遅くなってしまいましたが、ようやくダイナミックグローブを視聴。
いや、視聴したのは月曜日(の夜中)なんですが、色々他に書いた記事を上げたので、ここまで来てしまいました。
ということで今回は、中谷正義(帝拳)の再起戦をメインに据えた、ダイナミックグローブの観戦記。
↓プレビュー記事
6/13(月)ダイナミックグローブ
スーパーフライ級4回戦
高橋秀太(角海老宝石)vs宇野楓麻(花形)
4回戦らしく、ゴングと同時にアグレッシブに攻めるのは宇野。高橋は応戦、まずは右アッパーのダブルでダウンを奪取。これは見事に決まりました。
立ち上がった宇野は果敢な攻めを見せますが、ここでもまた高橋のショートの右がカウンターとなってヒット、倒れたところでレフェリーがストップ。
まだ20歳、2勝(2KO)1敗、将来が楽しみなボクサーですね。
フェザー級6回戦
金子虎旦(帝拳)vsパシス・ウィセッソ(タイ)
ようやくプロデビューとなった金子。よくぞ腐らずに待ちました。ウィセッソはタイのランカーのようです。
初回はともにジャブで距離を測ります。体格に勝る金子、中に入りたいウィセッソ。中盤以降、金子が強い左を出し始めます。
このジャブが素晴らしく、幾度もウィセッソの顔面をとらえ、何度も顔を跳ね上げます。
初回は左のみで戦う金子!素晴らしい距離感でのステップ、ジャブから左アッパー、左フックを見せて、最後は強いジャブで初回は終了。これは圧倒的な差がありそうです。
2R、金子は長い左ボディをヒット、右はフェイントのみで使ってその後も左ボディ!これでウィセッソはダウン!
そこからまたも左ボディ、そして右ボディアッパーを決めた金子、ウィセッソはどうにか倒れないようにがんばっていますが、金子の出入り+ボディへのアッパーでまたダウン。
立ち上がるもかなりボディが効いており、体がくの字に曲がったままのパシス・ウィセッソに対して、更にボディを攻めたあと、空いた顔面に右の打ち下ろし!
これでウィセッソはこのラウンド3度目のダウン、レフェリーはストップ!
金子虎旦、2RTKO勝利!!
強い、しかでてこない。6回戦では相手探しが難しいでしょう。いや、無理でしょう。
もう一戦、やはり海外から招聘して、本当の勝負はA級から。今後非常に楽しみなボクサーですが、プロデビューまでに時間を要しすぎたので、ここからはどんどん進んでもらいたいですね。
バンタム級6回戦
村田昴(帝拳)vsジョン・マーク・ティフ(フィリピン)
プロデビューからもう1年も経つんですね、村田。
初回、村田が右ジャブを使って距離を測り、ややプレスをかけます。ティフはややディフェンシブな戦い、というか村田に対して攻められないか。村田が長いジャブの他に左ボディストレート、ワンツーフック等を使って優勢です。
2R、ティフは右を狙っています。タイミングはなかなか良い。村田の入り際に打つ左フックも良いですね。途中、スイッチする等なかなか器用なボクサーです。
このジョン・マーク・ティフというボクサーは良いボクサーで、後半には村田がコンビネーションで攻めますが、ティフのカウンターもタイミングが良く、怖い。
3R、プレスをかける村田。コンビネーションを主体として右ボディを巧打、その後もグイグイとプレスをかけていきますが、やはりティフの相打ちのタイミングのパンチは怖いまま。
しかしそれを全く恐れない村田は、接近して左右のボディ!ティフはダウン!
立ち上がったティフは、右カウンター一発狙い!
