信太のボクシングカフェ

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ボクシングが大好きです。大好きなボクシングをたくさんの人に見てもらいたくて、その楽しさを伝えていきたいと思います。

世界のライト級戦線は強豪で渋滞中!続々登場のライト級トップ選手と、その座を狙うのは。

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つい先日のブログで、国内のライト級について書きました。

で、やはり気になるのは世界のライト級トップ戦線がどうなっているのか、です。

こういうさほどタイムリーではない話題については、書きためておくことができるわけですが、今回のブログもそういう内容。

こういう書き溜めた記事を、ブログを書けないときにアップしているわけですが、本日現在、私はとちぎ国体の視察に来ているはずなんです。私が教えている選手が出るわけではないのですが、のちのち開催される我が県の国体のための視察。これはまた非常に面倒な事に巻き込まれたものだ、と思いつつも、他にやれる人がいないので致し方ありません。望んでもいない、有給とってまで仕方なくやる、とんでもないボランティア活動です。

さて、愚痴はこれくらいにして、今回のブログでは世界ライト級のトップ戦線がどうなっているかをいつもの通りリングマガジンランキンを参考に見て行きます。

↓国内ライト級はこちら

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たった二人の世界王者

WBAスーパー・WBC・IBF・WBO世界ライト級4団体統一王者

デビン・ヘイニー(アメリカ)

ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)を降し、Undisputed王者となったヘイニー。肩書きはそうだとしても、本当の意味で「議論の余地なき」王者と認めているファンがどれくらいいるか、というとそこまで多くはないでしょう。

というのも、それはヘイニーのこれまでの経歴に起因しているところが大きい。

ヘイニーは2019年9月にWBC世界ライト級暫定王座を決定戦にて獲得していますが、この正規タイトルはその半月ほど前の8月末、ワシル・ロマチェンコ(ウクライナ)vsルーク・キャンベル(イギリス)の試合に王座決定戦として懸けられており、ここで暫定王座決定戦をやる意味があったのか、というと特にないはずです。

キャンベル戦でWBC王座を獲得したロマチェンコでしたが、このWBC王座はフランチャイズ王座へと格上げ(という名の格下げ)、正規王者が不在となったところでヘイニーがそこにおさまります。

 

その後4度の防衛戦では、元王者であるユリオルキス・ガンボア(キューバ)、ホルヘ・リナレス(ベネズエラ)を退けますが、この両雄は残念ながら全盛期を過ぎており、ヘイニーのポテンシャルを考えると評価されて然るべき相手ではありません。

むしろ、リナレスには追い詰められる場面も作り、打たれ脆さを露呈すると共に、同じく打たれ強いとは言えないリナレスをストップできなかったことも、評価を下げるこそすれ上げる結果にはならなかったのではないか、と思います。

下の階級から上がってきた元王者ジョセフ・ディアス(アメリカ)にも判定勝利を挙げますが、これも決して評価を高める試合にはならないでしょう。

そして3団体王者、ジョージ・カンボソスJrとの一戦すらも然りで、当然のように勝利はするものの、素晴らしいパフォーマンスを見せたというよりも当たり前に戦って当たり前に勝った、という印象。おそらく再戦でも初戦の繰り返しとなることが予想されます。

これはこれで素晴らしいことですが、やはりエキサイティングさに欠け、リスクを取らないボクシングは人気に直結しづらく、「アメリカ人」というアドバンテージを持つにも関わらず(相手が3団体統一王者とはいえ)オーストラリアに(それも2度も)出かけなければいけない、というのは「金にならない」と言われているようなものです。

 

WBAレギュラー王者

ジャーボンタ・デービス(アメリカ)

さて、そんなデービスと比べ、同様に比較的安全にマッチメイクされているにも関わらず、大人気なのがジャーボンタ「タンク」デービス。

2017年にホセ・ペドラサ(プエルトリコ)を7RTKOで仕留めた時は、とんでもないボクサーが出てきたと世間を賑わせたものです。当時無敗だったペドラサも、今は合計4敗していますが、ロマチェンコ、ホセ・セペダ、ホセ・ラミレスと戦っても、唯一のKO負けはこのスーパーフェザー級時代の一敗のみ。

