いよいよやってまいりましたね。
土日仕事の私は、明日というか今日というかも仕事なのですが、折角リアルタイムで見れる時間なのでリアルタイム観戦。
もうおっさんなので眠いです笑
ということで、本日は大注目のウズベキスタン興行、アフマダリエフvs岩佐の観戦記です。
まずは前座試合から。
ハサンボイ・ドゥスマトフ(ウズベキスタン)vsムシン・キソタ(タンザニア)
プロ3戦目でWBAインターナショナル・ライトフライ級王座決定戦に挑む、リオ五輪金メダリストのドゥスマトフ。3戦目でのマイナータイトル獲得が期待されます。
サウスポー同士の一戦。開始45秒くらいで早くもダウンを奪うドゥスマトフ。ノックダウンのシーンはちょうどレフェリーと被っていて見えません。
2Rにも2度のダウンを奪い、キソタを全く寄せ付けず、左をヒットしたところでレフェリーがストップ。
ドゥスマトフ、早送りで見ているかのような速さ。打ちはじめから打ち終わり、その後のバックステップまで力が抜ける場面が一瞬もなく、かなりバランスが良いですね。それでいて攻撃的であり、さすがウズベクのボクサー。
身体全体のスピードが速く、プレスの強いこのハードパンチャーは、日本人ボクサーにとって大きな脅威となりそうですね。
バハディール・ジャロロフ(ウズベキスタン)vsクリスタプス・ズティス(ラトビア)
ヘビー級6回戦、ウズベクのプロスペクトジャロロフは7戦全勝全KOと聞いていましたが、DAZNの表示では7勝6KO。どっちなんでしょうか。
ライトフライの試合のあとにヘビーの試合というのもまたオツなもの。さっきと全然違います。サウスポーのジャロロフは前の手の使い方が上手く、距離を測って狙いすましたように左ストレートを叩き込みます。
距離も長く、ズティスのガードをこじ開けてヒットするこのパンチは驚異ですね。
2R、2度のダウンを奪ってTKO勝利したジャロロフ、ほとんどが距離を測るジャブと左ストレートのみ。フィニッシュはアッパー気味の左からの返しの右フックでした。
いかんせんレベルが違いすぎました。
ミラジズベック・ミルザカリロフ(ウズベキスタン)vsタシャン・ムジャジ(タンザニア)
東京五輪のアジア・オセアニア大会で優勝し、五輪切符を手にしたもののプロ転向したミルザカリロフのデビュー戦。
逃げ回る相手を追いかけて、パンチを当てて1Rに3度倒してTKO勝利。
このムジャジというボクサーがなにをしにウズベキスタンまで来たのかは不明ですね。
この間、余興が長く暇だったので本気でストレッチ。ツイッターのTLで知りましたが、岩佐が写ったのを見逃す(笑)。
イスラエル・マドリモフ(ウズベキスタン)vsエマニー・カロンボ(コンゴ共和国)
6勝(5KO)無敗マドリモフ、14勝(全KO)無敗カロンボ。次こそまともな試合であってほしいと切に願います。
マドリモフの入場曲はホワイト・ストライプスのセブン・ネイション・アーミー。GGGと一緒。明らかにGGGを意識していますね。
初回からマドリモフがジリジリとプレス、ボディ、顔面へとジャブを飛ばします。カロンボは距離をキープしますが、なかなか手を出せません。パンチの反応は良いですが、時折マドリモフのジャブが入ります。
2Rに入るとカロンボもやや落ち着き、後半にはコンビネーションも出始めますが、まだまだマドリモフ優勢に思います。
その後、マドリモフはサウスポーにスイッチして外側から打つジャブとボディアタック、更にはサイドへ回り込む等の技術を披露。
カロンボはブロッキングから返しのアッパーが速く、サウスポーにスイッチしたした時のマドリモフに対してはやや闘いやすそうにみえます。
