買ってしまった、FITE.TVのPPV。
ShowtimeのPPV(59.99$)よりはマシですが、日本円で1,840円。
このPPV、普通に買っても良いのですが、その気持ちを阻害したのはやっぱりYoutuber、ジェイク・ポールです。
このPPVを買ったら負けになる。。。とかなんとか思いつつ、そうは言っても見たかったので、迷った挙句に購入です。
ということで、今回は、ShowtimeでのPPVファイト、ジェイク・ポールvsタイロン・ウッドリーをメインに据えた興行の観戦記です。
クルーザー級4回戦
トミー・フューリー(イギリス)6勝(4KO)無敗
vs
アンソニー・テイラー(アメリカ)0勝1敗
アメリカデビューのフューリーの相手は、1戦「無勝」のテイラー。まあ、この試合はトミー・フューリーのお披露目といったところでしょう。
並びあうとサイズ差が顕著ですね。全然階級の違う選手が戦っているかのようです。
アンダードッグ、テイラーは初回から猛プッシュをかけます。頭から突っ込んで、内に入ってボディを乱打。およそ「ハイレベルなボクシング」とは言えないまでも、テイラーの戦法は正解でしょう、フューリーはかなりやりづらそう。
それでも鋭いジャブを飛ばすフューリーの方が、全てのファクターにおいて圧倒的に上回っているように思います。
2R、フューリーがタイミングを見てパンチをまとめ始めます。テイラーは破れかぶれの一発を放つのみに終始、もう限界が近いようにも感じます。
3R、ジリジリとプレスをかけるところまでは良いテイラーですが、肝心のパンチの届く距離になると目を瞑ってパンチを打っています。接近戦でも頭を下に向け、相手を見ずに左右のフック。これは本当に訓練されたボクサーか、と疑いたくなりますね。
この回のスリップダウンでも会場は大歓声。フューリーはアメリカでも人気なのでしょうか。
テイラーは上体が柔らかく、なかなかに逃げ上手。攻撃にはつながりませんが、フューリーのシンプルなコンビネーションには奏功しています。
最終ラウンドはもみ合いの展開も多く、会場からはブーイング。からのフューリーがクリーンヒットを奪い、大歓声。一喜一憂が素晴らしいアメリカの観客たち。
最終ラウンド終了のゴングがなり、判定はフルマークでフューリー。
試合内容はこれで満足なのかわかりませんが、結果的には無難にアメリカデビューを果たしたフューリー。勝利者インタビューでジェイク・ポールに言及していますが、闘りたいのか。。
兄・タイソンとは比べるべくもないですね、そのボクシングも、キャラクターも。
まだキャリア7戦、ジェイク・ポール戦のようなイロモノに進まず、しっかりとボクシングを精進してもらいたいと思います。
ところで、メインがボクシングファンにはどうでも良い試合でも、お客さんはしっかりと入っていますね。PPVファイトの第一試合からお客さんの歓声はすごい。
スーパーライト級10回戦
イバン・バランチェク(ベラルーシ)20勝(13KO)2敗
vs
モンタナ・ラブ(アメリカ)15勝(7KO)無敗1分
ベラルーシのマッチョマン、バランチェクがホセ・セペダ戦からの復帰戦。対戦相手のモンタナ・ラブは26歳の無敗プロスペクトですが、なかなか情報が少ない。
Youtubeを検索すると、ジャーボンタ・デービスとのスパーリング映像が出てくるので、アメリカのプロスペクト同士、交流はあるのでしょう。(ただ、内容的にはデービスにボコボコにされています)
バランチェクはここで負ければ連敗、ここは何としてでも勝利を掴み取ってほしい一戦です。
ド派手なガウンを見にまとい入場したラブ、裸一貫、戦うままの姿で入場したバランチェク。がんばれ、バランチェク!
初回、まずはプレスをかけるバランチェク。ラブはサークリングしつつジャブを飛ばすという予想通りの展開からスタート。距離の遠いサウスポー、且つ足の速いのラブを相手にバランチェクはなかなか距離を詰められません。
終盤には強引に距離を詰めたバランチェク、ラブはロープに押しつけられてパンチを見舞われるもしっかりとガードしてそこからエスケープ。
2R、リングを大きく使うラブ、足はよく動きますが手はあまり出ません。バランチェクもなかなか距離を詰められない分、手数は少なめ。時折思い切り強く右を放ちますが、反応も速いラブには当たりませんね。
バランチェクの左右は怖さこそあるものの、大振りが過ぎる。対してラブはコンパクトなパンチであり、ここはアメリカ、この展開はバランチェクにとってはまずいでしょう。
バランチェクがバランスを崩せば大歓声、バランチェクは焦ったのか後半には入り際に左ストレートを当てられてしまいます。
3R、完全にリズムに乗ってしまったラブ、突進力こそあるものの、単発大振りに頼ってしまいヒットを奪えないバランチェク。
しかしこのラウンドのハーフタイム過ぎ、コーナーに詰まったラブにバランチェクのパンチがとうとうヒット、そこから詰められたラブはロープにもたれかかってダメージがありそうです。これはロープダウンでも良いくらいのもの。
その後のラブは明らかにディフェンシブ、ガードを固めてサークリング&クリンチを駆使して何とかサバイブを試みます。
そして終盤、またもバランチェクがラブをロープに詰めて連打!連打!!ここでゴングが鳴り、レフェリーが2人を分けます。
と、その分けたところでモンタナ・ラブがバランチェクに右フックをヒット!このゴング後のフックでバランチェクはダメージを負い、足元が定まりません。これはアリなのか???
