オスカル・バルデス(メキシコ)がやらかしたニュースを真っ向から批判しているボクサーがいます。
否が応にも注目してしまうボクサー、その名はサニー・エドワーズ(イギリス)。
現IBF世界フライ級王者、サニー・エドワーズは、イギリス人の特性(?)であるシニシズムを活かして、現在オスカル・バルデスはじめチーム・レイノソをディスりまくっています。
これはなかなかパンチがある。いや、彼自身にはパンチはないんですけど、Twitter上では、ある。
Just enjoying my morning herbal tea. pic.twitter.com/HKbpCujBcm
— Sunny Edwards (@SunnyEdwards) 2021年9月4日
ここにきて(SNS上で)思わぬ強さを見せ、私の中でかなり注目を集めているサニー・エドワーズは、Twitterに時間を割いている場合ではなく、そしてハーブティーを飲んでいる場合ではありません。(本当はしっかり練習しているとは思いますが。)
ということで今回は、書く予定ではなかったものの、気になりすぎたのでサニー・エドワーズvsジェイソン・ママのIBF世界フライ級タイトルマッチをプレビュー。
Gutted that my fight on Saturday is off. Will have a rescheduled date ASAP. Want to apologise firstly to my opponent Jayson & his team, as I understand the frustration they must be feeling, secondly Frank Warren & BT as my homecoming was set to be the biggest night of my career, https://t.co/cat6xpKFUI
— Sunny Edwards (@SunnyEdwards) 2021年9月7日
※9/7追記
サニー・エドワーズ、足首負傷により試合は延期。
9/11(日本時間9/12)
IBF世界フライ級タイトルマッチ
サニー・エドワーズ(イギリス)16勝(4KO)無敗
vs
ジェイソン・ママ(フィリピン)16勝(9KO)無敗
ちなみに、このMTKグローバルの興行は、日本はおろかアメリカでも放映の予定はありません(9/4現在)。イギリスではBTスポーツが中継するので、今後、可能性があるとするならばアメリカではESPNがぶっこんでくれば、日本ではFITE.TVがそのESPNから引っ張ってくる形でPPV放送をしてくれる可能性はゼロとは言えません。
それでもこのサニー・エドワーズ、気になってしまったんですよね。もともと私はイギリスという国、その文化、国民性というものが大好きで、若い頃はモッズカルチャーにはまり、今でも好きなミュージシャンはビートルズ、ストーンズ、フー、キンクス、デヴィッド・ボウイ等々の60年代〜70年代、もちろんその後の年代のブリティッシュ・ロックも聴きまくっているくらい好き。とまあ、ここを書き始めると1記事の中の1文では全く足りないので、ここまでにしておきます。
話が逸れましたが、このPED問題に対するサニー・エドワーズのシニカルなアンサーは非常に好みです。
さて、このエドワーズ、兄は元WBC世界フライ級王者であるチャーリー・エドワーズ。
兄に遅れること2年、2021年4月30日に安定王者、モルティ・ムザラネ(南アフリカ)から王座を奪取。これは番狂わせともいえる勝利でした。
しかし、試合内容としては、ことごとくムザラネの硬質なパンチを空転させ、走りに走ってムザラネを攻略。前後左右の素早いステップを踏み、老雄ムザラネを撹乱、ジャブを突き右ボディを差し込み、そして頻繁にスイッチしてまた撹乱。
とにかくこの運動量にムザラネはついていけずに敗退、新王者となったエドワーズは無敗のフィリピン人、ママを迎えて初防衛戦に臨みます。
このエドワーズの特徴は、体全体のスピードを活かした徹底したアウトボクシングにあり、そこからのカウンター。上体の動きもやわらかく、ステップやスイッチを含めてディフェンスは非常に秀でています。
集中力さえ保てば、かなり攻略しづらい王者ではあるものの、KO率が示す通りにパワーレス。
特に打ち込む時でさえ、しっかりとナックルを握っていないように見えますし、フック系のパンチはオープン気味、相手にダメージを与えられるボクサーではありません。
ジェイソン・ママは逆に、一発一発をしっかりと打つ、パンチャータイプのボクサー。ただ、フィリピン人によくいる上体の柔らかさを活かしたディフェンスというのは不得手のようで、打つ際は上体が立っていて隙も多いという印象です。
ちなみにこのママは田中恒成(畑中)のスパーリングパートナーとして来日経験もあります。世界王者の防衛戦に向けてのトレーニングに呼ばれる強豪であり、現在IBFの最上位である3位(1位と2位は空位)にランキングされています。
ややアップライト気味で、軸をぶらさずに打つ分、強打を連打することができ、この連打につかまってしまうと非常に怖いボクサーです。
ママが打ちまくっている時はある意味チャンスではありますが、エドワーズがここに付き合う事はないでしょう。
なので、エドワーズとしては、ママにつかまらないということが第一。
パワーのあるママに捕まってしまっては、ガードしていても危険といえます。
ムザラネ戦のように、脚をつかって撹乱し、空転させ、時に距離を潰してクリンチ、そして焦って出てきたママにカウンター、というのが理想だと思われます。
しかし、ママがエドワーズ追い方をわかっており、鋭い踏み込みとエドワーズの進路を塞ぐようなステップをトレーニングして、それが試合でできるのであれば勝負はわかりません。
動くエドワーズが軽くでもパンチを当ててポイントをピックアップし、判定で逃げ切るのか、どこかでママが捕まえて、そのまま試合を終わらせる所まで持っていけるのか。
持っている技術、ボクシングIQ、そしてホームの利、を考えると、エドワーズ優位は動きません。しかし、いわゆる鬼門の初防衛戦、そしてママは指名挑戦者。勝負がひっくりかえるものを持っています。
先にも書きましたが、残念ながらこの興味深い一戦、日本で見る術は今の所ありません。
もし今後、注意深く調べる中で、映像の視聴方法を発見しましたら9月の配信/放送スケジュールの記事の中に追記しておきます。
ちなみに、セミファイナルにはアルツール・ベテルビエフ(ロシア)に挑戦経験のあるカラム・ジョンソン(イギリス/19勝14KO1敗)が登場。ベテルビエフ戦から復帰後2連勝中で、自身の保持するWBOグローバル・ライトヘビー級王座の防衛戦に臨みます。
バルデスのドーピング事件以後、そのボクシング以上にSNSでの発信が気になってしまったサニー・エドワーズ。こういうところから興味が湧くこともあるんですね。この試合、何とか見れないものか。。。