7/9(土)、八王子興行。
昨年行われたこのファイティングスピリットシリーズは、湯場海樹vs佐々木尽をメインに据えた興行で、全試合KO決着、しかもダウンの数も半端ないほどの「神興行」と言われた興行でした。
なので今回のキャッチコピーは「神興行、再び」。
KO決着続出なるかはわかりませんが、ボクシングファンにとっては興味深いマッチアップが続きます。
しかも全11試合と非常に試合数が多い、長時間興行。
私はリアルタイム視聴は叶わないので、仕事から帰宅してから視聴したのでそこまで時間がありません。なので今回の観戦記は、セミセミ以降の3試合、その前の試合についてはまた時間が空いたところで見たいと思います。
↓プレビュー記事
ちなみに、無料のABEMAであればライブ配信のみ、ですが、ABEMAプレミアムに加入すればアーカイブ視聴が可能です。私は、フェニックスバトルを見るためにABEMAプレミアムに加入(フェニックスバトルもひかりTVはライブ視聴のみですが、ABEMAプレミアムに加入すればアーカイブ視聴が可能です。)しているので、有り難いことに視聴できます。
7/9(土)ファイティング・スピリット
ミニマム級8回戦
伊佐春輔(川崎新田)9勝(1KO)4敗1分
vs
高田勇仁(ライオンズ)8勝(3KO)8敗3分
第9試合にあたる、伊佐vs高田。前戦で森且貴(大橋)と激闘を繰り広げ、名を売った伊佐は復帰戦。高田は前戦でドロー、その前は日本ユースミニマム級王座決定戦で伊佐に敗北しています。この伊佐vs高田はこれまで1勝1敗、ラバーマッチとなります。
さて、注目のゴング。
ともに軽やかなステップワークからジャブを突き、まずは距離を測ります。
先に踏み込んだのは伊佐、シャープなワンツー!非常に調子は良さそうですね。
攻め込んだ伊佐に対して高田はコンビネーションをリターン、軽いながらも右アッパーをヒット。
その後も積極的に攻め込む伊佐、ここで高田の左フックがカウンターとなってヒット!
伊佐は前のめりにダウン!!!
伊佐は体を動かす事ができず、レフェリーはストップ!!
高田勇仁、衝撃の初回TKO勝利!!
何という結末、でしょうか。前戦が大接戦だっただけに、今回も接戦となる予想でした。
しかし、素晴らしいタイミングでの左フック。
伊佐も調子は良さそうだっただけに楽しみな展開でしたが、今日は高田が強かった。
会心の勝利を上げた高田勇仁、今後が楽しみですね。
日本ユース・スーパーフェザー級王座決定戦
谷口彪賀(八王子中屋)5勝(1KO)3敗2分
vs
福田星河(エディタウンゼント)6勝(1KO)3敗
妙な待ち時間がなく、サクサク進むのは有り難い。地上波が入っているとこうはいかないですね。(7/13の井岡vsニエテスは待ち時間が長くなると思われます。現地観戦の皆さんは承知しておいたほうが良いかも。)
昨年のこの興行で痛烈な大逆転ノックアウト負けを喫した谷口。その悪夢を今日、払拭できるか。福田は2度目のユース王座挑戦(前戦も王座決定戦)で、何としてもものにしたいところ。
両者ともに負けられない理由があります。
初回のゴング。
積極的に攻め入るのは福田。谷口は冷静にステップワークとジャブ。距離が詰まると谷口はコンビネーション、最後は右フックで福田を回します。巧い。
中盤、旺盛な手数で前進する福田、これをややもてあました谷口はまっすぐ下がってロープ際です。そのままラッシュに入った福田でしたが、ここで強いパンチを単発気味に打ち返した谷口、左フック?がカウンターとなってヒット!福田は尻もちをつくダウン!!!
