最近個人的にはちょろちょろ見ている、女子ボクシング。
ここ最近で見た(日本人女子ボクサー絡みの)試合は本当に素晴らしい試合だったし、それぞれのテクニック、パワー、スピード、そしてハートを見せてもらって大満足です。いつの間にか、女子ボクシングのレベルも上がったものだと感服しました。
これは東京オリンピックでの女子ボクサーの活躍も大きかったかもしれませんね。
さてそんな女子ボクシング界ですが、世界では今週末、4団体統一王座の防衛戦であり、現代の女子ボクシング界最強を決める戦いとなる「The Super Fight」が行われようとしています。
リングマガジンのPFPキングであり、女子世界ライト級4団体統一王者、ケイティ・テイラー(アイルランド)が、元世界7階級制覇王者で、リングマガジンのPFPランキングで3位に抜擢されるアマンダ・セラノ(プエルトリコ)を迎えて防衛戦を行うのです。
これはとんでもない事件です。
ある英語圏の記事では、このテイラーvsセラノはまるでレナードvsハーンズだと例えた記事もあるほどです。
ということで、今回のブログでは、女子ボクシング界の歴史において最も重要なレガシー・ファイト、テイラーvsセラノのプレビュー記事です。
4/30(日本時間5/1)ニューヨーク・MSG
WBA・WBC・IBF・WBO女子世界ライト級統一タイトルマッチ
ケイティ・テイラー(アイルランド)20勝(6KO)無敗
vs
アマンダ・セラノ(プエルトリコ)42勝(30KO)1敗1分
ケイティ・テイラーは、現在35歳。ボクシングを初めたのは12歳の頃だそうです。
才能あふれるテイラーは、世界選手権を幾度も優勝、そして女子ボクシングが採用された最初のオリンピックとなったロンドン五輪で金メダルを獲得。
ちなみに、プロの女子サッカー選手としても活動、アイルランド代表としても活躍していたそうです。これはまた、とんでもない。
リオ五輪で準々決勝敗退後、プロ転向を決めました。
2016年11月にプロデビュー、翌2017年4月にWBA女子インターナショナルのタイトルを獲得し、同年10月に空位のWBA世界女子ライト級王座決定戦に出場し、これを獲得。
プロデビューしてたった11ヶ月の出来事です。
この王座の初防衛戦では、現在の世界女子ウェルター級4団体統一王者で2階級制覇王者でもある、ジェシカ・マッカスキル(アメリカ)を退けています。
そして2018年4月にはIBF王座を吸収、防衛を伸ばしていく中で2019年3月にWBO王座を吸収、同年6月にWBC王座を吸収して見事4団体統一王者に輝きました。
そして同年11月にはWBO世界女子スーパーライト級王座を獲得し、2階級制覇してライト級に戻り、ここまでで4団体統一王座を5度も防衛。
4団体統一王座を5度も防衛した王者は、男子選手にはいません。改めて本当にすごい経歴です。
しかしアマンダ・セラノも、このテイラーのキャリアに勝るとも劣らない、そんなボクサー。
アマ経験もあるようで、2008年のゴールデングローブで優勝。2009年3月にプロデビュー、4連勝後に一つのドローを挟み、2011年、プロ13戦目でIBF世界女子スーパーフェザー級タイトルを獲得。この王座を返上し、WBC世界女子スーパーフェザー級タイトルに挑戦しますが、判定負けで失敗。この1敗がセラノの戦績に刻まれたものです。
再起したセラノは、2013年にWBA世界女子スーパーフェザー級タイトルを獲得、2014年にWBO世界女子ライト級タイトルを獲得して2階級制覇、2016年にWBO世界女子フェザー級タイトルを獲得して3階級制覇。同年にはWBO世界女子スーパーバンタム級タイトル、2017年に世界女子バンタム級タイトル、2018年にWBO世界女子スーパーライト級タイトル、2019年にWBC世界女子フェザー級暫定タイトル及びWBO世界女子フェザー級タイトルを獲得して7階級制覇を達成しています。(多すぎて間違っているかも。ご指摘ください。)
更に2018年には総合格闘技デビューも果たし、デビュー戦こそ引き分けるものの2戦目は「関節技で」勝利を収めているそうです。もう空いた口が塞がりません。
本当に数え切れないほどの最強の証明を果たし、文字通り数え切れないほどのベルトをコレクトしてきた女子ボクサーふたりの激突。このことは、「女子ボクシングの歴史史上最大の戦い」であると報じられていますが、正にそのとおりです。
ある記事では、この一戦は「シュガー・レイ・レナードvsマービン・ハグラー」だと。