スーパーフェザー級の王座を保持しながらもライト級、スーパライト級の王座まで触手を伸ばしたタンクは、非常に印象的なノックアウト勝利を連発、2015年〜2021年のマリオ・バリオス(アメリカ)戦まで16連続KO勝利。階級もスーパーフェザーからスーパーライト級まで幅広く戦っています。

バリオス戦以降、ライト級に戻ったタンクは、イサック・クルス(メキシコ)戦で久々の判定勝利、その後指名挑戦者ロランド・ロメロ(アメリカ)を6RTKOで退けています。

 

非常に気分屋なところがあり、試合にも集中力を欠いた姿が散見されるタンクですが、超がつくほどの大人気ボクサー。

その理由は、ファイトスタイルというよりもそのブルータルなノックアウト劇にあると思われます。

常人では考えられないタイミング、アングルでのフィニッシュパンチは、いつ出てくるかわからず、目が離せません。比較的ディフェンシブに戦っている時でさえ、試合を凝視していなければ一瞬で終わってしまう可能性があるのです。

あと、ついでに言うと起訴されている事案がたくさんあり、こちらもいつ、タンクのキャリアが終わってしまうとも知れません。

嘘かまことか、タンクはヘイニーの5倍のファイトマネーだとか(これはタンクがSNSで言っていること)。こういう発言から、ようやくヘイニーvsタンクというのがほんの少しずつ、盛り上がってきている空気を感じています。

結局ライト級最強は

とはいえ、多くの(特に日本人の)ボクシングファンが感じているのは、いや、信じているのは、ワシル・ロマチェンコ最強説ではないでしょうか。

テオフィモ・ロペス(アメリカ)に負けたのは何かの間違いであり(怪我もあった)、ヘイニーでもタンクでも、このロマチェンコを打ち負かすことは不可能ではないか、という意見。

 

ライト級が適正階級ではなかったことから、ライト級ではフィジカル的に大きい部類のテオフィモの圧に屈したものの、その圧に慣れた後半は圧倒していたのも事実。純粋なボクシングでロマチェンコを上回ることができるボクサーは、存在しないかもしれません。

ロマチェンコのボクシングは非常に複雑で、それまでの偉業も相まってロマチェンコ最強説は理にかなっていると思われます。

しかし、それでもやはりサイズの差は大きい。

ヘイニーのボクシングは非常にシンプルではあるものの、身長175cm、リーチ180cmという体格を大いに活かしたもの。

タンクは身長166cm、リーチ171cmと小さい部類ですが、パワーが溢れているのはあの体つきを見ればわかりますし、アジリティも異常。

対してロマチェンコは、スキルが最大の武器であり、それでこれまで大きい相手にも対抗してきました。

ロマチェンコは非常に誇り高く、おそらく自分の安全圏で戦って強いボクサー。これは遠い距離、という意味ではなく、近い距離でも「これならもらっても倒れない」とか、「これならもらわない」という絶対的な自信がなければ攻撃に転じることができない(もしくはしたくない)ボクサーなのではないか、と思います。臆病というよりも慎重で、それを査定することがいわゆる「スキャン」ということなのでしょう。

 

個人的には、ヘイニーのボクシングはスキャンしやすいのではないか。逆に、タンクのボクシングはしづらく、更にタンクの敏捷性も相まってロマチェンコでもタンクにパンチを当てるのはなかなか難しいのではないか、と思います。

なので今のところ、ライト級最大の対決はタンクvsロマ、というのが私の意見です。あ、それでも私はロマチェンコが最強だと思っています。

強豪ゴロゴロライト級

さて、4冠王者なのでライト級筆頭はデビン・ヘイニー、そして続いてジャーボンタ・デービス。無冠の帝王としてワシル・ロマチェンコ。

リングマガジンランキングで1位はジョージ・カンボソスJrですが、残念ながらここに名前が上がってはこないでしょう。

そして同ランキングで4位にライアン・ガルシア(アメリカ)もいますが、彼はスーパーライト級転級を明言しています。タンクと戦う場合はライト級なのか、スーパーライト級なのか?

