今日は仕事を終えて、速攻帰ってPBC興行を視聴。
仕事中も携帯を触らず、SNSは開かず、情報遮断して楽しみにしていました。
WOWOWは、オンデマンド生配信を開始してくれた直後、オンデマンドではライブ配信のみでした。しかし昨年の途中から、オンデマンド生配信に追っかけ再生機能を作ってくれたので、リアルタイムで見れない私でも情報遮断さえしていればしっかりと視聴できるようになりました。
やっぱりWOWOWは日本のボクシングファンにとって神様です。
ということで今回のブログでは、エロール・スペンスJr.vsヨルデニス・ウガスの世界ウェルター級3団体統一戦(WOWOW放送分)の観戦記です。
WOWOWでは4/18(月)21:00〜のレギュラー放送でも放送予定ですので、ご注意ください。
ShowtimeのPPVのオープニングバウトは、ウェルター級10回戦コーディ・クロウリー(カナダ)vsホセシト・ロペス(アメリカ)でしたが、この試合の放送は無し。WOWOWの放送はプロスペクト、ホセ・バレンズエラと、ダメージを溜めている感の強い元世界王者、フランシスコ・バルガスの一戦からです。
↓アンダーカードも大激闘!観戦記はこちら
4/16(日本時間4/17)
ライト級10回戦
ホセ・バレンズエラ(アメリカ)11勝(7KO)無敗
vs
フランシスコ・バルガス(メキシコ)27勝(19KO)3敗2分
プレリムスと違ってお客さんは非常に多くなっていますね。
初回のゴング、サウスポー・バレンズエラは非常に大きく見えます。というか確実に大きい。データ上はバレンズエラとバルガスが同じ身長、とのことですが、多分ただの間違いでしょう。(後ほどBoxRecを確認しても、身長173cm、リーチ178cmとありました。謎です。)
バルガスもアグレッシブに攻めますが、バルガスは出入りのスピードが非常に速い。
ルーツはメキシコ、というバレンズエラですが、そのボクシングはメキシカンのそれとは違います。ただ、左ボディストレートは非常に巧い。これはオーソドックスに対して非常に有効なブローです。
そのボディをいくつか打ったあと、ハーフタイム頃に顔面への左!!
弧を描いてやや雑に飛ばしたパンチを受けたバルガスはダウン!その後、バレンズエラは右フックをフォローしていますが、それすら不要のワンパンチノックアウトです!
ホセ・バレンズエラ、初回TKO勝利!!
非常に速く、巧いボクサーです。バレンズエラ。一階級下とはいえ、元世界王者を衝撃的なノックアウト勝利。見事、テストマッチをクリアしましたね。
ライト級もまた、魔物の巣窟。プロスペクト。22歳のプロスペクト、まだまだ伸びしろは十分、本当に怖いボクサーですね。
ライト級10回戦
イサック・クルス(メキシコ)22勝(15KO)2敗1分
vs
ユリオルキス・ガンボア(キューバ)30勝(18KO)4敗
「ピットブル」イサック・クルス、前戦はジャーボンタ・デービス(アメリカ)に敗北を喫しましたが、タンクを大いに苦しめました。ポイントも結構競っていましたね。
前戦は負けはしたものの、また一つ、評価を上げた一戦とも言えます。
対してユリオルキス・ガンボア。衰え著しい元王者は、またも若手の踏み台となってしまうのか。
初回のゴング、ガードを固めて前進、挨拶がわりにフックを強振するクルス。いつも通りです。ガンボアはサークリング、ですが、開始早々にクルスの左フックを浴びて子鹿状態!
