久々の地上波生放送、皆さん楽しめましたか?
1時間という放送枠はやっぱり短いですね。結果、延長も含めて1時間15分ほどの放送となったわけですが、少なくともこの放送枠を確保しておいてもらいたいものです。
ともあれ、今回のブログでは井岡一翔vsフランシスコ・ロドリゲスJrの観戦記です。
9/1(水)LIFETIME BOXING
残念ながら、第1試合に間に合わず。2試合目からの観戦です。
スーパーライト級8回戦
粕谷雄一郎(角海老宝石)14勝(4KO)3敗2分
vs
石脇麻生(寝屋川石田)8勝(6KO)4敗1分
このセミファイナルは、無茶苦茶見たかった。粕谷は、前々戦で力石政法(緑)とのランカー対決に敗れるも、前戦で内藤未来(E&Jカシアス)に競り勝って復帰。
そして石脇は佐々木尽(八王子中屋)、李健太(帝拳)と強豪相手とはいえ連敗中。
前戦で日本ランクを失ってしまった石脇は、この粕谷戦でランク復帰を懸けます。
初回早々に攻勢をかけたのは粕谷。石脇は鋭いジャブで対抗しますが、粕谷の右クロスが非常に効果的に見えます。ガードを固めて前進、左ボディから顔面への左フックをヒットし、接近戦での強さを見せる粕谷。
2R、画像がかなり乱れ、カクカク。。。海外のサイトを見ているような感じです。500円なので、贅沢は言えませんが。
このラウンドは石脇のジャブが非常に機能しており、粕谷は真正面に経ちすぎている感じ。それでも近づけば粕谷、そして前ラウンド同様にジャブに合わせる右クロスは幾度もヒット。この右クロスは明らかに狙っていますね。
3R、中間距離での攻防の時間が長い。後半に粕谷が接近、フックの当たる距離で次々とパンチを当てていきます。石脇はダメージを負ってしまったか、後退。
しかしこの状態でもハートの強い石脇は折れず、打ち返して盛り返します。
それに対して粕谷も応戦、打撃戦。
4R、開始早々近い距離での打撃戦。今度は石脇が右クロスをヒット、アッパーも良いです。攻勢を強める石脇、粕谷は上下のコンビネーションが素晴らしい。ともに強いパンチを交換しあう展開、お客さんがいれば会場は割れんばかりの大歓声でしょう。
終盤は粕谷が良い右をヒット、ややぐらついたようにみえた石脇。
粕谷が右目の上をカット。これは石脇のパンチによるものだそうです。
5R、このラウンドにきてもまだまだ回転力のある粕谷。両者ともに気持ちの入った打撃戦の中で、石脇がカウンターをヒット!崩れ落ちるようにダウンした粕谷!
レフェリーはカウント途中で試合をストップ、石脇麻生、5RTKO勝利!!
素晴らしい試合でした。非常に見応えのある打撃戦で、好試合。これはせっかくなので全国で放送されてほしかった。
石脇はこれで連敗をストップ、下馬評不利、試合展開もやや不利だったように見えましたが、見事勝利を掴み取りました。強豪と戦いつづけてきた道程は、無駄ではありませんでした。
本当に感動です。
カメラはほぼ定点、途中で止まる、等々見づらいものではありましたが、素晴らしいものを見せてくれて有り難い。この試みは、是非とも工夫を重ね、続けていってもらいたいものです。(ただ、残念ながら50人くらいしか見ていませんでした。。。)
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
井岡一翔(志成)26勝(15KO)2敗
vs
フランシスコ・ロドリゲスJr.(メキシコ)34勝(24KO)4敗1分
一時期の引退から復帰し、スーパーフライ級で闘いはじめてからというもの、一皮剥けた感じのある井岡。その安定感たるや、歴代の日本人世界王者たちを振り返っても上位に位置する名王者です。
対してフランシスコ・ロドリゲスJrは、強豪と戦い続けてきた歴戦の雄、パワーパンチャーというよりは連打型のプレッシャーファイターのように感じます。
井岡のマシーンのような安定感のあるボクシングで、このロドリゲスのプレスをかわしきり、最終的にはストップしてもらいたい、力の差を見せつけてほしい、と期待しています。
ちなみに、皆さん思ったと思いますが井岡のタトゥー隠しのファンデーションの色が逆に目立つ。VTRに登場する井岡はタトゥー隠していないのだから、もういいのでは?と思ってしまいますね。まあ、ルールはルールなんでしょうが。
ロドリゲス陣営も不思議に思っているでしょうね、日本の変なルール。
ともあれ、ゴング。
勢いよく飛び出したロドリゲス。これを距離をとって冷静に捌くと、その後は間合いの探り合い。井岡はジャブをついて間合いを測る井岡、1分すぎにロドリゲスの左フック?左アッパー?がヒット。ちょっとアングルがみづらかったですね。ただ、見ている我々もまだ焦る必要はありません。
井岡の左は冴えています。ジャブから左ボディ、左アッパーのコンビネーションもスムーズ。
様子見のラウンドが終了。
2R、井岡はしっかりと右ガードをキープ、ロドリゲスの左フックを警戒。ロドリゲスは右から入ってくるパターンも使い、とにかく距離を詰めてきます。この密着状態の距離には付き合いたくないですね。
ロドリゲスの軽い右はヒットしますが、井岡は強い左ボディをヒット!これは見事!ダメージを負ったロドリゲスですが、ここで攻め急がないのが井岡一翔。
終盤にはロドリゲスが回転力のある連打を披露。この手数、回転力こそロドリゲスの真骨頂で、これを出させないように距離をキープするのが井岡にとって得策。