後はまさに日の出の勢いはイサック・クルス(メキシコ)。戦うたびに強くなるクルスはもうサイヤ人みたいです。タンク・デービスに善戦、その後のパフォーマンスといえば本当に素晴らしく、あの一戦で学んだことは大きかったのではないでしょうか。

 

6位のジョセフ・ディアスと7位のウィリアム・セペダは10/30に激突しますが、これは無敗のセペダに頑張ってほしい一戦です。26勝(23KO)無敗という戦績を誇るセペダは、人気者の元王者に勝利することでクルスのように大きなチャンスを手に入れられる可能性があります。

そもそもジョセフ・ディアスが人気の意味がわかりません。

8位にフランク・マーティン(アメリカ)、9位にミシェル・リベラ(ドミニカ共和国)、10位にグスタボ・レモス(アルゼンチン)。

フランク・マーティンは27歳のサウスポーで、ニックネームはゴースト。前戦で難敵ジャクソン・マリネス(ドミニカ共和国)を最終10RTKO。下がりながらのカウンターが得意で、身体能力が高いこのボクサーは、脅威となり得るボクサーですね。

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ミシェル・リベラはモハメド・アリのコスプレでお馴染みの「サルサ・アリ」。ファイトスタイルもステップワークを中心とした巧さの光るもので、孫のニコよりも断然「アリ・スタイル」です。前戦ではジョセフ・アドルノ(アメリカ)との無敗プロスペクト対決を制しています。

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グスタボ・レモスというボクサーについては全く知りませんでしたが、前戦でリー・セルビーに5RTKO勝利を挙げているボクサーのようです。

そもそもセルビーのKO負けなんて今まであったっけ、と思って調べてみると、キャリア序盤に判定負けが一つ、そのほかはジョシュ・ウォーリントン(イギリス)、ジョージ・カンボソスJr(オーストラリア)にスプリットの判定負けを喫しているくらいで、KO負けはキャリア初。これは2022年3月、アルゼンチンで行われた試合のようですね。

こうなると気になるので時間がないのに映像をチェック。Youtubeにセルビー戦がありました。

初回の少々の時間をフィリーシェルで戦いますが、その後はガードを固めて前進、強いプレス。相手が打ってくればかわして強振、強振というスタイル。当てられることを躊躇わない、嫌がらないこのボクサーは対戦相手はキツいですね。これは第二のイサック・クルスか。

これはまた楽しみなボクサー。

 

リングマガジンランキング外のボクサーたち

その他、このリングマガジンランキングに入っていないボクサーの中でも、ジェレミア・ナカティリャ(ナミビア)は注目ボクサーの一人。ミゲル・ベルチェルト(メキシコ)を圧倒的に降した試合は印象が深く、シャクール・スティーブンソン(アメリカ)に圧倒されながらも「ナカティリャはパワーがあり、攻め込むことができなかった(ストップに持ち込めなかった)」という言葉が改めて信憑性を帯びています。

他にも、リナレスに勝利したザウル・アブドゥラエフ(ロシア)、ロマチェンコと戦うジャーメイン・オルティス(アメリカ)、キッド・ガラハッド(イギリス)とのサバイバル戦を制したマキシ・ヒューズ(イギリス)、タンクにこそ敗北したものの、まだまだ伸び代十分なロランド・ロメロ(アメリカ)等々、名前を挙げればキリがありません。

そして、このリングマガジンランキング外のボクサーたちの中で、最も注目すべきはシャクール・スティーブンソン。前戦でWBC・WBO世界スーパーフェザー級統一王座の防衛戦に臨むも、ウェイトオーバーで王座を剥奪、今後はライト級で闘うことを名言しています。

 

ライト級にシャクールがやってくる、ということは、また更に難攻不落のボクサーが増える、ということになります。

ヘイニーとの超塩対決となるのか、タンクとのホコタテ対決となるのか、もしくは、意外とライト級のパワーにおされ、これまでのパフォーマンスができないのか。とにかくこのボクサーはパンチをもらっていないので、タフネスについてはまだまだ未知数です。

こんな化け物ばかりが揃う階級で、日本人ボクサーにチャンスが巡ってくるのか。果たして巡ってきたとして、それはチャンスと捉えられるものなのか。

ライト級の頂は果てしなく高い。この壁を乗り越えてくれる日本人ボクサーの誕生を待ちたいと思うと共に、今後の世界ライト級トップ戦線も楽しんでいきましょう。

 

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