https://www.nikkansports.com/battle/photonews/photonews_nsInc_202212130001257-0.htmlより
とうとう終わってしまいました、井上尚弥vsポール・バトラー。
1日経ってみて思うのは、なんだか不満だらけの興行だったな、ということ。
やっぱり日本での試合はアマプラに回帰してもらいたいですが、NTTさんは今後もやる気満々だそうで、困ってしまいますね。
まあ、個人的には今後アメリカで戦ってもらいたいとは思っていますので、どうか井上のキャリアのため、そして日本ボクシング界の未来のためにも、日本国内で井上を囲い込む事はないようにだけしてもらいたい。
さて、そんな井上尚弥は、12/13の勝利者インタビューでスーパーバンタム級への転級を明言。
一夜明け会見では、4月か5月に次戦の希望とのことで、「スーパーバンタム級ではテストマッチはいらない」と発進しています。そもそもバンタム級でもテストマッチなかったですけどね。スーパーフライ級なんてもっとなかった。
ということで、今回のブログでは、井上尚弥が標的とする二人の王者、そしてその王者たちに続くスーパーバンタム級の強豪たちをチェックしていきたいと思います。
WBC・WBO世界スーパーバンタム級王者
スティーブン・フルトン(アメリカ)21勝(8KO)無敗
「クールボーイ・ステフ」、このボクサーがこのスーパーバンタム級で最大の評価を受けるボクサーです。
2021年1月、アンジェロ・レオ(アメリカ)を破ってWBO王座を獲得、その10ヶ月後の初防衛戦でWBC王者、ブランドン・フィゲロア(アメリカ)に判定勝利してWBC王座を吸収。
そして2022年6月、元WBAスーパー・IBFの統一王者、ダニエル・ローマン(アメリカ)を完封して評価を高めています。
素早いジャブ、コンビネーションを持ち、足も速い。基本的にはディフェンスに重きを置くスタイルで、隙は少なく、素晴らしいカウンターを持っているフルトンですが、インファイトもこなせるかなり総合力の高いボクサーです。
身体能力、カウンターセンス、素晴らしいディフェンス、本当に穴を見つけるのが大変なボクサーで、何せフレームがでかい。身長169cm、リーチ179cmというのがBoxRecの記載ですが、それ以上のサイズの大きさを感じさせます。
当然のごとく、すでにフェザー級転級を視野に入れており、スーパーバンタム級時代に勝利したブランドン・フィゲロアとの再戦は、WBC世界フェザー級の挑戦者決定戦として行われるとか。このままフルトンがフェザーに行くのであれば、井上と交わるタイミングがなさそうではありますが、あと半年ほど待ってはもらえないだろうか。
これで井上が4つの王座を返上すれば、WBOはスーパーバンタム級1位というランクを井上に与えるはずで、そうするとフルトンへの指名挑戦権を得ます。
フルトンはこれまで井上尚弥について言及しており、詳しくは知らないのですが、アメリカにはフルトン信者も多くいるそうです。こういう名のある、そして評価の高いライバルとの対決を見たいですね。
WBAスーパー・IBF世界スーパーバンタム級王者
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)11勝(8KO)無敗
プロ転向後わずか8戦目で、当時の統一王者、ダニエル・ローマンを破り、いきなり統一王者となった「MJ」アフマダリエフ。
初防衛戦では地元、ウズベキスタンに岩佐亮佑(セレス)を迎え、圧倒しての5RTKO勝利。これはちょっとストップが早かったのでは?と個人的には思ってしまいますが、その後はホセ・バスケス(チリ)にほぼポイントを与えず判定勝利、続く指名挑戦者のロニー・リオス(アメリカ)を相手にも全く付け入る隙をあたえず、12RTKO勝利をしています。
非常にバランスの取れた攻撃的ボクシング、旧ロシア産の強いフィジカルを活かしたボクシングは、頑強で、ちょっとやそっとで崩れてはくれなそうです。
鈍器で殴っているかのようなそのパンチは、傍から見ても重そうで、体全体にパワーを感じるボクサーですね。
こちらはクールボーイとは違って物静か、というか、あまり情報が上がってこないのが現状。ちなみに私はフルトンよりもアフマダリエフの方を買っているのですが、フルトンの評価の高い理由の一つはアメリカ人だから、ということが大きいと思っています。
はっきり言って、フルトンよりもこのアフマダリエフの方が危険。フルトンはパンチを当てるのが上手いですが、このアフマダリエフは当て勘もあるし、パワーもあり、頑強さも持っています。
Cool Boy or MJ?
