ルイス・ネリが負けたことで「ざまぁ」と感じた人がそれをTwitterで呟き、それに文句を言っている人がいるとか。
まあ、人の意見は呟くことも自由ですし、批判も自由でしょうが、この結果に私はとてもスッキリしましたね。しかもボディという倒し方と、判定でもTKOでもなく、テンカウントを聞かせたノックアウト、これ以上の結末はないのではないでしょうか。
序盤に強いネリは、初回からパワーパンチを放っていきますがフィゲロアに甚大なダメージを与えられず失速、自分のボクシングを貫いて徐々に盛り返してきたフィゲロアがノックアウトという理想的な展開。内容にも、結果にも、個人的には喜ばずにはいられませんでした。
ネリはネリなりに、フィゲロアはフィゲロアなりに死力を尽くした結果であり、これが6回戦であれば拮抗したものだったでしょうが、12Rという世界戦だと考えれば偶然ではなく必然という結果だったと思います。ネリが後半、どれほど落ちるかというのが一つのキーポイントだったと思うのですが、予想通りというか期待通り、落ちてきてくれましたね。
まあそんな前段から急激に話は変わりますが、今回のブログは今週の国内興行のプレビューです。
↓今週末の海外興行はいよいよ!スーパーライト級4団体統一戦!!!
5/19(水)ダイナミックグローブ
日本ミドル級タイトルマッチ
竹迫司登(ワールドスポーツ)12勝(11KO)無敗1分
vs
国本陸(六島)4勝(2KO)無敗
ミドル級の絶対王者、竹迫司登。竹迫はアマ経験を経て2015年にプロデビュー。7戦目で挑戦者決定戦を勝ち抜き、8戦目で当時の日本王者、西田光(川崎新田)を1RTKOで屠り、戴冠。
圧倒的なパンチングパワーを武器に、8勝8KOというパーフェクトレコードで日本王者となることで、それまでの「アマで村田諒太の最後の相手」という知られ方を卒業。
2度目の防衛戦で加藤収二(中野サイトウ)とドロー、ダイレクトリマッチで決着を付けた後、当時のOPBF東洋太平洋ミドル級王者、細川チャーリー忍(金子)にアタック。
初の判定勝利でこのタイトルをもぎ取り、今回の防衛戦。幾度となく延期となった一戦がこのウィークデイにゴングです。
対戦者の国本は、ここ最近もアップセットで名前を売り続ける六島ジムの所属。国本自身もB級デビューのボクサーではあるものの、前戦ではアマでも国本の実績を上回り、プロでも当時日本ランク4位、タイトル挑戦者である福本祥馬(角海老宝石)を6RTKOで降すアップセット。一気に日本ランク上位に躍り出て、今回のタイトルマッチを迎えます。
ミドル級には元々ランカーが少ないこともあり、もう竹迫の相手は国本くらいしかいません。策士・武市トレーナーの教え子である国本は、どのような策を持ってこの試合に臨むのか、非常に興味深い。相手が決まってから約2年にわたり延期を繰り返したこの一戦は、より対戦相手をイメージしての対策を立てられた方が優位に動きます。
地力ではおそらく竹迫が上、しかし国本、六島陣営は侮れません。さまざまなことが絡み合い、非常に興味深い一戦です。
この興行は、5/24(月)17:30〜20:30、日テレG+でディレイ放送。
日テレG+は、ケーブルテレビ、又はスカパー!で見れます。
↓スカパー!はこちらから
5/20(木)ダイナミックグローブ
OPBF・WBOアジアパシフィック・ウェルター級王座統一戦
豊嶋亮太(帝拳)13勝(8KO)2敗1分
vs
別府優樹(久留米櫛間&別府優樹)21勝(20KO)1敗1分
前戦、見事なボクシングで難敵王者、長濱陸(角海老宝石)を攻略、OPBF王座を獲得した豊嶋。デビュー戦でドロー、一度目の新人王戦では2回戦で敗退、翌年全日本新人王となるも、その後初黒星をつけられた相手にリベンジならず、敗戦。
そこから大きな大きな飛躍をし、強敵からベルトをもぎ取ったことは豊嶋にとっても大きな自信となったことでしょう。
王者になってからも、大きく飛躍が期待されるプロ叩き上げの25歳です。
対して別府は、かつてデビュー以来14連続KO勝利を記録した、ハードパンチャー。その記録の最中に、現日本スーパーウェルター級王者、松永宏信(横浜光)が含まれていることは非常に興味深い。
記録が途切れてしまった後も、地方ジムのハンデもありなかなかチャンスに恵まれず、外国人選手を相手にキャリアを重ねていきます。そんな別府にチャンスが来たのは、2018年、日本王座挑戦者決定戦に出場した時でしょうか。
しかし、この挑戦者決定戦で、のちに日本王者となる永野祐樹(帝拳)にダウンを奪われての判定負け。
それでも諦めなっかった別府は再起、2019年12月、矢田良太(グリーンツダ)とのWBOアジアパシフィック王座決定戦を迎えます。
ハードパンチャー同士の一戦はダウン応酬の超大激戦。別府は5度ものダウンを奪われながらも、10Rに猛ラッシュをかけ、大逆転のTKO勝利を挙げました。
2021年1月にOPBFタイトルを獲得している豊嶋に対し、別府は2019年12月以来のリング。
共に前戦は自信をつける内容で勝利しており、実力も拮抗していると見ます。
パンチングパワーに上回る別府ですが、豊嶋のボクシングスキル、ストラテジーが上回るような気がしますね。いずれにしろ好試合必至です!
