全日本新人王。
「年末の風物詩」でしたが、前年、前々年とトーナメント開始時期が遅れた事から、全日本新人王は2月の開催となっていました。
しかし今年、ようやく従来のスケジュールに戻ったこのトーナメントは、着々と試合をこなし、ようやく年末にこの全日本新人王決定戦を迎える事となりました。
まずは、タイトなスケジュールを戦い、この場に立ったボクサーたちに大きな拍手を送りたい。
ということで今回のブログは、全日本新人王決定戦vol.2ということで、フェザー級〜ミドル級の戦いの観戦記を書いていきたいと思います。
フェザー級4回戦
廣瀬祐也(協栄)vs岡本恭佑(HKスポーツ)
7勝(3KO)2敗1分、廣瀬と3勝(1KO)1分の岡本。
初回、岡本がややプレスをかけてスタート。ともに反応が良いですね。サウスポー、廣瀬は中盤以降少しずつ前に出始めますが、ここで岡田は廣瀬の打ち終わりに右をヒット、岡本としてはこの戦い方の方が得意そうな感じがしますね。
2R、廣瀬は上体を動かして的を散らし、強く踏み込みます。手数は岡本が多いですが、廣瀬が左ストレートから攻め込むパターンは非常に効果的に見えます。
片側が打てばしっかりとリターンを返す、というパンチの交換が、非常に小気味好いテンポで流れていきます。
3R、見合う間も殆どないまま進むハイペースなボクシング。ともに利き手をヒットさせる場面もありますが、どちらもやや浅い。
これはなかなかにスイングラウンドすぎて、ラストラウンド勝負かもしれません。
ラストラウンド、どちらも自分のボクシングを貫きます。廣瀬が大きくワンツーで踏み込むと、岡田も長い右ストレートをヒット。
両者ともに、パンチがあたったと思われる瞬間に両陣営の応援の拍手が大きく鳴り響き、この僅差のラウンド続きの試合ではここがもしかすると勝負を分ける可能性すらあります。
ラストラウンドの時間が進むにつれ、ややラフさを増すも、両者から勝ちたい執念を感じる試合。これはどちらかわからない、どちらに転んでも納得できるという4ラウンズが終了し、勝負は判定へ。
判定は、39-37×2、38-38で岡本!
これは互角の一戦でしたね。ほんの少しの差で、勝者と敗者が逆になっていた展開は考えられます。
ともあれ、この僅差を勝ちきった経験は岡本にとって大きいでしょう。
ともに非常に反応がよく、素晴らしいボクシングができる両ボクサー、今後が非常に楽しみです。
スーパーフェザー級5回戦
岩本星弥(JBスポーツ)vs大谷新星(真正)
6勝(4KO)無敗の岩本、4勝(3KO)無敗の大谷。スーパーフェザー級は注目の全勝対決です。
初回、まずはジャブの差し合いからスタート。先にしかけるのは大谷が多いか、岩本も応戦。中盤がすぎる頃には打撃戦の様相、近い距離で互いにクリーンヒットを奪い合います。
これはバッチバチの戦いが進んでいきそうです。
2R、岩本の右オーバーをかいくぐり、コンビネーションで攻め立てた大谷。その後も右ボディ、左フックといったパワーパンチをヒット、右アッパーもカウンター気味にヒット。
フィジカルは岩本が勝るか、押し合いでは下がる大谷ですが、このラウンドは大谷が上手くヒットを重ねたイメージです。
3R、岩本は丁寧なジャブから入ります。しかし中盤に入る前には頭をつけての打撃戦。近い距離で回転力良く手がでるのは岩本、大谷はパワーパンチを出すも、手数とフィジカルの強さで岩本が押していく、という雰囲気です。
4R、このラウンドも岩本が丁寧にジャブを突いてスタート。しかし大谷は逆ワンツーで強い踏み込み、距離を詰めるとそこからは打撃戦。
大谷は力強いフック、岩本は手数とフィジカル、前ラウンド同様の流れです。
中盤、大谷は右ストレートをヒットすると岩本の動きが一瞬止まり、その機を逃さずに大谷はラッシュ!このラッシュをしっかりとディフェンスで乗り切った岩本は、コンパクトな連打で応戦、しかし終盤には大谷がアッパーをヒット。
ものすごい打撃戦に会場は大木な拍手が起こります。
ラストラウンド、当たり前のように火の出るような打ち合い。ボディから攻めるのは岩本、大谷は岩本のフィジカルに押されながらも強い左フックを上手くヒット、とにかく二人の手は全く止まりません!
