信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】鈴木雅弘vs宇津木秀!前田稔輝vs木村蓮太朗!4人の無敗ボクサー、土がついたのは?

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ボクシング興行には、メインイベントだけでなくアンダーカードも含めて、始まる前から「絶対におもしろくなる興行」だと感じるものがあります。

それがまさに、2/8(火)に行われたダイヤモンドグローブ。

メインだけでなく、セミファイナルの結果もまったくもって予測不可能。

どちらが勝ちそうだ、という予想がたてられない試合ほど、どのような結果に転んでも楽しめるものです。

ということで今回は、2/8に行われたダイヤモンドグローブの観戦記です。

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2/8(火)ダイヤモンドグローブ

バンタム級8回戦

村地翼(駿河男児)7勝(3KO)1 敗1分

vs

吉野ムサシ(八王子中屋)11勝(4KO)6敗

初回、ともに調子が良さそうな立ち上がり。村地のジャブは非常に鋭いですが、吉野もよく反応しています。

距離が詰まってバッティング、クリンチとなる場面もありますが、これは好試合を予感させる立ち上がりです。

2R、中間距離での攻防、しっかりとしたガードの村地に対して、ややルーズに見える吉野。村地のショートは非常にコンパクト、打てばすぐに返してくるので吉野としては注意したいところ。ただ、村地としても吉野の踏み込みの鋭さは侮れません。

3R、村地のジャブは無駄がなく、美しい。しかしそのジャブに右をあわせようとする吉野。

村地の固いガードを避けて、ボディを攻める吉野。これは非常に良いですが、なかなか続かず、入り際にカウンターをもらってしまいます。

4R、吉野は前ラウンドからサークリングしながら、角度をかえて攻め入っています。ここにボディを絡めているので、良い攻めだと思います。

 

それでも村地はさすが、よく見ており、非常に安定感を感じるボクシング。

それでも後半、吉野はボディをよく攻め、終盤には右のオーバーハンドを顔面にヒット。

5R、少し距離が詰まってきました。吉野は大きく距離をとったところから鋭い踏み込みで攻め込みます。迎え撃つ村地はまだまだジャブが良く出ていますが、吉野の攻めも非常にしつこく、また力強い。

6R、村地のジャブ、右カウンターはよくヒットしますが、吉野も諦めることなく右オーバーハンド、ボディをヒット。

ここに来て村地のジャブを外せるようになってきた吉野、ジャブを外しての左フック、右オーバーハンドをヒット。まさか、ここからの巻き返しがあるのでしょうか。

7R、やはり村地のジャブを外せる吉野は、ジャブを外してボディ。それでもこれまで受けたダメージで顔面を鮮血に染める吉野、右を振り回して村地に襲いかかります。

村地も必然的に力が入り、少しパンチが大きくなり、そうなると上体を柔らかく使う吉野にパンチを外されてしまいます。

ラストラウンド、開始直後にドクターのチェック。ここは再開。

かなり低く入る吉野、互いに右のカウンターを相打ち!近い距離では吉野が根性のストレート連打、少し離れれば右のオーバーハンド!

 

距離が近くなりすぎてクリンチになりますが、この時間は吉野にとってはもったいない。

単発では当たらない吉野ですが、終盤は披露、ダメージから単発気味となってしまい、試合は終了。

判定は3-0で村地を支持。

吉野の追い上げは素晴らしかったですが、ここは村地の勝利で問題はないでしょう。

村地はやはり上手く、総合力の高いボクサーです。吉野もこの叩き上げのど根性、「もしかすると」を演出してくれましたね。

ともあれ、小差ながら生き残った村地。激動のバンタム級戦線で、王座挑戦の機会はもうすぐかもしれません。

スーパーフェザー級8回戦

前田稔輝(グリーンツダ)8勝(4KO)無敗

vs

木村蓮太朗(駿河男児)5勝(3KO)無敗

メインよりもこの試合が楽しみだ、というファンもいるかもしれません。プロ叩き上げ(とはいっても、日本拳法で全国10連覇)の前田、言わずとしれたアマエリート、木村蓮太朗。

このスーパーホープ同士の一戦は、どちらにも負けてほしくない、そう思うファンも多いと思います。一昔前、いや数年前なら絶対に実現しなかったほどのマッチアップです。

一度延期となったこの試合を、再度組んでくれた両陣営に感謝しながら、観戦しましょう。

初回、早々に木村がプレスをかけていきます。前田は小刻みなステップワーク、サークリング。フェイントの掛け合いから木村が左ボディをヒット。

 

非常に距離感の良い前田に対して、木村の左ボディストレートは効果的。

2R、今度は前田がコンビネーション。ペースを取られまいとする良い判断です。木村は前田のジャブに左を合わせると、前田も右フックをヒット。超微妙な距離でのスリリングな攻防から、木村の右をかわした前田は左フックをヒット!木村はダウン!

