信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

【観戦記】英国でコナー・ベンのDAZN!国内は4/16、4/17、連日大阪で熱戦が!

※当ブログでは商品・サービスのリンク先にプロモーションを含みます。ご了承ください。

先週末の注目は何と言っても世界ウェルター級3団体統一戦、エロール・スペンスJr.vsヨルデニス・ウガスで、そのアンダーカードも含めて非常に素晴らしい試合を見せてくれました。

↓観戦記

boxingcafe.hatenablog.com

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そしてその他にも、国内外で興味深い試合がありましたね。

今回のブログでは、同日に英国で行われたコナー・ベンvsクリス・バン・ハーデン、そして国内興行の観戦記です。

 

 

4/16(日本時間4/17)イギリス

コナー・ベン(イギリス)20勝(13KO)無敗

vs

クリス・バン・ハーデン(南アフリカ)28勝(12KO)2敗1分1ND

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ウェルター級のプロスペクト、コナー・ベン。世界ランクは徐々に上がり、世界王座挑戦までは後一歩、というところのベンですが、現在のウェルター級が統一戦に向かっている状況を考えるとなかなかチャンスは来ません。

ウェルター級戦線は、クロフォードとスペンスが雌雄を決してから、大きく動くのかもしれません。今はまだ、雌伏の時。

今回のクリス・バン・ハーデンはスペンスやエニスと戦っているボクサーですが、スペンスには圧倒されてTKO負け、エニスには圧倒されかけてバッティングによるノーデシジョンとトップボクサーではありません。

今回はベンの勝ち方が問われる一戦。

会場はいつものスウィート・キャロラインの大合唱から、ハーデンが入場。DAZNの表記ではヘールデン。続いて、「デストロイヤー」コナー・ベンが入場です。

初回のゴングがなると、かなりアグレッシブに攻め入るのはベン。素早いボディムーブでのフェイント、鋭い踏み込みでハーデンを追いかけます。

ハーデンはガードをあげてステップでかわし、コンビネーションで反撃。少し、及び腰に見えます。

中盤、ベンの入り側にサウスポースタンスからの左ボディアッパーを当てたハーデンですが、そのリターンでベンから右ストレートをもらいます。

その後もベンの左フック、右ボディが効果的、ハーデンも反撃し、いくつかのクリーンヒットを奪いますがベンはびくともしません。後半に入るとベンは持ち前のボディムーブでハーデンのパンチをかわし、優勢のままラウンドを終了。

ベンはやっぱりディフェンス勘が良い。もう、ハーデンの攻撃に慣れてしまったように見えます。

2R、体の動き+左手の動きで、上下にフェイントをかけるベン。その動きでプレスをかけ、パンチをほとんど出さずにハーデンをロープ際に追い詰めます。

そしてそこから踏み込んでのワンツーをヒットして効かせると、その後のラッシュでダウンを奪取。ハーデンは立てず、試合は終了。

コナー・ベン、2RTKO勝利!!

 

ものすごく派手なノックアウト勝利でしたね。ああやって序盤からぐいぐい攻め込めば、早々に決着がつくだろうということは想像できた試合ではありました。

ベンはもう少し、試すかな、と思いましたが、のっけから全力でハーデンを潰しに行きましたね。このレベルの相手では、相手にはなりません。

実際は、まだ証明されていないことも多いベン。世界タイトルはもうすぐそこなのですが、残念ながら遠くもあります。

コナー・ベンvs○○、勝敗不明のマッチアップに期待するのみですね。もう大切に育てる期間は終わっていると思います。

4/16(土)REAL SPIRITS

日本女子アトム級王座決定戦
伊賀薫(真正)vs樽井捺月(山木)

女子ボクシングのレベルが上がっているのだな、と感じるのは、その足捌きです。この伊賀も樽井も良いリズム、ステップワークを持っています。

伊賀はリズムよくステップを刻み、右ストレートで初回早々にダウンを奪取。素晴らしいタイミングの右でした。

フラッシュダウンっぽいものでしたが、こういうパンチでダウンを奪えたのは6Rという中ではかなり大きい。

その後は樽井も立て直し、ステップワークから鋭い踏み込みで強打を打ち込みます。リーチの長い伊賀ですが、構えがややオープン気味、ちょっと中に入られると苦しいかもしれません。遠い距離で戦いたい伊賀と、近い距離で戦いたい樽井、両者の距離の違いは、そのままペース争いとも言えます。