ロープに捕まってダウンを免れます(良いのか??)が、クルスはここを見逃しません!突っ込むクルスを抱え込み、なんとか凌ぐガンボア。クリンチ、ホールドステップワークとボディムーブで何とかごまかしていたところに、またも右フックを被弾。
下手したらもう終わるか、と思いましたが、ここはガンボアがなんとかサバイブ。クルスはちょっと荒々しすぎたかもしれませんね。まあ、丁寧に攻めるクルスは魅力半減かもしれませんが。
2R、クルスの突進に対してガンボアは速いコンビネーション。この辺りは往年の片鱗を見せますね。怖いですけど。
クルスはとにかく前進、振り回しますが、左ボディが良い感じ。ボディムーブが良いガンボア相手には、ボディは非常に効果的だと思います。
このラウンド終盤、ラッシュしたクルスのパンチを数発浴び、ガンボアダウン!ガンボアが倒れた所に追撃のパンチを打ち込んでしまったですが、これは不問。
3R、開始早々!クルスがラッシュ、左フックでガンボアがダウン!!
立ち上がったガンボアに襲いかかるクルス!ガンボアはかなりきついと思いますが、何とかエスケープ。しかし1分頃、クルスのボディでまたもダウン。ただこれはダウン宣告はありませんでした。
その後も攻めに攻めるクルス、このクルスの凶暴性たるや。
この凶暴性だけに目が行きがちですが、今日のクルスはヘッドムーブが素晴らしい。ガンボアのジャブを結構外しています。
4Rも開始早々からフックを振り回すクルス!いくつものクリーンヒットを奪い、ガンボアはもう完全に足にきてしまっています。
クルスの左右のフック、オーバーハンド、ボディは本当によく当たります。もう少しリーチがあればもっと当たっているでしょうね。
残り30秒、ここでまたクルスが左フックをヒット!ガンボアはダウン!!
その後ラッシュするクルス、フラフラになりながらも何とか立ち続けるガンボア!終了ゴングがなりますが、もうそろそろ危険ではないでしょうか。ガンボアがスクッと立つので、止めにくいのでしょうか。
5R、また序盤から攻めたクルス、ガンボアもリング中央で撃ち合いますが、いかんせんパワー差、回転力の差があります。
ハーフタイム頃、飛び込みの左フックから右オーバーを叩き込んだクルス!ガンボアは一瞬意識が飛んだような感じでロープにもたれかかり、一拍置いてレフェリーがストップ!
イサック・クルス、5RTKO勝利!
イサック・クルスの「らしい」パワーファイト全開の一戦でした。ユリオルキス・ガンボア、かなり危険な状態ではないでしょうか。
ここまで倒されると、もう今後のパンチドランク障害が心配になります。もう十分な実績を残し、次世代のたくさんのボクサーにバトンを渡したガンボア。そろそろ、グローブを吊るす決断をしてほしいものです。
WBAスーパー・WBC・IBF世界ウェルター級王座統一戦
エロール・スペンスJr(アメリカ)27勝(21KO)無敗
vs
ヨルデニス・ウガス(キューバ)27勝(12KO)4敗
そしていよいよ、本日のメインイベント。
ここまでですでに非常に濃密なボクシングを堪能させてもらっています。
しかし、やはりそれらの試合よりもより格上、そして上質なのがこのウェルター級の王座統一戦。ジャロン・エニス、バージル・オルティスJr、コナー・ベン等々のプロスペクトたちですらまだ、たどり着かないのがこのウェルター級の世界王座。
そのウェルター級の世界王座の、3団体統一という偉業を成し遂げるのはスペンスか、ウガスか。
注目の一戦がゴングです。
気のせいか、ウガスは結構大きく見えますね。
ジャブを打ちつつ、プレスをかけるスペンス。しかしウガスはそのプレスをしっかりと受け止め、ボディへのジャブを放ちます。ともにフィジカルが強く、戦いたい距離もよく似ているかもしれません。それはジャブの当たる距離であり、ストレートの当たる距離。
ウガスはよくボディジャブを打ちますが、サウスポーに対してこのボディジャブは非常に良い。サウスポーの肝臓のある位置です。
対してサウスポーのスペンスはウガスに対して左ボディストレートを打ちたいですね。
このラウンド、ウガスはスペンスに対して全く退くことなく、良い立ち上がりです。
