この試合の配信はないのか、と色々と探していました。
プロベラム主催の興行は、プロベラムのYoutubeで見れたりもしますが、イギリス国内のみのプラットフォームの場合もあります。
日本での放映、というのは、さすがにWOWOWが乗ってくるとも思えず、絶望的に感じていましたし、アメリカでもサニー・エドワーズという軽量級の王者で、さらに一般的に見て試合が退屈だと思われる王者の防衛戦というのは、なかなかアメリカでの放映もハードルが高いのではないか、と思っていました。
しかしなんと、FITE.TVが放映してくれることが決まり、さらにPPVではなく、なんと無料。
二重のサプライズに驚き、感謝感謝です。
11/11(日本時間11/12)
— 信太 (@shintaboxing) 2022年11月4日
サニー・エドワーズvsフェリックス・アルバラード、https://t.co/NAs9NycI7Pで生配信。
しかもなんと無料! pic.twitter.com/VtsFKCCcb6
徹底してディフェンシブに戦う、完全なるアウトボクシングが武器のサニー・エドワーズ、そしてフライ級という階級にあって、いや、そもそもこれまでライトフライ級で戦ってきたボクサーとして、80%以上という脅威的なKO率を誇るフェリックス・アルバラード。
今回のブログでは、フライ級究極のホコタテ対決と言っても過言ではないこの試合をメインに据えた、プロベラム興行のプレビュー記事です。
11/11(日本時間11/12)イギリス・シェフィールド
IBF世界フライ級タイトルマッチ
サニー・エドワーズ(イギリス)18勝(4KO)無敗
vs
フェリックス・アルバラード(ニカラグア)38勝(33KO)2敗
サニー・エドワーズは、まだ底を見せていないボクサーです。
ジュニア時代、ユース時代から英国アマチュアボクシングでいくつものタイトルを獲得したサニー・エドワーズは、2016年にプロデビューしています。
BoxRecによると2016年5月にENE大会(全日本選手権のようなもの?)の決勝で敗れ、その4ヶ月後にプロデビューしていますので、もしかするとリオ五輪のヨーロッパ予選に出場できなかったため、プロになったということかもしれませんね。2015年のENE大会では準決勝でガラル・ヤファイを破って優勝しており、アマチュアボクシングでの活躍も伺えます。
キャリア初期は負け越しのボクサー等との試合が多いのは、プロスペクトにありがちな戦績で、その中でもKO勝利は極端に少なく、2017年に2度、2018年に1度、2019年に1度。
2018年後半頃から地域タイトルに絡み、対戦相手の質が上がっても、判定勝利ではセンセーショナルさに欠け、サニー・エドワーズの名前は世界的にプロスペクトの名前として知られることはありませんでした。
「チャーリー・エドワーズの弟」という存在だったサニー・エドワーズの評価が一気に覆ったのは、2021年4月に行われたIBF世界フライ級タイトルマッチの出来事。
当時の王者、モルティ・ムラザネ(南アフリカ)は、日本のボクシングファンにもよく知られた存在で、2018年に王座に返り咲いた古豪。一期目の王者時代ではゾラニ・テテ(南アフリカ)、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)にTKO勝利を挙げているパンチャーで、年齢を重ねると共に老獪さが増し、非常に硬質なパンチは年を経ても衰え知らずのようにも見えました。
ムザラネは坂本真弘、黒田雅之、八重樫東という日本期待の挑戦者たちを敵地・日本で一蹴、そして4度目の防衛戦でももちろん敵地イギリスに乗り込んでの防衛戦。
ここで、当時25歳の新鋭、サニー・エドワーズは抜群の距離感と、素晴らしいタイミングのコンビネーション、フェイントを駆使して老雄ムザラネを寄せ付けず、大差の判定勝利。
↓観戦記
上の記事にはムザラネが追いかけるのが下手だった、と感じているようでしたが、結局のところサニー・エドワーズが巧すぎて速すぎた、これに尽きると思います。
その後のサニーの試合も眠くなる、と思いながらも全て見ているわけですが、ジェイソン・ママ(フィリピン)、ムハマド・ワシーム(パキスタン)いずれも強打者に分類されるボクサーではありますが、これらのハードパンチを意に介さず、完璧にシャットアウト。
サニーの距離感は「絶妙」な訳ではなく、大きく躱すことも度々ありますし、ディフェンスが攻撃に直結しているか、というとそうではありません。相手が出てこようとするところに対してのカウンターやフェイント、そして「完璧に逃げ切る」ことに主眼を置いているであろうこのボクシングは非常にタチが悪く、そして物凄くスマート(賢い)です。
そのボクシングはお世辞にも面白いとは言えませんが、SNSでのドラッグやマッチメイク、ボクシング界への正論、シニカルなキャラクターで嫌いになれないボクサー。個人的には是非とも日本に来てもらいたい王者の一人です。(が、日本のライト層のファンたちはめちゃくちゃストレスが溜まるとおもいます笑)
さて、そんなハードパンチャーキラーとも言えるサニー・エドワーズ、3度目の防衛戦の相手は前IBFライトフライ級王者、フェリックス・アルバラード。
アルバラードも日本のファンに馴染みのある元王者で、2013年の大晦日には当時のWBA世界ライトフライ級王者、井岡一翔(当時は井岡)に挑戦、判定負けを喫して初黒星。
その半年後、何を思ったかWBA世界フライ級王座へ挑戦して、2連敗を喫しています。
当時の王者はファン・カルロス・レベコ(アルゼンチン)、打撃戦の展開で適正階級よりも重い王者への挑戦、王者のホームという内容ながらも大善戦の戦いでもありました。
