FODは、開始時間に間に合わなくても追っかけ再生ができるので有り難い。ABEMAのように画面の中に余計なものもなく、シンプルで非常に見やすいのも良いところ。
これまでのテレビ放映の流れを組んでいるので、おっさんにとっては非常に見やすいです。
今日は仕事が終わった後、第1試合からしっかりと視聴です。
ということで今回は、7/12(火)に行われたフェニックスバトルの観戦記です。
↓プレビュー記事
7/12(火)フェニックスバトル
山川健太(大橋)vsザップ大森(博多協栄)
ラオウの格好で入場したザップ大森。これは応援したくなる。。。
IH覇者、山川と世紀末覇者の一戦は、接近戦を仕掛けるザップに対して山川は距離感を大切に対応。2R目以降は近い距離で打ち合う場面も多く、山川も多彩なパンチで受けて立ちます。
3Rには山川は左ボディを効かせてザップを下がらせると、その後も接近戦で打ち勝って規定の4Rを終了。フルマークの判定で山川の勝利。
山川はしっかりとプロに対応しているように見えました。ザップ大森も、アマ経験豊富な山川を相手に非常に健闘が光りましたね。
山川健太、この相手とのデビュー戦は非常に糧になったのではないでしょうか。この打撃戦の4Rを終えた後のザップ大森の笑顔も印象的。これはやっていた本人たちも楽しかったのではないか、と思います。
田中湧也(大橋)vs冨田風弥(TRIBE)
長身サウスポー同士の一戦。
変則的な冨田はやや振りの大きいパンチを振り回し、田中に迫ります。これも一つの「リーチの活かし方」なのかもしれません。
田中はステップで躱してカウンター、という対応で、このあたりの距離の把握はやはり秀逸。しかし初回終盤、冨田の右フックがヒットして田中はダウン。ダメージはなさそうで、なにかアピールしていたのでもしかすると足が絡まったとか、そういう事かもしれません。
早々にビハインドを受けた田中でしたが、その他のラウンドは抜群の距離感を活かしてのカウンター戦法で冨田を翻弄。冨田も迫力あるパンチで迫り、いくつかのヒットを奪うもののアップセットは起こりませんでした。
採点は58-55×3で田中湧也の勝利。冨田も初回にダウンを奪い、その後もかなりの被弾を許しながらも前進するという大健闘。プロの意地を見せるとともに、アマエリート、田中にプロの洗礼を浴びせたと言って良いでしょう。
田中にとっては非常に貴重なデビュー戦の経験、プロの「何が何でも勝ちに行く」という姿勢を大いに学んだのではないかと思います。
中垣龍汰朗(大橋)vs近藤冬真(蟹江)
さて、この試合は非常に楽しみ。大橋ホープ、中垣は、近藤冬真というしっかりとキャリアのある「プロ」ボクサー相手にどのような戦いを見せるか。中垣優位は揺るがないものの、近藤が噛み付く可能性は大いにあります。
初回、オーソドックス、近藤はプレス、ガードを固めてインに入ります。中垣は右リードを出して距離を調整しますが、近藤は中垣のジャブを気にせず前進。後半に行くに従って近藤のプレスが効いて、「距離が詰まってしまって」いる状態になります。
2R、序盤に近藤の右オーバーハンドがヒット!中垣は後退、近藤はチャンス。その後も近藤が距離を詰めて連打を放つ場面も多く、ややガード一辺倒になってしまう中垣。
ごちゃごちゃした戦いになれば、キャリアにまさる近藤に分がありそうです。
3Rも強いプレスを旺盛な手数で中垣にボクシングをさせない近藤!これはひょっとするのか!中垣は時折良いコンビネーションを見せますが、手数不足。
4R、序盤は近藤の入り際にカウンターを打った中垣、しかしその後は近藤がしっかりと距離を詰めます。近接戦闘ではやはり近藤の手数、そしてこの距離での近藤は非常に強弱、上下のコンビネーションに優れます。
