なんだか見るべき試合が多すぎて、ボクシングを楽しむことができていない感じがします。
更新頻度を落として、もうちょっと緩くやろうかな、と思っている今日この頃。
もし皆さんの意見を聞かせていただけるのであればありがたいな、とか思いつつアンケート。5秒で終わるので、良かったらお答えください。
そんなこんなでウィークデイにボクシングが多いという週末、海外では注目ファイトも盛りだくさん。今のところ日本で見られる媒体はなさそうですが、2~3日前にはU-NEXTあたりが出てくるかもしれません。そういえばShowtimeがPBCファイトから撤退、そこにAmazonが触手を伸ばしているとか。日本AmazonでPBCファイトを見れるようになったらもうありがたいことこの上ないですが、ここは注目したいですね。
さて、ということで今回のブログは、週末の世界戦のプレビュー記事。
10/14(日本時間10/15)アメリカ・テキサス
IBF・WBO世界ミドル級王座統一戦
ジャニベック・アリムハヌリ(カザフスタン)14勝(9KO)無敗
vs
ヴィンセンツォ・グアルティエリ(ドイツ)21勝(7KO)無敗1分
かつて隆盛を誇ったゲンナディ・ゴロフキン(カザフスタン)が次々と王座を放棄、ミドル級は完全に次の世代に移りました。
そこでこのミドル級の天下統一を目論むのはGGGの後継王者と言って良い、ジャニベック・アリムハヌリ。GGGほどのエキサイティングさはないものの、非常に堅実で、パワフルなボクシングを展開します。
元トップアマだけあって当然のように技術にも優れ、倒せる、倒せないをしっかりと把握して攻撃している感じがしていて、中央アジアのボクサーらしくフィジカルも超強く、なかなか穴の見当たらないボクサーでもありますね。あとはGGG同様非常にボクシングに対して献身的なイメージで、彼もきっと毎試合ごとのパフォーマンスは安定している方だといえます。
かねてから「統一戦を」と言い続けてきたアリムハヌリが、ようやく大一番に臨みます。
2016年にプロデビュー、ミドル級にしてわずか12戦で王座を獲得したアリムハヌリは、これまで2度の防衛に成功しています。王座獲得前にはロブ・ブラント(アメリカ)、アッサン・エンダム(フランス)といった村田諒太の相手として日本でも有名なボクサーたちを一蹴しています。これは本当に一蹴という感じで、見ていて切なくなるような試合でした。
今のところ、負ける姿が想像しづらいこのWBO王者、アリムハヌリの相手は、IBF王者になったばかりのヴィンセンツォ・グアルティエリ。
グアルティエリは2015年にプロデビューしており、ずーっとドイツで戦っていたので、世界的な知名度は無し。もちろん私も、見たことも聞いたこともありませんでした。
そのグアルティエリが一躍その名を挙げたのは前戦、ロンドン五輪ミドル級銀メダリスト、エスキバ・ファルカン(ブラジル)戦でした。
村田諒太とロンドン五輪決勝で金メダルを争ったファルカンを相手に、2度のダウンを奪う快勝。下馬評では不利(多分)のなか、見事アップセットを決めて見せました。
ミドル級としてKO率は高いとはいえませんが、このファルカン戦の前にはIBOコンチネンタル、IBFインターコンチネンタルのタイトルを獲得しており、12Rをフルラウンド戦う経験はファルカン戦前ですでに5度も経験していました。
この世界王座決定戦が初のフルラウンド(過去一度の12Rファイトは6RTKO勝利)となったファルカンに比べ、この辺りの経験は活きたのかもしれません。
基本的にはアウトボックスする選手だと思いますが、追い詰められると(?)時折堰を切ったように連打に転じます。パワーがある、というわけではありませんが、回転力は非常にありますね。
足が止まると丸くなってしまいますが、ここがチャンスとイキリたって攻め立てると思わぬ反撃を喰らう、というちょっと謎のボクシング。おそらくパンチを貰わないことを一番に考えているボクサーなので、これを倒すのはなかなかハードルが高い。
このグアルティエリを相手にアリムハヌリはどう戦うのか。
同じように中間距離で付き合ってボクシングをするのか、それともグイグイとプレスをかけていくのか。
プレスをかけていくと万に一つ、空転する可能性もなくはありません。ファルカンは上手くいなされ、グアルティエリによる妙なタイミングの反撃でダウンを奪われてもいます。
この辺は、もしかするとファルカンはグアルティエリ対策が足りなかったことも予想され、アリムハヌリが同じ轍を踏むことは考えづらいですが。また、ファルカンのプレスでは無理でも、アリムハヌリのフィジカル&パンチングパワーを持ってすればグアルティエリをすりつぶしてしまう可能性が大きいのではないでしょうか。