樽井が伊賀パンチをうまく外し、インに入り出したかな、と思ったところでしたが、4Rに樽井が距離を詰めすぎたところに伊賀が迎撃、右フックをヒットされた樽井はダウン!ちょっと足が揃ってしまいましたね。このダウンはかなり樽井にとってはかなり苦しい。

 

逆に伊賀はかなり精神的に楽になったのではないでしょうか。

ラウンド後半には近い距離で打ち合おうとする樽井に対して、負けじと反撃した伊賀。気持ちのこもった好試合です。

5Rは樽井が鋭い踏み込みを見せれば、伊賀もバックステップからカウンター、両者の持ち味を十分に発揮した素晴らしいラウンド。ラストラウンドは樽井がまた猛烈な攻めを見せ、それに伊賀が対応する、というラウンドですが、両者とも気持ちが出ていて素晴らしい熱戦。

2−0の判定で伊賀が勝利、日本女子アトム級王者に輝いています。

伊賀は自身の特性をよくわかっていて、リーチを有効に使ったストレートパンチャー。樽井は素晴らしい踏み込みを持っていましたが、ちょっと入り際を狙われてしまいましたね。

ともにパンチのキレは素晴らしかった。

 

日本女子バンタム級タイトルマッチ
谷山佳菜子(ワタナベ)vs満田美紀(姫路木下)

谷山はサークリングしながら、素晴らしいジャブを打ちますね。グッと肩を入れて押し込むジャブ、距離を測るジャブ、ボディジャブ。そして左右に回るステップワーク、これは良いボクサー。初回終盤には、綺麗なジャブワンツーをヒット。

満田はこのジャブを掻い潜りたい、もしくは相打ちでも当てたいところですが、ちょっとブロッキングで精一杯か。

満田は谷山のジャブに対して右クロスを試み、これが機能すれば谷山はジャブが打ちにくくなるかもしれません。もしくは、谷山が攻めてきたところで振り回せばチャンスはありそうです。

しかしこの満田の右クロスは谷山も十分に警戒、左ガードを上げたりバックステップでかわしたりと対応し、素晴らしいボクシングを展開しています。レベル的に、一段階上のようにも感じます。

その後も上下に打ち分けるコンビネーションをヒット、そしてジャブのヒット率も相変わらず高く、満田が入ってきたところに右ストレートをヒットしていく谷山。まあ、でもとにかく谷山の持ち味はこのジャブ。これは素晴らしい。

ダメージを与えるジャブであり、時に目隠しをして、時に距離を測って右ストレートを当てるジャブ。後半に入ると谷山はストップを狙ってか、攻勢にでる場面が増え、そうなると満田にもチャンスが。しかしここでも谷山は譲らず、結果フルマークの判定勝利。

谷山佳菜子、判定勝利で日本女子バンタム級王座を防衛。

 

ジャブジャブ、と書いてしまいましたが、一番良いのは距離感ですかね。満田よりも谷山の方がリーチはありそうでしたが、そんなに大きく変わりはしないと思います。ただ、谷山のジャブ、右ストレートはとにかくよく当たり、ジャブの中にはしっかりと肩を入れて打つジャブもあったので、そこで満田の顔を跳ね上げ、王者らしい、圧巻のボクシングを見せてくれました。

WBOアジア・パシフィック・バンタム級王座決定戦
平安山裕子(平仲)vs赤林檎(真正)

平安山側のセコンドに、長濱陸氏がいますね。

初回のゴング、高身長の林檎(「赤」と表記しようと思ったら青コーナー側でした笑。ややこしいので「林檎」表記でいきます)、グッと低い重心から、鋭いジャブ。ジリジリとプレスをかけて鋭い踏み込み、ワンツー。いや、これは間違いなく強い。

平安山も長濱氏直伝(と思われる)後ろ足荷重のスタンスからパンチを放っていきますが、いかんせん林檎は距離が遠い。

初回終盤、平安山をコーナー付近に詰めた林檎はラッシュ、右フックをヒットしてダウンを奪います。

2Rも引き続きローガードのスタイルからジリジリとプレスをかける林檎。そのジャブ、ストレートは本当によく伸びます。コンビネーション、ラッシュ時のステップワークも素晴らしく、初回と同じコーナー付近に詰めて、最後は右ストレートで平安山からダウンを奪い、レフェリーは試合をストップ。

青コーナーの赤林檎、2RTKO勝利でWBOアジアパシフィック王者に!

