やっぱりABEMAのPPVは追っかけ再生機能がついてくれていました。
6,200円支払って追っかけ再生機能や見逃し再生機能がないわけはありません。このあたりは、さすがABEMAといったところですね。
ということで、リアルタイム視聴は叶いませんでしたが、19:00頃から視聴。
ということで今回のブログは、ジョシュア・フランコvs井岡一翔をメインに据えた、LIFE TIME BOXINGの観戦記。
↓プレビュー記事
冒頭、メディアでも取り上げられ〜みたいな言い方をしていますが、取り上げられているのは試合そのものではなく、別のこと。
他にも色々と興味深い戦いはあるものの、時間も含めての観戦記。
OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王座決定戦
森武蔵(志成)13勝(7KO)1敗1分
vs
渡邉卓也(DANGAN AOKI)39勝(22KO)11敗2分
前回ドローでのダイレクトリマッチ。今回も大接戦が予想されます。
初回、というか13R目。静かな立ち上がり、も数秒ほどのことで、渡邉が早々にコンビネーション。森もややプレスをかけつつジャブ。
互いにパンチが当たりそうな距離でのやり取り、ミスブローは非常に少ないパンチの交換。どちらが利き手を当てられるか、みたいな勝負だけに、前手が非常に重要です。
2R、落ち着いたボクシングのふたりですが、アクションが多いのは渡邉。森はどっしりと構え、足もあまり動かさないのですが、非常に貫禄を感じます。まるで、尊敬する井岡一翔のよう。
このラウンド後半、森が左を巧く当てているように見えます。この左の上下への打ち分けは、かなり厄介です。
3R、序盤渡邉のコンビネーションが冴えるも、中盤には森もワンツーのフェイントを入れてからのワンツーをヒット。
4R、森が少し余裕を持ってきたのか、と思ったところで渡邉がアッパーをヒット、その後はすぐさま森も左をリターン。中盤にも渡邉はアッパーをヒットしますが、森の左もよく当たっています。
途中採点は3者ともに39-37で森。
5R、大きな差ではないものの、渡邉は劣勢を意識してかチャージ。これに森も迎え撃つため距離が詰まり、揉み合いの展開も出てきますね。渡邉はこの距離で戦いたいのかもしれませんが、森が今度はうまく距離をとって、自身の左ストレートが最も映えるところから左をヒット。このラウンドは森が引き離したイメージで、渡邉にとってはちょっと厳しい流れ。
6R、中間距離でも接近戦でもよく手がでるのは渡邉。しかし森はピンポイントで非常に的中率の高いパンチを良質なアングルで放ち、距離が開けば得意の左ストレートをヒット。
苦しいラウンドが続く渡邉。
7R、とにかく手数のエグい渡邉、森はこのしつこさにちょっと嫌がっているか。渡邉は近い距離で打って、打って、距離をつぶすという戦い方なので、森の反撃を必然的に防いでいます。
ちょっと手が出ない森、渡邉はここからがチャンスか。
8R、渡邉が止まりません。近い距離でノンストップ連打、アッパーで森の顎を跳ね上げます。中盤、森は足をつかってエスケープを試みるも、そのステップワークは疲労からかやや重く、また近距離戦。
終盤には森の左、続いて右がヒット。このまま飲み込まれてしまいそうだった森ですが、ここで反撃。
途中採点は、3者ともに77-75で森。ただ、あと4Rもあるというのは森にとって地獄かも。
9R、ここで森が逆に勝負をかけたような感じの力強い攻撃。前ラウンド終盤のビッグヒットでちょっと気力を取り戻したのか、ここ数Rの中では素晴らしい攻めを見せています。
と、ここで渡邉にドクターのチェック。渡邉の右目上のカットに対するもので、これは有効打によるものです。
再開後、ここで止められてはいけない渡邉は一気に攻め入ります。森もここはしっかりと迎え撃ち、後半には渡邉の攻撃をダックして躱し、左ストレート!森は完全に動きが戻っており、ここでの持ち直しはでかい。
10R、ここにきて、森の動きが良くなっています。ステップワークも復活、渡邉の攻撃を距離で外すことができるようになっています。このラウンドにきて、本当に不思議なものです。
森は序盤とも中盤とも違ったよく動くボクシング、渡邉はこの動きに対応しきれておらず、入り際に左カウンターをもらってしまいます。
森は距離をコントロールしつつ、ときに打ち合い、良いボクシング。
11R、一転、苦しい展開なのは渡邉。前ラウンドを明確に取られてしまった渡邉は、ここが勝負。森は気持ちの余裕なのか、動きのキレを取り戻し、細かなステップを刻んでからのノーモーションの左。
渡邉はこの森の動きに呑まれたのか、ちょっと手数が減ってしまっています。
ラストラウンド、序盤に森の左ストレートが炸裂、渡邉がここでダウン!!右ボディから上へ返す素晴らしいコンビネーションです。
このダウンで勝利を決定づけたともいえる森は、その後も安全策を取ることなく左ストレートを狙っています。リスクを取り、力強い攻撃を見せてストップを狙う森。タフガイ、渡邉は意地を見せて近距離で打ち合うも、森のカウンターを浴び明らかなダメージを負ってしまいます。それでも何とか耐え、12Rが終了。
