1月ももう終わり。なんという早さ。
1月はボクシング興行が少なくて寂しい月ですね。これは今に始まった事ではなく、概ね毎年そう。
1月にビッグマッチが多ければ、どのボクサーも年末年始を返上してトレーニングを積まなければならず、この1月に興行が少ないのは国内外ともに仕方のない事ですね。
個人的には何だかんだと忙しく、ボクシングがあっても色々と見れていなかったかもしれません。このくらいでちょうど良かった。
さて、そんな1月の最後の週末。
海外では、注目といえば注目の試合があります。
カネロの次戦の対戦相手候補、イルンガ・マカブ(コンゴ共和国)が、自身の保持するWBC世界クルーザー級タイトルの防衛戦に臨みます。アンダーカードにはWBAレギュラー世界ヘビー級王者、トレバー・ブライアンも登場。
そしてほぼ同時刻かと思いますが、前戦でオスカル・バルデス(メキシコ)に互角以上の戦いを見せたゴールドメダリスト、ロブソン・コンセイサン(ブラジル)が無敗のザビエル・マルティネスを迎えます。
ということで今回は、週末の海外興行をプレビューです。
1/29(日本時間1/30)オハイオ
WBC世界クルーザー級タイトルマッチ
イルンガ・マカブ(コンゴ)28勝(25KO)2敗
vs
タビソ・ムクヌ(南アフリカ)23勝(13KO)5敗
議論の余地の「ある」PFPキング、サウル・カネロ・アルバレス(メキシコ)の次戦の対戦相手としてピックアップされているイルンガ・マカブ。
28勝中25KOというハードパンチャーです。
2敗は、デビュー戦での1R29秒でのKO負けがひとつ(これは忘れてあげても良い)と、2016年5月にトニー・べリュー(イギリス)と空位のWBC王座を争い、3RTKO負けを喫した試合です。
ちなみにマカブは、そのべリュー戦の前に今回の相手であるムクヌと戦い、11RKO勝利を挙げています。どのような試合内容だったのかは調べていないので分かりませんが、BoxRecを見る限りは試合がストップする11Rまでの採点は、95-96、95-95、94-97で負けそうだったようです。逆転KOですね。
今回も接戦になるのかもしれません。
ムクヌは2度目の世界挑戦で、初の世界挑戦は2016年、当時のWBO王者、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)に挑み、9RKO負け。その前の前の試合でマカブと戦っています。
今回は実に約7年ぶりの再戦となりますが、ここで勝ったほうがドル箱スター、カネロとの対戦に進む事ができると考えると、この一戦の持つ意味は大きそうです。
この試合にさえ勝てば、大きなお金が転がり込んでくるビッグマッチに出場できる。ともすれば、この試合は、先に控えるカネロとのビッグマッチよりもモチベーションが高いかもしれません。
そして、実は一番の注目は、この試合にカネロが視察に来るか否かだったりして。
WBAレギュラー世界ヘビー級タイトルマッチ
トレバー・ブライアン(アメリカ)21勝(15KO)無敗
vs
ジョナサン・ギドレー(アメリカ)17勝(10KO)無敗2分
セミファイナルには、なんとも影の薄いWBAレギュラー世界ヘビー級王座の防衛戦がセットされています。2018年8月にBJフローレス(アメリカ)に4RTKOで勝利して暫定王座を獲得したブライアンは、その後正規王者に昇格、2021年1月にバーメイン・スタイバーン(アメリカ)を11RTKOで破っています。
今回は2度目の防衛戦に当たりますね。
防衛戦の相手、ギドレーは負け越しのボクサーや勝ち負けが同等程度のボクサーと戦い続けて、このチャンスを手に入れました。大化けできるかどうか。
ちなみにギドれーは2022年1月に入ってWBAヘビー級13位に初ランクインしたボクサー。
何も言えません。
放送・配信
プロモーターはドン・キング。ここ数年、たまにしか名前を聞きませんが、ドン・キングのプロモートで〜とか言っている興行は、結構延期や中止になっているのが多い印象です。
今回は大丈夫でしょうか。
一応、日本版のFITEで1/30(日)10:00から生配信。PPVで14.99$、日本円で1,840円です。
「Don King:Return to Greatness - Homecoming at Last」と表示されているものがそれです。興行名ではないと思いますが。
↓FITE.TVのPPVはこちらから。
1/29(日本時間1/30)オクラホマ
スーパーフェザー級10回戦
ロブソン・コンセイサン(ブラジル)16勝(8KO)1敗
vs
ザビエル・マルティネス(アメリカ)17勝(11KO)無敗