驚愕するほど強かった、赤林檎。低い姿勢から、上体をやや出して突くジャブは、非常に長く、威力もありそうです。

おそらく対戦相手からすると、林檎が低く構える分、目線はほぼ変わらなくなる。で、そこから思った以上に長いジャブがくるので、距離感を狂わされてしまうのではないでしょうか。

林檎のジャブは、リーチ+体を前に出すことでより長いジャブになっており、あれはよほど距離感に優れたボクサーでなければ、序盤には対応できないでしょう。

 

当然、ストレートも非常に長く、あのジャブとストレートの距離で釘付けにできれば、相手のリターンも届く距離ではありません。これは非常に恐ろしいボクサーですね。

そう言えば距離感に優れたボクサー、と言えばセミに出ていた谷山佳菜子。

なんと同じバンタム級。王者同士。

これは、可能性としてはあるのではないでしょうか。

女子ボクシングの感想

そういえば、最近女子ボクシングを立て続けに見ています。エスパルサvs藤岡から、晝田vsぬき、そして今回の3試合。女子ボクシングを3分にしろ、みたいな意見もあるようですが、2分って結構丁度良いように感じますね。

どのボクサーも、非常にキビキビとした動きで、それを最後までキープできる分数、ラウンドというのが良いかな、と。様子見とかが少なくて、展開が早く、ススっと進むのでストレスが少ない。今回試聴させてもらった3戦は、どの試合も非常に面白かったです。

まだ見ていない方は、騙されたと思って見てみてください。面白いので。

↓Youtubeチャンネルはこちらから

REAL SPIRITS vol.79 LIVE STREAMING - YouTube

4/17(日)You will be the Champion

日本ミドル級王座決定戦
国本陸(六島)5勝(2KO)1敗
vs
酒井幹生(角海老宝石)4戦4勝

そして、今回のブログの中で一番楽しみだったのはこの試合なんですよね。ベンはいかに倒すか、でしたし、女子のことはよく知りませんでした。

この日本ミドル級王座決定戦は、竹迫司登(ワールドスポーツ)の後継者。総合力に勝ると思われる酒井がやや優位か、と思っていますが、国本にも大きなチャンスがあると思われる、非常に勝負論のある一戦。

 

注目の日本ミドル級王座決定戦、情報遮断をしていたらちゃんと翌日にはBoxingRaiseさんに上がっていました。

初回のゴング。固いガードでジリジリプレスをかける国本、軽めのジャブを飛ばしてサークリングする酒井。覗き見スタイルの国本の姿は、スパーリングをしたという井上岳志や、坂井祥紀の姿を連想させます。

そのスタイルから切り込んでいくジャブは迫力十分で、これがいくつか酒井に届きます。酒井は多彩な左を見せますが、現在のところは国本の固いガードに阻まれています。

2R、がっちりとガードを固める国本に対して、酒井がコンビネーションで攻め入るようになります。しかしそれでも国本のガードは固い。

攻勢に転じる分、隙が大きくなったか、国本のワンツーを浴びる酒井。

酒井はやっぱり巧い、ヘッドスリップでかわし、パンチは多彩。自分がコンビネーションを放った後、体が当たるところまで距離を詰めて、国本のリターンをもらわないようにしているのはリスクを回避できる戦い方。しかし、国本はフィジカルが強く、そんな酒井を押し返しています。

3R、酒井のコンビネーション、アッパーは良さそうですね。しかし、国本は下がることなくそれも受け止め、ゴツゴツと思いパンチを単発ながら振います。

 

フィジカルゴリ押しからの強打、手数は少ないですがこれは対戦相手としては怖いものでしょう。現に酒井のパンチもガードを割って入ることはありますが、国本は動じず、逆にそれが酒井にプレッシャーを与えているように見えます。

