七夕も過ぎ、あっという間に7月も中旬に差し掛かります。
われらがボクシング界では、唯一の地上波プレイヤーである4階級制覇王者、井岡一翔が登場です。
ボクシング興行としては久々の地上波、それもそのはずで現在地上波のボクシングといえば井岡を除いて他には登場しません。
私もめっきりテレビはつけなくなりましたが、ちゃんと一般層にも届くようにプロモーションされていれば良いな、なんて思います。
ということで今回のブログでは、大注目の井岡一翔vsドニー・ニエテスのプレビュー記事です。
↓アンダーカードはこちら
7/13(水)大田区総合体育館
WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
井岡一翔(志成)28勝(15KO)2敗
vs
ドニー・ニエテス(フィリピン)43勝(23KO)1敗6分
井岡一翔、4階級目の5度目の防衛戦はドニー・ニエテス。
よくもまあ、厄介な相手ばかりを防衛戦で指名されるものかと思いますが、これこそが現在のスーパーフライ級の現実なのでしょう。
引退から復帰した後の井岡のキャリアは、ものすごい。←語彙力!
アメリカでマックウィリアムス・アローヨ(プエルトリコ)を完封し、4階級制覇をかけてマカオでニエテスと激突。
この試合は僅差の判定で落としたものの、ニエテスがすぐさま王座を返上したため、再起戦がWBO世界スーパーフライ級王座決定戦となりました。
以前、ニエテスと引き分けているアストン・パリクテ(フィリピン)との王座決定戦となりました。
強豪、パリクテを会心のパフォーマンスで10RTKOして4階級制覇に成功した井岡は、初防衛戦で技巧派ジェイビエール・シントロン(プエルトリコ)を退けます。
2度目の防衛戦は3階級制覇王者、田中恒成(畑中)。
非常に勢いのある若き王者の勢いを殺す、いぶし銀のパフォーマンスで5RTKO勝利を飾り、続く3度目の防衛戦も元王者、フランシスコ・ロドリゲス(メキシコ)を相手に成功。そして前戦となる4度目の防衛戦は角海老宝石ジムの福永亮次を完封しています。
ロドリゲス戦、福永戦は統一戦が囁かれる中での防衛戦となり、モチベーションとしては非常に難しかったのではないか、と思いますが、そこでしっかりと勝ち切ることについては流石としか言いようがありません。
そして次こそは、というところで交渉中だったIBF同級王者、ジェルウィン・アンカハス(フィリピン)がこけてしまい、またも不運な通常の防衛戦に落ち着いてしまいました。
しかし、このニエテスに対しては、一度敗れているボクサーということもあり、ここ数戦の防衛戦の中でも井岡のモチベーションは高い方だと思われ、それに応じてパフォーマンスも向上するのではないか、と思っています。
さて、ドニー・ニエテス。
ニエテスは2018年末に井岡に勝利して4階級制覇を成し遂げたあと、王座を返上。
理由は、指名挑戦者だったパリクテとの対戦を避けた(同国人対決は嫌だ、と。)とのことだったと記憶しています。
ここからのカムバックに時間を要し、リング復帰は2021年4月。井岡、ルイス・コンセプシオン、フランシスコ・ロドリゲスとも対戦経験のあるパブロ・カリージョ(コロンビア)を無難に退け、再起を果たしています。
その後、同年12月にノルベルト・ヒメネス(ドミニカ共和国)とドローを演じ、今回の一戦となります。
このヒメネス、2014年末に河野公平(当時ワタナベ)の持つWBタイトルに挑戦して、ドローで失敗に終わっているボクサー。世界王者と同等の力を有してはいるものの、世界タイトルに縁のないボクサーですね。
ニエテスもヒメネスもドローが多く、当時ふたりあわせて10分という戦績というのはおもしろい。
さて、ふたりは3年半ぶりの再戦となります。
初戦から、どちらがより濃密なキャリアを描いてきたか、というとその差は明白で、当然井岡。
前戦は、接近戦を仕掛ける井岡、それに対してカウンターを狙うニエテス、という構図で、ニエテスのほうがパワーパンチの見栄えがよく、ポイントを徐々に蓄積していった、という感じがします。
ただこの試合、日本でやれば井岡が僅差で勝っていたのではないか、とも思える試合。
おそらく、いや十中八九、井岡は再戦に強い、インテリジェンスの高いボクサーであり、前戦の反省を活かしてより対策を練れるのは井岡だと思います。
具体的には、前戦で狙われた打ち終わりのケア(これについてはバース・デイという番組で井岡が言及している場面もありました)、そしてやや突っ込みがちになってしまったことの修正。
この「突っ込みがちになってしまった」部分については、ニエテス第一戦の前のアローヨ戦でもそうで、この時は「アグレッシブになった」とも思っていましたし、パリクテ戦でもそのアグレッシブネスは有効に作用していたと思うので、この時の井岡の戦略としては間違っていなかった、と思います。ただ、この時はニエテスがやや上を行った、という結果。
ここ数戦の井岡は、以前の「待ち」の戦い方に戻しているように感じ、同じ轍を踏むとは考えづらい。それでいて、そのフィジカルはよりスーパーフライ級にフィットし、そのブロッキングには非常に安心感を覚えます。
ニエテスに関しては、前戦の出来が悪かった(見ていないですけど。)とはいえ、安心できるようなボクサーではなく、今回はタイトルもかかるということでそのモチベーションは高いでしょう。
ただ、一度勝利している相手との一戦では、どちらがより対策を練れるか、どちらがより気持ち的に追い込めるか、というと、ニエテスにとっては戦いづらい(はず)の一戦でもあります。
いずれにしろ、この勝負の勝敗は、井岡一翔のパフォーマンスと戦略にかかっており、井岡の戦略がどう出てくるのかわからないニエテス側にとっては対策が立てづらく、前戦の感覚をもとに戦略を組み立てるしかありません。ニエテスが前戦からそのボクシングを大きく変えてくるということは予想しづらく、試合前の準備段階においては優位なのは井岡のほう、と言えます。
以上のことから、個人的には、井岡一翔の圧巻の勝利を期待したいものです。
放送・配信
この井岡一翔vsドニー・ニエテスの興行は、TBSで生放送。
地上波!!!
ボクシング中継においては絶滅危惧種である地上波生中継、これは井岡のあとは誰かが引き継いでくれるのか。そこに堤駿斗(志成)を当てはめようということなのかもしれませんが、海外での活躍も期待される堤をそこに入れるのはもったいない気もします。
21:00~22:00という放送枠で組まれているのは井岡vsニエテスの一戦のみ、アンダーカードは18:00頃からParaviで配信とのこと。これもセミセミの森武蔵はぶっ飛ばされるという謎のイジメを受けているのは意味不明なことですが、セミの比嘉大吾、堤駿斗のデビュー戦の配信はあるらしい。何ですかね、大人の事情?ただただ、画像が載っていないだけで、本当は配信してくれることを願うのみですね。
とにもかくにも、1試合だけでもお茶の間に届く試合があることは悪いことではありません。井岡にはインパクトのあるKO勝利を期待するのみです。
↓Paraviはこちら
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