再開後、速いコンビネーションで攻める前田、さほどダメージを感じさせない木村は強気にプレス!

後半にも木村は強い右フックを空振りますが、この空振りの後は非常に危ない。

3R、しかし両者ともに右ジャブが速い。しかもそれにそれぞれが対応をしています。グイグイとプレスする木村、体で押し込んで右ボディ。

このラウンドは木村のジャブ、右フックのクリーンヒットが上回る印象ですが、前田は必ずと言っていいほど3発くらいのストレートのコンビネーションが出るところが本当に怖いところ。

4R、近い距離でも前田の左ストレートが冴えます!この左を食らった木村ですが、強気に打ち返します。その後も臆することなく体で押し込んでいき、右ボディ。

前田は接近戦でもスッとノーモーションで出る左ストレートが素晴らしい。この左が超強いというのは反則級。

木村は近い距離でのパンチのアングルが素晴らしく、今日は特に右ボディが冴え渡っています。

終盤は前田の左ストレート!木村の右フック!

 

5R序盤は前田のボディムーブがものすごく良い。前田は細かなステップワークを持っていた記憶がありますが、こんなにもボディワークがキレる選手だったか。もう少し腰高なイメージでしたが。

中盤になると接近戦で木村が大きな右フックをヒット、しかし後半には前田がお返しとばかりに左をヒット。少しぐらついたようにも見えた木村ですが、ここでも後退はせず、逆に前進して勝負。

6R、中間距離でも近接戦闘でも、緊張感の漂う好試合。木村は前田をコーナー側まで押し込みますが、ここでは木村の右ボディにあわせて右フックをヒット。

ここまで力を発揮してきた木村の右ボディに前田は対応してきており、諸刃の剣となります。

後半、木村は鋭いジャブをヒット、木村はかなり苦しそうですが、前田の動きはまだキレています。それでも余り余裕はないでしょう。

7R、木村がジャブで先制、前田は木村の右ボディに右フックをあわせ、木村は鋭い右フックをヒット。完全に両者ともに勝負をかけているラウンド。

後半、前田はアッパー、左ストレートをヒット、その後の右フックは相打ち!!よりダメージを被ったのは前田か。

ラストラウンド、ともに前に出て勝負。体の強さ、パンチの多彩さは木村。しかしコンパクトで回転力のある前田、上体の動きでスペースをつくってのカウンターの左ストレートはまだまだキレがあり、怖い。

 

壮絶な打ち合い、両者ともにすべてを出し切ったであろう大激闘!!!試合は判定へ。

判定は、76-75前田、76-75木村、76-75前田!!

2-1、スプリットで前田の勝利!!!

これはどちらが勝っても全くおかしくない、そんな試合でした。「本当に素晴らしい試合」それ意外に言葉が見つかりません。

未来あるスーパーホープ同士の試合は、どちらも応援することが憚られましたが、個人的にはどうやら途中から木村を応援していたことに気づきました。この試合をよりおもしろくしたのは木村蓮太朗のアグレッシブさだったと思います。敗北を喫し、更に大きくなるであろう木村の再起に期待したいものです。

そして勝利した前田稔輝、このボクサーはもっともっと大きくなりますね。クラッシュライトならぬ、クラッシュレフト。ここからもっともっとエキサイティングなボクサーになってくれることに期待です。

 

日本ライト級王座決定戦

鈴木雅弘(角海老宝石)7勝(4KO)無敗

vs

宇津木秀(ワタナベ)9勝(7KO)無敗

和製カネロ、鈴木雅弘と内山二世、宇津木秀。

セミファイナルに続き、これもどちらを応援するか迷う無敗対決です。

センスの塊、天才型の鈴木か、あのキレイなフォームから想像できるのはコツコツと積み重ねてきたであろう宇津木か。

両対局な両者の、日本ライト級王座決定戦です。

初回、まずはジャブの差し合いです。徐々にコンビネーションを出していきますが、宇津木のブロッキングが非常に良いように見えます。非常に気をつけている印象。

2R開始早々、宇津木がアグレッシブに攻めていきます。それを迎え撃つ鈴木、ヒートアップしていきます。

宇津木が右をヒット、左フックもカウンターでヒット。ともにタイミングは非常に危険、ともすれば一発で終わってしまう可能性もありそうです。

終盤、宇津木の右クロスもヒット、宇津木は非常に丁寧に攻めています。

3R、宇津木は集中力が素晴らしいですね。鈴木のジャブを斜め前へのステップではずしながらジャブを打ち、鈴木の得意の左フックを外し、右を当てます。

 

ここまで宇津木が非常にうまく戦っている印象でしたが、終盤、鈴木のワンツーがヒット!少しぐらりときた宇津木!!