5Rも展開は同様、中垣も手数がでてきましたが、近藤の近接戦闘の技術、そしてしつこさは素晴らしい。近藤の体にはパワーがみなぎっており、打たれても必ず打ち返します。疲れているのは中垣の方かもしれません。
6Rも序盤から近い距離。中垣はこのラウンドしっかりと押し返し、セコンドの指示か手数も出ています。ただ、時間が進むにつれて徐々に手数は減り、そして一向に衰えをしらない近藤の前進にやはり近藤のラウンドか。
7R、自分のペースで戦う近藤はまだまだ気力十分、相手に合わせてしまっている中垣はかなり厳しい。
ラストラウンド、行くしかない中垣はこのラウンド、良い攻めを見せます。しかし近藤も中垣の打ち終わりにしっかりと打ち返し、譲りません。
規定の8Rを終了し、判定は77-75近藤、78-74中垣、76-76のドロー。
1-1の判定で、引き分け。
この判定は、本当でしょうか。映像で見る限り、どのように考えても近藤の勝利だと思いました。映像で見るのと現地で見るのとは違いますので、何かしらのバイアスがかかったとは考えたくありませんが、私の目には少なくとも近藤の勝利、と映りましたね。
保田克也(大橋)vsクライ・セッタポン(タイ)
初回、非常に静かな立ち上がりから、保田の踏み込みにあわせてセッタポンはショートの右。これで保田はダウン!2Rもカウンター狙いでやや消極的な戦い方のセッタポンを攻めきれません。強いプレスで接近戦に持ち込むか、セッタポンに右を出させて、逆にカウンターを取りたいところ。
3R、保田が軽いジャブでフェイントをかけつつ、強い左。これでセッタポンは少しやりづらくなったか。距離を詰めれる場面も少し増えてきたような気がします。
4R、保田が少々余裕が出てきたか。フェイントを使うようになればセッタポンも的を絞りづらく、結構反応してくるのでタイミングを外しやすい。
ボディジャブから左ストレート、ボディへの左ストレート、保田のステップインは勢いが良く、後半にはボディ乱打も出す等少しずつ良いペースになってきます。
5R、ここもペースは変わりませんでしたが、中盤、保田が鋭い踏み込みから左フックをヒット!これでセッタポンはダウン!立ち上がったセッタポンに対してやや大振り気味に攻める保田、コーナー際に詰まったセッタポンに連打を浴びせてこのラウンド二度目のダウンを奪取。
終盤にもセッタポンは転び、これもダウンで良かったと思いますが、レフェリーの中途半端なアクションではスリップ。本当にこのレフェリーのレフェリングは微妙です。
6R、開始早々またも鋭い踏み込みから左ストレートをヒットし、ダウンを追加した保田。これでレフェリーはストップ。
保田克也、6RTKO勝利!
このセッタポンはなかなかの曲者で、保田としては相性のよくない相手だったと思います。初回にダウンを奪われる立ち上がりから、逆転のノックアウト勝利は、保田にとって大きな経験になったでしょう。
素晴らしいノックアウト勝利でした。
桑原拓(大橋)vsパリニャ・カイカンハ(タイ)
スリヤンの実弟というカイカンハ。とはいえまだプロ4戦(4勝4KO)、未知です。桑原としては触らせないで勝つ、くらいの実力を見せてもらいたい。
初回、桑原はやはり驚くほど速い。ダブルジャブに会場はざわつきます。カイカンハも反応は良いですね。桑原のスピードについていけず、手がでないカイカンハ、とりあえずブロッキングでしのぎます。
動いて打つ、動いて打つ、桑原。非常に小気味好いボクシングでカイカンハを寄せ付けません。このボクシングは素晴らしい。
2R、カイカンハが鋭い攻めを見せ始めます。桑原は緩急、強弱をつけたコンビネーションで動きながらの対応、中盤には素晴らしい左ボディを突き刺します。
後半、カイカンハの入り際に右アッパー!!ダウンしたカイカンはを見て、レフェリーは即刻ストップ!!!
桑原拓、2RTKO勝利!!
