日本時間10/16は、注目興行だらけ!
ミカエラ・メイヤーvsアリシア・バウムガードナー、クラレッサ・シールズvsサバンナ・マーシャルをダブルメインとするイギリス興行。同じくイギリス興行のリアム・パロvsブロック・ジャービスの方が楽しみだ、という人は流石に少ないでしょうね。
FOXのPPVファイトはデオンテイ・ワイルダーvsロバート・ヘレニウスをメインに据え、カレブ・プラントvsアンソニー・ディレルという注目ファイトをセミファイナルに従え、ゲイリー・アントニオ・ラッセルvs我らがエマニュエル・ロドリゲスという注目再戦もあり、非常に豪華な興行となっています。
この「さすがPPVファイト」の興行の裏で、あまりにも注目を集めていないであろう4団体統一タイトルマッチ。
今回のブログでは、4団体統一戦にも関わらず、世界的な注目が低いデビン・ヘイニーvsジョージ・カンボソスJrをプレビューです。
10/16(日本時間同日)オーストラリア
世界ライト級4団体統一タイトルマッチ
デビン・ヘイニー(アメリカ)28勝(15KO)無敗
vs
ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)20勝(10KO)1敗
個人的に「ドリーム」デビン・ヘイニーは、Not-Undisputedチャンプです。
ヘイニーのそのポテンシャル、負けないボクシングは評価されて然るべきではあるものの、ジャーボンタ・デービス、ワシル・ロマチェンコ等々まだまだライバルたちは多い。
2022年6月、オーストラリアで行われた、当時の3団体統一王者、ジョージ・カンボソスJrとの4団体統一戦は安全運転に徹して判定勝利、それは当たり前とも言える結果でした。
↓観戦記
↓現在のライト級トップ戦線
今回、立場を変えての再戦となりますが、この4ヶ月でカンボソスの実力が大きく変わっているとは考えづらく、あとは戦い方、というところ。
カンボソスは素晴らしいカウンターを持ち、非常に強いハートを持っているものの、前回はヘイニーの距離で遊ばれてしまった感が強い。とにかく先に動き、強引に突っ込んででもヘイニーの距離を潰さなければ、勝ち目はゼロに近いでしょう。
戦略面を練り直し、被弾覚悟でヘイニーに攻め入ることができるか、というのがカンボソスの課題。しかし、実は前戦、12Rを戦っての判定は118-110×1、116-112×2という内容であって、完敗のわりにはポイント差はさほど開いていない印象でもありました。
つまり、カンボソスの勝利への道は、このオーストラリアという、ヘイニーにとっての「どアウェー」の地の利点をどこまで活かせるか。
カンボソスが隙間なく攻め込むことができれば、もしかすると当たっていなくてもカンボソスにポイントが流れることも考えられます。(勿論、決して良いことではありません。)
但し、攻め入ればヘイニーのカウンターをもらい、逆にポイント差は開いてしまうかもしれません。
そして、前回の戦いでカンボソスを完全に見きっていたヘイニーにとっては、今戦はかなりイージーな戦いとも言えますので、以前に比べて狙ってくることも考えられます。
ともあれ、失うものが何もなくなったカンボソス、このラストチャンスにどのように賭けてくるのか楽しみです。初戦と同じような展開になる(=カンボソスが無策で臨む)というのであれば、カンボソスは世界から注目されなくなってしまうでしょう。
それでも、カンボソスが特攻精神を持って、12Rを闘うつもりなく初回からいけば、奇跡が起こるかもしれません。なのでカンボソスにとっては、これまでの21戦(それにはビッグアップセットとなったテオフィモ・ロペス戦も勿論含まれます)という成功体験を捨てて闘う必要があると思います。
カンボソスがどのような戦略を選択するのか。その点が非常に楽しみな一戦です。
ジェイソン・マロニー(オーストラリア)24勝(19KO)2敗
vs
ナワポーン・カイカンハ(タイ)56勝(46KO)1敗1分
セミファイナルには、前回と同じく「メイヘム」ジェイソン・マロニーが登場です。
井上尚弥(大橋)に果敢に挑んだマロニーは、日本のボクシングファンでも有名でしょう。
これまでの2敗は、同日にアメリカ、デオンテイ・ワイルダーのアンダーカードで登場のエマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)の持つIBFタイトルに挑んだ試合(接戦での判定負け)と、皆さんもよく知る井上尚弥(大橋)との一戦のみ。
