週末に注目のボクシング試合が少ない、3月の第二週。
3/8のフェニックスバトルで、石川春樹(RK蒲田)に勝利した津川龍也(ミツキ)は井上尚弥に見初められ、井上は「津川をスパーリングに呼んでほしい」と大橋会長に打診したとか。これをチャンスとして、津川はまた大きく成長できるかもしれません。(大人になった井上尚弥に潰される、ということはないでしょう。多分。)
チャンスはどこにでも転がっているようです。こういう話は良いですね。
そして同日には、栗原慶太(一力)vs小國以載(角海老宝石)というスーパービッグノンタイトル戦が発表されました。
私はA-SIGNのメンバーシップで5/20(金)の興行に「小國先生がトークじゃなくて、試合で参戦してくれる」との情報を得ていました。(3週間前くらいの動画でした)
そしてその相手は、「A-SIGNにかなり出ている」「再生回数も相当ある」「相当な注目を浴びる」とのことだったので、正直勅使河原弘晶か栗原慶太か、しか思い浮かびませんでした。勅使河原はまだ「現役続行」を明言していなかったので、栗原なのか。。。?と思っていましたが、本当に栗原慶太。なんとな〜く察しはついていたものの、結局びっくり笑。
この試合は非常に楽しみですね。
今回書こうと思っている内容と、全く関係のない前置きになってしまいましたが、今回のブログでは、ウッドvsコンランのWBAレギュラー世界フェザー級タイトル戦開催を受けて、「フェザー級」の世界戦線についてです。
WBAスーパー王者
レオ・サンタ・クルス(メキシコ)
2022年2月、キーナン・カルバハル(アメリカ)を相手にフルマークの判定勝利を収め、再起に成功したサンタクルス。一応フェザー級で戦っていく心づもりのようで、「126lbs(フェザー級)で
対戦相手としては、ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)との対戦も「可能」としてはいますが、ラッセルは怪我のこともあってリング復帰はまだ先でしょう。(下手したら2年後)
WBAの王座削減施策がこのまま続けば、今度決まるWBAレギュラー王者との団体内統一戦というのが最も現実的かもしれません。
WBAレギュラー王者
リー・ウッド(イギリス)
直近の3/12(日本時間3/13)、マイケル・コンラン(アイルランド)と雌雄を決します。どちらが勝つにせよ、ブリテン島からこのタイトルは出ない(コンランは国籍はアイルランドですが、本拠地はイギリス)ので、大勢は変わらず。
ただ、人気者コンランが勝利した方がよりビッグマッチとなるので、サンタクルスとしてはおいしいかもしれません。
WBC王者
マーク・マグサヨ(フィリピン)
2022年1月、「アップセット」と言って良い初戴冠を果たしたマグサヨ。絶対王者、ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)の不調はあったものの、この勝利はでかい。
登場数は少ないものの、アメリカではメジャーな王者だったラッセルJrを破ったことは、そのままアメリカでの知名度に繋がり、今後もアメリカの地で活躍しやすい土台を築いたといえるでしょう。
次戦はまだ正式発表ではありませんが、日本人の手の届く範囲の王者ではなくなったかもしれません。
ラッセルvsマグサヨは再選条項がなく、WBCもダイレクトリマッチを認めることはない、とBoxingSceneの記事で読みました。初防衛戦はトップコンテンダーの元WBC世界スーパーバンタム級王者、レイ・バルガスを予定しているそうです。
7月頃、ということなので、マグサヨが勝てば年内にもう一戦くらいやってくれそう。マグサヨには頑張ってもらいたい。
IBF王者
キコ・マルティネス(スペイン)
2021年11月、こちらは「スーパーアップセット」を起こして世界王座返り咲きを果たしたキコ・マルティネス。1度目の在位(IBF世界スーパーバンタム級)が2013年8月〜2014年9月だったことを考えると、もうまさに奇跡としか言いようがありません。
王座を手放した後、スコット・クイッグ(イギリス)、レオ・サンタ・クルス(メキシコ)、ゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)にそれぞれ挑戦して敗北。
2021年2月の試合では、イギリス期待のホープ、ゼルファ・バレットにも判定負け、このまま踏み台の道を歩むのだと思っていました。
それがキッド・ガラハッド(イギリス)を6Rで倒し、世界2階級制覇。いやはや、ボクシングというものは本当に何が起こるか分かりません。
初防衛戦はもう間も無くの3/26(日本時間3/27)、元IBF同級王者のジョシュ・ウォーリントン(イギリス)。2017年5月、世界へ向かう途中のこのウォーリントンに、マルティネスは判定負けを喫しており、それ以来の再戦となります。
ここはキコ・マルティネスを全力応援。ここを勝ってまた是非日本に来てほしい。
WBO王者
エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)
2020年10月に王座決定戦で戴冠、2階級制覇を果たしたナバレッテ。
クリストファー・ディアス(プエルトリコ)、ジョエト・ゴンザレス(アメリカ)と強敵を退けて2度の防衛、スーパーバンタム級時代と比べるとリング登場は少なくなっているものの、フェザー級王者たちの中では抜群にアクティブです。
安定王者、ゲイリー・ラッセルJrなき後、フェザー級最強はこのナバレッテでしょうか。
長身から繰り出される、理解不能な軌道、意味不明なアングルで放たれる強打は、フェザー級に上げてからやや威力を失っています。というか、相手の耐久力が上がったと見るべきかもしれません。
スーパーバンタムとフェザーの間には壁があるような気がしますが、それでも尚、このナバレッテのボクシングは脅威であるし、フェザー級にもそろそろフィットしてくる頃かもしれません。パンチの威力が落ちた、などと思っていては、痛い目を見るかもしれません。
ナバレッテの次戦はまだ決まっていないと思いますが、2021年の終わり頃、FA宣言をしたとのニュースがあったと思います。さて、プロモーターは決まったのか?
