信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】8/12、吉野修一郎vs仲里周麿のダイヤモンドグローブを視聴。

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少し時間が経ってしまいました。

FOD、TVerのおかげで、我々のような地方民でもダイヤモンドグローブを視聴できるようになってはや数ヶ月、本当にありがたいことです。 

 ただ、リアルタイム視聴が当たり前になっているこのご時世で、フジテレビは未だ数日後の深夜の録画放送。そこからさらに遅れて、FOD、TVerで配信されるということは、これはなかなか情報遮断が容易ではない、という案件です。

なので、せめて当日の深夜にはテレビ放送をしてもらうか、それかFOD、TVerで先に配信してもらいたい(そういうわけにはいかないのでしょうが)とか思ってしまったりしますね。どうせ深夜の録画放送であれば、視聴率を気にする必要もないと思うので、先にオンデマンドで流しても良いような気がしますが。

 ともあれ、今回のブログは、フジボクシングで放送された、8/12に行われたダイヤモンドグローブの観戦記です。

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

8/12(木)ダイヤモンドグローブ

日本ライト級タイトルマッチ

吉野修一郎(三迫)13勝(10KO)無敗

vs

仲里周磨(ナカザト)10勝(7KO)1敗3分

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ライト級絶対王者、アジア3冠を持つ吉野修一郎。吉野がこれより上、世界を目指すならば国内で戦っていてはチャンスはなかなか訪れません。

国内最強を証明しながらも、同階級ではアメリカに活躍の場を移した中谷正義とは世界への近さという点において若干の差があるように思われます。ここは圧勝でこの試合をクリアし、世界へ打って出たいところではありますね。

今回は新鋭・仲里戦。

 

仲里はかつて日本中のボクシングファンを沸かせた、仲里繁の息子。

父譲りのハードパンチを持ち、今時のボクサーらしく父以上の技術を身につけてきているボクサーです。

私のようなオールドファンは、この2世ボクサーに、父・繁が届かなかった世界タイトルへの道程を紡いでくれることを期待してしまいます。

吉野は当然のことながら強く、仲里のチャンスは少ないかもしれません。

個人的には、吉野には快勝してより高みを目指してもらいたいですが、仲里にも夢を叶えてほしい、どちらも応援しているしどちらも応援できない、そんな複雑な一戦です。

 

さて、ゴング。

まずはジャブの差し合い。ややクラウチング気味に構える仲里は、やはり父の面影を残しています。1分過ぎ、吉野が距離を測るために出したジャブの引き際に、仲里が得意の右ストレートを打ち込みます!吉野は少しぐらりときたか??

ともすればダメージを受けそうなパンチでしたが、その後も吉野は冷静です。

仲里は非常にアグレッシブ、前に出る戦いをしており、終盤には右ストレートのカウンター。タイミングはバッチリでしたが、やや逸れたか。

 

2R、早々に先程のラウンドの右のお返しとばかりに、今度は吉野が仲里のジャブに右を合わせます。その後は軽く体を振りながら、プレスをかける吉野。微妙な距離感での攻防は、ともにリターンも早く、非常に見応え十分。近い距離では両者がフックを打ち合い、これもまた目が離せません。

吉野の右に仲里が合わせようとしている右、これは怖い。

3R、開始30秒ほどのところでまたも仲里の右がヒット!その後すぐに吉野の左フックに対してカウンターの左フックをヒットします!ラッシュをかけようとする仲里ですが、吉野が打ち返して攻撃を分断。この仲里の必殺の右ストレートは威力もタイミングも素晴らしい。吉野も警戒していてももらってしまいますね。

 

このラウンドの仲里はディフェンスも良く、吉野のパンチを見切って外しています。終盤にかわし損ねた吉野の左ストレートを被弾して大きく顔が跳ね上がったものの、このラウンドは明確に仲里が支配したと言っていいでしょう。

4R、少し大振りが目立つ吉野、若干の焦りが見える気がします。ジリジリとプレスをかけますが、仲里はステップワークで回避。

このラウンドの中盤以降は、近めの距離での打撃戦に発展、仲里は吉野に対して回転力で上回ります。吉野はやや大振りなところが気になりますが、一発一発を強く遠心力を使って打ち込み、仲里が下がったところにまっすぐに突き刺す左ストレートは非常に有効。

 

この近い距離では吉野がやや優位か、とも思いますが、仲里も踏ん張っています。

このラウンド、吉野の右ストレートで仲里は左眉付近をカットしてしまいます。

5R、吉野はリズムが出てきた感じがします。目の傷のこともあるので少し離れたところで戦いたい仲里ですが、吉野はプレス&プレス。このラウンドは序盤から吉野の左右のアッパーが目立ちます。

 

リズムが取れてきたことで肩の力が抜けたのか、吉野は連打の回転もスムーズになっていますね。接近戦でもコンビネーションを使えています。

途中採点は、3者ともに48−47で吉野。

6R、目が良いのかディフェンス勘に優れているのか、仲里はディフェンシブなスタイルではないのにパンチを躱すのが非常に上手いです。

しかし、かなりしつこく追ってくる吉野は、仲里の姿勢が崩れたところで左ストレートを放ちます。この試合で何度か見せているこの非常に伸びのある左ストレートは、仲里の顔を跳ね上げて印象的にも非常に良いものです。

 

接近戦では、吉野の右アッパー、右フックのアングルが素晴らしく、仲里のガードの間隙を縫ってヒット。そして終盤、仲里の左眉の出血を見たレフェリーがドクターの指示を仰ぎ、ここでドクターはこの試合をストップ。

吉野修一郎、6RTKO勝利で防衛に成功!