2R、ともにどっしりとした構えはいつもどおり。コンビネーションはスペンスの方が上回りますが、ウガスはリターンが速く、怖い。
スペンスが左を出せば、必ずと言って良いほど右ストレートを返すウガス。そのガードも超固い。こうなるとスペンスは左を出しづらい。
ウガスはちょっと手数が少ないイメージですが、プレッシャーをかけられているのはスペンスの方かもしれません。スペンスは少しサイドに回りながら、コンビネーション。
3R、解説の亀海氏が「スペンスの左眼赤いですね」と。私の見ているタブレットでは確認できませんが、そうだとしたら網膜裂孔の後遺症でしょうか。
このラウンドも早々からスペンスのコンビネーションは素晴らしい。そこにリターンを返すウガス、それにまたすぐさまリターンを返すスペンス!超ハイレベルな攻防です。
中盤、スペンスは力強いフックでウガスを下がらせます。ウガスは少しダメージを負ったか。
ウガスはちょっとリターンを打ちづらくなっています。これは、パンチを返したらまたスペンスが打ってくる、ということが分かっているからでしょう。
終盤、ウガスは右オーバーハンドをヒット。
4R、絶えずジャブを突くスペンス。このラウンドは距離が前ラウンドよりも詰まっている感じです。これはスペンスがボディアッパー、顔面へのアッパー、後ろ手のフックを当てようと距離を詰めているからだと思います。
ウガスのガードは相変わらず固いですが、このガードポジションにスペンスの左アッパーと左オーバーハンドの組み合わせは効果的なのかもしれません。ちょっと3Rあたりから、ジョジョいスペンスが戦いやすくなっているかもしれません。
当然、まだ油断するどころではありませんが。
5R、スペンスは左ボディを多く打つようになっています。そのまま頭から距離を詰め、接近戦を挑みます。フィジカルモンスター・ウガスに逆に押し返されることもしばしばですが、近距離でのパンチをコネクトする術は、スペンスが大きく優れています。
中盤、ボディを効かせたスペンスは、この距離により自信を持ち、左右のアッパーを武器に攻め込みます!
近い距離では上体をひねってパンチを受け流そうとするスペンス、固いガードのまま固まって、ガチッと受け止めるウガス、これは「パンチの受け方」に大きな差がでてきそうです。ダメージを溜めていきそうなのは、間違いなくウガスの方です。
6R、スペンスはボディムーブから左右のボディ。ウガスはちょっとボディを嫌がっているか。というかスペンスのボディはちょっと低いような気がします。
と思った1分頃、ウガスの右がヒット!よろめいたスペンスに、ウガスのワンツーがヒット!ロープまで吹き飛ばされたスペンス!
(どうやらウガスの右でマウスピースが吹き飛び、それを探そうとウガスから目線を切ってしまったようです。レフェリーが止めようとした、というタイミングもありましたが、レフェリーは明確には止めず、ウガスが追撃の右を浴びせたようですね。これはスペンスは集中していなければいけなかったし、レフェリーはアクションをするより先に声をあげるべきでした。ウガスの集中力は素晴らしい。)
改めて、マウスピースをはめ直したスペンス。ダメージはどうか。
再開後、少しダメージのありそうなスペンスですが、コンビネーションを放ってしっかりと前進。ウガスは攻めたいところですが、やや手数が少ないか。
終盤にかけても力強いボディを叩き、盛り返したスペンス!!
7R、前ラウンド終盤の勢いそのまま、スペンスは左ストレートを打ちながら左足を前に出し、距離を詰め、左右のボディとアッパーカット。さすがのコンビネーションを繰り出し、この力強いパンチにウガスは大きく後退!
効いてしまったか、ウガスはサークリング、エスケープ第一の状態となってしまいます。
ウガスは元々足を使うタイプのボクサーではないので、どちらかというとガード主体でしのぎますが、ガードの際に上体が少し前に出てしまった時にスペンスはアッパー!これはウガスの体勢的に非常に見づらい。
攻められるウガスですが、後半は意地を見せ、コンビネーションから最後に右ストレートをクリーンヒット!ウガスもものすごいハート!
それでもスペンスも止まらず、左アッパーを何発もヒット!