アンダーカードには帝拳ジムの面々が次々と登場しますが、個人的に注目なのは第二試合、嶋田淳也(帝拳)vs神足茂利(M.T)。駒大出身の嶋田(デビュー)、日大出身の神足(コウタリ・2勝1KO無敗)の一戦は、非常にハイレベルな6回戦となると思います。
この興行は、日テレG+で生放送。17:00〜20:30という予定です。
スカパー!からも見れます。
この回のダイナミックグローブは、600回記念大会とのこと。それにふさわしい統一戦ですね!
5/21(金)フェニックスバトル
OPBF・WBOアジアパシフィック・フェザー級王座統一戦
清水聡(大橋)9勝(9KO)1敗
vs
森武蔵(薬師寺)12勝(7KO)無敗
ロンドン五輪の銅メダリスト、清水のデビューは2016年。2017年10月、デビュー4戦目でOPBFフェザー級王座を獲得、 2018年12月までの間に4度の防衛。
その頃にはもう相手がいなくなっていたり、世界挑戦を模索するためだったと思いますが2019年7月、ジョー・ノイナイ(フィリピン)の持つWBOアジア・パシフィック・スーパーフェザー級王座へ挑戦。
しかし、この一戦でまさかのTKO負け、世界挑戦への道のりもここで一旦ストップ。
そして1年後、コロナショックを経ての日本ボクシング界興行再開の日に再起。試合自体は7RTKOでしたが、やや動きは重く、殿本恭平(勝輝)に善戦を許したような格好ではありました。
長身サウスポーながら、アウトボックスするわけではなく、前に出るファイタータイプ。線は細いですが、非常に硬質なパンチを持ち、勝ち星すべてがノックアウト。スピードもある方ではありませんが、不思議な強さを持ったボクサーですね。
対して森はアンダージュニアの大会での優勝経験を持ち、清水と同じく2016年にプロデビュー。ただ、こちらは17歳のときでした。
そこから着々とキャリアを積み重ね、2017年度の全日本新人王となりました。
2018年11月、デビューから8戦目でWBOアジア・パシフィックフェザー級王者のリチャード・プミクピック(フィリピン)に挑戦、5R負傷判定で王座を獲得。その後初防衛戦でダイレクトリマッチ、初戦、2戦ともにスプリットの判定で勝利しています。
その後、このタイトルを2度防衛しましたが、初防衛戦の水野拓哉(松田)戦はダウンを奪っての判定勝ち、2度目の防衛戦である溜田剛士(大橋)戦は11RTKO勝利。
特に、この溜田戦は打撃戦という相手の土俵で戦い、そこでやや分が悪いと見るや出入りのボクシングを展開。流れの中での対応力、離れてもくっついてもボクシングができる万能さを見せる形となりました。
加齢もあってややパフォーマンスが落ちてきているかもしれない清水と、前戦を良い形で勝利し、まだまだ伸び盛りにある21歳、森という構図であるため、もともと清水と森にあった差がどれくらい埋まっているのか、それとも力関係が逆転しているのか、全く読めません。
これはチケットが売れるわ、という素晴らしいマッチアップです。
OPBF東洋太平洋バンタム級王座決定戦
中嶋一輝(大橋)9勝(8KO)無敗1分
vs
千葉開(横浜光)13勝(8KO)1敗
そしてこの興行はセミもすごい。無敗のパンチャー、中嶋と、非常に評価の高い千葉による、OPBF東洋太平洋バンタム級王座決定戦です。
そもそもこの王座は、栗原慶太(一力)に勝利した井上拓真(大橋)が持っていたタイトルでしたが、世界挑戦への専念という理由で返上。ジムメイトである中嶋にチャンスがまわってきます。(それを見越しての返上だとは思いますが)
中嶋はその倒しぶりたるや、殺人的。元トップアマであり、デビュー以来倒しまくっていましたが、一躍その名を馳せたのは2019年に行われたGOD'S LEFTトーナメントでしょう。