いやー、どんどん強くなるスピードスター、桑原拓。カイカンハは戦歴の割にやはり強さを感じるボクサーではありましたが、ほぼ被弾なく、最後は本当に素晴らしい右アッパーカウンターを決めました。
まさにFloat like a butterfly,Sting like a bee。
負けを糧に強くなる、桑原。やはりこのボクサーには華があり、めちゃくちゃかっこいい。
スーパーバンタム級8回戦
中嶋一輝(大橋)11勝(9KO)1敗1分
vs
カルーン・ジャルピアンラード(タイ)51勝(24KO)11敗1分
ジャルピアンラード、めちゃくちゃ言いにくい。ペッチバンボーンで良いじゃないか、と思いますが。スーパーバンタム級戦ということで、かなり余裕のある体つきをしていますね。
さて、ワンパンチフィニッシャー中嶋は、このジャルピアンラードに対して強さを見せつけられるか。
初回、ジリジリとプレスをかける中嶋。1分頃にはジャブから左ボディ、その後もワンツーを主体として攻め入り、ジャルピアンラードはなかなか手が出ません。
かなりダメージを感じさせるジャルピアンラード、ここはディフェンシブにしのぎます。
2R、中嶋はよくジャブが出ます。このフリッカー気味のジャブは素晴らしい。そして右アッパーから左を返すコンビネーションも秀逸、パンチも多彩です。
ほぼやりたいようにコンビネーションをヒットしている中嶋ですが、ジャルピアンラードのタフネスはかなりのもの。
中嶋はやや長めの距離でコンビネーションを放ち、まるでミットやサンドバッグを打つかのように攻撃を重ねていきます。
3R、相変わらずジャブの良い中嶋ですが、やや右ガードが低いため、ジャルピアンラードの左フックのリターンが怖いところ。
プレスをかけるのはジャルピアンラードですが、中嶋は下がりつつもしっかりと打ち込み、ジャルピアンラードの攻撃に対してはステップで対応、このステップが攻撃時にも作用しています。
4R、何度も言いますが、中嶋は本当に右リードの使い方がうまい。ちょんちょんと触れるジャブ、ストッピングジャブ、強いジャブ。そして右フックで回る。その右フックからの左アッパー、もしくは左ストレート。
ジャルピアンラードは前進するのみでなかなかパンチを出す事はできず、やりたいことができません。
終盤、中嶋は「自分のパンチだけが当たる距離」でのラッシュを見せて会場を沸かせます。フィニッシュは近そうです。
5R、ジャブを突いてプレスをかける中嶋。ジャルピアンラードはカウンター狙いなのか、ダメージがあるのか。
ロープに詰まったジャルピアンラードに長い距離から左ストレートをヒット、その後やや誘いこんでの右アッパー!
これにダメージを見せたジャルピアンラードにラッシュをしかけ、ストップを呼び込みました。
中嶋一輝、5RTKO勝利!
最後の詰めは本当に冷静で、見事。ただただ手を出すだけでなく、相手のことをしっかりと見て、打つ場所、アングル、タイミングをそれぞれ変えながらのラッシュ。
中嶋は槍のようなストレートを突き刺し、しかもそこからの返しができて、様々なアングルから強いパンチが打てる素晴らしいボクサー。最後は空いているところをしっかりと狙い、焦らず、じっくりと相手を料理する様は、非情さを感じるラッシュでした。
この中嶋も、栗原戦での敗戦以降、また一つ強くなった感じのするボクサー。
「負けても立ち上がる」負けを恐れないマッチメイクをするフェニックスプロモーションの一つの恩恵と言って良いでしょうね。
日本スーパーウェルター級タイトルマッチ
川崎真琴(RK蒲田)13勝(2KO)8敗1分
vs
丸木凌介(天熊丸木)18勝(13KO)7敗1分
激闘が予想されるメインイベント!