採点は、117-110×3で森武蔵。
終わってみれば、ポイント差は結構開きました。つまりは初回、7R、8Rが渡邉で、それ以外は森。あのような劣勢を覆すことができた、というのは素晴らしいですね。ピンチを迎えても勝ち切る、というのはハートの強さのなせるわざでしょう。
今後の森武蔵に期待ですね。
比嘉大吾(志成)19勝(17KO)2敗1分
vs
シリチャイ・タイイェン(タイ)65勝(43KO)4敗
シリチャイ。いや、ヨドモンコン。かつて、江藤光喜を降して暫定ながらも世界王座を獲得したヨドモンコン、ここで比嘉が先輩の無念を晴らすべくリベンジマッチに臨みます。という構図にしておいたほうが楽しめそうなのでそう言いますが、正直この戦いには関係がないことでもあります。
ファンの思いはたった一つ、比嘉のバンタムでの覚醒のときを見たいのです。その時は永遠に訪れないのかもしれませんが、比嘉がそのキャリアを続ける限りは「いつか」と思い待ち焦がれる、それが比嘉大吾というボクサーの楽しみ方。
再び世界を期待させるような戦いを見せてもらいたい。
初回、比嘉の動きは結構キレているように見えます。グイグイとプレスをかけるというよりも、まずはステップワークを使ってサークリング、ガードを固めてスッと入り、強振。
左のダブルは健在、右を強振してバランスを崩したところで左を放ちバランスを戻す、という動きも良い。後半、比嘉の得意の右のダブルアッパーでヨドモンコンの顎が跳ね上がります。比嘉大吾は上々の滑り出し。
2R、前半に比嘉がジャブから入って右アッパーからの左フック!これは非常にスタンダードなコンビネーションですが、回転力があり、大きく振るタテヨコのパンチは相手から見えづらく、これは非常に良い。
そして後半、比嘉は右ストレートで効かせ、ガードの上から右を当てて左フックをフォローするとヨドモンコンはダウン!
立ち上がったヨドモンコンに襲いかかる比嘉、ラッシュ、ラッシュ、大小織り交ぜたパンチ、叩きつけるような右をヒットするとヨドモンコンは2度目のダウン!
心が折れたようにも見えた倒れ方ですが、立ち上がってきたヨドモンコン、レフェリーも続行を指示してここでゴング。
3R、相変わらず体のキレが良い比嘉。やはりここで倒しておきたい。
このラウンドも前半にフック、アッパーで攻める比嘉、ヨドモンコンはガードを固めるもその間隙を縫ってパンチを放っていきます。
ここでちょっとヨドモンコンも息を吹き返してきたか、これまであまりなかった比嘉の被弾、といってもジャブですが、が見られるように。
しかし後半比嘉がこれでもかというほど右のボディを叩くと、ヨドモンコンはダウン!これでも立ってくるヨドモンコン、攻め立てる比嘉!しかし残り時間少なく、ここもゴングが鳴ります。
4R、グイグイと追いかけていく比嘉大吾。多少の被弾をものともせず「攻撃こそ最大の防御」とも言うべきアタック、このレイジェスが非常に似合うオキナワン・ファイター、中盤にまたも右ボディストレートを決めるとヨドモンコンがこの試合4度目ともなるダウン。
レフェリーはカウントを数えますが、既に心が折れているヨドモンコン。
レフェリーはカウント途中で両腕を交錯、比嘉のTKO勝利が確定!
比嘉大吾、4RTKO勝利!!!
これは気持ちが良い、比嘉のTKO勝利。メインイベントのモヤモヤを少しは軽くしてくれましたね。
これぞ比嘉大吾、これでこそ比嘉大吾。
本当に素晴らしい、ここ数戦でというよりも復帰以降、最高のパフォーマンスだったのではないでしょうか。
ここからまた大輪を咲かせてもらいたいものです。
WBA世界スーパーフライ級変則タイトルマッチ
ジョシュア・フランコ(アメリカ)18勝(8KO)1敗3分
vs
井岡一翔(志成)29勝(15KO)2敗1分
ジョシュア・フランコは当日計量を58kgで通過。じゃあいったい井岡は何kgなんだ、というところなのですが、まあ2-3kgの差はあるはずです。
危険なのは勿論なのですが、この計量のあとの井岡のいくつかの言葉を見ると、本当にこの井岡一翔というボクサーは「外」に向かっておらず、「内」に向かって禅問答を行っているような修行僧のようなボクサーですね。周りに惑わされることなく、自らのパフォーマンスの限界を求める修行僧。
きっと今の井岡にとっては勝ちも負けもただの結果であり、どれほど自分のパフォーマンスを高める準備ができたか、当日どのように振る舞えたのか、が大切なのだろうな、と思います。
初回、まずはジャブの差し合い、フランコのジャブが良くでています。このジャブが長く、井岡の顔面にヒットしているように見えます。
後半、このフランコのジャブに対応し始めたように見える井岡。それでもこの数の多さは脅威です。
2R、変わらずフランコのジャブ。これがジャブだけでなくフック、アッパーと変化し、この数が多くて多彩なのは非常に厄介です。
このしつこい左に我慢の時間が続く井岡、この左のリターンで右を狙っている雰囲気。この右は結構力強く打っており、この右なのか、もしくはボディなのか、フランコはダメージを被ったか、後退!