立ち上がった福田ですが、少しダメージがあるのか、これまでのような突進はありません。
体を押し付けてクリンチをする等、回復を図っているようにも見えます。
谷口はダウンを奪うも安全運転、しっかりと福田を見極めています。
中間距離の様子見というところから、谷口は左ストレート。これがガードの上にあたったようにも見えましたが、福田はまたもダウン!!やはりダメージはあったようです。
福田が立ち上がったところでゴング。
2R、福田はダメージから回復していないはずですが、そのそぶりは見せずにジリジリとプレス。それを谷口はステップワークでかわし、カウンターをちらつかせ、ジャブやストレートで牽制。
福田が攻めてくると右フックでまわす、これがやはり巧い。左もストレートにアッパーを織り交ぜ、福田に距離を詰めさせません。福田はややまっすぐすぎるか。
3R、福田はサイドから攻め込んでみたり、左から右からといろいろ試しているものの、谷口との距離を詰められません。谷口は福田の攻めに動じず、非常にバランスの良いステップで左右に動き、比較的少ないステップワークでいなしています。
なので必然、リング中央に陣取るのは谷口、これは良い戦い方です。
中盤、距離が詰まって乱戦に突入、これは谷口が受けてたったという感が強い。福田としては願ったり叶ったりではあるものの、ここでも谷口は良いコンビネーションで福田を押し返します。
後半にもそのタイミングが訪れ、福田はものすごい手数を出しますが、谷口はディフェンスの意識が高く、福田の打ち終わりに押し返します。
4R、プレッシャーをかけているはずの福田ではなく、谷口がリング中央。このあたりは非常に間のとり方がうまい。まっすぐくる福田に対して、右に左にやや足をずらしながら、上手く「まっすぐ下がらない」ということにしています。
そこから出す左カウンターはまた秀逸で、ストレートやボディアッパー、アングルも多彩。
距離が詰まる場面もさほど長くは続かず、最終的には谷口の右フックでまわされてしまう福田。後半に入ると福田はチャージ、ただバランスは崩され、これまでの被弾からおそらくダメージも蓄積してきているのでしょう。
5R、後がない福田はジリジリと前進、しかし突破口を見つけられず。谷口は本当に慎重かつ冷静、勢いよく福田が攻めてくればディフェンスに徹し、単発気味だと見るやカウンター。ジャブは基本的に距離とパリーではずし、本当によく見ています。これは谷口側から見ていると安心感の塊ではないか。
谷口は強引に攻め入らない分、隙もできづらく、常にディフェンスを意識しながらのコンビネーション。集中力も高く、素晴らしいパフォーマンス。
6R、福田は諦めずに何度も何度もアタックを試みますが、冷静すぎる谷口の牙城をなかなか崩せず。これまでの旺盛な手数と、ダメージによるものだと思いますが、かなりの疲労を感じます。
谷口はマイペースの戦いで疲れの色を見せず、まだまだパンチもキレ、ステップも生きています。福田はもっと削らなければいけませんでした。
かなりフラフラになりながらも福田は前進、素晴らしいハートの持ち主です。
7R、このラウンドも谷口の左から右フックが冴え、福田の攻撃は届きません。中盤、福田は良い攻撃を見せ、距離が詰まりますが谷口のボディ攻撃にあい、距離が詰まってもかなり厳しい。
ガードを固めて前進する福田ですが、谷口のジャブでものけぞってしまうほど疲労しています。それでも一発逆転を狙って右を強振する様は感動を覚えますね。
ラストラウンド、最後の力を振り絞ってラッシュを仕掛ける福田!この試合にかける意地、意気込みを感じます。
それに応じた谷口ですが、やはりあくまでも冷静。その福田のラッシュが終わればあとは左ストレートを当てては右フックでまわし、とにかく福田に何もさせません。
かなり危険な状態にも見える福田ですが、それでも前進はやめず、規定の8ラウンズを終了。
判定は、79-71×1、80-70×2で谷口彪賀の勝利。
終始安全運転だったのは、昨年の一道戦での反省からなのでしょう。ただ、個人的にはここまで圧倒しているのだから、ここは倒して勝利できれば一番良かったと思います。谷口のようにバランスの良いボクサーは大好きなので、是非とも倒し切る力を身に着けてもらいたい。
福田はとにかく非常に頑張りましたね。
64.5kg契約6回戦
佐々木尽(八王子中屋)12勝(11KO)1敗
vs
関根幸太朗(ワタナベ)3勝(3KO)無敗
さて、いよいよメインイベント。この興行は八王子中屋ジム主催興行であり、スター選手佐々木尽のための興行と言って良い。
ただ、関根幸太朗というボクサーは非常に強く、新人王トーナメントでは頭ひとつもふたつも抜けた存在でした。はっきり言って、技術レベルでいうと佐々木よりも高いのではないでしょうか。
この試合がスーパーライト級リミット(63.5kg)ではないのは、佐々木の過去の計量失敗によるものなのでしょうが、スーパーライト級を主戦場として戦う関根にとって、どれくらいのディスアドバンテージになるのでしょうか。
ともあれ、大注目の一戦のゴング。
様子見もそこそこに、強いジャブを放つ関根。それに対して佐々木は強振で対応、ハナから中間距離での打撃戦!
先に攻めるのは関根、佐々木は固いガードから左フックを強振!!
関根は佐々木の左フック、そして右ストレートに対するブロッキングが素晴らしく、また強弱をつけたコンビネーションも秀逸です。佐々木は相変わらず思い切り振るという怖さを持ったボクサーで、これは一瞬たりとも目が離せません。
比較的、関根が上手く戦っているように見える初回ですが、佐々木のブロッキングは非常に固い。そして終盤、不用意に距離をとった関根に佐々木の必殺の左フックが一閃!関根はダウン!!!
これは反則級のパワー。。。
関根が立ち上がったところでゴング。
2R、明らかにダメージが残っていそうな関根。佐々木は攻め入りますが、関根は佐々木の左フックに対してカウンター!このボクサーもまた、半端ではありません!
頭をつけての打ち合い、からの豪打をヒットしたのは佐々木!レフェリーが関根を注意深く見ます!