5R、マドリモフはカロンボの右ストレートを受けて鼻から出血。マドリモフはスイッチしつつ、ステップを刻む場面が増えてきました。調子が出てきたカロンボ、打つ際のガードは甘いものの、なかなかダイナミックなパンチを放っていきます。もっと序盤から攻められていればよかったですが6Rに試合は白熱。
7Rには近い距離での打ち合いとなります。どちらもハードパンチを持ちますが、ともにディフェンスも良い。これは好試合。終盤、マドリモフが素晴らしいサイドステップからいくつかのパンチをヒットします。
8R、激しい打撃戦が展開される中、終盤にフックの相打ちでカロンボがダウン!残り時間が少なく、ここはゴングに救われるカロンボ。
9R、当然のように決めに行くマドリモフ。しかしカロンボのパンチもまだまだ危険。ただ、マドリモフがディフェンスに徹すれば当たりません。
ラストラウンド、KOでしか勝利できないであろうカロンボは果敢に攻めますが、マドリモフは一瞬の隙をついてカウンター、サイドにまわりカロンボの追撃を阻止。
規定の10Rを終了し、勝者はマドリモフ。100-89、99-90、98-92。
GGGとは重厚さにおいて見劣りするものの、あのサイドステップはGGGにはない武器。やはり上手く、強いこのボクサーは、今回の一戦はなかなかの試練、良い経験値となったと思います。
カロンボも良いボクサーでしたね。パンチングパワーもあるのでしょう、マドリモフも顔面が紅潮していました。これから楽しみです。
シャフラム・ギヤソフ(ウズベキスタン)vsパトリシオ・ロペス・モレノ(メキシコ)
リオ五輪銀メダリスト、ギヤソフ、10勝(8KO)無敗。対してモレノは28勝(20KO)4敗というキャリアのメキシカン。
長身、サウスポー、メキシカンのモレノ。ギヤソフはジリジリとプレス、右ボディストレート。(←このパターンが多い、ウズベク人ボクサー)
モレノは足が速くリーチがあり、接近しては細かい連打はよく出るものの、体幹や下半身の強さを感じず、ギヤソフの突進にふっ飛ばされるイメージです。
ギヤソフとしては、この相手ならばさっさと片付けて然るべき、と思います。
2R、ギアアップしたギヤソフ、どっしりとしたか前から左右を強振し、モレノを詰めていきます。サークリングし、詰められると連打で脱出しますが、ややジリ貧になってきたモレノ、ギヤソフの右オーバーハンドで額から出血。そしてこのラウンド終盤、ギヤソフの猛攻にさらされたモレノはダウン。立ち上がったところでゴング。
3R、更にプレスを強めたギヤソフは、右オーバーハンドから左右フックをボディにヒットしてまたもダウンを奪います。モレノは立ち上がったものの、ここでレフェリーがストップ。
地力が違いましたね。ギヤソフも他のウズベク人ボクサーと同じく、上手く、強い。
ここまで、ウズベク人ボクサーの強さをまざまざと見せつけられてきてはいますが、その頂点に立つのがアフマダリエフです。
恐ろしいですね。。。
ということで、メインイベント。
WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)8戦全勝(6KO)
vs
岩佐亮佑(セレス)30戦27勝(17KO)3敗
アメリカを主戦場とするアフマダリエフは、初の自国開催の世界戦であり、凱旋防衛戦。
対して岩佐は、自身過去最大のビッグマッチで、勝てば2冠王者となる一戦です。
ボクシングファン待望のこの一戦は、昨年から噂が聞こえてきては途絶え、とうとう先月に正式発表となりました。
おそらくかねてから両陣営に話はあったと思いますので、このコロナ禍の中、アフマダリエフは岩佐の、岩佐はアフマダリエフの研究をしっかりとして、万全の準備を持って臨むと思われます。
