信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】エニスvsリピネッツ、アンカハスvsロドリゲス。粒ぞろいのShowtime。

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ウェルター級のプロスペクト、ジャロン・エニス。

同じくプロスペクトのバージル・オルティスJrやコナー・ベンと比べても、最も評価の高いのはこのエニスでしょう。

「ブーツ」というニックネーム(由来は知りません。誰か教えてください。)のこのボクサーは、身体能力が非常に高く、26勝(24KO)1NCという戦績が示す通りの強打者です。

ただ、この階級の王者はWBC・IBFは30代の円熟期に差し掛かったエロール・スペンスJr、WBOはPFPキングの一人であるテレンス・クロフォード。ここに挑むには、プロスペクトたちはまだ時期尚早と言わざるを得ません。

ねらい目といえるWBAはスーパー王者にヨルデニス・ウガス、レギュラー王者にジャマル・ジェイムス。ともに売りは省エネボクシングで、エキサイトさには欠ける両王者のうちでも、技巧派のウガスと違い、暫定王座決定戦で戴冠を果たし、レギュラー王者に格上げされたジェイムスはすぐに攻略されてしまうような王者に見えます。

さて、今回エニスが迎えるのは元世界スーパーライト級王者で、評価の高いセルゲイ・リピネッツ。このリピネッツ相手に良い勝ち方ができれば、すぐにでも世界待望論が湧き上がってくる事でしょう。

前置きが長くなりましたが、今回のブログは、エニスの圧倒的勝利を期待しつつも、日本に少し馴染みのある(近藤明広と対戦)、「サムライ」リピネッツも心の奥底で応援する大注目の一戦、Showtime興行の観戦記です。

 

4/10(日本時間4/11)アメリカ・コネチカット州

IBF世界スーパーフライ級タイトルマッチ

ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)32勝(22KO)1敗2分

vs

ジョナサン・ロドリゲス(メキシコ)22勝(16KO)1敗

セミセミで井岡一翔(Ambition)の対抗王者であり、対戦の噂も(少しだけ)あるアンカハスが登場。showtimeの放送はここからのようです。

初回、探り合いでアクションの少ない展開でスタート。後半、アンカハスの右フックからの左ストレートがヒット!アンカハスの方がしっかりとプレスをかけることができています。

2R、アンカハスはジャブからのボディストレートを多用。ロドリゲスは近づいて勝負したいようですが、アンカハスのバックステップにより届きません。

 

アンカハスはしっかり集中できていますね。打ち終わり狙われていますがしっかりとディフェンスが機能しています。

3Rも展開は変わらず、ロドリゲスにとっては苦しい展開でしょうか。

4Rもアンカハスはジャブが冴え、距離を支配して左ボディストレート。この左ボディを意識させて、時折顔面に左オーバーハンドを返すこのパンチは非常に恐ろしいパンチです。

5R、ロドリゲスはプレスを強めます。このラウンドはアンカハスのいきなりの左ストレートもヒットしますが、ロドリゲスはアンカハスのジャブの打ち終わりに左フックを放ち、これはなかなか効果的にヒット。アンカハスの踏み込んでの左ストレートに合わせて右フックを振るのも警戒に値するパンチです。

 

6R、アンカハスがやや前に出始めます。フィニッシュを狙っているのかもしれません。近い距離での打ち合いは、ロドリゲスにとっておそらく願ったり叶ったり。

試合はこの中盤から、打撃戦に突入!

リング中央、頭をつけて火の出るような打ち合いです!

7R、打撃戦では分が悪いとみたのか、サークリングを始めるアンカハス。ただ、この試合序盤にあったようなバックステップは使いません。

非公式採点が流れますが、2R、3Rはロドリゲスに流れているようです。アンカハスがさばいているように見えましたが。

ロドリゲスは鋭い追い足があるタイプではないので、足を使えばもっと楽に戦えると思われるアンカハスですが、さほど運動量は多くありません。かねてから噂のある減量苦によるものでしょうか。

8R、足がさほど動かなくなったアンカハスですが、ロドリゲスの攻撃を上体の動きでかわし、その後自分のパンチを打ち込むのは上手い。中盤以降は距離が詰まり、また接近戦へ。

 

アンカハスにとっても危険な距離ですが、パワーのあるアンカハスはここは打ち勝ちます。

そして残り30秒、ロドリゲスをコーナーにつめてラッシュ!ロドリゲスはダウン!!

