本日(3/3)、とうとう正式発表されたゲンナディ・ゴロフキンvs村田諒太という、日本ボクシング史上類を見ないビッグマッチ。
4/8で40歳となるゴロフキンを、プロデビュー以来追い求めていた村田諒太の夢が叶い、日本のボクシングファン全員の望みが叶ったという一戦は、多くの人の目に触れてほしいものです。とりあえず私は休日で、3度目のワクチン接種の時間まで自宅にいたので、その時間を利用して珍しく速報記事を書きました。
と、関係のない前段になってしまいましたが、村田諒太の勝利を願い、まずは帝拳プロモーションとして勢いをつけてもらいたい、と思うのが今回の記事。
今回は、帝拳がプロモートするローマン・ゴンザレスが、非常に勢いのあるフリオ・セサール・マルティネスを迎えるDAZN興行のプレビュー記事です。
3/5(日本時間3/6)カリフォルニア
ローマン・ゴンサレス(ニカラグア)50勝(41KO)3敗
vs
フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)18勝(14KO)1敗2NC
随分長い間、動きがなかったこのスーパーフライ級。
しかし、先月から神風でも吹いたかのような動きっぷり。
2月初旬、シーサケット欠場により代役となったジェシー・ロドリゲスがカルロス・クアドラスを破って戴冠。
同下旬、安定王者ジェルウィン・アンカハスが陥落。
そしてこの波は、長くトップを張っているローマン・ゴンサレスにも襲いかかるかもしれません。
ローマン「チョコラティート」ゴンサレス、我々が「ロマゴン」と呼ぶボクサーのことを知らないというボクシングファンはいないでしょう。
日本でも大人気のロマゴンは、非常に我々に馴染みの深いボクサーです。
帝拳プロモーション所属のボクサーであるロマゴンは、「怪物挑戦者」として2008年9月に「天才」新田豊(横浜光)からWBA世界ミニマム級タイトルを奪いますが、本当にあの強さに震撼しました。
その後、WBAライトフライ級タイトルを奪取して2階級制覇、3階級目も日本で八重樫東(大橋)からWBO世界フライ級タイトルを奪取。
この頃でしょうか、ローマン・ゴンサレスというボクサーが、リングマガジンのPFPランキングでトップに輝いたのは。
このリングマガジンのPFPについては、あのリカルド・ロペスですらPFPキングとはなっていなかったと思います。軽量級という注目度の低い階級にあって、ロマゴンのPFPトップ獲得というのは偉業中の偉業、そのなかのまた偉業だと思います。
2016年にWBC世界スーパーフライ級タイトルを、同じく帝拳プロモーション所属の同門であるカルロス・クアドラス(メキシコ)から奪いました。
しかしそこから、天敵シーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)に2連敗。最初の対戦は議論を呼ぶ判定でしたが、2度目の対戦は痛烈なノックアウト負けでした。
その後、母国ニカラグアの情勢不安もあってリングに登場する機会も減り、誰もがロマゴンのキャリアは終わった、と感じていましたが、本人のボクシングへの情熱は衰えず、2020年2月にはカリド・ヤファイ(イギリス)を降してWBA王座に返り咲き。
イスラエル・ゴンザレス(メキシコ)を退けて初防衛、WBC王者のファン・フランシス・エストラーダ(メキシコ)との統一戦に臨みます。
この一戦は、議論を呼ぶ判定、というかどちらが勝っていても納得できる内容だったと思います。結果は1-2のスプリットの判定負け。
しかし、エストラーダに117-111とつけたジャッジがいたことが、「ビバメヒコ判定」を疑われるものになってしまったという感があります。
そしてエストラーダvsロマゴンのダイレクトリマッチが決定、紆余曲折を経て到達したのがこの3/5という日付でした。
しかし、試合の1ヶ月ちょっと前、エストラーダが体調の不良を訴え、ロマゴン戦をキャンセル。コロナ罹患とも、コロナの後遺症とも言われていたとも思います。
そしてその代役に、フリオ・セサール・マルティネスが抜擢された、という流れです。
さて、これは個人的にはちょっとキナ臭い、と思っています。
WBAスーパー・WBC王者であるエストラーダは、ロマゴンと現在1勝1敗、どちらの試合も勝っているとも負けているとも言える試合であり、はっきり言ってロマゴンと戦うのはむちゃくちゃしんどいと思います。それも、エストラーダはバンタム級への転級についても言及しています。
なので、ここでエストラーダはロマゴンと戦うメリットはあまりなく、そのモチベーションには疑問が残るという状態。エストラーダは、このまま「勝ち逃げ」するつもりではないか、と邪推しております。
対してロマゴンは、失ったタイトルを取り戻すというモチベーションがあり、このふたりの「実力差はない」という状態を考えれば、この再戦はロマゴン優位に動くのではないか、とも思います。
そんなこんなでロマゴン戦を回避したエストラーダの代わりに、WBC世界フライ級王者であるフリオ・セサール・マルティネス。
