先日から話題になっていた、京口紘人(ワタナベ)vsエステバン・ベルムデス(メキシコ)。
日本時間4/27(水)、とうとう正式発表がありましたね!
日程は6/10(日本時間6/11)、場所はメキシコ!
敵地、メキシコという場所は京口にとって厳しい場所ですが、是非ともがんばってもらいたいものですね。
ということで今回は、京口の防衛戦(というか団体内統一戦)が決まった事を皮切りに、他の日本人世界王者+αの動向についてです。
WBAスーパー世界ライトフライ級王者
京口紘人(ワタナベ)
この度、ようやく決まりましたね。2019年10月、久田哲也(ハラダ)を退けてから1年5ヶ月のブランクをつくり、2021年3月14日にアメリカでアクセル・アラゴン・ベガ(メキシコ)を相手に3度目の防衛に成功。
そこから更に1年3ヶ月がたち、ようやく4度目の防衛。
試合のペースとしては非常に遅いと言わざるを得ませんが、これには京口の病気、怪我が大きく関わっています。
コロナの罹患、拳の骨折、左ひじ負傷、左膝腸脛靭帯炎、おそらくプライムタイムにあろうかという京口がなかなかリングに上がる機会を持てなかったのは非常に残念。
WBAレギュラー王者、エステバン・ベルムデスは技術こそ拙く感じるものの、あのカルロス・カニサレス(ベネズエラ)を捕まえた右ボラードは破壊力抜群で、怖いボクサーです。
映像を見ると、カニサレスはパンチを打っている時、打ち終わりにガードが下がる事があり、ガードスタンスがややオープンな面が見受けられました。そして、距離をとろうとする時間も長く、これがまたベルムデスがボラードを打ちやすい距離になってしまった、とも取れます。
京口は、内に入って闘う事を好み、回転力もあり、ブロッキングも非常にしっかりとしている分、ベルムデスの内側からパンチを打てると思います。ベルムデスの大きな一発にさえ気をつけていれば、大丈夫な気がします。
いずれにしろ、京口にはどんな形でもここを勝ってもらって、「年末」とも言われるWBC王者、寺地拳四朗(BMB)との統一戦につなげてもらいたい。
WBC世界ライトフライ級王者
寺地拳四朗(BMB)
2022年3月19日、衝撃的な3RTKO勝利で、王座返り咲き、そして前王者となった矢吹正道(緑)へのリベンジを果たした寺地拳四朗。
↓観戦記
これまで安全圏で戦っていた拳四朗は、重厚なプレスを持って前進、「まさかここまで極端に」と思うほどのスタイル変更で矢吹を一瞬で切って落としました。
このスタイルはアマ時代の〜と言う意見もありますが、アマ時代は今回と比べるとただただ手数が多かっただけ、であり、今回のような理詰めのプレスとは訳が違います。
ここに来てまたさらなる強さを見せた拳四朗は、今後が非常に楽しみなボクサーの一人。
もともと試合間隔は短い方なので、是非とも7月か8月くらいに一戦挟んで、年末に京口との王座統一戦を見たい。
WBO世界ミニマム級王者
谷口将隆(ワタナベ)
つい先日、こちらも見事な11RTKO勝利で「マイクロ・タイソン」石澤開(M.T)をストップした谷口。
谷口の技巧、そして試合後のインタビュー、前回の戴冠戦も含めて、今非常に株を上げているボクサーではないでしょうか。
小気味よいステップワーク、それと連動したコツコツと当てるパンチ、そして秀逸なディフェンステクニック。強敵を退けるたびに自信をつけ、前々戦であるウィルフレド・メンデス(プエルトリコ)戦で完全に覚醒してしまった印象ですね。
しばらく負けないボクシングができそうですが、このミニマム級という階級は長くとどまる階級ではないことも事実。谷口もあと数戦で階級アップを考えている、とのことです。
そして、谷口は京口とのW防衛戦を臨んでいる、とも。