カウント9で立ち上がったロドリゲスはゴングに逃げ込みます。

9R、ノックアウトチャンスとばかりに接近戦をしかけるアンカハス!序盤、力強いパンチを放っていきます。終盤にはロドリゲスにボディを効かせて後退させますが、ロドリゲスも粘り、アンカハスに強いパンチを放っていきます。

中盤以降、やや足に力が入らない風なアンカハスはガス欠か。

 

最終盤はロドリゲスがフック、アッパーでアンカハスを攻め立てて終了!

10Rが開始しましたが、アンカハスのスタミナは明らかに回復していません。こうなってくるとロドリゲスは逆にチャンス。愚直に強振してアンカハスに迫るロドリゲス。ジャブを出しつつサークリングし、近くなれば多彩なアングルのコンビネーションで対抗するアンカハス。

アンカハスは疲れていますが、軽いパンチを含んだコンビネーションでロドリゲスの突進を阻み、クリンチも使います。

11R、ロドリゲスはほとんど特攻です。ダウンも取られているので、ポイントでは分が悪いでしょう。しかしアンカハスの披露は見え見えで、ロドリゲスにも番狂わせのチャンスが。

 

ただ、連打の回転力というと軽めのパンチを放つアンカハスが勝り、ロドリゲスは一瞬の踏み込みが速くないがためにアンカハスをなかなか捉えきれません。

ただ、アンカハスが足を止めた時の打ち合いではロドリゲスのパワーの方が勝り、このラウンド終盤は疲労からかガードが甘くなってしまっているアンカハスを襲います。

ラストラウンド、ポイント的にはアンカハスでしょうが、勢いはロドリゲス。アンカハスは逃げ切れるか。

アンカハス、軽いパンチをとにかくたくさん出して対応します。

ジリジリと下がるアンカハス、ジリジリと前に出るロドリゲス。

 

中盤以降はまた近い距離での打ち合いとなりますが、アンカハスは本当はもう少し距離をとりたいところ。

最後の最後までハートを見せて攻め続けたロドリゲスの執念やアッパレ。

そしてアンカハスも、かなりタフな試合を見事に走りきりました。

結果は、ジェルウィン・アンカハスの3-0判定勝利。

アンカハス、序盤は悪くなかったように見えましたが、後半は明らかに動きが鈍ってしまいました。序盤の左ボディストレートは、あれだけでも相手の突進を止められ、更には顔面への左ストレートへの布石、もしくはフェイントともなる非常に素晴らしいパンチでした。

 

ただ後半は、あまり出ませんでしたね。

さて、今回の結果を受けて、仮にこのアンカハスが井岡とやったら、、、と思えば、井岡一翔にとって大いにチャンスがあるのではないでしょうか。

勝負は後半、アンカハスが落ちてきたところから。

あのガードの低さを、井岡が見逃す事はないでしょう。

現役最多、9度目の王座防衛に成功したジェルウィン・アンカハス。出来が悪かったというよりもロドリゲスががんばり、奮闘を許してしまった、という感じ。

 

WBCで謎のトーナメントが開催されるというこのスーパーフライ、奇しくも残った王者同士で是非雌雄を決してほしいものです。

そしてセミファイナルのスタニオスはちょっと時間がないので飛ばし、メインイベント!

メインイベント

ジャロン・エニス(アメリカ)26勝(24KO)1NC

vs

セルゲイ・リピネッツ(ロシア)16勝(12KO)1敗1分

ジャロン「ブーツ」エニス。現在、スーパープロスペクトがひしめき合うこのウェルター級で、おそらく一際高い評価を獲得しています。

前戦は1R早々に圧倒しかけたところでバッティングによりノーコンテスト。

今回は元王者のリピネッツ戦、強豪相手に本当の力を試される時がきました。

セルゲイ・リピネッツは「サムライ」と呼ばれるボクサーであり、そのファイティングスピリッツは目をみはるものがあります。これまでの敗北はマイキー・ガルシア(アメリカ)のみ。

