メリー・クリスマス。
クリスマス・イブというのは、クリスマス・イブニングの略で、12/24の日が落ちてからを言い、クリスマスは12/25の日没までのことを言うそうです。
だから、12/24の午前中やお昼から騒いではいけません笑。
実家に帰省、香川県は小豆島からお届けする今回の記事は、(前段とは全く関係ないですが)これまでに起こった、4団体統一戦と今後の展望について。
これまでの4団体統一王者
2004年にバーナード・ホプキンス(アメリカ)が世界ミドル級の「比類なき」王者となったのが最初。この時の相手はオスカー・デラホーヤ(アメリカ)であり、これは4団体統一にふさわしいビッグマッチだったと思います。
詳細こそ省きますが、30歳で初タイトルを手にしたホプキンスが4団体統一をなしたのは、最初に獲得したIBFタイトルから数えると19度目の防衛戦のこと。時間にすると9年4か月という年月を要しています。
晴れて4団体統一王者となったホプキンスは、その王座を一度防衛のあと、伏兵ジャーメイン・テイラー(アメリカ)にスプリットの判定負けを喫して4冠から一気に陥落。
ホプキンスに続いて、史上二人目の4団体統一王者となったのはこのジャーメイン・テイラーですが、速攻IBF王座を返上、3団体統一王者となって初防衛戦を行い(ホプキンスとの再戦に判定勝利)、その後WBA王座も返上しています。このテイラーは事実として「史上ふたり目の4団体統一王者」なのですが、残念ながらその威厳はない、と言っても良いでしょう。
そこからはこの「4団体統一」というのはプロモートの都合もあって夢のまた夢、という期間が流れますが、この「4団体統一」のロマンを復活させたのがテレンス・クロフォード(アメリカ)。
テレンス・クロフォードは2015年にWBO世界スーパーライト級王座を獲得、2016年にはWBC王座を吸収しています。そして2017年、WBA・IBFの統一王座を保持していたジュリアス・インドンゴ(ナミビア)との4団体統一戦が実現し、これを楽にクリアしてスーパーライト級での4団体制覇。このあと、一気にすべての王座を返上してウェルター級へと転級していきました。
このことは、クロフォードが「スーパーライト級で最強」だということを誰にでもわかるように示したことであり、その名の通り階級で最強つまりは本当のチャンピオンであることを世に知らしめる機会となったことは想像に難くありません。
そして、世の中に統一戦の機運が高まる中、実施されたのがWBSS。ワールド・ボクシング・スーパー・シリーズです。
この第一回大会(シーズン1)はクルーザー級とスーパーミドル級で開催。トーナメント参加者のうち、スーパーミドル級ではチャンピオンの参加は1人のみでしたが、なんとクルーザー級は4人のチャンピオンが全員参加。このWBSSトーナメント制覇は、そのまま4団体統一へつながる流れへとなりました。
そこで数々の激闘をその技巧で制したのが、現在のヘビー級3冠王者、オレクサンドル・ウシク(ウクライナ)。ウシクをもってしても楽勝とは言い難かったトーナメントではありましたが、このWBSSトーナメント優勝、およびクルーザー級4団体制覇はオレクサンドル・ウシクの名前を世界的に広めるとともに、最強決定戦であるWBSSという試みに心が躍ったものです。ちなみにこれは2018年のことであり、クロフォードが4団体を統一した翌年のことです。
そして同じく、WBSSシーズン2に出場したスーパーライト級のジョシュ・テイラー(イギリス)も、2019年にこのトーナメントを優勝。しかし、全ての王者がこのトーナメントに参加したわけではなかったので、テイラーが獲得した王座はWBAスーパー・IBFの二つの王座でした。
その後、コロナショックもあり、WBC・WBO統一王者だったホセ・ラミレス(アメリカ)との4団体統一戦が実現したのは2021年。50-50という予想の中、ダウンを奪って文句なしの判定勝利を収めたジョシュ・テイラーは、ウシクの4団体統一から約3年という月日を経て、史上5人目となる4団体統一王者となりました。
しかし、その裏で、圧倒的なスピードで4団体制覇を成し遂げたボクサーもいます。
テイラーと同じく2021年の4団体統一王者といえば、サウル「カネロ」アルバレス(メキシコ)です。
何かと話題の多いスーパースター、カネロは、2020年12月にWBAスーパー、WBCのタイトルを獲得すると、2021年2月にWBC王座を吸収、同年5月にWBO王座、そして同年11月にIBF王座を吸収して4団体とあっという間に統一。
圧倒的な内容で、たった11か月で一気に4団体を統一、この頃のスーパーミドル級は、カネロのマッチアップをするために稼働していたといっても過言ではありません。
カネロと戦えばビッグマネーを稼げる、という事実は、マッチメイクを容易にすることができたため、このようにスピード感をもって実現することができたのでしょう。それには勿論、カネロのようにアクティブにリングに上がれるタフさがないと無理なこと。
そして2022年とそれ以降
2004年にホプキンス、2005年にジャーメイン・テイラー、2017年にテレンス・クロフォード、2018年にオレクサンドル・ウシク、2021年にジョシュ・テイラーとサウル・アルバレス。
そして2022年には5月にジャーメル・チャーロ(アメリカ)が世界スーパーウェルター級の4団体統一王者となり、6月にはデビン・ヘイニー(アメリカ)が世界ライト級の4団体統一王者となっています。
そして史上9人目の4団体統一王者として、井上尚弥(大橋)が加わりました。
↓物議をかもす初戦から、ダイレクトリマッチで4団体統一王者となったチャーロ(弟)
↓タナボタともいえる、デビン・ヘイニーの4団体統一!
↓井上尚弥は一つ一つ王座を集めての4団体統一!
2022年という年は、これまで以上に統一戦線が活発化した年でもありました。
ただ、こうなってくると各団体のコンテンダーたちは待たされてしまう、ということが難儀な議題です。
2023年1月、スーパーウェルター級のUndisputedチャンプ、ジャーメル・チャーロに挑戦するティム・チュー(オーストラリア)も随分待たされたコンテンダーのひとり。
今後、さらに加速するであろう王座統一の流れは、「最強を決める」という意味において大歓迎ではあるのですが、各団体が垣根を越えて語り合い、統一戦に臨む条件的なものをしっかりとルールとして決めておくことは必要だと思います。
Cは統一戦を承認して、Aは指名戦があるから承認しない、などとなると結局試合が決まらずに多少なりともブランクを作ってしまう可能性もあるでしょうし、マッチメイクの力のあるボクサーでなければ4団体統一に進めない、とかになるとただただ防衛記録を伸ばしてチャンスを待たざるを得ないボクサーも現れ、そのボクサーがプライムタイムを過ぎ。。。なんてことも容易に想像できることです。
ボクシングに政治はつきもの。それでも、なるべく公平に、素晴らしいボクサーがしっかりと世に出ていくことを強く望みます。
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