信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

晴天の霹靂。ティム・チューvs井上岳志は11/17!アジア・オセアニア最強決定戦!!

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本日夕方、打ち合わせを終わらせて何気なくTwitterを覗いたら、とんでもないニュースが飛び込んできました。

ティム・チューvs井上岳志。日程は、11/17。ど平日ですが、オーストラリアではボクシング人気はさほど高くはなく、ビッグマッチでも平日の夕方開催がほとんどです。

日本とオーストラリアは、オーストラリアの都市によって-2時間から+2時間の間くらいのようですので、日本時間でも11/17(水)。

 

チュー本人から発表もあったようにこれはオフィシャルであり、それに伴い11/6(土)に予定されていた井上岳志vs中島玲というWBOアジア・パシフィックタイトルマッチはキャンセル。

井上がより大きなチャンスに飛びついた、という格好にはなるものの、これは致し方のないことでしょう。おそらく立場が逆でも、(チューを恐れたという理由がない限りは)そうしたはずです。

ということで本日のブログは(本当はジョシュアvsウシクのアンダーカードを書くつもりでいましたが)、このティム・チューvs井上岳志の一戦、その意味についてです。

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ティム・チュー(オーストラリア)19勝(15KO)無敗

名王者、コンスタンチン・チューの息子でスーパーウェルター級のホープ、ティム・チュー。確かな技術に裏打ちされた非常に完成度の高いボクシングを持っています。

もともとスーパーホープとして注目を集めていたチューは、元王者でマニー・パッキャオを破ったオーストラリアの英雄、ジェフ・ホーン戦で大きく飛躍したというイメージがあります。

 

頭からラフに出てくるホーンに対してワンツーのカウンター、ならばと近い距離で外から振り回してくれば内側からのアッパー、コンパクトなフック・ストレートと効果的なパンチを当て続け、とうとうホーンはギブアップ。粘り強く迫るホーンも相当なフィジカルを持っていると思いますが、チューはそれを上回るフィジカルモンスターだという事がわかりました。

ホーン戦の次はボーウィン・モーガン(ニュージーランド)を相手に1RTKO勝利を収めています。

そしてチューのテストマッチは更に続き、2021年3月には2度、世界に挑戦したデニス・ホーガン戦。アイルランド生まれながらオーストラリアを拠点に活動するこのホーガンは、ハイメ・ムンギア(メキシコ)とジャモール・チャーロ(アメリカ)の持つタイトルに挑戦するも、敗戦して2連敗という状況。

 

しかし、ムンギア戦は「勝ちを盗まれた」とも言える試合であり、地元判定、2-0という判定に泣いたという状態だったので、その実力は明らか。チャーロ戦はミドル級での挑戦だったので、もともとスーパーウェルター級でも大柄ではないホーガン、適正階級ではなかったのかもしれません。

そんな強豪、ホーガンを倒すのに要したラウンドはたった5R。メキシコのスーパースター候補、ムンギアは倒すどころか負けてもおかしくない内容で、階級が上のチャーロ兄でも7Rを要したあのホーガンを、5R。

チューも出血に悩まされる等、試練はありましたが、終わってみればすべての面で上回った圧勝劇でした。

そして前戦は、本来マイケル・ゼラファを倒して同国最強を証明したかったのでしょうが、ゼラファが直前で回避、代役のスティーブ・スパーク(オーストラリア)を3Rでノックアウト。

 

この時はモチベーションが保てなかったのか、やや粗かったように感じましたが、当然のごとく力の差を見せつけた圧勝。これで難なく5連続KOを記録。

ボクシングとしては非常にスタンダードなボクシングであり、右ストレートにパワーのある、ストレートパンチャーよりのパンチャー。チャンスにも慌てず、冷静に相手を見極めて攻められるあたりが素晴らしい。

基礎的な部分がしっかりとできている感じのボクシングであり、非常に好感の持てるボクシングをします。私はこのチューのボクシング、大好きです。

井上岳志(ワールドスポーツ)17勝(10KO)1敗1分

国体優勝の元アマエリート、井上岳志。B級デビューですが、2014年に行われたデビュー戦は引き分けでした。

その時の相手は、同じくデビュー戦で、のちの日本スーパーライト級王者である永田大士(三迫)。当時はB級デビューといえば外国人選手を呼んでのデビューが当たり前でしたが、なんという強気なマッチメイク。

 

