今、もっとも統合されてほしいVODはFOD。
この月にたった一度のボクシング視聴のためにFODに加入しているのは正直もったいない。
しかし隔月でフェニックスバトル、ダイヤモンドグローブを放映しているから、やめるにやめられないのもまた事実。
9月は奇数月、ということでフェニックスバトルなわけですが、Leminoでも何でも良いからとにかくプラットフォームをもう少し統一してほしい。
ということで愚痴から入った今回のブログは、9/12(火)に行われたフェニックスバトルの観戦記。
9/12(火)フェニックスバトル
スーパーフライ級6回戦
中垣龍汰朗(大橋)3勝(2KO)1敗2分
vs
馬場龍成(三迫)1勝2敗
ともに偉大なアマ実績を残した両者のサバイバルマッチ。非常に酷な言い方にはなりますが、両者ともにプロ入り後は結果を出せていません。
特に中垣にとっては動機の松本圭佑(大橋)がすでに日本王者にまで上り詰め、焦りもあるのではないでしょうか。
これはどちらにも負けてほしくないし、いつか浮上してもらいたいと願う戦いですが、ボクシングとは非常なもの、どちらかが更に黒星を重ねる結果になるのでしょう。
さて、ゴング。
初回、前手の探り合いからオーソドックスに構える馬場が右を伸ばします。中垣もサウスポースタンスから惜しげもなく左を使っていきますが、このラウンドは馬場の右の方が当たっている印象です。
互いに大きく動くことはなく、リング中央で中間距離での戦いの中、後半には馬場の突き刺すようなジャブもヒットし始めます。
2R、気合を入れ直したか、細かなジャブでペースアップした中垣は、テクニカルな右アッパーをヒット。中盤は馬場の右、これを中垣は外せないのでブロッキング、ただやはり身体の何処かに当てることで馬場は勢いがついてきます。
二人とも気持ちの入った素晴らしいファイトです。
3R、馬場の位置取りをみると必ずと言って良いほど前足を中垣の外側にもっていく馬場。基本通りの素晴らしい戦術で、このラウンドもより多くのストレートをヒット。
中垣は先手を取ろう、としているのはわかりますが、どうしてもポジショニングが悪く、それでも打ちに逸ってしまう分どうも良くありません。本来はもっと当てさせないボクシングに徹したほうが良さそうですが。
4R、近い距離。やはり馬場が上手く右をヒット、その後もフォローもポンポンと出ます。馬場はかなり打ちやすさを感じており、中垣はかなり打ちにくいのではないでしょうか。
上下の打ち分けもよく、打った後のピボットめいたサイドステップでポジションを変える馬場、中垣はこれに上手く対応できていません。
5R、中垣は力押しのボクシング。ただこれが真っ直ぐすぎて、ポジショニングを変えていく馬場が上回ります。互いに下がりはしないからこそ、馬場のサイドからの攻撃が活きています。
う〜ん、やっぱり中垣はやはり近い距離で戦うべきボクサーではないのでしょうか。。。
終盤、中垣の左を躱して右を打つ馬場。勝利は目前に思います。
ラストラウンド。もうラストラウンドです。
先に手を出すのは中垣。左右のアッパー、特に前手の右アッパーは素晴らしいアングルですが、馬場も上下に打ち分けて譲りません。
最後の最後まで気持ちと強いパンチを振るう両者は、どちらも下がることなく、そしてリング中央から戦いの場を譲ることなく規定の6Rが終了。
判定は、58-56×2、59-55で馬場龍成。
気持ちを見せた中垣でしたが、及ばず。
どちらが勝つにせよ、寂しい気持ちになりそうな一戦でしたが、やはりそうなりました。
勝利した馬場も、敗北した中垣もまだ若く、まだまだこれからのボクサー。
今後の活躍に期待したい。
ミニマム級8回戦
石井武志(大橋)7勝(6KO)無敗
vs
リト・ダンテ(フィリピン)20勝(11KO)11敗4分
順調に勝ち星を重ね、2022年の全日本新人王に輝いた石井は、その後タイ人を相手に2連続KO勝利を重ねてA級2戦目を迎えます。
小浦翼(E&Jカシアス)に勝利した経験を持つリト・ダンテは何度も来日しているボクサーで、元OPBF王者で現在も下位ながらも世界ランクを保持しているようです。
石井にとっては、ここがステップアップファイト、良い相手を選んできたものだと思います。
キャリアがあり、侮れない相手ではあるものの、石井ならダンテに初のKO負けを味わわせられるのかもしれません。
初回、まずプレスをかけていくのは石井。ダンテは怯むことなく踏み込んで石井のボディを叩きます。
ミニマム級とは思えないほどの打撃音が鳴り響く後楽園ホール、比較的近い距離で戦う両者ながら、クリーンヒットはそう多くはありません。
2R、ハイガードでプレスをかける石井。ダンテも大きく振り回すようになってきており、これは怖い。石井の打ち終わりにパワーパンチを打つダンテに対し、前半、石井はなかなか攻め入ることができず、ガードポジションから脱することができません。
中盤に入ると石井は力強い攻撃を見せますが、それでもやはり先に手を出すのはリト・ダンテ。
後半、石井の左ボディが幾度となくダンテを襲います。これは効果的でしょう。
3R、更に力強いボディを打つ石井。このボディに活路を見出そうというところなのでしょう。
ダンテはあからさまにこのボディを嫌がり、ストレートの距離で戦おうと左を伸ばします。
とはいえ、石井のパワーにやや圧され気味のダンテ、徐々に手数は減ってきたように思います。
4R、互いにパワーがあり、叩きつけるような右を打ちますが、パワー、勢いはやや石井に分があるように見え、ボクシングの老獪さ、タイミングについてはダンテに分があるように見えます。
5R、ちょっとチャージをかけたか、石井がゴングと同時にプレスを強めて強打。ダンテはクリンチやピボットを使い、この石井の攻撃を分断。
この戦いこそがダンテに「11敗しながらもKO負けは1度もなし」を与えた戦法でしょう。
6R、後ろ荷重に構えるダンテはリターンとカウンター。前半、石井の左フックを躱しての右ストレートはいぶし銀です。
しぶとく攻める石井、ごまかすダンテ。
7R、近づいて強いパンチを打ちたい石井、近寄られたくないダンテ。ダンテはストレートの距離でストッピングジャブからストレート、先に攻めるパターンだと怖さはありませんが、やはり距離は詰めづらい。
ラストラウンド、石井は非常に力強い攻撃。しかしダンテは必ずリターンを返し、やはりこのボクサーはボクシングを知っています。
後半にかけてやや疲れの見える石井、ダンテは良くも悪くも変わらない中で何とか踏ん張ってラウンドが終了。石井が少し単発気味になってしまったのは、やはりキャリアの差と言って良いでしょう。
判定は、77-75ダンテ、77-75石井、そして77-75ダンテ、リト・ダンテの勝利!