既に世界王者の力があると思われるエニスですが、このリピネッツ相手にどのような勝ち方を見せてくれるのか、が焦点です。苦戦もありうるこの注目の一戦のゴング。

 

1R、体格にまさるエニス、サークリングしながらジャブを飛ばします。非常にスピードがあり、飛び跳ねるようなフットワークはヒラヒラしたトランクスがよく似合います。

よく伸びるジャブ、ワイルドな右、そして完全に距離を支配できる速いステップワークは、その身体能力の高さを感じられるものですね。やはり只者ではありません。

リピネッツはガードをしっかりと固め、頭を振って中に入ろうとしますがなかなか上手くはいきません。やはりエニスの打ってきたところに合わせるのが唯一の勝ち筋か。

2R、サウスポーにスイッチしたエニス、ボディを織り交ぜたコンビネーションでリピネッツを攻めます。遠い距離から一気に距離を詰めてのコンビネーションですが、まるでミットを打つかのような素晴らしいコンビネーションです。

打って離れるエニスにリピネッツはなかなかエニスを捉えられませんが、ハーフタイムのところでエニスの左ストレートの打ち終わりにリピネッツの右ストレートがヒット!!!したかに見えましたが、流していたのか、全くダメージを感じません。

 

しかし、その後エニスはオーソドックスに戻します。

3R、リピネッツは相打ちを狙っても届かず、強引に踏み込んでも2発目を打つ前に既にその場にエニスはいません。

苦しい展開を強いられるリピネッツに対し、1分過ぎからエニスは接近戦を受けて立ちます。しかしこのリピネッツの土俵でもエニスは豪打を叩き込み、リピネッツは後退。ガード一辺倒となって手が出ないリピネッツに対し、エニスは容赦ない攻めをみせるもののさほど強引にはいきません。

終盤、またもサウスポーにスイッチしたエニスは余裕たっぷり。

4R、エニスはサウスポーを試しているかのような雰囲気。ここでリピネッツが攻めたところで左アッパーをヒット、リピネッツはダウン!スローを見ると足が引っかかって、バランスを崩したところにアッパーが入ったようですね。リピネッツは不運のダウン。

 

残り時間は1分強、前手の右フックを上手く使うエニスは、続いてリピネッツを痛めつけていきます。

5R、前ラウンド終盤からのオーソドックススタイル。このオーソドックスの場合は、エニスの右オーバーハンドはきれいな弧を描き、迫力も十分な危険なパンチです。

1分すぎにリピネッツがチャージをかけますが、エニスは足を止めてのディフェンスも非常に良い。と、エニスが攻めたところでリピネッツの(逆襲の?)ローブロー!少々の中断。

終盤もリピネッツのパンチは当たらず、エニスのパンチはしっかりとリピネッツを捉えます。唖然とする強さです。

 

6R、エニスは試合を決めにきたか、序盤から力強いコンビネーションを放っていきます。リピネッツは懸命にパンチを返しますが、単発。無理もありません、一発打てばエニスは既にそこにいません。

接近戦となり、近い距離でのパンチの交換でもエニスのパワーが大きく勝ります。

フィニッシュはサウスポースタンスからの右アッパー→右フック→左フック。

弾けるように倒れたリピネッツを見て、レフェリーがストップ。

ジャロン・エニス、6RTKO勝利。

 

強い!のひとこと。先日のバージル・オルティスJrよりも大きなインパクトを残した一戦でした。同日に登場したプロスペクト、コナー・ベンとは相手の質において上回っています。

今回、エニスはリピネッツに対して全てで上回り、強引に攻めることなく完璧なノックアウトを演じてみせました。あまり強引にいかなかったのは、前戦のバッティングの反省があるのかもしれません。

冷静さを見せたエニスですが、この強さは異常。

そしてこの異常な強さを持ったエニスですら、登れないかもしれない高い壁があるのが現在のウェルター級。

このエニスが今後、どの王者に挑んでいくのかは非常に楽しみです。

クロフォード、スペンスといった王者へ行くのか、それともオルティスJrやベン、はてはアントワン・ラッセル等のプロスペクトとぶつかるのか。

ちなみに一番の安牌は、WBA王者のジャマル・ジェイムズ。

エニスのゆく道は、どこへ?

boxingcafe.hatenablog.com

 

 

 

 

 

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