テレンス・クロフォード is Back!!
このニュースが伝えられたのは数日前ではありますが、ここに来てさらに興味深いアンダーカードが追加されたのでこのことを書こうと思います。
そのニュースというのは、ティム・チューvsバージル・オルティスJr。
これはまた夢のようなカードで、クロフォードのスーパーウェルター級戦のアンダーカードに追加されるということはこの勝者同士のマッチアップが実現する可能性が大きくなる、ということでもあります。
今回のブログは、正式発表はまだ、ながらも、本格的な話としてスタートしているクロフォードのスーパーウェルター級挑戦、その興行について。
8/3(日本時間8/4)アメリカ・カリフォルニア
WBA世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
WBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦
イズライル・マドリモフ(ウズベキスタン)10勝(7KO)無敗1分
vs
テレンス・クロフォード(アメリカ)40勝(31KO)無敗
WBC・WBO王者のセバスチャン・フンドラ(アメリカ)がクロフォード戦を掴み取るものだと思っていましたが、ここに来て白羽の矢が立ったのはイズライル・マドリモフです。
フンドラはチュー戦で鼻を骨折、離脱を余儀なくされているようです。なのでこの試合はWBO世界スーパーウェルター級暫定王座もかけられることになっているようですね。
ウズベキスタン出身のこの王者は、前戦でサウジアラビアのリングに立ち、当時無敗のマゴメド・クルバノフ(ロシア)を倒してWBA王座を初戴冠しています。
もともと強靭なフィジカルを持つウズベク・アマチュアをルーツに持つこのマドリモフは、どう考えてもメキシコのジョエル・ディアスと非常に相性が良く、メキシカンスタイルを教え込まれてプロボクシングに馴染んでいます。
ブルファイターと呼ぶには洗練されているとも言えるファイトスタイルは、現代最高のスイッチヒッターに対してどのような戦いを見せるのか、非常に楽しみなファイトですね。
さて、テレンス・クロフォード。1年ぶりのリング復帰です。
ゲイリー・ラッセルJrがアクティブだった頃、「年1王者」などと呼ばれてはいましたが、クロフォードこそ年1です。
昨年の7月終わり、エロール・スペンスJr(アメリカ)に対して素晴らしいノックアウト勝利を飾ったクロフォードですが、その前は2022年12月、その前は2021年11月、その前は2020年11月。ここのところは(1年半空いたこともあったが)1年に1回のリング登場のペースを維持していますね。
ともあれトップボクサーにもなればリング登場はこれぐらいなのも仕方ありません。世界最高峰に上り詰めながらも「年3回戦いたい」なんて言ってる方が異常なのを知るべきです。
はてさて、いくらマドリモフがパワーがあろうとも、素晴らしい技術を持っていようとも、そして階級がスーパーウェルター級であろうとも、クロフォードに勝利することは並大抵のことではありません。何かしらクロフォードにトラブルが起こるか、スペンス戦で最強を証明、念願のPFPキングとなったことで満足してしまったか、ぐらいしかないのではないでしょうか。
気になるアンダーカード!!
現在のところ発表されているカードは、以下。
ティム・チュー(オーストラリア)vsバージル・オルティスJr(アメリカ)
アンディ・ルイス(アメリカ)vsジャレル・ミラー(アメリカ)
イサック・クルス(メキシコ)vsホセ・バレンズエラ(アメリカ)
このうち、最後に発表されたのはティム・チューvsバージル・オルティスJrのスーパーウェルター級戦であり、この戦いがこの興行に組み込まれる、ということは勝者同士の対戦があるかもしれない、ということになります。
20戦全勝全KOのバージル・オルティスJrは4/27にトーマス・デュロルメ(プエルトリコ)との戦いを控えていますので、もちろんこの戦いに勝利することが最低条件です。
デュロルメは2015年にクロフォードに挑戦した経験もあるボクサーですが、結果世界タイトルには届かず、最近はエイマンタス・スタニオニス(リトアニア)、ジャロン・エニス(アメリカ)らの踏み台になってしまっているボクサー。ここはオルティスとしては倒して勝たなければいけない相手です。
ただ、やはり気になるのはオルティスの横紋筋融解症という難病(えらいもので私のPCもこの言葉を覚えてしまい、予測変換で出てきます)のその後の健康状態です。
前戦が初回で終わってしまったし、対戦相手のフレデリック・ローソン(ガーナ)はリングに上がる前から戦える状態ではなかった、という話なので、次こそが本当の復帰戦です。ここで元気を見せて、チューとの対決を楽しみにさせてくれることを願います。
ちなみにチューのあの大量出血は大丈夫なのでしょうか。。。
アンディ・ルイスvsジャレル・ミラーに特筆すべきことは特にありませんが、イサック・クルスがここに抜擢されたことは素直に嬉しい。相手はホセ・バレンズエラ、こちらも13勝(9KO)2敗というパンチャーではありますが、スーパーライト級での挑戦となるとやはり分が悪いですね。ここはクルスの顔見せ的な意味合いを持ったマッチアップなのかもしれません。
クロス・プロモーション
これらのマッチアップに違和感を感じたならば、細かなどうでも良いところまで気にしているボクシングファン、ということになろうか。
マドリモフvsクロフォードはわかるとして、チューvsオルティスなんていう戦いはほぼ起こることがないし、これがノンタイトル戦で起こるなんてことは考えられないカードです。
チューはオーストラリアのNo Limit Boxing(PBC系列と言って良い)がプロモート、そしてオルティスはゴールデンボーイプロモーションです。
さらにこの興行の放映はDAZN、この主催がマッチルーム。
同じDAZNでの放映だとしても、ゴールデンボーイがマッチルームにスターボクサーを差し出すなんてことはほぼないですし、PBCファイターがDAZNに登場することだって指名戦等の場合を除いてまずありません。
そしてこの奇跡的なクロス・プロモーションを可能にするのは、もちろんサウジアラビアのトゥルキ・アラルシク氏。トゥルキ、まじでなんなん。。。神様ですか?あ、王様の一人か。
そう、この興行はサウジアラビアでとんでもないビッグ・マッチアップを実現し続けているトゥルキ様が、アメリカでの初プロモーションを敢行する、という興行なのです。
トゥルキ様はサウジの観光庁の長官で、サウジに人を集めるためにボクシング興行をサウジでやっている。はずなのに。もはやアメリカでもやるとは、完全に仕事を放棄して趣味に走っている感じがしてものすごくイイ!!
トゥルキ様
カネにものを言わせてエディ・ハーンとフランク・ウォーレンにシェイクハンズさせたトゥルキ様。
今回はオスカー・デ・ラ・ホーヤの手持ちのスター選手をマッチルームに出向させたり、イサック・クルスvsバレンズエラなんてのは普通でアマプラ(PBC)で組めるのにわざわざDAZNで放映させたりしています。
今までのプロモーター間のいざこざや、プラットフォームのせいで組めなかったマッチアップを見てきた我が身としては、非常に強引な手法とさえ思えます。まあ、私の感覚が異常なのでしょうが。
いつかどこかでハレーションを起こし、プロモーターやファンたちも手の平を返すかもしれません。それでもその日まで、この「ありえないマッチメイクを連発する」トゥルキ・アラルシク様の恩恵に縋りましょう。
そしてこの状態がなるべく長く続くことを祈り続けましょう。
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