運動量が多く、高いガードポジションを保持しながらも前後左右へよく動き、相手を混乱(=メイヘム)させるムーブから、オーセンティックなコンビネーションを放つスタイルのボクサーです。
井上尚弥がバンタム級王座を返上しさえすれば決定戦に出られる位置までこぎつけているマロニー、3度目の世界タイトル戦はもう目前であり、ここで落とすわけにはいきません。
対戦相手のナワポーンは、ナワポーン・ポーチョークチャイ、又はナワポーン・ソールンビサイという名前でリングに上がっています。
スリヤン・ソールンビサイ(タイ)の実弟で、前戦ではコンパヤック・ポープラムック(タイ)、その前にはマイク・タワッチャイ(タイ)と、日本でもおなじみのタイ人ボクサーを退けています。
2009年プロデビュー(シーサケット・ソールンビサイとドロー)していますが、まだ31歳と意外と若いですね。
これまでの敗戦は2017年の世界挑戦、ファン・エルナンデス(メキシコ)戦のみであり、年齢的にもまだ力を有している、と思って良いでしょう。
しかし、マロニーにはここは快勝で次につなげてもらいたいものですし、前戦のアストン・パリクテ(フィリピン)戦を見た限りでいうと、心配はいらなそうですね。
アンドリュー・マロニー(オーストラリア)24勝(16KO)2敗
vs
ノルベルト・ヒメネス(ドミニカ共和国)31勝(16KO)9敗6分
双子の兄、ジェイソンと同日のリング登場のアンドリュー・マロニー。
これまでの2敗はジョシュア・フランコ(アメリカ)からの2敗ですが、現在は井岡一翔(志成)にご執心で、度々対戦要求をしています。ジェイソンとは違い、一度はWBA世界スーパーフライ級王座を手にしています。(暫定を獲得後、正規王者に昇格、初防衛戦でブランコに敗北)
フランコ戦後はフローイラン・サルダール(フィリピン)に完勝、その後も2連勝して再起3連勝中です。
対戦相手のノルベルト・ヒメネス、こちらは戦績に惑わされてはいけないボクサー。
9敗していますが、そのほとんどはキャリア初期に喫したもので、2011年のプロデビュー戦から4連敗→初勝利を挙げたあとに3連敗、1勝1引き分けを挟んでまた敗戦、というキャリアでスタートしています。
その後は負けることなく勝ち続け、世界初挑戦は2014年12月末、河野公平(当時ワタナベ)を相手にドローで世界王座獲得ならず。2度目のチャンスは2019年で、カリド・ヤファイ(イギリス)に判定負けを喫しています。
2021年12月にはドニー・ニエテス(フィリピン)と引き分け、前戦は井岡一翔(現・志成)に挑戦経験もあるキービン・ララ(ニカラグア)に判定勝利を挙げています。
こちらも結構危険な相手で、マロニー兄弟は決して守りに入るマッチメイクはしないようで、やはり非常に好感が持てますね。
ジェイソン、アンドリュー、どちらも難敵と言える相手ではありますが、ここに勝って世界王者への道のりを一歩進めてもらいたいものです。
【放送・配信】
この他のアンダーカードには、前回同様ヘビー級のプロスペクト、ニュージーランドのヘミ・アヒオ(19勝14KO無敗)が登場します。
ちなみにセミファイナルはおそらくIBF世界女子スーパーバンタム級タイトルマッチ、チェルネカ・ジョンソン(オーストラリア)vsスージー・ラマダン(オーストラリア)だと思われます。
ボブ・アラムとルー・ディベラが共同プロモートするこのオーストラリア興行は、アメリカではESPNが生中継、日本ではFITE.TVがPPV生配信です。
カンボソスvsヘイニーの第一戦は、確かWOWOWが中継してくれたと思いますが、第二戦はWOWOWではなし。期待度の低さが現れていることだと思います。
この興行の放送は日本時間で10/16(日)AM9:00〜、基本的にはアメリカの土曜日夜の時間にあわせているので、メインは日本時間でお昼過ぎくらいでしょう。
メルボルンでも日曜の昼間、明るい時間に行われる興行ですね。
ただし、FITE.TVのリストは途中でなくなったり、逆に復活したりもするのでPPV購入は前日夜、もしくは当日にしたほうが良いです。
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