3R、どんどん距離を詰めてくるロドリゲス、かなり思い切りよく飛び込んできます。この辺りは怖いところではありますが、これは前半に顕著なところなので、後半までは持たないはず。
ロドリゲスの左フック、右フックを被弾する井岡、少しいつもより被弾が多い気がしますね。
ロドリゲスも前戦よりも明らかに踏み込みが鋭く、パンチが強そうです。仕上げてきていますね。
4R、やはりロドリゲスのパンチはヒットしますが、井岡の左ボディもクリーンに入ります。ロドリゲスはボディが効いたか、若干動きが止まります。
井岡はこのラウンド、どちらかというとプレスをかけて距離を潰しにかかっています。頭をつける位の距離で左ボディを狙う井岡、しかしここはロドリゲスの得意な距離。
5R、かなり強引に、ガツガツくるロドリゲス。サウスポーへのスイッチも含めて、このラウンドも井岡は少しやりづらそうです。終盤、ロドリゲスにの左右を喰らってしまう井岡。
6R、とにかくやっぱり手がよく出るロドリゲス、ここまではロドリゲスがクリーンヒットで上回っている印象です。
しかしこのラウンド、ジャブからフックをヒットしてステップで距離を取り、リズムが出てきた感じがします。
ここで折り返しですが、総合的にみればロドリゲス優勢ではないでしょうか。井岡にとって厳しい闘いとなっていますが、後半での逆転を期待。
7R、序盤に比べ、明らかに出足が鈍っているロドリゲス。飛び込んでの左フックも井岡にしっかりガードされます。しかし、ポイントでは劣勢かと思われる井岡は、ここから確実にポイントをピックアップしていかなければいけません。
ロドリゲスも左フックはまだまだシャープであり、これがカウンターでヒットする事態は避けたい。
8R、このラウンドはハナからチャージするロドリゲス!ここは勝負をかけたのか?その後は疲れもあるのかカウンター狙いのロドリゲス。守勢にまわると得意の連打は出せませんが、パンチがシャープでハンドスピードが速い分、カウンターは怖いですね。
これはポイント的に結構厳しいかもしれません。ロドリゲスは見せ方が上手く、タイミングによりしっかりとパンチをまとめてきますね。
9R、打ち合いは回転力のあるロドリゲスに軍配が上がり、井岡に分が悪い。右から入るパターンも井岡は反応できておらず、かなり危険です。
このラウンドも取られ、ポイント的にかなり厳しいと思います。
う〜ん、まさかの展開です。
10R、またもゴング開始と同時にダッシュするロドリゲス。このラウンドも近い距離での打撃戦。ロドリゲスは連打を仕掛ける時と休む時とを上手く使い分けています。
井岡も応戦しますが、ロドリゲスはやはり手数が多い。ラウンド後半は井岡のクリーンヒットが上回っているように多みますが、ロドリゲスもかなりタフ。
11R、井岡のカウンター、ロドリゲスは下がります。ここでようやく効かせられたか?ロドリゲスはかなり疲れが見えており、井岡にとっては大チャンス。
ここで休ませたくはありませんが、井岡は強引にはいきません。しかしロドリゲスはなかなか手が出ず、出てもスピードがあまりありません。
できればこのラウンドで大きなダメージを与えてもらいたいですが、ロドリゲスは手は出さないまでもプレスをかけて、井岡に攻めさせません。
ラストラウンド、ロドリゲスはまだ身体が流れ気味。序盤に井岡の左ボディが入り、ロドリゲスはガードを固めてサークリング。
近い距離ではロドリゲスが持ち前の回転力を駆使して応戦、大熱戦です。
終盤も井岡の技ありカウンターがヒット、ラウンドが終了。
最終ラウンドを終えて、ともに勝利のアピールはなし。
判定は、3者ともに116-112で井岡一翔の勝利。ジャッジは3人とも、日本人。これはコロナ禍だから仕方ないですね。
これはもっと競っていてもおかしくない内容でしたね。まあ、我々はテレビ観戦、ジャッジの皆さんはリングサイド。見え方に違いがあったと信じたい。
ロドリゲスは思った以上にタフで、思った以上にスタミナがあり、思った以上にパワー、スピードがありました。私が事前に見たロドリゲスの前戦の映像よりもすべての面において良く、素晴らしいボクサーでした。後半落ちてくるはずでしたが、思ったより落ちませんでしたね。
しかしそれを加味したとしても、井岡のディフェンス勘、というか反応がよくありませんでした。こんなにも被弾する井岡を見た記憶はあまりありません。これがロドリゲスの手数によるものなのか、年末以降の騒動でどこかで準備ができていない部分があったのか、はたまた今回の試合に関してのモチベーションなのか、わかりません。
いずれにしろ、どのような形にしろ、井岡一翔は生き残りました。
たった一試合で評価が覆ってしまうのが、ボクシング。
前戦、大きく評価を上げた井岡一翔でしたが、今戦ではおそらく評価を下げた、という内容だったでしょう。こういう時だってあります。
久々の地上波生放送でボクシング、前戦であのパフォーマンスを見せた井岡一翔の防衛戦、我々は期待しすぎたのかもしれません。井岡には、色々とあったのです。おそらく井岡本人だって、納得はいっていないと思います。
圧勝を期待された井岡に対して、判定ではロドリゲスか?と思ってしまった私自身も厳しく見てしまった感もあります。もっとフラットに見れればよかったかもしれませんし、井岡が3度目の防衛を成功させたことを素直に喜ぶことができればよかったな、と。これはブログを書きはじめてしまったことの弊害なのかもしれません。
ともあれ、ボクサーは良い時ばかりではありません。ここからまた、素晴らしいパフォーマンスを見せてくれる事を期待しましょう。