リオ五輪のライト級金メダリスト、ロブソン・コンセイサン。リオだけでなく、北京、ロンドンにも出場しているので、3大会連続出場、そして3大会目で金メダル、というのは偉業中の偉業と言って良いでしょう。
ちなみにこのコンセイサンの金メダルは、ブラジル人がボクシング競技でとった初めての金メダル。日本で言うと桜井孝雄さん。
しかし、プロのキャリアではさほど強さを見せつけてこれなかった、という印象。
2020年10月のルイス・コリア(アメリカ)戦でダウンを奪われた、という苦戦が頭に残り、バルデス相手にあそこまで戦える、ということはあまり想像できませんでした。
あまり強豪との対戦を経験せずに、WBC王者オスカル・バルデス(メキシコ)に挑んだコンセイサンは奮闘、過去一番のパフォーマンスを披露します。
↓観戦記
「2021年、最悪の判定」とも言われる試合内容。バルデスの試合前のドーピング陽性反応も相まって、バルデスの印象は最悪になった、という人も多いでしょう。
この判定についてはバルデスに責任はありませんが、試合場所はバルデスの地元とも言える場所であり、明らかなホームタウンデシジョン。特に117−110でバルデスとしたジャッジは本当に酷すぎますね。
チーム・カネロの恩恵を受けたとも言えるバルデス、前戦のミゲル・ベルチェルト戦であげた評価を一気に奈落の底まで落としてしまった感があります。
ともあれ、コンセイサンは評価を上げました。
17戦のうちに刻まれた「1敗」は、あってないようなものです。
しかし、事実として彼の手元に世界チャンピオンベルトがないので、この金メダリストはより高みに登るための戦いを続けなければいけません。
対戦相手のザビエル・マルティネス、こちらも無敗。このマルティネスは、前戦で名を上げたコンセイサンを倒せば、一気に上がって来れるという目論見でしょう。
マルティネスは前戦でファン・カルロス・ブルゴス(メキシコ)にほぼフルマークの判定勝利。その前戦は、クラウディオ・マレーロ(ドミニカ共和国)にダウンを奪われるも、何とか判定勝利。その前までは6連続KO勝利を上げていますね。
前戦、ブルゴス戦を見ましたが、なかなか良いパフォーマンス。ただ、相手はプロスペクトへのアンダードッグとなってしまったブルゴス。
ブルゴスは長谷川穂積と戦ってからもう10年、長谷川戦含めて6敗していますがKO負けがないというのも脅威的ですね。
ブルゴス戦では、素晴らしいコンビネーションで魅せたマルティネスでしたが、マレーロ戦はやや単発気味。パンチはなかなか強そうですが、手数の多い相手、圧の強い相手に対しては圧倒できてはいません。
テクニシャンと言えるコンセイサンに対して、どのように戦っていくのかは興味深いですね。
この一戦は、コンセイサンにとっても大変重要な一戦。
前戦、バルデス戦が、「対戦相手がバルデスだから、世界戦だから」できたというパフォーマンスなのか、それとも恒常的にあのパフォーマンスが出せるのかどうか。私は、バルデス戦のパフォーマンスはそれまでを大きく上回るものでした。どれくらいか、というとうまい棒の値上げ幅(20 %アップ)どころではなく、DAZNの値上げ幅くらい。(50%アップ!!!)
バルデス戦を経てコンセイサンは地力を上げたのか、そうではないのか。そうではない場合、全体的にまとまっているマルティネスの勝利も見えてきます。
非常に楽しみな一戦です。
ちなみにこの試合はWBCのエリミネーション・バウト、挑戦者決定戦として行われるようです。BoxRecでは10回戦となっていますが、蓋を開けてみれば12回戦かもしれません。
放送・配信
アンダーカードはモハメド・アリの孫、ニコ・アリ・ウォルシュ(アメリカ)も登場とのことですが、とりあえずBox Recにはまだ載っていません。ESPNの放送枠も、プレリムス枠(メインカードの放送枠ではない)だと思います。
セミファイナルはファン・レネ・テレス(メキシコ/16勝10KO1敗)と、ルイス・メンデス(アメリカ/17勝13KO1敗)のスーパーフェザー級プロスペクト対決。
テレスの敗戦は、2019年にミシェル・リベラ(ドミニカ共和国)に負けたものですね。
この放送はアメリカではESPN、日本では不明です。
ESPNで放送されるトップランク興行は、FITE.TVの日本版でも見れることが多く、その場合、おそらく日本円で1,220円のPPVだと思います。
とりあえず1/26(水)現在、情報はまだ出ていないので、情報が出ましたらまたお伝えします。(ちなみに放送情報は気付き次第、ツイートもしていますので情報を得たい、という方は
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