井上尚弥vsフルトン、井上尚弥vsMJ、どっちが見たいか、と聞かれればどっちも見たい、と答えるでしょう。
実際、井上のこれまでの対戦相手を見てみると、フルトンのようなボクサーもいないですし、MJのようなボクサーもいません。
なのでやはり一番の希望としては、フェザー級に上がってしまいそうなフルトンとの一戦が春、そして秋〜冬頃にアフマダリエフとの一戦。こうなれば最高です。
この戦いへの障害は、やはりプロモーターであり、井上をプロモートするトップランクは、フルトンをプロモートするPBCとは犬猿の仲、アフマダリエフをプロモートするマッチルームとも特に交流があるわけではありません。
このプロモーター間の問題を亡き者にするには、日本で、大橋プロモーション主催で試合を組む、ということなのですが、さすがにフルトンを日本に呼ぶということはちょっと非現実的かもしれません。
いずれもマッチアップが非常に難しいですが、これが期待どおりに実現したならば、2023年、一気にスーパーバンタム級を統一できる可能性があります。是非、ふたりが無敗のうちに実現してもらいたいものです。特にフルトン戦。
TOP3以下のスーパーバンタム
現在、スーパーバンタム級の王者は2人ですから、ふたりがトップ2ということで間違いはありません。
ただ、非常に興味深いマッチアップも存在します。
まずはライース・アリーム(アメリカ)。実はアリームは2021年1月に、ビック・パシージャス(アメリカ)を破りWBA世界スーパーバンタム級暫定王者となっています。
しかし、この暫定王座はWBAの王座削減政策により剥奪、そのまま指名挑戦者になるはずでしたが、WBAはアザト・ホバニシャン(アルメニア)との指名挑戦者決定戦を指示。これに反発したアリームはこの決定戦を断り、結局現在はアラン・ピカソ(メキシコ)とのWBCの次期挑戦者決定戦を待つ身となっています。
このアリームも、フルトンと同様に身体能力に秀でる、スピードとコンビネーションに優れたボクサーです。だからこそ、井上vsアリームというのはまた面白い。
ピカソとの挑戦者決定戦の日程はまだ未定、とのことで、もし井上が結局テストマッチを、となれば、この無敗のプロスペクトは面白い相手ではないでしょうか。
さて、前述のアザト・ホバニシャンは、井上尚弥がアメリカ武者修行で手を合わせたボクサー。非常に頑丈なロシアンスタイルを持っているボクサーで、ホバニシャンとスパーリングではなく、本番で相対するのも面白い。
このホバニシャンは、上述のWBAの挑戦者決定戦をアリームが蹴ったため、WBAの指名挑戦者となっているはずです。が、その後は有耶無耶になっている可能性があります。
というのも、WBCがもう一つの次期挑戦者決定戦として、ルイス・ネリ(メキシコ牛)vsアザト・ホバニシャンをオーダーしたからです。
このネリvsホバニシャンの勝者と、アリームvsピカソの勝者が戦い、勝者がWBCのファイナル・エリミネーターになる、とのこと。
WBAといえば亀田和毅も以前に次期指名挑戦者決定戦に勝利しており、一応指名挑戦権を有してはいます。なんでしょうか、このグダグダ感。
ちょっと話がそれましたが、アリーム、ホバニシャン、そしてルイス・ネリ。指名挑戦権うんぬんを無視するとすれば、このあたりが、もしスーパーバンタム級でテストマッチをするには面白いボクサーたちではないでしょうか。
そして、ジョンリエル・カシメロ(フィリピン)も忘れてはいけません。
前戦はノーコンテストに終わってしまったとはいえ、赤穂亮に実質勝利、そして日本での好感度も上がったカシメロ。
実は純粋な、悪く言えばちょっとおバカの感じのするカシメロは、愛らしいヒール。日本で井上vsカシメロがぶち上がれば、バンタムとかスーパーバンタムとか、タイトルがある説かないとか関係なく盛り上がって良いのではないでしょうか。
各団体の指名挑戦者状況(?)
ぶっちゃけよくわかりません。指名挑戦権を得ても、そのままないがしろにされてしまっている場合もありますので。。。
一応、
WBA(王者:MJ)
指名挑戦者はアザト・ホバニシャン。その次に亀田和毅が繰り上がる予定。だと思います。
WBC(王者:フルトン)
アリームvsピカソ、ネリvsホバニシャンのトーナメントで指名挑戦者が決まる。多分。
IBF(王者:MJ)
1年前、勅使河原弘晶に勝利したマーロン・タパレスが指名挑戦者。現在、MJはリオス戦で炒めた拳の療養中、復帰次第、タパレス戦を決めなければいけない状況です。
WBO(王者:フルトン)
よくわかりませんが、トップコンテンダーはアリーム。
ということで
結局のところ、井上vsフルトンは実現しないのではないか、と思います。
フルトンがフィゲロアに勝利、もしくはその対戦を前にベルトを返上して転級、そうなるとWBC、WBOが空くので、現状の挑戦権保持者が誰なのかわからないWBO王座決定戦に出場。その相手は、ライース・アリーム!が良いですが、もしかするとアリームはWBCの方に舵を切って、、、
(WBO1位アリーム、2位ネリなので)3位のゾラニ・テテと王座決定戦!
これもなかなか興味深い。
バンタムで交わらなかった二人が、スーパーバンタム級で邂逅するのは非常に面白いですね。テテは、カシメロ相手にコケてしまいましたが、あのとき、カシメロが勝っただけで、もう一度やれば勝負はわかりません。
まあ、テテは禁止薬物問題があり、4年間の出場停止処分という噂ですが。。。
そんなわけで、スーパーバンタム級には、バンタム級以上に面白い戦いが待っていそうですね。
2023年も日本ボクシング界は、井上尚弥におんぶにだっこ。そしてこの隙に、色々なボクサーたちの台頭を楽しみにしましょう。
今年はまだ終わっていませんが、来年のボクシング界も非常に楽しみです。
と、来年のことを考えると、今回のdTVのお粗末さがやや薄らいだ。本当はこの12/13の興行の文句でも書こうと思っていましたが、やめておきます!
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