7/4(日)、県のスパーリング大会なるものがあって、それに備えて会社には休みを申請していました。しかし直前になり、会場側がNGを出してこのスパーリング大会が延期。(というか中止。)なんともやりきれない、未だコロナの影響は根深い。
さて、ということで突然時間ができてしまったこともあり、Showtimeでクリス・コルバートvsツグスソグ・ニャンバヤルのWBA世界スーパーフェザー級暫定タイトルマッチを視聴。
今回は、その観戦記です。
ライト級12回戦
ミシェル・リベラ(ドミニカ共和国)20勝(13KO)無敗
vs
ジョン・フェルナンデス(スペイン)21勝(18KO)1敗
評価の高いプロスペクト、リベラ。今回はモハメド・アリをオマージュしてか白黒のトランクスに髪型も真似、どことなく仕草もにている。これでアリシャッフルを出せば完璧。
よく伸びるジャブ、反応も素晴らしいですね。対してフェルナンデスも反応がよく、非常に良いボクサーです。コンビネーションもよく出ますし、基本的な能力が非常に高い選手。
21勝中18KOというのも伊達ではありません。
プレスをかけるフェルナンデス、それをいなしつつパンチをヒットするリベラ、という展開が続きますが、ともに速い。スピードはややリベラか、とも思います。
4Rに入るとそこまでサークリングする場面が多かったリベラがパンチを打ちつつ前に出ます。ここで強いコンビネーションを当てて、会場からはどよめき。
リベラが本性を現してきたか、今度はフェルナンデスが大きくサークリング。1〜3Rまでは互角にも見える展開でしたが、ここに来てリベラの攻撃力が飛び抜けました。
5R、ここでも序盤に右ストレートと左フックをヒットしたリベラ。フェルナンデスのジャブのリターンで右ストレートを決め、自らせめてはジャブからワンツーをヒットします。
6R、この状況を打破すべく、フェルナンデスが前に出てチャージ。しかしリベラはその攻撃をかわしつつ応戦、なんとここで足を滑らせたリベラ、ダウンを取られます。
リベラにとってはちょっと不運なダウン。
フェルナンデスはここがチャンスとばかりにワイルドにリベラを攻め立てていきます。その攻撃は迫力も十分。
スロー再生でみると、フェルナンデスのパン地はリベラの胸あたりに当たっています。ダメージはあるのか?
7R、リベラの足取りはしっかりとしたものです。開始1分ほどのところでリベラのローブローで中断。フェルナンデスは先程のダウン判定で勢いづき、アグレッシブに攻めます。
リベラはやや後手のボクシングになっていますが、そのディフェンス能力が光ります。
ただ、先手を取ったときにこそリベラの攻撃力は爆発する感じがしますね。
8R、このラウンドはリベラはサークリングせずにフェルナンデスのプレスを受け止め、相手の出てきたところに右をあわせます。
そして開始30秒少々のところで、突然のフィニッシュ。
リベラのワンツーがフェルナンデスにまともにヒット!倒れたフェルナンデスは、完全に足にきてしまって、立ち上がれません!ワンツーで倒す、お手本のようなノックアウト劇!!
ミシェル・リベラの8RKO勝利。
やはり強かった、ミシェル・リベラ。ダウンを奪われはしたものの、あれは足を滑らせたようなダウンだったため、非常に不運でしたね。フェルナンデスも高いレベルで基本のしっかりしたボクサーでした。
このリベラはハンドスピード、パンチのキレに秀で、パワー自体が飛び抜けているわけではありませんが、キレのあるパンチで見事なワンパンチ・ノックアウト。
この素晴らしいノックアウト劇は、ハイライトで何度も流れることでしょう。
この一戦はWBA世界ライト級挑戦者決定戦として行われた一戦だったようなので、WBAレギュラー王者、ジャーボンタ・デービス(アメリカ)への挑戦権を獲得した、ということになります。ただ、その指名試合が行われるか、というとWBAの特性上、微妙と言わざるを得ませんが。
WBA世界スーパーフェザー級暫定タイトルマッチ
クリス・コルバート(アメリカ)15勝(6KO)無敗
vs
ツグスソグ・ニャンバヤル(モンゴル)12勝(9KO)1敗
実況もジミー・レノンJrも「ナヤンバヤル」とコールしていますね。アメリカ人が呼ぶとそうなるのかもしれませんが、これまで通りローマ字読みにしておきます。
モンゴル人として史上2人目の王者を目指すニャンバヤル、今回は代役挑戦のため、おそらく準備は全く整っていないでしょう。いつもはフェザー級、今回はスーパーフェザー級という一戦で、ニャンバヤルにとっては良くはたらく要因は一つもなし。