このラウンド、鈴木が瞼をカット。ヒッティングだそうです。

4R、プレスをかけて攻め込んだ宇津木、ワンツーフック!このフックにあわせようとした鈴木はこれを失敗、宇津木の左フックをモロに浴びてダウン!!

これは危ないんじゃないか。

立ち上がった鈴木に襲いかかる宇津木!

鈴木をロープに押し込んでラッシュ!!!

鈴木は耐えに耐え、思い切り振り回して反撃!!

鈴木はかなり苦しいが、ここで宇津木は雑にならずにコツコツとアッパーを当てていきます。

そして終盤、宇津木はパワフルなワンツーから勢いよく攻め入り、相打ち気味にパンチを放ちます!ここで分が悪いのは鈴木!鈴木はまたもピンチ!!

 

しかしここを鈴木は何とかしのぎ、ラウンド終了のゴング!!!

5R、鈴木にはダメージがありそうです。宇津木はまだ攻め急がず、コンパクトな隙のないパンチで鈴木を追い詰めていきます。

宇津木の、鈴木の左フック対策は完璧に見えます。タイミング、距離、おそらく事前に対策をしてきたのでしょうが、ほぼ食いません。

近い距離ではコンパクトなアッパーで顔を上げ、右ストレートをねじ込む宇津木。チャンスにもここまで乱れないのは、尋常でない安定したメンタル。

途中採点は、3者ともに宇津木。これは当然と言えます。

6R、宇津木は変わらずまっすぐのジャブを飛ばし、乱れぬしっかりとしたプレス。上下への打ち分け、あいているところを打てる冷静さ、序盤から優勢にさせてしまうと、これほど怖いボクサーはいないかもしれません。

鈴木もボディで反撃。

7R、宇津木はジャブからアッパー、中間距離での攻防と接近戦、非常に多彩に使い分け、本当に淡々とボクシングを遂行していきます。

 

鈴木は起死回生を狙って強い左フックを放ちますが、宇津木はしっかりとブロッキング。

8R、宇津木は常に先手。つまりは鈴木は後手にまわってしまいます。このラウンドも非常にコンパクトに打ち続ける宇津木、やや粗い鈴木もまだパワーはあるものの、この宇津木のボクシングにしてやられています。

鈴木がここから逆転をなす術はあるのでしょうか。

9R、短く気合の声を発してリング中央へ行った宇津木。このラウンドを勝負とするかもしれません。

これまで以上にアグレッシブに攻め込んだ宇津木に、鈴木も力強い左フックを返します。

それをしっかりとブロッキングして、短い距離でもジャブから攻め込む宇津木、鈴木を追いかけて追いかけて青コーナー!

鈴木の振るフックにあわせてコンパクトなフックをコネクト!ぐらついた鈴木、ここでレフェリーが割って入り、試合がストップ!!

宇津木秀、9RTKO勝利で見事日本王者に!!

今回の宇津木は本当に強かったです。

 

コンパクトで、かつ強弱をつけたコンビネーション。特に今日は鈴木対策としてのブロッキングも光りました。

やっぱりこのボクサーには倒しまくって欲しい。

ここ一番で出色のパフォーマンスを披露できるのは「挑戦者」の特権かもしれません。一度スーパーライト級で王者となった鈴木と、待ちに待った初タイトル戦に臨む宇津木とでは、準備やモチベーションの面で違ったかもしれません。

10戦10勝、8KO無敗。

この基本に忠実なストロングスタイル、無理に倒しにいかずともどこかで訪れるKOチャンス、落ち着いた試合運びと優れたジャブ。やはりノックアウトダイナマイト2世を正式に襲名してもらいたい。

さて、敗れた鈴木も非常に気持ちの強さを見せました。思い切り振る左フック、右ストレートは本当にロマンを感じます。ただ、今回は宇津木が上回りました。

 

「差があった」というとそれまでかもしれませんが、これは相性の問題もありそうです。やはり外側からのパンチ(鈴木の左フック)に対しては、内側からのパンチ(宇津木のジャブ、アッパー)が非常に効果的。もともとの攻め方もあいまって、ここは「宇津木の準備が上回った」ということだと思います。

両者天晴、そして今回、このダイヤモンドグローブに登場したボクサーすべて、天晴。

やはり「絶対おもしろくなる興行」は、おもしろい。

そして追っかけ再生機能のあるFODプレミアムは、最高だ。(ひかりTVも対応してもらいたい)

 

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