8R、攻撃的に攻めるのはやはりスペンス、ウガスは時折下がり時折そのプレッシャーを受け止めて反撃。ただ、近い距離ではスペンスのボディ、そして左アッパーが非常に有効。
ウガスはガードポジションで耐え、サイドに素早く回ってスイングしますが、これはなかなか当たりません。
2分ほどのところで、ウガスの右目の腫れをドクターがチェック。めちゃくちゃ腫れています。
かなり入念なチェックのあと、再開。しかし、この次はなさそうです。
時間がなさそうなウガス、ここは攻めたい。
しかし手数の多いスペンスに対して、強いパンチは単発気味になってしまうウガス。頭を下げて下をむいてしまうと、スペンスのアッパーの餌食にもなってしまいます。
9R、グイグイとプレスをかけて攻めるスペンス!スペンスは、この状況になっても決して雑にならず、変わらず隙の少ない攻め方です。尋常ではないクレバネス。
途中から完全にインファイトにチェンジしたスペンスは、途中で戦略を変えられるIQを持ち、しかもそれを実行できる技術も持っている、やはり怪物ボクサーです。
ウガスはなかなか手を出せない時間が多いですが、返すリターンはまだ強烈。
後半にはウガスは右ボディアッパーをヒット!このボディでスペンスはかなり後ろにのけぞったように見えました。
サウスポーに対して、オーソドックスの右ボディアッパーは、ちょうど鳩尾に入れやすい。これはスペンス、効いてしまったのではないでしょうか。
そしてもう一度、ウガスが左ボディアッパーを打つとスペンスはかなりくの字。ちょっと低い、とのレフェリーの判断ですが、これはウガスの最後の頼みの綱です。
10R、攻めるスペンス、ですが、いままでよりもやや出足が鈍いようにも感じます。ウガスはちょっと復活してきたか、と思った矢先にスペンスの右フックを浴びて後退!
今度はウガスが効いてしまったか、下がるウガスに対してもやはり冷静なスペンスの詰め!
ここで一気にいかないところがスペンスらしい。
と、スペンスが攻め込んでいた所でレフェリーがタイム宣告、2度目のドクターチェックです。
ここの判断は速かった、ドクターがストップを指示、エロール・スペンスJr、10RTKO勝利!
いや〜、この超濃密な興行において、素晴らしいメインイベント。
全体的に、総合力で上回るエロール・スペンスJrが全体的に上回った時間が多かったですが、ヨルデニス・ウガスも強さを示しました。
終わってみれば、「やっぱりスペンスは強かった」となるのは、先週のGGGvs村田にも被ります。ウガスは例え敗者となろうとも、その強さを示しましたね。
ブランクの影響も、後遺症の影響もあまり感じさせなかったエロール・スペンスJr。今こそが、彼のプライムタイムなのでしょう。
今回、ウガスを相手に実際ピンチは結構あったと思いますが、そこでも超がつくほど冷静でした。序盤にプレスをかけても、いつもの相手のようにウガスは下がってくれませんでした。マウスピースを落としてしまった後、クリーンヒットをもらってしまいました。そして終盤には明らかにボディを効かされ、もう数発もらってしまえば倒れてしまったのではないか。
同じように、チャンスにも超冷静。
もうすぐストップできる、というタイミングでも、決して攻め急ぐことなく、雑にならず、恐ろしいほど精密で、やるべきことを淡々とこなしたスペンス。恐ろしいほど、隙がありません。
勝利者インタビューで、インタビュアーから「次は?」と聞かれたスペンス。
「皆、私が次誰とやりたいか分かっていますよね?テレンス・クロフォードです。」
そうです、本当にボクシングファン皆が分かっていますし、願っています。
怪物たちが跋扈するこのウェルター級では、また次々と怪物が湧いてでてきています。
それでも尚、このスペンスと、WBO王者のテレンス・クロフォードはやはり頭一つ、抜け出ていると言えるでしょう。
やはり待望されるのはこのスペンスvsクロフォードです。
今やらねば、いつ、やるのですか。
次こそ、つまりは今年中。2022年秋、もしくは冬。再激戦区、ウェルター級のたった一人(ここは厳密には言わない笑)の王者が決まることを、心から願います。