そうなると、京口vs拳四朗のセミファイナルであれば、うってつけではないでしょうか。
これは期待大です。
WBO世界フライ級王者
中谷潤人(M.T)
中谷もつい先日、ゴロフキンvs村田のアンダーカードで衝撃的なTKO防衛を果たしましたね。
↓観戦記
ボクシングを知らない層に、中谷のあの異次元の強さはどれくらい届いたのでしょうか。
かねてからスーパーフライ級転級を示唆している中谷は、これを最後にスーパーフライ級へ行くのでしょうか。
WBO世界スーパーフライ級王者は井岡一翔(志成)、中谷が返上の上階級を上げれば、WBOルールにより必然的にトップコンテンダーとなり、井岡の指名挑戦者となります。
これは井岡にとってはキツい防衛ロードです。
WBO世界スーパーフライ級王者
井岡一翔(志成)
井岡一翔というボクサーは、あまりにも恵まれません。
2019年6月にアストン・パリクテ(フィリピン)を10RTKOに降し、4階級制覇を達成すると、同年末に指名挑戦者で元オリンピアンの技巧派サウスポー、ジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)を相手に初防衛。
その後も指名挑戦者・田中恒成(畑中)、同じく指名挑戦者・フランシスコ・ロドリゲス(メキシコ)を相手に防衛戦を行い、なぜか3連続指名挑戦者を相手に防衛を行った井岡。
この険しい道程は、当時のIBF王者ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)につながっていたはずですが、日本の愚かな鎖国政策により日延。
代わって福永亮次(角海老宝石)を相手に防衛戦を行い、判定勝利を収めてアンカハスを待ちました。
しかし、ここでアンカハスが敗れてしまい、結果統一戦はご破産。
新たにIBF王者となったフェルナンド・マルティネス(アルゼンチン)との統一戦も取り沙汰されましたし、ローマン・ゴンサレス戦が発表されるのでは、という憶測もありましたが、ここで何とWBOが横やり、ドニー・ニエテス(フィリピン)との防衛戦をオーダーしてきました。
井岡はニエテスに一度敗れてはいるものの、内容的にはどちらが勝ってもおかしくない試合でした。リベンジの機会、とはいうものの、井岡にとってあまりメリットはないように思います。
こうなってくると心配なのは井岡のモチベーション。何とかモチベーションを保ち、自らが望む先に進んでもらいたいものです。
ちなみに、井岡vsニエテスは交渉期限が4月末くらい。交渉がまとまらなければ入札となりますが、いずれにしろもうすぐ日程が出そうですね。
IBF世界スーパーフェザー級王者
尾川堅一(帝拳)
2021年11月、クラッシュライトが炸裂し、幾度もアジンガ・フジレ(南アフリカ)を倒し、判定勝利を収めて紛れもない世界王者となった尾川。
そこからも5ヶ月、はやいものですね。
本来、初防衛戦は、王座決定戦で闘うはずだったシャフカッツ・ラヒモフ(ロシア)を相手に行われるべきですが、どうやらIBFはジョー・コルディナ(イギリス)戦をオーダーするようです。
この試合の正式発表はまだですが、十中八九敵地イギリスで、放映はDAZNで、ということで行われる事になるのでしょう。
ここはまた、何度もダウンを奪うか、もしくは倒しきってしまわなければ厳しいですね。
さて、このコルディナ戦を勝てば、尾川にはビッグマッチが舞い込んでくるかもしれません。
この階級では、スター候補、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)が王座統一に欲を見せており、シャクールはバルデスに勝利すれば、WBA王者のロジャー・グティエレス(ベネズエラ)、IBF王者の尾川堅一をターゲットにするはずです。
これは楽しみですね!