そしてここから8年以上にわたり全勝、現在20連勝中です。
その中には、日本で小西伶弥(当時真正)の挑戦を受けたIBF世界ライトフライ級タイトルマッチも含まれていますが、この20連勝の中でKOを逃したのはこの小西戦ともう1試合のみ。とてつもない決定力を持ったボクサーです。
今回は2階級制覇を狙っての挑戦となりますが、双子の弟である元WBA世界スーパーフェザー級王者、レネ・アルバラードは強豪相手とはいえ王座陥落戦含めて4連敗中、キャリアの最終盤を迎えているとあって、フェリックスも思うところがあるのではないでしょうか。弟についても自身についても、年齢的にもキャリアの終焉を意識しそうなものでもありますから、アルバラード家としても正念場、非常にモチベーションは高いはずです。
フェリックス・アルバラードは魅惑的なパンチャーではありますが、その反面、ディフェンスには甘さがあるのも事実。その隙を突き、エドワーズが単発でのパンチを打ち込み、12Rにわたって優位に立つ、という展開が予想されます。
但し、アルバラードはその劣勢をひっくり返せるパワーを持っており、そのアルバラードのパワーをエドワーズがフルラウンド空転させられるか、というところが鍵となりそうです。
アルバラードはたくさんの攻撃の引き出しを用意しておくべきですね。アルバラードが単調になると、エドワーズも安全圏で戦う事が予想されるため、ノックアウトされるのは視聴者かもしれません。
モンスターエナジー必須(レッドブルでも可)、注目ファイトはすぐそこです。
ジャック・ベイトソン(イギリス)17勝(4KO)無敗
vs
シャバズ・マサウド(イギリス)10勝(3KO)無敗
28歳、イギリスはヨークシャー州、リーズ出身のジャック・ベイトソン。リーズといえばジョシュ・ウォーリントンのふるさとですね。年もそんなに変わらず、アマチュア時代はトップボクサーということもあって、親しいかもしれません。
ただ、いくつかの映像を見た限りではウォーリントンのようなアグレッシブネスはなく、ハイガードスタイルから足を使い、ジャブを突いてしっかりとボクシングを組み立てるスタイルのオーセンティックなアウトボクサーで、ウォーリントンというよりもポール・バトラーに近いイメージ。
そのベイトソンと戦うのがシャバズ・マサウドというボクサーで、こちらはランカーシャー州出身の26歳。「Marveric」(マーヴェリック)という異名を持つこのマサウドというボクサーは、その異名の通り、英国に多いオーセンティックなスタイルとは少し違ったスタイルで戦うボクサーですね。
サウスポースタイルでややオープンに構えたスタイルから、おそらく得意としているのは左ストレートカウンター。これで入り際に頭を弾き、ポイントを加算していく、というボクシングです。
非常にリーチがありそうで、かなり長い距離でも届くこの左ストレートは武器、カウンターセンスも良い物を持っていると思います。
反面、少し細身な体型は、耐久力に不安を感じさせもします。
かといって、ベイトソンがフィジカルエリートか、というとそうでもなく、ともに身長は170cmとこの階級としては長身です。
その中で、何と無くリーチはマサウドの方がありそうですね。
これはなかなか予想を立てづらい試合ですが、こちらもエキサイティングな内容にはならなそうです。
ちなみに海外のオッズでは、マサウドがやや有利。どっちが勝っても驚きはしませんが、スーパーバンタムという階級は日本人とも絡みのある階級であり、来年には井上尚弥がこの階級に殴り込んでいくでしょうから、このイギリスホープを見ておくのも悪くないでしょう。
ちなみにともに世界ランカー、WBAランキングで14位(ベイトソン)15位(マサウド)に入っています。今回の試合では、WBAインターコンチネンタルのタイトルがかかるようで、BBBofCかな?のタイトルエリミネーターもかかるみたいです。
アツい打撃戦や衝撃的なノックアウトは見られないかもしれませんが、打たれないボクシングはかくあるべき、というスタイルは見れるかもしれない今回のプロベラム興行。ボクシングをやっている人、たくさんボクシングを見てきた人にこそ見てもらいたい興行ですね。
【放送・配信】
この興行は、前述の通り、FITE.TVが生配信してくれます。しかも無料というのは嬉しい限り。
日程は、日本時間で11/12(土)AM2:30〜の配信で、6回戦が1試合、12回戦が1試合あって上記のセミ、そしてメインへとつながっていくので、AM5:00くらいのメイン開始のような気がします。(責任は持ちません!)
アーカイブは残ると思うので、ディレイでも良いので暇な人は是非御覧ください!無料なので笑。
11/10追記
なんと、この無料配信が日本版FITEからは消えてしまいました。。。
どうしても見たい、という方は、VPNを使ってアメリカに設定すれば見れそうです。
↓以下はVPNを使ってFITEを購入する方法(今回はVPNの設定はアメリカです。)
そして、この他にもFITE.TVは翌11/13(日・日本時間)に行われるナターシャ・ジョナスvsマリー・ディケアのWBC・IBF・WBO世界女子ウェルター級統一タイトルマッチも生配信。こちらは配信開始が11/13(日)AM4:00からですが、セミセミにはリッキー・ハットンexマルコ・アントニオ・バレラというレジェンドファイト。まあ、余興みたいなものでしょうが、怪我なく終えてほしいものです。
↓FITE.TVのリストはこちらから
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