コンテンダーたち!
現在、世界タイトルへの挑戦が決まっているのは、マイケル・コンラン(アイルランド)とジョシュ・ウォーリントン(イギリス)。これは3月中に行われるタイトルマッチです。
そして、レイ・バルガス(メキシコ)もマーク・マグサヨに挑戦予定。
その他でというと、やはりゲイリー・ラッセルJr(アメリカ)の名前は外せません。王座を追われたとはいえ、前手が使えなかった状態であそこまで戦えたのはさすがとしか言いようがありません。元々怪我していた、との事で、完全にマグサヨをなめていたのかもしれませんので、当然同情の余地はありません。
スーパーバンタム級から転級したブランドン・フィゲロア(アメリカ)はWBA、WBC、WBOで上位にランクイン。すぐにでも挑戦できる位置にいますが、あの馬力頼みのスタイルで、フェザー級で通用するかどうかはテストマッチを待たなければなりません。
IBFのトップコンテンダーには、ガブリエル・フローレスJr(アメリカ)を破ったルイス・アルベルト・ロペス(メキシコ)がいますね。近いうちに(次戦か?)マルティネスvsウォーリントンの勝者に挑戦できるという権利を有しています。
WBO2位にはエイブラハム・ノバ(プエルトリコ)が入っていますが、このボクサーはフェザーなのか?それともスーパーフェザーなのか?よくわかりません。
先日劇的なKOでカリム・ゲルフィ(フランス)を破ったジョーダン・ジル(イギリス)や、前WBAレギュラー王者で現在音沙汰なしのシュ・ツァン(中国)、同じく前IBF王者のキッド・ガラハッド(イギリス)もまだ上位であり、転級等がなければ近いうちにチャンスは来るでしょう。
ただ、この階級の台風の目はやはりマウリシオ・ララ(メキシコ)。ウォーリントンを破って一気にのし上がったララは、荒々しく穴もありつつも、おそらくその試合に外れのないボクサーです。ララが世界タイトルをとれば非常に面白い。
あとはまだ下位(IBF10位、WBO15位)であり、ロシアのボクサーなのでどうなるのかはわかりませんが、アルベルト・バティルガシエフ(ロシア)もこの階級を賑わせてくれるはず。
このボクサーは現在5勝(5KO)無敗という戦績で、東京オリンピックのフェザー級金メダリスト。競技歴は浅く、その前はキックボクシングをやっていたということですが、ボクシング競技としては競技歴たったの5年でオリンピックの金メダリストになってしまった傑物です。
その他にも、アイザック・ドグボエ(ガーナ)、そしてジョエト・ゴンザレス(アメリカ)と、数え上げればきりがないほど強豪ボクサーで溢れていますね。
日本人世界ランカー!
日本人ボクサーの最上位は、WBC4位、IBF6位につける日本王者、丸田陽七太(森岡)。強敵、佐川遼(三迫)を出色のパフォーマンスで降し、王座戴冠となりましたが、初防衛戦では日野僚(川崎新田)にやや手を焼いた印象。「もうすぐ世界」で間違いはありませんが、どこかで海外の強豪を降すという実績がほしいですね。
日本の中での戦いでは、この階級でのチャンスは巡ってこなさそうです。
そしてその丸田に挑むのが、阿部麗也(KG大和)。3度目の日本タイトル挑戦となる阿部は、初戴冠を目指すモチベーションだけでなく、丸田を破る事で世界ランク上位にとって代われるとあれば、次戦に全てをかけてくるでしょう。
評価の高い王者と、評価の高い挑戦者の至高のタイトルマッチは、2022年のチャンピオン・カーニバル屈指の好カード。しかもWBOアジア・パシフィックタイトルというおまけまで付く2冠戦。
5/15(日)という日程が発表されましたが、これは本当に楽しみな一戦。記者会見も白熱したそうで、これは映像としてみたいですね。
その他には、WBCの下位ランクには、前日本王者の佐川遼、そして前WBOアジア・パシフィック王者の森武蔵(志成)も残っています。
しかし、結局世界に一番近い日本人ボクサーは、と問われれば、丸田を差し置いてでもやはりこのボクサーを挙げます。
OPBF東洋太平洋フェザー級王者、清水聡(大橋)。
エマニュエル・ナバレッテ(メキシコ)への挑戦を画策したものの、流れてしまった、というニュースは昨年の終わり頃の話だったでしょうか。
現在のフェザー級の世界戦線に、(マッチメイク的に)付け入る隙は少ないかもしれませんが、たとえナバレッテ相手でも五分に渡り合える可能性を持っていると思います。是非とも2022年の挑戦を叶えて欲しいものです。
ともあれ、今月、2つの王座のタイトル戦が開催されるこのフェザー級。そのどちらの王者もわ変わる可能性は大いにあります。
今後の展開が非常に楽しみです。