この国内トップレベルのトーナメントで、渡辺健一(ドリーム)、南出仁(セレス)を立て続けに1RKO。決勝では堤聖也(角海老宝石)相手にドローでしたが、優勢点で優勝。とにかく初戦、2戦目のインパクトは大きかったですね。
対して千葉は、早くから将来を嘱望されていたボクサー。非常にバランスの良い万能型であり、センスの塊。新人王戦には参加していませんが、デビュー6戦目では近々日本バンタム級王座決定戦に出場する定常育郎(T&T)を退けています。
しかし8戦目、伏兵ブライアン・ロベターニャ(フィリピン)にまさかのTKO負け。
このアンダードッグに噛みつかれた試合を境に、精彩を欠くボクシングも散見されましたが、前戦ではホープ・石川春樹(RK蒲田)を相手に出色のボクシングを披露、見事復活を印象づけています。
中嶋一輝相手にも、勝算ありと試合を受けていると思いますので、千葉なら中嶋の強打を空転させられる、と踏んでいるのでしょう。
比嘉大吾が負け、前王者である栗原慶太も負け、若い西田がWBOアジア・パシフィック王者となり、そして本来であれば今週末の予定だった日本王座戦も、間もなく日程の発表があるでしょう。戦国時代と化した国内バンタム級、生き残るのは誰か。
非常に興味深いタイトルマッチです。
更に、セミセミでは、ミライモンスター松本圭佑(大橋)が室田拡夢(T&T)を相手に初の8回戦に臨みます。フェニックスバトルは、ホープをたくさんかかえる大橋ジムの興行なので、非常に豪華ですね。
この興行は、5/23(土)25:55〜フジテレビで放映。またド深夜ディレイ放送。そして関東ローカル。時代錯誤も甚だしいですね。
こんなにも注目試合があるにも関わらず、どの試合も編集の上、放送されてしまうかもしれません。
5/22(土)3150ファイト
56.5kg契約8回戦
亀田和毅(3150ファイトクラブ)36勝(20KO)3敗
vs
三宅寛典(ビッグアーム)9勝(1KO)10敗2分
元世界王者、亀田の再起戦。対戦相手は、松本圭佑(大橋)のデビュー戦の相手を務めた三宅。言い方は悪いかもしれませんが、これはどう考えてもミスマッチでしょうね。
三宅は松本戦でダウンを奪ったとはいえ、相手はデビュー戦でしたし、その後TKO負けを喫しています。デビュー戦の相手を務めたと思えば、次戦では元世界王者。よく受けたな、というのが正直な感想です。
さすがに何かのサプライズは期待することは酷。三宅にとっては8Rフルで立っていられれば御の字。
58.0kg契約8回戦
大沢宏晋(オール)36勝(21KO)5敗4分
vs
高須賀千春(フォーラムスポーツ)7勝(4KO)7敗1分
セミには2度目の世界挑戦を目指す、大沢が登場です。対戦相手は現在2連敗中の高須賀。両者ともに35歳、大きな上積みは望めないものの、介護士ボクサー、大沢にはもう一度夢を見せてもらいたい。
ここは力の差を見せなければいけない一戦ですね。
このほか、全7試合中の2試合目、フェザー級4回戦で行われる村田翼(和光)vs山口楽人(陽光安達)との一戦も楽しみです。
この興行は、5/30(日)21:00〜ABEMA TVでディレイ放送のようです。せっかくなら生放送してもらいたいですが。。。とりあえず今のところ、そんな情報はありません。
ABEMA TVはこちらから
もう正にゴールデンウィークですね。これで本来あった5/22、5/23の墨田区総合体育館の興行があれば、もう本当に素晴らしかったのに。残念です。
とはいえ、海外の興行は工夫をこらせば、お金を払えば何でも観れるというこのご時世に、国内戦は生放送はおろか数日遅れのディレイ放送ですら観る事ができません。
日本画遅れているのは、ワクチン接種だけではないですね。
マッチルームがはやく日本に来て、この業界の放映権というものをぐちゃぐちゃにして、また新たに組み直してもらいたいものです。