デビュー以来のスターボクサーであるテイラーがレナードであり、長く実力を培ってきたセラノがハグラー、ということでしょうか。
セラノはこの一戦に対し、「3分12R」という男子ボクシングと同じルールを要求したようですが、テイラーはそれを飲まず。ただのゆさぶりなのか、3分の方がテイラーを攻略しやすいと思ったのか。現在セラノにはYoutuberのジェイク・ポールがついていることもあり、その真相はわかりません。
本来は2020年に行われるはずだったこの歴史的一戦は、コロナショックにより延期を経て、とうとう開催されます。会場となるニューヨークのマディソン・スクエア・ガーデンのチケットは完売、アイルランド、プエルトリコのファンたちが押し寄せるとのことです。
そして好試合を期待されていることも注目を集めている要因であり、おそらく接戦になるだろう、とのこと。オッズも非常に拮抗していますが、4/29現在ではセラノがやや優位、当日までにはもっと差が縮まるか、逆転してしまってもおかしくないくらいの差です。
この日はシャクールvsバルガスもあり、更にこのシャクールvsバルガスはWOWOWが中継してくれる事から、多くのボクシングファンが見るとは思うのですが、このテイラーvsセラノも見逃せません。同時視聴、もしくは情報遮断してDAZNの視聴をお勧めします。
セミファイナル
スーパーウェルター級12回戦
ジェシー・バルガス(アメリカ)29勝(11KO)3敗2分
vs
リアム・スミス(イギリス)30勝(17KO)3敗1分
これはなかなかおもしろいサバイバルマッチ。
元世界2階級制覇王者、ジェシー・バルガスと、元世界王者のリアム・スミスがセミファイナルで激突です。
バルガスの3敗は、2015年のティモシー・ブラッドリー(アメリカ)、2016年のマニー・パッキャオ(フィリピン)、そして前戦の2020年、マイキー・ガルシア(アメリカ)との3戦。
ちなみに2分はどちらも2018年、エイドリアン・ブローナー(アメリカ)、トーマス・デュロルメ(プエルトリコ)と引き分けた星で、パッキャオ戦での敗北のあとは5戦して2勝(1KO)1敗2分とやや奮いません。
対してスミスの3敗は、2016年のサウル・アルバレス(メキシコ)、2018年のハイメ・ムンギア(メキシコ)、2021年のマゴメド・クルバノフ(ロシア)戦。
前戦では同国人の元トップアマ、アンソニー・ファウラーを撃破。序盤にファウラーにクリーンヒットで追い詰めラrますが、中盤以降盛り返して、6RTKO勝利。これは見事な勝利でした。
スミスは強靭なハートを持ち、頑丈な体を持っています。ここ数戦、冴えないバルガスのことを考えると、スミスの勝利が固い気がします。
アンダーカード
さて、その他のアンダーカード。
女子のスーパーミドル級で4団体統一戦があります。
WBC・WBO世界女子スーパーミドル級王者
フランション・クルス(アメリカ)7勝(2KO)1敗
vs
WBA・IBF世界女子スーパーミドル級王者
エリン・セデロース(スウェーデン)8勝(4KO)
女子ボクシングの歴史的一戦のアンダーカードとして、女子の4団体統一戦というのは非常にふさわしいマッチアップですね。
その他にも男子ミドル級の全勝対決。10勝8KO無敗の25歳のプロスペクト、オースティン・ウィリアムス(アメリカ)が、17勝(7KO)無敗の30歳、ショーディアル・ブーカー(アメリカ/読み方は違うかも)戦。
そしてガラル・ヤファイ(イギリス)がプロ2戦目でWBCインターナショナル・フライ級タイトルマッチに臨みます。
と、まあなかなか楽しみなアンダーカードが続きますね。ちょっと時間的に全ては見れないともいますが。
放送・配信
このマッチルーム興行は、日本時間では5/1(日)AM8:30からDAZNで配信される予定です。
メインイベントとなるケイティ・テイラーvsアマンダ・セラノの一戦の開始は、英国で5/1(日)AM3:00頃、米国で4/30(土)PM10:00頃だということです。なので日本時間になおすとだいたい5/1(日)AM11:00頃の放送になりそうです。
これはアンダーカードの進行具合にもよりますし、今回はおそらく放映カードが非常に多そうですね。この情報が確かなら、シャクールvsバルデスとは時間はかぶらなそうです。
ということで、大変興味深いこの一戦はDAZNで。
見逃し配信も可能なので、当日はシャクールvsバルデスに集中、終わってから見返すのも良いと思います。(勿論、その逆も)
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