後半にも左ボディをヒットした村田、ティフはボディが効いてしまって力が入らなくなっているように見えます。
4R、今度は顔面への左をヒットした村田。相手の反撃、カウンターに気をつけながら距離を詰め、コンビネーション。ここでもティフの右カウンターはタイミングが良い。
しかし一枚上手の村田は、逆に右カウンターを決め、ロープからロープへエスケープするティフに詰め寄ります。
後半、ここまで多くがガードに阻まれていたティフの右カウンターがヒット、村田は顔を跳ね上げられますが、その後はロープ、コーナーに詰めて連打!ティフはかなりダメージが有る状況ですが、なんとか終了ゴングを聞きました。
このラウンド終了後、ティフ陣営は棄権の申し出。
村田昴、4R終了TKO勝利!
素晴らしいコンビネーションは力強く、またスピードも並ではありません。これで晴れてA級ボクサーとなった村田、こちらも早々にトップ戦線に絡んできそうですね。
村田昴が強いことは知っていますが、相手のジョン・マーク・ティフにも驚きました。村田には圧倒されてしまいましたが、これはかなり良いボクサーではないでしょうか。
アンダードッグ、と思って呼んでしまうと、下手なボクサーだと敗北してしまうかもしれませんね。名前を覚えておこうと思います。
スーパーバンタム級8回戦
福井勝也(帝拳)vsジェイソン・ブエナオブラ(フィリピン)
福井のプロ4戦目、相手は比嘉大吾(志成)との対戦経験のあるブエナオブラ。
初回、サウスポースタンスから左を振るってくるブエナオブラ。福井は鋭いジャブを出し、ノーモーションの右をヒットします。
ブエナオブラは非常に積極的で、ダッシュしながら左を振るう独特なタイミングも持っています。
2R、どんどんと振り回してくるブエナオブラ!福井は固いブロッキングとコンビネーションで対応、しかしふとしたタイミングで伸びてくるブエナオブラの左は非常に厄介、この左を浴びて福井の顔が跳ね上げられる場面も。
ただ、ブエナオブラのパンチに慣れてきたか、後半には福井の右がクリーンヒット、今度はブエナオブラの顔が跳ね上がります。
3R、福井はブロッキングがしっかりとしており、ブエナオブラが振ってきた時にはパンチを外して打ち終わりを狙っています。自ら攻める時にはボディを叩き、良い攻撃を見せていますね。
ただ、ブエナオブラも利き手である左のアングルは多彩で、これは厄介。
中盤、連打で見せ場をつくった福井は、ブエナオブラの左に左カウンターをあわせてダウンを奪取!これは見事なカウンター。
4R、ブエナオブラはあのカウンターを浴びたにもかかわらず、ダメージを感じさせず、強い左を放ってきます。あくまでもエネルギッシュに、運動量が落ちないブエナオブラに対して、福井は忙しく両手を動かすフェイント、ピーカブースタイルになって頭を振ったりと様々なことを仕掛け、左右の強いボディを放ちます。
5R、ブエナオブラのコンビネーションもアングルがよく、良いですね。これをブロッキングとステップワークでしっかりしのいだ福井は、コンビネーションでお返し。こちらも上下の打ち分けとアングルが素晴らしい。
中盤、ブエナオブラの左で顔を跳ね上げられた福井ですが、その後はボディを交えたコンビネーションで優勢。不意にもらう一発が怖いですが、福井は盤石です。
6R、ブエナオブラはここまで来ても全然落ちません。以前上体は柔らかく、またそのパンチは力強い。
それでも、執拗にボディを攻める福井、この素早い上下の打ち分けに、ブエナオブラは反応できていないかもしれません。
7R、福井が右を打ってスタート、ブエナオブラは連打を返します。この連打をリング中央でしっかりと受け止めた福井はその後右ストレートをヒットしてブエナオブラを下がらせると、左のボディを何度も叩き、上に返します。
これによりややブエナオブラの動きが落ちてきたように見えます。
残り1分ほどのところで福井がボディから顔面への左フックを返したところで、レフェリーがストップ。
福井勝也、7RTKO勝利。
ブエナオブラはダメージを溜めてきていましたが、もう少しやらせてあげても良かったのはないか、と思います。
最後までやっていたとしても、勝敗は変わらなかったでしょうが、ブエナオブラの頑張りに拍手です。
福井は現在日本ランク17位。このまま順当にランクを上げ、もしその時にまだ井上拓真(大橋)が王者だったとすれば、そんな一戦もあるんでしょうか?スーパーバンタム、下からの突き上げがすごいですね。
フェザー級8回戦
中野幹士(帝拳)5勝(4KO)無敗