オッズはアフマダリエフ優位ながら、日本のボクシングファンにとっては岩佐に期待を抱き、そして岩佐のキャリアを知る我々としては、それは決して夢物語ではないと思わされる一戦。
サムライスタイルで入場した岩佐には、君が代が良く似合います。
初回のゴング。岩佐のジャブは非常にキレています。調子は良さそうです。アフマダリエフは思ったよりは出てこない。岩佐は序盤、互角で折り返したいところです。近づきたいアフマダリエフに対して、軽いジャブを含めて軽いコンビネーションで突進をストップ、対してアフマダリエフは身体ごと打つジャブと危険なオーバーハンドを放っていきます。
早くも岩佐の鼻頭は赤くなっているように見えます。
2R、アフマダリエフがプレスを強めます。アフマダリエフの体ごと突っ込んでくるジャブが岩佐を捉えます。このジャブはもらいたくありません。
アフマダリエフのダブル、トリプルでジャブを放ってきますが、それに気を取られると右オーバーハンドが飛んできます。やはりアフマダリエフは上手く、強い。身体の強さではアフマダリエフが上に見えます。岩佐はやや押され気味。
3R、序盤から近い距離でのパンチの交換。ストレートのコンビネーションが岩佐を襲います。アフマダリエフのコンビネーションは強力ですが、岩佐はしっかりとガード。2、3発目のジャブももらわなくなってきました。
岩佐のボディショットがヒットしてきたように感じます。
4R、中間距離でのジャブでもアフマダリエフの方がパワーに勝り、見栄えが良く見えます。しかし後半、岩佐の左ストレートがヒット。
5R、アフマダリエフのフック、アッパーが岩佐を捉えます。岩佐は効いているか、足が動かない。
力強くパンチを振るっていくアフマダリエフ、ロープに詰まった岩佐はピンチ!ガードするのが手一杯ではあるものの、冷静に回復を図った岩佐、少々打ち疲れたアフマダリエフに逆襲。
しかし接近戦ではアフマダリエフの土俵、アフマダリエフは少し休んだ後にパワーパンチを打ち返してきます。
ここで防戦となった岩佐を見て、なんとレフェリーが割って入ります。
早すぎる(と感じる)ストップ。。。個人的には、納得がいきません。
しかし、飲み込まれてしまいました、アフマダリエフの連打に。
あのハリケーンのようなパンチの連打は、もう一度見るとそのほとんどが岩佐の顔面を捉えてもいました。
実際は、一度目に攻め込まれたときに、一旦倒れていればまた結果は違ったかもしれません。サムライ・岩佐にとっては、勿論そんな選択肢はなかったのでしょうが、立ったまま、打たれすぎました。
ストップは仕方がないのかもしれませんが、はっきり言ってまだまだこれからだった岩佐のボクシングを、分断されたことは日本のボクシングファンにとって非常に残念。
タパレス戦のような後半でのKO、ここを凌ぎきってから疲れのみえるアフマダリエフを追い込む、という展開を期待したファンも多かったはずです。
岩佐亮佑はまだまだこんなものではありません。
ただ、アフマダリエフが強かったのは紛うことなき事実であり、岩佐は序盤戦った中でもダメージは見て取れました。しかし、岩佐が強さを発揮するのは本当にこれからでした。
リング上の全権は、レフェリーに委ねられているとはいえ、これは本当に悔しい。
序盤からガンガン出てくるアフマダリエフに対して、さして下がる事なく受け止めたサムライは、100%の実力を出し切る前に、ウズベキスタンに散りました。
奇しくも本日、私の地域の桜も散り始めています。
但し、この散った桜は、来年にはまた咲き誇ってくれるのです。
岩佐亮佑、まだまだ引退には早すぎるボクサー。
すぐにはチャンスは巡ってはこないかもしれませんが、きっとまだまだポテンシャルは秘めています。
また次の機会に、別の場所でも良いので咲いてほしい。そう願わずにはおれません。