4R、このラウンドも国本はプレス。後半にはそのプレスを受け止め、接近戦で戦うようにした酒井は、左右のアッパーをヒット!これは良い攻撃です。この距離なら酒井のパンチの多彩さ、これが活きるかもしれません。

それでもこのラウンドも、国本のプレスがやや上回っている印象を受けます。

酒井はもっといきたいところ。

5R、展開は変わらず。パンチのもらい方にちょっと差があるような感じがします。酒井のパンチも当たってはいますが、国本のパンチは非常に見栄えが良い。

途中採点の発表は、3者ともに50-45。もう少し競っていると思っていたので、ちょっと驚きです。

ただ、やっぱりラウンド毎となると酒井に振れるラウンドはなかったか?

6R、ちょっとポイントにもやもやしてしまいましたが、やっぱりパンチの受け方かな?とも思います。ラウンドを通して絶えず軽いパンチを出し続ける酒井に対して、国本はここぞというときに力強いパンチをまとめます。印象として、こちらの方が上回っている、ということでしょうか。

7Rは後半にかけて酒井が良い。国本のジャブに合わせて右をかぶせ、その後も打ち合いで優位に立ちます。国本はおそらくこの試合初めて「下がらされた」ラウンドになったのではないでしょうか。

酒井は、ここで勝負をかけなければいけません。

8R、しっかりと序盤から出ていった酒井、ただ一発のパワーは国本の方が上。酒井はアッパーを交えたコンビネーション、手数で応戦しますが、国本の強い左ボディは一発でも脅威。

 

ちょっと酒井は疲れてきたか、ガードが少しルーズに。

勝利を目指すなら、ここは玉砕覚悟でいきたいところです。

9R、序盤、酒井が素晴らしいコンビネーションで攻め込みますが、国本はびくともせず。しかし諦めずに攻め続ける酒井、アッパーで幾度となく国本の顔を軽くですが跳ね上げます。

国本はあまり手が出ません。これまでもあまり出ていませんが、酒井の様々なアングルから放たれる豊富な手数により、手を出す時間的な隙間がないのでしょう。

ラストラウンド、やっぱり酒井の(国本に対する)武器はこの細かなコンビネーション。近い距離でのコンビネーションは非常に美しく、国本にリターンの暇を与えません。

この戦い方が最初からできていれば、と悔やまれますが、もうラストラウンドです。

正直、前半をフルマークで取られてしまった時点で倒す、最低でもダウンを奪取するしか道は無くなったわけですが、その劣勢に立たされてからの方がうまく戦えている気がします。

国本もラストラウンドは攻勢をかけ、フィジカルの強さを活かして強打を振るってきます。

このラウンドは国本もよく手を出し、手を出しさえすればガードの上に当たろうが相手を阻める、やはりパワー差はありますね。

 

フルラウンドを戦い抜き、判定は97−93が1者、残りの2者が98−92という3−0の判定で国本。

酒井としては、序盤、フルマークで取られてしまったことは非常に痛かったですね。

酒井はもう少し、持ち味を発揮できれば、勝利を手にすることができたと思います。序盤、ガードで固まる国本に対して見すぎたかもしれません。結果論ですが、ガードされたとしても、もっともっと打っていくべきだったように思います。これも、酒井をそうさせなかった国本のプレスの強さ、というのが要因かもしれませんが。

ともあれ、日本王座は国本陸の手に渡りました。

王座決定戦で戴冠した王者は、4ヶ月以内に指名挑戦試合を受けなければなりません。が、現在、酒井を除くと残るランカーはワチュク・ナァツ(マーベラス)のみ。

そしてこのナァツは6/4(土)、井上岳志(ワールドスポーツ)との再戦を控えています。

どうなるんでしょうね。正直、国内で戦う相手がいません。ならば目指すは竹迫との再戦か?ただこれは、竹迫にとって何のメリットもない試合となってしまいます。

ゴロフキンと村田諒太の試合が、世界中で話題となってくれた日本のミドル級。

その村田は、やはり突然変異だったのか。

村田の後に続くボクサーたちは、是非ともこのことを一過性に終わらせず、後に続いてもらいたいですね。

 

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