その後は順調に勝ち星を積み重ね、10戦目で渡部あきのり(当時角海老宝石)を降し、その後も斉藤幸伸丸(当時輪島スポーツ)を降し日本王座を獲得、長濱陸(当時白井・具志堅)を降して初防衛後、OPBF王座とWBOアジア・パシフィック王座をかけて当時の日本人キラー、ラチャーシー・シットサイトーン(タイ)と戦い、8RTKOでこれを戴冠。

その後、空位のIBF2位をかけて、野中悠樹(当時井岡弘樹)と激突し、判定勝利。

完全にスーパーウェルター級においての国内トップボクサーを総ナメにし、アジア最強という称号を手に入れた井上は、アメリカでスーパースター候補、ハイメ・ムンギア(メキシコ)に挑むことになりました。

非常に評価の高い王者、ムンギアに対し、井上は「女郎蜘蛛作戦」と銘打った粘り強いファイトで対抗。

その強靭なフィジカルでムンギアにまとわりつき、追い詰め、押し込んでいきます。ともに死力を尽くした大熱戦となりましたが、12Rの判定はムンギアに。しかもほぼフルマークという内容。

 

これは抗議をしても良いくらい、ほぼ互角の内容でした。ムンギアに非はないものの、メキシカンに判定で勝つのは至難の業ですね。

敗れはしたものの、ムンギアを「超」接近戦で大いに苦しめた井上は、十分に世界で戦えることを示してくれました。そして今でも、このスーパーウェルター級で世界へ届くのならば、この井上岳志だ、と言い切ることができます。

ムンギア戦後、WBOアジア・パシフィックのタイトルを再戴冠、ここまで1度の防衛と2度のノンタイトル戦を戦っています。

そして、舞い込んできたチャンス。

もしも、井上が本気で世界を目指していないのであれば、もしくは世界タイトルを獲るという確固たる意思、自信がなければ、このチュー戦は受けなかったと思います。

相手は、あのティム・チュー。

今回もアウェーでの戦いを余儀なくされるわけですが、この一戦を受けたということは、なにか勝機が見いだせているのだ、と信じたい。

 

前戦、ワチュク・ナァツ(マーベラス)戦はしっかりとした勝利だったものの、格下相手に力の差は見せられず。これは決して井上の調子が悪かったわけではなく(バッティングの影響はあったかもしれませんが)、ナァツが想像以上に強かった、といえるものだと思います。

ムンギア戦後、超接近戦だけでなく、ジャブやストレートにも磨きをかけ、ポイントアウトを狙えるボクシングを高めている井上。下馬評は間違いなく不利に傾くでしょうが、どうにか意地を見せてもらいたい。

チューvs井上は頂上決戦

ティム・チューはオーストラリアのライバルボクサーを次々と破壊し、今や間違いなくオセアニア圏で最強のボクサーです。

 

そして井上も同様に、日本を含めたアジア圏で最強のスーパーウェルター級でしょう。

アジア、オセアニアとボクシング界では同一の地域ともなるこの太平洋圏内での最強決定戦、それがティム・チューvs井上岳志です。

チューはWBOグローバル・スーパーウェルター級王者でWBOの世界ランキングは1位。

そして井上は、WBOアジア・パシフィック・スーパーウェルター級王者でWBO世界ランキングは7位。

BoxRecを見ると、今のところ、このふたつの王座がかけられるようです。

ここで勝利したボクサーは、このアジア、オセアニア圏で最強のボクサーという称号を持って、アメリカ、つまりはチャーロなのかカスターノなのかに挑む、という構図になってきます。

 

まさかこんな一戦があるなんて思いもよりませんでした。

見えないところから飛んでくるパンチのように、突然発表されたこのカードは、井上にとっては一発逆転ともいえるチャンスのカード。

いずれにしろ、このスーパーウェルター級で戦うのならば、ムンギアにしろ、チューにしろ、こういった怪物的なボクサーと渡り合わなければ、世界王者は遠い。

先に書いた通り、ティム・チューは大好きなボクサーです。何せあのコンスタンチン・チュー(本当は当時、コスタヤ・ジューと言っていましたが、ティム・ジューという表記は見かけない。。。)の息子です。親父の代から好きなのです。

しかし、やはりここは井上に奇跡を起こしてもらいたい。日本の中量級に、希望を見せてもらいたい。11/17を楽しみに待ちたいと思います。

ちなみに、オーストラリアは地元の放送局、アメリカではESPNが入るか入らないか。(チューの試合は、ESPN+で中継されることが多いです。)そして我が日本では、きっとWOWOWさんが生放送をしてくれるでしょう。

 

 

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