苦労したタイトルの初防衛戦で気合の入る川崎か、4度目の日本タイトル挑戦となる丸木か。
両者の意地と意地がぶつかりあう、好ファイトが期待されます。
初回、まずはジャブの差し合い。そこからややプレスをかけていくのは王者川崎、丸木はサークリングしつつコンビネーションで攻め込みます。
ラウンド終盤にも丸木がコンビネーションで攻め込み見せ場を作ります。
ともに良い立ち上がりに見えます。
2R、リング中央を陣取るのは川崎、丸木は動きながらコンビネーション。ともに持ち味を発揮しつつ、互角の展開に見えます。
丸木がコンビネーションでヒットを奪えば、川崎も相打ち気味にヒットを奪います。川崎の右カウンターは非常に怖い。
3R、前ラウンドの後半くらいから丸木がややアグレッシブに変えてきたか。そこに合わせようとする川崎のパンチが怖いところはありますが、先に攻め込むのが丸木、川崎はやや後手か。
中盤以降は川崎が先手、このあたりもシーソーゲーム。後半に入ったところで川崎の右オーバーがヒット、このヒットは印象的に大きいかもしれません。
徐々に川崎がクリーンヒットで上回ったように見えた、というところで丸木が強く攻め入り、ヤマ場を作ります。
4R、川崎は良いタイミングでの左フック、右ストレート。単発気味ではあるものの、的確なパンチを選択します。
丸木の方がコンビネーションで数発出すことが多いので、このあたりはジャッジの好みの分かれるところなのかもしれません。
5R、丸木が良いジャブ。川崎は速い左フック、は良いですが、やや単発。これは丸木がしっかりとガード、これだけ見せられれば対応できるようになりますね。
中盤、川崎の入り際に左ボディをヒットした丸木。ステップワーク、ジャブも含めて良いリズムに乗ってきた感じがします。
後半にも川崎のワンツーをかわして左ボディ、その後も右アッパーをヒットした丸木。ここは丸木が明確にとったラウンドかもしれません。
途中採点、48-47×1、49-46×2で川崎。思ったより、開いています。
6R、ここで焦ってはいけない丸木。川崎はこれまで通りの戦いで良い、とはいうものの、川崎のカウンターは単発気味です。
もう1ポイントも与えられない丸木はプレッシャーを強めて前に出る場面が多く、そこでカウンターをもらってしまうので少し見栄えが悪い。
7R、丸木は積極的に前に出て、右ストレート、左ボディ。ポイント的には後がありません、良い判断です。
前に出る分、カウンター狙いの川崎のパンチももらってはしまいますが、ここは引けないところです。
丸木の左ボディは強烈で、非常に効果がありそうですが、川崎のパンチも単発ながらもタイミングが良い。
8R、サークリングしながらコンビネーションで攻め込む丸木、ただ右ガードが下がってしまうので川崎の左フックをもらってしまいます。
ここは思い切って接近戦をしかけたい丸木ですが、ちょっと中間距離で時間を使いすぎか。
後半はボディからアッパー、良い攻撃を見せる丸木!もう少し、しつこくいきたい。
9R、ガードを固めて前進、コンビネーションの丸木!川崎は応戦するものの、丸木の方が手数、アングルに優れます。
それでもやはり川崎の左フックのタイミングはよく、これは丸木にヒット!
それでもこの左をもらいながらもガンガン打ち返し、非常にパワフルでアングルも素晴らしい攻撃を見せます!
惜しむらくは、この攻撃がもう少し、早めにできていれば良かったかもしれません。すでにポイントは厳しく、後は倒すしかありません。
ラストラウンド、丸木が左右のボディを叩いてスタート。川崎もガードを固めて耐え、打ち返しますが丸木の方が手数に大きく優れます。
丸木が川崎のパンチをかわして右をヒットすれば、川崎も左フック、右ストレートをヒット。
近い距離、頭をつけての打撃戦!
両者の気持ちと気持ち、意地と意地がぶつかりあう超胸アツな打撃戦は、非常にパワフルなパンチを放っていく丸木が川崎を上回り、ラウンド終了のゴングを聞きました。
判定は、3者ともに95-95でドロー。
川崎真琴、ドロー防衛!
前半とられすぎてしまった丸木、残念でした。明確にとったというラウンドは丸木の方が多かったように思いますが、序盤の「どちらにも振れそうなラウンド」が軒並みチャンピオンに流れてしまったのも仕方のないことです。
本当に惜しい試合でした。
ドローながらも見事初防衛を果たした川崎真琴、「ほっとした」は本音でしょう。
「日本チャンピオンが限界」「日本チャンピオンの価値を上げるために防衛をしていきたい」と語った川崎。快勝とはいかなかったまでも、ここまで目標が明確で、正直なチャンピオンもまた珍しく、その目標というものがまた非常に現実的でもあり、好感が持てます。
この経験を経て、また一つ、つよくなったのかもしれません。
今後のスーパーウェルター級戦も注目していきたいと思います。
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