オッズはアリムハヌリが-800程度、グアルティエリは+700程度と圧倒的にアリムハヌリが優位の状況。これは実績的に見ても仕方のないことですね。
グアルティエリは果たして大金星を挙げられるか。
この興行はアメリカではESPNがライブ放送。今のところ、日本でのライブ配信の情報はありません。
10/15(日)オーストラリア・クイーンズランド
WBO世界スーパーウェルター級タイトルマッチ
ティム・チュー(オーストラリア)23勝(17KO)無敗
vs
ブライアン・メンドサ(アメリカ)22勝(16KO)2敗
WBO世界スーパーウェルター級暫定王者だったティム・チューですが、ジャーメル・チャーロ(アメリカ)がカネロ・アルバレス(メキシコ)戦でリングに上がった瞬間にWBO正規王座を失ったがために、繰り上げで正規王者に。
なのでこの試合はチューの持つWBO世界スーパーウェルター級王座の防衛戦、ということになります。
挑戦するのはブライアン・メンドサ、あの「タワーリング・インフェルノ」セバスチャン・フンドラ(アメリカ)を撃ち抜いた「La Bala」(弾丸)です。
このメンドサはフンドラを破ったことでWBC世界スーパーウェルター級王者となっており、本来これは王座統一戦レベルの戦いです。
しかしWBCはチャーロの動きに関してチャーロからタイトルを剥奪したり、休養王者にしたりもしなかったため、メンドサは暫定王者のまま。多分返上もしてはいないと思います。
正規タイトルと暫定王座の統一戦というのは認められないので、今回はチューのWBO王座のみが懸けられる、ということですね。
オーセンティックなフィジカルボクシングをするティム・チュー。おそらく一番の武器は右ストレートですが、それを当てるための段取りも素晴らしく、非常に基本に忠実なボクサーです。そのブロッキングは固く、フィジカルも非常に強いチューは、眼を見張るようなスピードこそないものの、23戦して無敗をキープ、KO率も73%を誇ります。
父、コンスタンティン・チュー同様、レジェンドとなれるレベルのボクサーだと思います。
そして対戦相手のブライアン・メンドサ、まだまだ知名度は高くはないものの、これは強敵です。
敗戦は2021年9月のヘスス・ラモス(プエルトリコ)戦、2019年11月のラリー・ゴメス(アメリカ)戦のみで、どちらも判定負け。
ガッチリとした体躯のメンドサですが、ステップワークは軽やかで、踏み込みも良い。鋭いオーバーハンドには非常にパワーも感じますね。
ただ、フンドラ戦ではやや単純に思えるところもありました。
このセバスチャン・フンドラとのWBC世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチにおいて、メンドサは結果的に7RKO勝利を手にしますが、それまでのポイントは圧倒的にビハインド。これは、フンドラがデカすぎて懐に入ることができなかったこと(それに付随し、この日はフンドラがロングレンジでジャブを放って戦おうとしてたように見えたことも大きい。)が考えられるわけですが、結果的には左一発で劇的なKOシーンを生み出しました。
このフンドラ戦の前に、ジェイソン・ロサリオ(ドミニカ共和国)を破るなどしていますね。
↓メンドサの暫定王座初戴冠戦の観戦記
それでも、やはり実績的にはティム・チューが幾分も上であり、メンドサが勝利を手繰り寄せるとすれば思い切った策が必要でしょう。メンドサがフンドラにあの左を当てられたのは、フンドラが元々オープンガードだったということもあるかと思います。そのような隙は、残念ながらチューにはありません。
こうなるとまた新たな引き出しを開けなければ、メンドサの勝利はなかなか難しいように思います。
ということで、オッズももちろんチューが優位。チューがおおよそ-450くらい、メンドサがおおよそ+470程のようですね。
メンドサはハートも強く、良いボクサーではありますが、チューには全く通用しないのではないか、というのが個人的な意見。とはいえ、ボクシングは蓋を開けてみなければわかりませんし、この試合は実質的には王座統一戦とも言える試合です。
そしてこの勝者が、スーパーウェルター級に戻ってくるジャーメル・チャーロと雌雄を決するのであれば、またこの階級で4団体をかけた戦いが見られるようになりますね。
今後の展開は、非常に楽しみなものですね。
そしてこの興行は、オーストラリアではKayoスポーツがライブ配信。そしてもちろんアメリカではShowtimeということになっています。日本では。。。。?
ここは何とも、U-NEXTさんに期待、とだけ言っておきましょう。
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