンの動きはかなりおかしいです。かすったようなパンチでよろめき、ホワイトに追撃を許します。心なしか足が重そうで、バランスが非常に悪いように感じます。
右のオーバーハンドにもスピードを感じません。
逆にホワイトは良い意味でいつもと変わらず、どっしりと構えつつもポヴェトキンのパンチに対しては素早い反応を見せ、ジャブもよく出ています。
2Rも反応の良いホワイトに対してなかなか攻め込めないポヴェトキン。ポヴェトキンとしては、ホワイトが前に出てきたところにあわせたい展開ですが、ホワイトが前進してポヴェトキンが受け止めるとそれだけで足がよろめく。思い切って踏み込んでもすでにバランスを崩しているポヴェトキンは一度バックステップでかわされてしまうともう次に攻めることもできません。
3R、ホワイトにだいぶ余裕が出てきたように見えます。スピードのあるジャブが冴えます。1分半ころ、ホワイトの見事な右カウンターがヒット!よろめくポヴェトキン、これは効いた!
その後もポヴェトキンは攻めれば一定の距離を保つバックステップ、速いジャブを打ってジャブが当たれば右を返す、というシンプルな戦略で徐々にポヴェトキンを追い詰めるホワイト。
ポヴェトキンはかなり疲弊しているように見えます。
4R、開始早々ワンツーをヒットしたホワイト、ここはもう決めに活きます。ラッシュしつつも状態の動きでポヴェトキンの反撃をかわし、距離が開けば丁寧にジャブを突きます。
ポヴェトキンはかなりフラフラしていて危ない状況に見えます。ジャブで軽く倒れそうな雰囲気すらあります。
そんなポヴェトキンをじっくり観察しながら、速いジャブをつくホワイト。距離を取られてほとんど手が出ないポヴェトキン。
残り30秒ほどのところで、あまり力のは行っていないワンツーがヒット、ロープに吹き飛ばされたポヴェトキンをホワイトは追撃、右ストレート、左フックをヒットするとポヴェトキンはダウン、カウント途中でレフェリーがストップ。
ディリアン・ホワイト、4RTKO勝利でリベンジ成功!WBC世界ヘビー級暫定王者に返り咲き。
ポヴェトキンはなんだか、どうしたんでしょうか、という動きでした。酔っ払っているのか、それともコロナ感染の後遺症なのか、はたまた以前のドーピングの副作用なのか、初回早々からリングに立てるような状況でなかったようにも感じました。
初回のどこかで、すでにホワイトのパンチがヒットして、効いてしまっていたのでしょうか?
とにかく、この出来であれば、ポヴェトキンはもうグローブを吊るすべきでしょうね。
ヘビー級という最重量級において、42歳、激戦続きのポヴェトキンは、もう打たれすぎています。
そしてホワイト、ここからヘビー級の覇権を握れるようなボクサーではありませんが、ここからはベテランボクサーとして、若手の良い壁となってもらいたいですね。
KO勝利が確定したあと、ポヴェトキンに対して自陣のコーナーからイスを差し出したやさしきディリアン・ホワイト。前戦の負けから様々なプレッシャーもあったかと思いますが、今日は見事なボクシングでした。
さて、メインの他にも注目試合がありましたが、前座で登場したファビオ・ワードリー(イギリス)はヘビー級において期待できるボクサーのひとりですね。196cmというなかなかの体躯で、ヘビー級において非常にスピード豊か。
まるで中量級のようなボクシングをするボクサーで、上体も柔らかく、運動量も多い。ヘビー級ボクサーのイメージとしては、なるべく動かず、一発のパワーパンチを叩き込む、というボクサーが多いように思いますが、非常にディフェンスが優れています。
ただ、5R、余裕を持ちすぎたのかエリック・モリナの右をもらって後退、ロープにつまり、あわやというところで反撃の左右をヒットし、結果モリナをノックアウト。
こういう気を抜くところはいただけませんね。ちなみにこの5Rの他にも、モリナに攻めさせてカウンターを取ろうとした場面でいくつかのパンチをもらってはいましたので、これは必然的に起こったことだと思います。
それこそ、安全運転で塩に徹すれば、なかなか良いボクサーなのではないかと思います。
派手に、「魅せよう」としなければ、このスピードはヘビー級においては厄介です。
さて、あとはハットン2世のデビュー戦も残しておきます。
ライト級4回戦
キャンベル・ハットン(イギリス)デビュー
vs
ヘスス・ルイス(スペイン)10戦10敗
リッキー・ハットンの息子。父の背中を追いかけてプロデビューというのは胸踊りますね。やっぱり声援もすごい。お父さん、リッキーはリングサイドで見守ります。マスクから鼻が出ています。アグレッシブです。あと、今日もリッキー・ファットン。引退した今では当たり前か。
売出しのためか、対戦相手は10戦10敗のボクサー。以前、「負け犬の美学」という映画を見ました(非常に良作でした)が、こういう戦績は日本ではあまりないかもしれませんね。日本では、ジムから引退勧告されそうです。
こういうボクサーにも闘う理由がある、と思うとその背景を知りたくなりますね。人気者、ハットン2世の噛ませ犬としてスペインから呼ばれたこのボクサーは、意地をみせることができるか。
ハットン、デビュー戦の割には落ち着いた立ち上がり。
しかし、ルイスが攻めてくると力んで振り回し気味。
デビュー戦でここまで注目されるのも酷だとは思いますが、どうしても父と比べられてしまうキャンベル。父譲りのアグレッシブなボクシングですが、粗さが目立ちますね。
ディフェンス時のガードはしっかりしていますし、相手のパンチもちゃんと見ているので、おそらくアマでキャリアを積んできたのでしょうが、打ち始めるとほとんどノーガードになってしまいますね。
力を込めて打つパンチは、まだまだブン回す系のパンチではあるものの、攻めようという気概は父譲りであり、左ボディはワイルドでパワフル。もっと的確に当てられれば、良いボディ・スナッチャーになるかもしれません。
こういう2世ボクサーの台頭は楽しみですね。上へ上がれるかどうかはわかりませんが、(顔が)ハットンそっくりなこの若者は人気が出そうです。