初回、先に仕掛けたのはコルバート。素早いコンビネーションを放っていきます。ニャンバヤルも負けじとワンツーで返し、こちらも非常にスピーディ。
サイズはやはりコルバートの方が肩幅や体全体が少し大きい雰囲気です。
2R、サウスポースタートで幻惑にかかるコルバート。すぐにオーソドックスに戻し、終盤にまたサウスポースタイルに。
サウスポーで待つ時、相手の入り際に左アッパーをあわせようとしますがこれは噛み合いません。
オーソドックスではコルバートのジャブがよく当たる場面もありますが、いかんせん(いずれにしろ)手数が少ない。
3R、つまらない試合になりそうだった矢先のこのラウンドは、一気に距離が詰まっての打撃戦。ニャンバヤルがロープに詰めて連打を放てば、コルバートも速いコンビネーションをヒット、先程のラウンドと打って変わって突然の激闘。
終盤にはニャンバヤルが右のカウンターをヒット、少しぐらついたように見えたコルバートですがしっかりとコンビネーションでやり返します。
4R、少し距離が開いてジャブの打ち合い。ジャブの打ち合いは明らかにコルバートの土俵。ニャンバヤルは近づいてパンチを当てたいですね。
5R、コルバートはやはり左リードの使い方が巧い。素早いジャブもそうですが、強弱をつけたジャブ、伸ばしてとどめておくリード、そこから突然放たれる右ストレートからのコンビネーション。
ニャンバヤルはこの左が邪魔で、なかなか思い通りに攻め込むことができていません。
6Rも展開は変わらず。コルバートはやや安全運転気味に戦っています。フィリーシェルから速いジャブと邪魔なリードの使い方、一瞬の隙をついてパンチを打ち込むニャンバヤルに対して鉄壁のディフェンス。
時折素早いコンビネーションで攻め込み、ポイントをピックアップできれば基本的には無理はしません。
つまらない、といえばそれまでですが、やはりこの選手は基本安全運転、そして実力差があれば詰めて倒しに行く、というスタイルでしょう。今日は必要以上に深追いしません。
7Rはガードを高くしたコルバートが前進、ニャンバヤルは下がってしまいます。ニャンバヤルもストレートパンチャーなので、あまり近づかれるのを嫌がるかもしれませんが、ここは受けて立ったほうが良かったでしょう。
8R、そしてまた6R同様の展開に。コルバートはどんどんリズムにのり、ニャンバヤルへの期待はどんどん薄くなっていきます。そしてどんどん眠気が襲ってきます。終盤はややエキサイト。
9R。足を使ってジャブを放つコルバート。パンチスタッツがでますが、パンチ数は500以上のコルバートに対し、ニャンバヤルは230ほど。ニャンバヤルは圧倒的に攻められておらず、逆にこるバーとはよくジャブが出ています。
このラウンド、後のないニャンバヤルはコルバートをコンビネーションで攻め立て、クリーンヒットも奪いますしロープに詰める場面も演出しますが、効かせるまでには至りません。
10R、コルバートはジャブをよく当て、時にコンビネーションもヒット。しかし頑丈なニャンバヤルは気力を削がれず、前進。しかしその前進するニャンバヤルも、決定的なパンチを当てることはできず、コルバートの距離感とスピード、そしてディフェンススキルについていけません。
ニャンバヤルが良いコンビネーションを見せた時、つまりはコルバートが足でかわせない時は、ガードでしのいでいますが、このガードがまた固い。コルバートは、ディフェンススキルが予想以上に完成されています。
11R、露骨に逃げ回るステップを踏むコルバートをニャンバヤルは詰めきれず。12Rも同様。ニャンバヤルも最後まで諦めずに追い続けますが、ただでさえ逃げるだけの相手を捕まえるのは容易ではありません。しかもそれが、技量に勝る相手であればなおさらのこと。
フルラウンドを戦い抜いた判定は、118-110がふたり、117-111がひとり、コルバートを支持。
結局、コルバートの圧勝ではありましたが、ここまでの圧倒的な力の差があっても倒せない所は、クリス・コルバートの今後の人気面が心配されるところではありますね。見た感じ、今回も観客は少なかったです。(会場が大きいのかもしれませんが。)
エキサイティングで、見ていておもしろいボクサーではないかもしれませんが、その技量はたしかなものがあり、なかなか土のつきにくい王者だとも思います。とはいえ、今のところは惚れ惚れするほどの技術は持っていないように思います。
大成はしなさそうですが、今後、ディフェンステクニックややりづらさを見せつけつつ、やや衰えたところで大型ホープの踏み台となる選手かもしれませんね。
あとはニャンバヤル、今回は代役で準備が足りなかったと思いますが、本来の階級でがんばってもらいたいですね。