vs
ファニト・パレデス(フィリピン)9勝(4KO)7敗1分
「鉄の拳」中野のプロ6戦目。前戦は2020年12月、初めての判定勝利を味わった佐伯瑠壱斗(岐阜ヨコゼキ)戦でした。帝拳プロスペクトみんなに言える事ですが、待ちに待ったリング。
初回、サウスポースタンスからプレスをかける中野。パレデスはガードを固めてジリジリと下がり、突然強い右オーバーハンドを振るってきます。これは鋭い。
フィリピン人ボクサーは良いですね、やはりどのボクサーも第二のパッキャオになろうと本気でアップセットをめがけてやってくる、怖さがあります。
このパレデスは体が柔らかいタイプではなく、しっかりとガードを上げ、そこから思いっきり振り抜くというタイプ。
中野は、その右オーバーハンドをスッとバックステップで外しています。
2R、パレデスのパンチはそのほとんどが空を切り、それをかわした中野はパンチをコネクトしますが、パレデスは積極果敢に来ます。
距離は近くなってきましたが、中野は強弱をつけたコンビネーションを披露、思いっきり掲げたパレデスのガードの間隙を突きます。
3R、中野はコンビネーションで攻めますが、パレデスは大振りで単発。これを距離では外した中野はボディを交えたコンビネーション。
中盤、中野の左がヒット、少し間をおいてパレデスはダウン!
このまま立つことができず、10カウント。
中野幹士、3RKO勝利。
中野が当てた左ストレートで、パレデスはなにか問題を抱えてしまったのでしょうか。その後も頭(おでこあたり)を押さえたり、気にしていました。
スローを見るとそこにピンポイントで当たっていますね。
鉄の拳、これでデビュー6連勝(5KO)。パレデスも決して悪いボクサーではありませんでしたが、圧巻のノックアウト勝利でした。
日本ウェルター級暫定王座決定戦
永野祐樹(帝拳)19勝(15KO)3敗
vs
小畑武尊(ダッシュ東保)11勝(4KO)5敗1分
小原佳太(三迫)負傷により設けられた暫定王座決定戦。元日本王者、小原へのリベンジを目指す永野に挑むは躍進著しい小畑武尊。
初回、永野がグイグイとプレス。しかし小畑はポンポンと右ジャブを放ち、そこからコンビネーションにつなげます。
ガードを掲げるも手が出ない永野、それに対してよく手を出していく小畑。
永野は固まりすぎるきらいがあり、やはり左を強振。
小畑は良いジャブを打ち、左を上手く上下に打ち分けます。そして後半に入ると小畑がワンツーで永野にダメージを与え、永野はここでバックステップ!小畑が効かせ、完全に押しています!何という展開、いきなり「まさか」が見えてきました。
小畑はジャブが非常に良いからこそ、様々なアングルのパンチが活きており、逆に永野は左を当てようとしすぎて手が出ていません。
2R、小畑が真っすぐのジャブと左ボディ、まっすぐの左とややフック気味の左、この左のアングルが素晴らしい。このラウンドもこの左をボコボコと永野に当てます。
永野は小畑の左強打に対応できていません。
後半には小畑をロープに詰めて得意の左強打をヒットした永野ですが、この勝負どころで小畑は負けじと打ち返して譲りません!この時も手数が多く、小畑は非常にハートも強い。
3R、永野がプレスを強めます!小畑も負けじと手数で押し返し、このアングルが非常に良い。
小畑のパンチは次々と永野に届きますが、これは明らかに永野はもらいすぎ。特に小畑のパンチのつなぎが素晴らしく、1発2発で終わる事がありません。
後半にも左ストレート、ワンツーをクリーンヒットした小畑、永野の反撃にも怯まず的確なパンチとコンビネーションで優勢です。
永野の左を被弾することもありますが、その勢いは一向に衰える事はありません。
左一発で形勢を逆転できるはずの永野ですが、今日はそんな雰囲気がしません。
4R、小畑には永野のパンチがしっかりと見えており、永野はどちらかというと小畑のコンビネーションについていけていないイメージ。
小畑はジャブから左のアングルがよく、当たった後にすぐさま反応よく、テンポよく攻めるので、永野にとっては波状攻撃が来て休ませてもらえないような感じか。
これは永野は本当にピンチです。
5R、このラウンドも前半にバシバシと小畑のジャブが入ってスタート。その後もテンポよく手を出す小畑、強打を単発気味に振るう永野。
力づくに見える永野、小畑は体では押されながらもしっかりとしたアングルでパンチを返し、中盤、いくつものパンチを浴びたところで陣営がタオルを持ってエプロンへ駆け上がり、レフェリーは試合をストップ!!!