このマルティネスも、近々のスーパーフライ転級を示唆していましたので、いきなりのビッグチャンスに食いつく気持ちはよくわかります。このマルティネスは、その戦いを見る限り、素晴らしいマチズモの持ち主であり、27歳とまだ若く勢いもあり、野望もあるボクサー。
唯一の敗戦はデビュー戦で喫したものであり、2つのノーコンテストについては、一度はKO勝利がアナウンスされるも、ダウン後の加撃であったとしてNCとされたチャーリー・エドワーズ(イギリス)戦、1度ダウンを奪われ、2度のダウンを奪い返すも最終的にバッティングにより対戦相手が続行できなくなってNCとなったマクウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)戦。
どちらも、続けていればおそらくマルティネスが勝った、という一戦だと思われます。
「スーパーフライ級」においては小さく、パワーレスだと思われるロマゴンですが、その流れるようなコンビネーションはとどまるところを知りません。
フライ級では絶対的な攻撃力を持ち、時に勢いが余って攻撃してしまうほどの猛獣、マルティネス。
そのふたりがスーパーフライで戦うとなると、間違いなく、超絶打撃戦となります。
ロマゴンはコンパクトなパンチを打ち、そのコンビネーションは本当に止まらないのではないか、と思うほどですし、マルティネスは全弾強振という軽量級にあるまじきパワーボクシング。
こう書くと、どうしてもコンパクトに打てるロマゴンの方が勝りそうとも思いますが、ここはマルティネスのパンチングパワーが一階級上でどの程度通用するか、というのも非常に重要なところ。そして、失うものが少ないマルティネスは、それこそ捨て身で攻撃することも可能であり、この攻撃力にこそロマゴン攻略のカギがあるように見えます。
では、技術に勝るロマゴンが下がってボクシングをするか、というとその可能性も少ないですし、そうなるとマルティネスはやりやすくなってしまうと思います。
そうなるとロマゴンは、マルティネスの強いパンチのいくつかの被弾を覚悟の上で、その内側からパンチをコネクトしていく、という展開が理想ではないでしょうか。
まあ、どんなに考えても展開は打撃戦です。だからこそ、打ち合い大好きなアメリカ人には受けの良い試合になると思いますし、FOTY候補に上がる試合になる可能性も大いにあります。
そして懸念事項は、やっぱりメキシコにほど近い会場、サンディエゴ。ロマゴン、頑張れ!
マウリシオ・ララ(メキシコ)23勝(16KO)2敗1分
vs
エミリオ・サンチェス(アメリカ)19勝(12KO)1敗
セミファイナルは、ジョシュ・ウォーリントン(イギリス)をアップセットで破ったマウリシオ・ララ!
2021年2月、そこまでさほど強豪相手に戦っていなかったマウリシオ・ララは、元世界王者で当時無敗のジョシュ・ウォーリントンの調整試合の相手に指名されます。
ウォーリントンの地元、イギリスのロンドン、ウェンブリー・アリーナ。
ここで、マウリシオ・ララはこのウォーリントンを4Rで倒しきり、一気にメジャーになりましたね。
同年9月に再戦が行われるも、今度はアクシデンタル・ヘッドバットによりテクニカルドロー。ララにリベンジを果たせていないウォーリントンは、ララへの雪辱を諦めたのか?3/26(日本時間3/27)にキコ・マルティネス(スペイン)の持つIBF世界フェザー級タイトルに挑戦予定。もともと自分が持っていたタイトルを、「取り返せそうだから」という理由でそっちに舵を切ったとしか思えないところが少しがっかり。もしキコ・マルティネスからタイトルを取り戻したなら、是非ともララを指名してもらいたい。
さて、そんなララが迎えるのはエミリオ・サンチェスというボクサーで、良い戦績を持っています。前戦ではクリスチャン・エスキベル(メキシコ)に2Rで勝利しています。
ちょっと話がそれますが、このエスキベルはかつて山中慎介(帝拳)に挑戦したボクサーです。ここ10戦で9敗1分、最後の勝ち星は2017年3月。辞め時を見失っているかもしれません。
話を戻し、このサンチェスもこれまで強豪との対戦経験はありません。
ただ、正直マウリシオ・ララの実力もまだはっきりとはしていないので、ここでララを食えば世界ランク上位に食い込めるという事でモチベーションは高いでしょう。
順当にいけば、ララの勝利ではあるものの、波乱が起きる可能性もありますね。
放送・配信
この興行は、DAZNで生配信。
放送時間は、日本時間で3/6(日)10:30〜となっています。
メインカードのリングウォークが日本時間では12:45頃からだという情報が海外サイトに出ていました。(勿論、アンダーカードの進行具合により変更があります。)
DAZNジャパンのサイトには、12:17以降という表記。この微妙な時間は一体。どんなに早く進行しても12:16には入場させない、という決意の現れか。まあ、どうでもいいですけど笑
ということで、ここから毎週のように注目興行のあるDAZN、(高くなってしまいましたが)是非楽しみましょう。
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