ストップ目前か、というところですが関根は強いパンチを打ち返し、この強気の姿勢で佐々木の追撃をやや弱め、コツコツとしたパンチを当て続ける事で徐々に回復していきます。
相変わらず危険なスイングの佐々木ですが、関根はこれはあえて距離をつぶすという選択もしています。このラウンドも佐々木のラウンドながらも、関根は初回のダウンのダメージからは随分回復したようにも見受けられます。
3R、試合を決めようとしたか、佐々木は鋭いチャージ!強く、速い左フックを見舞い、早々2関根はピンチ!しかしその佐々木の攻めをしのぐと、丁寧なコンビネーションで巻き返しを図ります。
手数、ヒット数ともに関根、ですが、佐々木は一発でそれをひっくり返し、手を出さない時間は長いものの手を出すとなるとまとめて手を出し、見栄えも良い。
更に、この佐々木尽というボクサーは体が強い分非常にブロッキングが固く、そして打たれ強くもあります。このボクサーを倒せるとするならば、強振してくる左フックにあわせるカウンターではないでしょうか。
グイグイと推していく佐々木ですが、関根の方もブロッキングを含めたディフェンスもよく、クリーンヒットは少ない。ただ、この佐々木のパワーパンチはガードの上からもらってもやばさが伝わってきます。
4R、頭をつけての距離から、関根はコンビネーション。少し距離があけば、ジャブ。これは良い攻撃で、佐々木は左フックを単発で返すのみ、ということが多い。
一発か二発の佐々木に対して、関根はコンビネーションとアングルに優れます。
一発のパワーは佐々木ですが、コンビネーションやヒット数、ディフェンスは関根、という展開。関根は佐々木のパンチに随分慣れてきたようにも思います。
5R、ガードを固めて強気に前進する佐々木、丁寧にジャブを上下に散らす関根。接近しても関根はボディから顔面へコンビネーションを返しますが、佐々木はこの近接戦闘で使えるパンチが限られています。その分、関根にとってはブロッキングはさほど難しい事柄ではないようです。ブロッキングがノーダメージか、というとそうではありませんが。
中盤、関根の右アッパーがヒットする等、ヒット数では明らかに上回ってくる関根。ただ佐々木のタフネスは異常であり、もらいながらもパンチを返せてしまうところは怖い。まったくもって体幹もブレません。
最終盤、振りが大きい佐々木に対して関根の左フックがカウンターとなってヒット!流石にこれは効いてしまった佐々木、ダウン!!!
立ち上がったところでゴング!!!
関根幸太朗、終盤にきて値千金のダウンをゲットです!
ファイナルラウンド。
これは。。。このラウンドを取ったほうが勝つのかもしれません。
佐々木は強いジャブを突いたり、誘いこんでみたりと先程のダウンダメージを感じさせません。当然激しい打ち合いとなったラストラウンドでも、序盤に関根の左カウンターがまたヒット、それでも強気に打ち返す佐々木!この人のタフネスは本当にどうなっているのか。
お返しに佐々木が左フックを当て返すと、関根も左フックをリターン。
両者の意地と意地が、拳に乗ってその文字通りにぶつかり合う展開!
これでもかというほど恐ろしいタイミングで強打と強打が交錯し、数秒あれば終わってしまう強打者同士が顔面へのパンチを交換しあいます!
KO決着必至、といわれたこの一戦は、互いに一度のダウンを奪い合うという展開で、判定へ。
判定は、57-55×1、56-56×2でドロー。
前半は佐々木が、後半は関根が、というイメージでしょうか。
いやぁ、素晴らしい戦いでしたね。
クリーンヒットが多かったのは関根の方だったと思いますが、ダメージが甚大なのも関根の方だと思います。特に初回のダウンは、あと10秒あれば一気に試合が終わってしまっていたかもしれないダウンで、あそこから本当によく盛り返しました。
実は私は関根を応援していましたが、本当にヒヤヒヤしました。2Rあたりには諦めそうにもなりました。
しかし、しっかりと持ち直して5Rにはダウンを奪い返した様は、プロ4戦目のボクサーとは思えないほど「プロボクサー」でしたね。関根幸太朗の今後には期待が大きいです。
そして日本ボクシング界の誇るロマンの塊、佐々木尽。このボクサーはやはり破格のパワーを誇り、やや粗さはあるものの本当に魅力的なボクサーです。
パワー偏重で、後半にいけばいくほど対応されてしまう、ということが課題なのかもしれませんね。かといってこれが8Rとか10Rとかの戦いであれば、関根が勝っていたという保証はありません。佐々木のパンチングパワーは、ガードの上からでも十分ダメージを与えていたようにも見えました。
今日の動きをみるに、やはり佐々木はスーパーライトの方が良いような気がします。体重超過により、強制的に階級を上げさせられてしまいましたが、今回はスーパーライト級+1kg。全然いけるでしょう。
規定がどうなのかは知りませんが、またスーパーライト級の佐々木尽を見たいものです。
そして名勝負となった2022.7の佐々木vs関根。ともに実力を蓄え、またいつか再戦も見たいですね。
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