是非とも夢を見せてもらいたい。
WBAスーパー・IBF世界バンタム級統一王者
井上尚弥(大橋)
井上の次戦については、知らない人はいないでしょう。
6/7(火)、さいたまスーパーアリーナ。
ドラマ・イン・サイタマ2、ノニト・ドネアとの13R目からの戦いが始まります。
軽量級周辺の動き
井上vsドネアが6/7(火)、京口vsベルムデスが日本時間で6/11(土)。
京口vsベルムデスと同時にDAZNから発表された6/25(日本時間6/26)の興行には、軽量級のトップボクサーたちが集結しています。これ、全て同じ興行で行われる試合ということなんですが、非常に、いや異常に豪華。トップランクも見習ってほしい。
WBC世界スーパーフライ級タイトルマッチ
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)vsシーサケット・ソー・ルンビサイ(タイ)
下の階級から上がってきたロドリゲスにとっては、このシーサケットは鬼門になりはしないでしょうか。
ライトフライ級から一気に2階級を上げ、スーパーフライ級トップボクサーの一人であるカルロス・クアドラス(メキシコ)からダウンを奪って判定勝利したロドリゲスは、一気に「プロスペクト」から抜け出し、スーパーフライ級でも評価の高い王者に。
「体の使い方が上手い」と感じたロドリゲスですが、スーパーフライにフィットしているかどうかはわかりません。
ともあれ、ロドリゲスはシーサケットを退けた後は、適正階級に戻る、という話題も見かけました。これまではライトフライ級の世界ランクに名を連ねながらも、フライ級のウェイトで闘う事が多かった「バム」ロドリゲスは、ライトフライまで戻るのか?
帝拳プロモーション所属ということもあり、日本人ボクサーとの対戦もありそうですね。
WBC世界フライ級タイトルマッチ
フリオ・セサール・マルティネス(メキシコ)vsマックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)
マルティネスvsアローヨは、前回好試合の予感がしましたので、今回も非常に楽しみな一戦。あれからマルティネスはローマン・ゴンサレスに完敗、その敗北が今戦に与える影響もあるかもしれません。
いずれにしろ、フライ級はもしかすると中谷潤人が統一戦に向かって動き出すかもしれませんし、拳四朗も階級アップを模索している、ということも言っていました。
この辺りの動向は気になりますね。
WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級タイトルマッチ
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)vsロニー・リオス(アメリカ)
のちに井上尚弥に立ちはだかるであろう、ムロジョン・アフマダリエフ。アフマダリエフには指名挑戦者が列をなしているはずで、現在指名挑戦権を有しているボクサーは皆、アフマダリエフに挑戦できるのか。
ちなみに、今回のロニー・リオスはWBAの挑戦者です。このリオスのあとに、WBAの指名挑戦権を持っているのがアザト・ホバニシャン(アルメニア)、亀田和毅(トライボックス)であり、IBFの指名挑戦権を持っているマーロン・タパレス(フィリピン)もいます。
これを順番に退けていくとすれば、アフマダリエフの体が空くのが2023年末くらいですが、果たして。(そしてその頃にはまた新たな指名挑戦者が生まれていそう笑)
そしてネクスト・モンスター
世界王者、ではないですが、今回プロテストに合格し、申請して問題がなければA級デビュー、という破格の待遇を受けるボクサーが堤駿斗(志成)。
世界的にネクスト・モンスターといえば中谷潤人ですが、中谷潤人は既にモンスターなので、私の中ではネクスト・モンスターはこの堤駿斗です。
今夏デビュー、ということですから、タイミング的には井岡一翔vsドニー・ニエテスのアンダーカードでプロデビューということになるのでしょう。
そのデビュー戦の相手はなんと世界ランカー。
一気に駆け上がるつもりでいるようです。
階級はフェザーなのか、スーパーバンタムなのか、果たしてバンタムくらいまでいくのか。
いずれにしろこの辺りの階級だと思うので、フライ級以下よりもぐっと層は厚い。
堤がどのようなパフォーマンスを見せ、どのようなキャリアを歩んでいくのか。
期待しかありませんね。
ということで、今回のブログでは、京口紘人vsエステバン・ベルムデスの正式発表にあわせて、今後の日本人世界王者(+α)の動向を書いてみました。
とりあえず、今のところ試合が全く未定なのは、先日試合を終えたばかりの寺地拳四朗と中谷潤人、谷口将隆。
既に噂がたっている尾川堅一、既に交渉に入っている井岡一翔、いずれも正式発表が待ち遠しいですね。