吉野は苦しみながらもストップ勝ち。試合後の血を拭った後の仲里の顔を見ると、非常に大きくパックリと割れていますね。これはストップも致し方ありません。

 

パンチによるカットですし、バッティングもなかったのでそれで傷が開いた、とも考えられず、これは紛れもなくクリーンヒットでついた傷。こんなに切れるのか、という位大きな傷であり、仲里は残念でしょうが今後もある選手、レフェリーはよく見てくれていました。

しかしこの仲里、ポテンシャルは十分であり、既に王者クラスの実力があるといっても過言ではありませんね。スーパーフェザーから上げての初のライト級戦にして、吉野と互角の戦いを繰り広げていました。

その右ストレート、そして父の面影を残した左フックだけでなく、今回は素晴らしいディフェンスの一端を披露した仲里、まだ若いボクサーですが今後も大いに期待できるボクサーです。まだまだこんな所で終わるボクサーではありません。この負けがあったから強くなれた、そう言える日を楽しみに待ちたいと思います。

 

そして、王者吉野。前半やや苦しんだ吉野は、少し力みがあったかもしれませんね。早い回でのKOも多い吉野ですが、最近はややスロースターター気味、というか、アジャストするのに時間がかかっている印象もしますね。

海外で勝負するならもう、早い方が良いでしょうし、それが叶わないのであれば三代大訓、そして前日本スーパーライト級王者、鈴木雅弘戦も面白いでしょう。

ただ今は、日本の強豪を全て倒してから海外へ、という時代でもありません。

早めに海外でひと勝負できるのであれば、既にその資格を有している吉野には、海外でのランカー対決や世界挑戦のチャンスがあるならば挑んでもらいたい。最近の三迫ジムには、そういった海外での戦いの実績がない、ということが不安な所ではありますが、これを足がかりに海外での強豪との対戦に繰り出していってもらいたいですね。

 

セミファイナル

スーパーフライ級6回戦

馬場龍成(三迫)デビュー

vs

岡田兼弥(江見)5勝(3KO)3敗1分

本来、セミファイナルは元日本王者、佐川の復帰戦の予定でしたが、佐川が負傷。

繰り上がったセミファイナルには、元国体王者のアマエリート、馬場龍成が登場です。対して岡山の江見ジムの岡田は、あと一勝で6回戦卒業というボクサー。この江見ジムは地方にありながらも、非常に基本がしっかりとしたボクサーが多いという印象です。

 

ゴングが鳴ります。

馬場は速いですが、岡田も負けていません。幅広いスタンスから大きくサークリングしています。しかし、やはり技術では馬場が上。

岡田の前手が下がったところに右ストレートを捻じ込み、岡田は少しぐらつきます。

馬場は細かいパンチ、フェイントを織り交ぜて前進して距離を詰めると、強いパンチが当たる距離で思い切り打つ、という非常に基本通りなことを愚直にやります。そしてその強いパンチのセレクトが非常によく、相手の穴を狙い撃ち。

2R、リズムに乗ってきた馬場は、先程のラウンドに輪をかけてジャブがよく出ます。

 

距離をとりつつ、ややガードがルーズになる岡田にパンチをヒット。岡田はよく足を動かしていますが、中間距離ではなかなか厳しい。くっついてしまった方が、勝負になるかもしれません。

3R、馬場のジャブは本当によく伸びる。岡田のファイティングポーズのグローブの位置、悪くないと思うんですがその間隙を縫ってヒットしています。

岡田が「ここなら届かない」と思っているところからでも、伸びてくるのでしょう。

 

馬場はクロス気味の右も、ボディもよく打っていますが、最も素晴らしいのはそのジャブ。劣勢の岡田は左フックを強振して意地を見せますが、クリーンヒットはなかなか奪えません。

4R、岡田も決して動きは悪くないですし、後半に入ってもまだその動きはキレています。これはしっかりと練習している証拠ですね。やはりこの江見ジムのボクサーたちは、素晴らしいです。

そして岡田は接近戦を挑みます。しかしここでもやはり馬場のジャブは脅威で、幾度となく岡田の顔を跳ね上げています。

 

この馬場のジャブ、しっかりと打ち込む時にはグッと体を押し込んでくるのでその分距離も出て、威力もあるのでしょうね。

5R、馬場はフィニッシュを狙っているのか、プレスを強めます。このラウンドは馬場の右が岡田を何度も襲いますが、岡田もしっかりと打ち返して心身の強さを見せています。

ラストラウンド、相変わらず馬場のジャブはよく、岡田がピボットしようとしたところに右を当てる等、当てる技術の旨さも発揮。

 

上下の打ち分けも見事に決めますが、岡田は諦めることなく応戦、ついには終了のゴングを聞きました。

判定は3者ともにフルマークで馬場。

馬場龍成、3−0の判定でデビュー戦をクリア。

見事なボクシングでした、馬場龍成。岡田もこのホープのデビュー戦を受け、素晴らしい戦いをしたと思います。あれだけ打たれながらも決して諦めることなく、フルラウンド戦い抜いたことは、岡田にとっても良い糧となるはずです。

 

さて、アマで国体王者となった馬場にとっては、この6回戦でつまづいてはいられません。Ak級昇格後から、本当の戦いが始まると言っても過言ではないでしょう。

あと1戦、6回戦を勝てばA級ボクサーの仲間入り。ジャブが得意なジャバーが大好きなボクシングファンにとっては、今後非常に楽しみですね。

ということで、今回はFOD/TVerで配信されたダイヤモンドグローブの観戦記。

こうした国内の注目戦も、その多くを観れるこの時代に感謝したいと思います。

 

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