小畑武尊、5RTKO勝利!!!
これはとんでもないアップセット。九州という地方ジムのボクサーが、後楽園ホールで大手ボクシングジムの元日本王者と堂々たる打ち合いを制し、見事日本王座を初戴冠。
23歳という若さ、地方ジムというハンデ、全てを覆しての初戴冠は本当快挙と言って良いでしょう。
勝利者インタビューでも非常に冷静で、しっかりとした受け答えをした小畑。
いやこれはすごい。あっぱれです。
さて、対して永野はあまり良い出来ではなかったような気がします。左に自信を持つのは良いかもしれませんが、頼りすぎてしまったため、単発すぎました。非常に残念な敗戦となった永野。
後のニュースで、永野は引退、とのこと。非常の無骨な立ち振舞から、いつも魂あふれるファイトを見せてくれて、めちゃくちゃかっこいいファイターでした。おつかれさまでした。
137lbs契約10回戦
中谷正義(帝拳)19勝(13KO)2敗
vs
ハルモニート・デラ・トーレ(フィリピン)22勝(14KO)3敗
ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)戦からの再起戦となる中谷。対するは、ハルモニート・デラ・トーレ。吉野修一郎(三迫)に初回KO負けを喫したものの、怖さを見せたボクサーでもありました。
「圧倒的に勝たないといけない」と語るインタビュー映像が流れますが、これが中谷にとって気負いとならないことだけを願います。しっかりと距離をつくって、不意の一発だけをもらわないようにすれば大丈夫だと思いますが、変に倒そうと距離がつまってしまうと危ない場面が訪れる可能性だってあります。
ということで、初回のゴング。
中谷が鋭いジャブを突いてスタート。中谷の動きはキレています。
その後、鋭いジャブを突いた中谷は、1分頃にまっすぐの右ストレートをヒット!
これでデラ・トーレはダウン!!!
非常にシャープでキレのあるストレートを食らったデラ・トーレは、一拍おいて倒れたその様は、既に相当なダメージを感じさせます。
立ち上がったデラ・トーレに対して詰め寄った中谷は、左ボディから顔面への左フックをフォロー!この左ボディが完全に入り、デラ・トーレはダウン!!
レフェリーがストップ!!!!
いやぁ。。。
早すぎて、興奮することすらできず笑。
「緊張していた」と語る中谷でしたが、その動きは非常にキレており、調子の良さを感じましたね。できれば、このパフォーマンスをもっともっと見ていたかった。
中谷は非常にバランスが良くなっているように見えます。帝拳に入ると、バランスが良くなる、という事は良くあることで、かつての西岡利晃もそうでした。
ここ最近の戦った相手が強すぎて、忘れていたのか。
中谷正義というボクサーは、日本、東洋のレベルでは頭ひとつもふたつも、いやみっつもよっつも飛び抜けたボクサー。
吉野修一郎とはまた違った初回KOでデラ・トーレを降した中谷。
やはりこのボクサーには、世界を獲ってもらいたい。
そしてその日は、着実に近づいてきているはずです。
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