4R、先程のダメージが尾を引いていそうなバランチェク、プレスをかけるものの出足はやや鈍い。早々にラブの左ストレートを浴びます。
依然、バランチェクは入り方には困ってはいルものの、入ってからの連打には「らしさ」が出てきています。しかしラブは前ラウンドのダメージからすっかり回復、サイドステップを駆使してエスケープ、そしてカウンター、さらにサイドステップ。
終盤、左アッパーカウンターを的確にヒットしたラブ、大きく後退したバランチェクは苦しい展開です。
5R、ダメージも疲労も溜まっているバランチェクに対して、ラブはうまくアウトボクシングを敢行。速いコンビネーションにはガードを固めるしかないバランチェク、自由自在に動き回るラブ。
しかしまだバランチェクの力強いパンチは活きており、一発当てれば試合がひっくり返る可能性を孕んでいます。
しかし、バランチェクは終盤にカウンターを浴び、その後もラブの左ストレートをそのまま喰らってしまう等、反応もできていない危険な状態。からの最終盤にバランチェクの左フックがカウンターとなってヒット!!思い切り腰が砕けたラブ!!
これはまだまだ、期待できるか??
6R、思った通りラブは慎重です。しかし慎重になればなるほど、バランチェクの勝機も遠のいていくように感じるほど、ラブはディフェンスが上手い。
1分が過ぎた頃からラブはパンチを打ち込み始め、すでに反応の鈍っているバランチェクはラブの左を幾度となく喰らいます。
7R、早々にラブの左ストレートがヒット、このラウンドのラブは非常にアグレッシブ。バランチェクに力が残っていない、ということに気づいたのかもしれません。
バランチェクの入り際に左アッパーカウンターを何度も狙っています。
後半、バランチェクは懸命に攻めていきますが、とうとうこのラブの左アッパーカウンターをヒットされ、ダウン!
立ち上がってもフラつくバランチェクでしたが、一応カウント以内に立ち上がり、ここは終了ゴング。
しかしコーナーに戻ったバランチェクに対し、陣営はすぐさま棄権を指示。
モンタナ・ラブ、7RTKO勝利。
難敵、イバン・バランチェクを見事にストップしてみせたプロスペクト、モンタナ・ラブ。このボクサーもスピードがあり、カウンターを持っており、良いボクサーですね。
ただ、バランチェクはセペダ戦でもそうだったように、あの「マッチョな風貌に見合わない打たれ脆さ」を持つボクサーだとわかります。果たして、壊れてしまったのか。
バランチェク、残念でしたが意地は見せましたね。一方的な試合ではなく、いくつかのハードパンチをコネクトし、ラブもピンチの場面が幾度となくありました。
映像では、めちゃくちゃ美人な奥様(?)がコーナーに駆け寄り泣いております。。。もしかすると、引き際なのかもしれません。
このモンタナ・ラブ、エロール・スペンスJrやデビン・ヘイニーと同様に、卓越したスピードと多角的な足運び、そしてディフェンス力とカウンターという武器を持ったボクサーです。
今後も注目したいと思いますが、個人的にはどうにもジャーボンタ・デービスにボコボコにされていたスパーリング動画が頭から離れず、もう少し、テストをしてもらいたいところですね。
ヘビー級10回戦
ダニエル・デュボア(イギリス)16勝(15KO)1敗
vs
ジョー・クスマノ(アメリカ)19勝(17KO)3敗
さて、この興行で最も勝敗がわからない試合が終わって、次の試合は個人的メインイベント(興行のセミセミ)、英国プロスペクト、ダニエル・デュボアのアメリカデビュー戦。
ジョー・ジョイス(イギリス)には敗北を喫してしまったものの、ヘビー級において正統派ボクシングをするこのDDD(ダイナマイト・ダニエル・デュボア)の評価は個人的に高いです。
さて、ゴング。
いきなりプレスをかけてワンツーをヒットしたデュボア。このクスマノの足運びを見ても、完全にミスマッチ感がありますね。。。
ガードの上から当たったようなパンチで効かされたクスマノ。その後デュボアに攻め込まれ、コンパクトな右でダウン。カウント9でなんとか立ち上がります。これはもうフィニッシュが近い。
立ち上がったクスマノにデュボアは攻め込みますが、ここでクスマノも反撃、右フックをヒットします。
しかしその直後、デュボアのワンツーを浴び、またもダウン。
立ち上がったクスマノですが、残り時間は1分もあります。
デュボアは容赦なく襲いかかり、連打をまとめたところでクスマノは3度目のダウン、試合は終了しました。
ダニエル・デュボア、1RTKO勝利。
やはり実力差があったマッチアップでしたね。デュボアはこれでアメリカでの鮮烈なデビューを飾ることができました。
リアリティショーに出演して人気のある(らしい)トミー・フューリーもこのような形で行けば良かったんですけどね。
ちなみに、メインイベントのジェイク・ポールvsタイロン・ウッドリーは2-1の判定でジェイク・ポールの勝利。会場めっちゃ盛り上がってる。。。。これで4勝(3KO)無敗。これはこれで、ボクシングのPPVとチケットが売れるからいいのでしょうか。
会場は見た感じかなり埋まっており、メインの盛り上がりを見る限りこのメインを見に来た観客も多かったのだと思います。(もしくは、ほとんどか?)
このジェイク・ポール、ボクシングのスター選手に育つ可能性は少ないとは思いますが、客寄せとしては良いのかもしれませんね。ボクシングファンとしては寂しい限りですが。
どうしてもボクシングファンとしては、マイク・タイソンexロイ・ジョーンズJr、フロイド・メイウェザーJr.exジェイク・ポールと同列に語ってしまいがちなジェイク・ポールvsタイロン・ウッドリー。そして次はオスカー・デラホーヤvsビクター・ベルフォート。
この辺りの興行が成功してしまうのはなんだか複雑な気持ちです。
これが時代の流れとするならば、ボクシングに未来はあるのか。