井岡が攻勢を強めて追いかけるも、フランコも動きながら回復、何事もなかったかのようにリードをしつこく出していきます。
後半、井岡の力強い左ボディがヒット。今日の井岡はいつもの流れるようなコンビネーションというよりも一発を強く打っているイメージですね。
3R、井岡が狙うのはフランコのジャブに対しての右ショート、そして左ボディ。右のアッパーなんかも良いですね。このあたりはさすが井岡、というような再戦に際しての準備というところでしょう。
井岡がしっかりとプレスをかけてフランコに対しての対応を行っている、というイメージで、ほんの気持ち、フランコのリードの数が少なくなってきたような感じがします。
このラウンドには井岡のいつもの流れるようなコンビネーションも出始め、良いペースに見えます。
4Rは序盤からフランコが良い。ちょっと余裕を持ちすぎたか、井岡が少し後手にまわるとガンガン出てくるフランコ。先に攻めるフランコがいくつかのヒットを奪うと、井岡の頭が揺れます。しかし中盤、井岡がボディを叩くとフランコは後退、(今日の、かもしれませんが)フランコの弱点は完全にボディです。
井岡も被弾はしていますが、今日は非常にアグレッシブだからある程度は仕方ありません。ただ、この3kg近いオーバーをかましたボクサー相手だとやはり危険を伴っているのも事実。
このペースで後半落ちるのはどっちか。
5R、比較的近めの距離での打撃戦。まずはフランコの左フックのいくつかが井岡を捉えます。井岡も負けじとショートフックでの応戦、から左右のボディをリターン。
中盤はフランコのフックがヒット、やはりこの近い距離でのボクシングは非常に危険。
それでも退かない井岡、心技体の揃った素晴らしいボクシングです。
このラウンド、フランコが右目上をカット。これはヒッティングによるものです。
6R、フランコの手数は出ますが、カットの影響なのか何なのかちょっと回転力に乏しい。井岡は距離をキープして戦い、攻撃時にはしっかりと距離を詰めていく、というイメージですが、ここは互いにアピールが足りない。
7R、井岡がしつこくボディを叩くと、フランコの前進が止まります。終盤にも井岡は左ボディをヒット、明らかに身体がくの字にまがるフランコ。
8R、このラウンドにきてもフランコの手数はものすごい。体調不良を心配もしていましたが、このあたりは大丈夫そうなのが現実です。これはこれでまた、複雑な思い。
9R、フランコの手数が衰えない中、井岡はブロッキング。よく見ている、といえばそうですが、ちょっとディフェンシブすぎるか。
と思ったところで井岡のボディ、井岡は手数が少ないながらもピンポイントでダメージを与えています。しかしやはりフランコの手数は侮れず、井岡にも被弾があるからこそちょっとこれではポイントは取れないのではないか。
後半、井岡にしては珍しくフランコを挑発する場面。とはいえ、井岡にそこまでの余裕があるかというと疑わしい。また、陣営はポイントの計算違いをしていないといいですが。
10R、ここでもフランコは軽いパンチをポンポンと出してきて、井岡は単発気味のやや強めの振り。ちょっと待ち過ぎのイメージになってきた井岡、こうなるとポイント的にどうなんだろう、とかいう心配ばかりしてしまいます。
11R、井岡の強い右。このあとにしっかりと攻め込めればより良いのですが、フランコは手が止まりません。フランコの回転力は打ち始めると止まらず、ブロッキングで受けることは悪手に見えます。見栄え的に。
前ラウンドよりは力強いパンチ、手数を増やした井岡、こうなるとフランコのパンチも当たり、これはまた微妙なラウンド。
ラストラウンド、ここは井岡も攻めますが、やはりフランコの手数は多い。フランコはジャブの連打も復活しています。
しかし中盤、井岡のボディでやや動きが止まるフランコ。井岡は継続的にボディを攻めてはいるものの、フランコは耐えきり、ここで12R終了のゴング。
採点は、115-113、116-112×2、3-0のユナニマス判定で井岡一翔。
この試合において、最もマシな結果となりました。
この12Rの戦いを終えて、思いっきりタトゥーが見えている井岡。もう、良くないか?タトゥーかくしとか。。。
ともあれ、やはり井岡の後半の失速というのは結構気になります。これは加齢による身体的なものなのか、集中力を維持できないからなのか、どうしてもやはり衰えというふうに見えてしまいます。
感極まって涙した井岡一翔。今回の一戦での勝利は、本当にホッとしました。正直、ポイントは最後までよくわからないという中で、ラストラウンドは大きかったと思います。
次は、エストラーダを日本に呼べるのか。ここはもう、是が非でもエストラーダ戦を実現してもらいたい。この井岡vsエストラーダが実現しなければ、日本ボクシング界にとっては大損失だと思って交渉してもらいたい。
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