惜しくも敗れた、石井武志。
非常に柔らかなボクシングで巧さを見せたリト・ダンテ。日本人キラーぶりを発揮しているダンテは、これで日本では3勝1敗1分。とにかくダンテを超えられませんね。
WBOアジアパシフィック・ライト級タイトルマッチ
保田克也(大橋)11勝(7KO)1敗
vs
ジュン・ミンホ(韓国)15勝(4KO)4敗2分
前戦でタイトル初戴冠を成し遂げた保田の初防衛戦は、三代大訓(ワタナベ)に番狂わせの勝利を演じたジュン・ミンホ。
厳しい言い方をすると、保田は前戦がかなりの泥試合であり、あまり良いパフォーマンスとは言えない内容でした。なのでこの試合は、「王者の証明」がかかる一戦となりますね。
ジュンとしても前戦の勝利がフロックではなかった、と証明するには、ここに勝利しなければいけません。
これはなかなか予想のつけづらい試合ですね。
初回、まずダブルジャブで攻め込むジュン。サウスポー保田はまずサークリング、右へ右へと回ります。
ジュンは非常に腕が長いですね。そこから長い右が伸びてきます。
中盤以降は前手をいかに当てるか、の勝負となり、なかなか試合は動きません。
2R、フェイント、踏み込み、先に仕掛けるのはジュン。保田はやや後手ながらも若干ジリジリとしたプレスをかけています。
3R、互いにバックステップが良く、攻めに関しては距離で外しています。クリーンヒットは非常に少ない展開、どちらも打てば引く分ちょっとおもしろい試合とはなりません。
4R、保田のボディジャブ、左ボディストレートは単発ながらもヒット。ただ距離が詰まるとジュンの回転力が勝る印象、クリーンヒットこそないものの不用意に近づくことは避けたいところ。
互いに少ないヒットながらも、ここまではやや保田が上回るか。
と思った後半、保田のワンツーがクリーンヒット。これまでのボディが伏線となっているのかも。
5R、少しずつ手数が出てきた両者、ほんの少しずつ保田のペースになってきたか。ジリジリとプレスをかける保田、ジュンはちょっと動きが大きくなってきたようなイメージで、プレッシャーを感じているのかも。
6R、ジュンの右、保田の左が危険なタイミングで交錯するラウンド。これはどちらにもチャンスがあるラウンドであり、一体どちらが優勢なのかも分かりづらい。
7R、ジュンがややアグレッシブに出てきますが、保田は近接戦闘にならないように距離をキープ。後半にはプレスを復活。8Rも距離をキープして戦う保田、ジュンの攻撃は見切っているような印象。このラウンド後半は保田が強く攻め、ジュンが下がる時間が多くなります。ジュン・ミンホはちょっと集中しきれないか。
9R、こうなるとチャンスの保田。ある意味での我慢比べのような展開から、リズムをキープしているのは保田の方です。
中盤、ジュンのワンツーに対して保田が左カウンター、やはり保田はジュンのタイミングを見切っているようです。終盤にも保田はワンツーをヒット。
10R、保田はプレスをかけてジュンを下がらせ、たまらず出てきたところへのカウンター。良い戦法ですが、やはり単発でもったいない。
11R、引き続き保田が良いボクシング、ボディジャブ、ボディストレートが大きな音を立ててホールに響きます。
ジュンも必至でリターンを狙いますが、いつの間にやら後手に回っており、保田に距離を支配されている分当たりません。
ラストラウンド、ジュンは当然出るしかありません。保田もここでようやく近い距離での連打が出始め、非常に自信を持って戦っています。
それでもやはり見合う時間が長くはなってしまいましたが、最後は保田が追いかける形で規定の12Rが終了。
判定は、118-110、119-109×2で保田の勝利。
おそらくまだまだ世界は遠い。距離で外す、は良いのですが、その後が続かなければ「塩試合で勝つ」ことはできても、それは自分より劣る相手にのみだと思います。
ともあれ、セミ、セミセミで大橋戦士が敗れる中、メインをしっかりと締めた保田。今後に期待ですね。
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