漢と漢の勝負、そんな言葉がよく似合う大打撃戦を続け、歓声禁止の会場からは大きな歓声と大きな拍手が鳴り響きます。
両者死力を尽くした5ラウンズを終えて、勝負は判定へ。
判定は、48-47×2、49-46で大谷を支持。
ものすごい打撃戦を見せてくれました。これも勝負は紙一重、パンチのインパクトとしては大谷の方があった、ということは採点の結果に影響しているかもしれません。
両者ナイスファイト、素晴らしいハートを見せてくれました。
ライト級5回戦
川口高良(協栄)vs船橋真道(KWORLD3)
4勝(2KO)の川口、5勝(2KO)1分の船橋、ライト級は無敗対決です。
初回、川口がプレスをかけていく展開。船橋は左手を比較的前目に置き、川口の前進を阻み、距離をコントロールして入り際にカウンター。船橋はロープに詰まる事なく、自ら上手くサークリング。川口としては接近戦に勝機を見出したい。
2R、川口がプレスを強め、大きめに前進するとともに船橋の動きも大きくなります。初回よりも大きな円を描く船橋ですが、まわろうとするところに川口の右がヒット。川口のプレスが奏効してきた感じです。
3R、強いプレスで追いかける川口は、序盤に大きな踏み込みの右をヒット。当たる距離までガードを掲げてグイグイと攻めるスタイル、プレスをかけられた船橋はコンビネーションを放つも、これは川口のガードの上。
中盤、船橋は川口のガードの間隙を縫ってコンビネーションをヒット、手数は圧倒的に船橋ですが、後半、その船橋のコンビネーションの合間に川口がショートの右フックをヒット。
4R、序盤に船橋の右アッパー。これはちょっと大きめですが、上手く当てました。先に動いて先に手を出すのは船橋、川口は近づいてから力強く振るいますが、手数、クリーンヒットは少ない。ここは船橋が上手く戦っている、と思いましたが、終盤、船橋のアッパーにあわせた川口の右ストレートがヒット!これで船橋はダウン!!
立ち上がった船橋に、またも川口が右をヒットしたところでラウンドが終了。
ファイナルラウンド、船橋も足を使わずその場に留まり、近い距離での打撃戦。もみ合いの展開もある中、接近戦でも良く手が出る船橋ですが、この距離ではクリーンヒットは川口。
川口の土俵で戦わざるを得ない船橋、近接戦闘でも手数では劣ってしまう川口、微妙なラウンド続きではあったものの、あのダウンはでかそうです。
判定は、48-46、49-45×2、川口の勝利。
ボクシングとしては一枚上手だった船橋でしたが、右の当て勘に優れた川口が勝利。船橋も良いボクシングでしたね。川口はもう少し、離れたところからでも手を出せると良いかもしれません。
いずれにしろ、良い戦いを見せてくれました。
スーパーライト級4回戦
スコーピオン金太郎(三谷大和)vs野口海音(ハラダ)
6勝(4KO)1敗のスコーピオン金太郎は東日本のMVP、2勝(2KO)1敗の野口は西軍代表決定戦の敢闘賞。これは期待の一戦です。
初回、互いにサウスポースタンスからジャブ、まずは距離の探り合いです。遠い距離からワンツーを打ち始めたのは野口、スコーピオンは攻め込むと野口のカウンターが待っており、少し攻めづらそうか。
ガードを固めてプレスを強めるスコーピオン、野口はコーナー際でもカウンターを狙い、スコーピオンも一気にはいけません。
2R、野口のジャブは良いですね。スコーピオンも良いジャブを出し、野口の左にも対応を見せます。プレスをかけるスコーピオン、野口はコーナーを背負いそうになったところで身体を入れ替え、攻勢。
しかし中盤、同様にコーナーを背負いそうになった野口が反撃したところで、スコーピオンは左カウンターをヒット!野口はダウン!
ダメージが見える野口、パンチの威力が陰ります。ここを好機と攻め込むスコーピオン、野口はステップ、ガード、クリンチでサバイブ。
3R、ジリジリとプレスをかけるスコーピオン、野口は対応も、まだダメージを感じます。スコーピオンが野口を下がらせ、そこで野口は反撃も、その打ち終わりにスコーピオンはワンツーをヒット、野口は二度目のダウン!
立ち上がった野口を攻め立て、左右のフックをガードの上に叩きつけたところでレフェリーはストップ!スコーピオン金太郎の3RTKO勝利!
前戦、石井竜虎(渡嘉敷)と倒し倒されの大激闘を演じたスコーピオン金太郎、これで3連続TKO勝利。素晴らしい勝利でしたね。
野口は、良い滑り出しだっただけに非常に残念でした。
ウェルター級4回戦
松野晃汰(神奈川渥美)vs松岡陸(浜松堀内)
松岡陸が棄権、松野が全日本新人王に。
ミドル級4回戦
時吉樹(横浜光)vs大島光容(尼崎亀谷)
3勝(3KO)1分の時吉、5勝(2KO)2敗1分の大島。
初回、まずは時吉のジャブの長さに目が行きます。まっすぐとよく伸びる良いジャブです。大島はそのジャブをブロッキング、そして右カウンターをボディに持っていって対応。
ジャブの次がなかなかでない時吉、そのジャブに右クロス、からもパンチを続けられはじめている大島。
2R、相変わらず良いジャブを打つ時吉ですが、大島もボディから攻めるパターンは良い感じ。
このラウンド中盤に入ると、時吉もコンビネーションが出始め、こうなるとジャブもより活きてきます。不意のタイミングで出すジャブは幾度となく大島の顔面を捉えます。
3R、序盤にボディから攻めた大島、左フックをヒット。その後も時吉のジャブに合わせた右クロスが良く、ここで勝負をかけていきます。
時吉もここは応戦、比較的近い距離での打撃戦へと発展していきますが、この距離での回転力は大島か。
ラストラウンド、ここは当然のように打撃戦。少し距離が空けば時吉は鋭いジャブを放ち、大島の入り際に右。
リング中央付近の打撃戦で、クリーンヒットに勝るのはおそらく時吉、大島は徐々にダメージを貯めるものの、倒れる素振りは見せません。
このラウンド終了直前まで続いた打撃戦では、時吉もしっかりと手数を出して終了。
判定は、39-37×2、40-36で時吉。
全体的には時吉が自分のボクシングを貫いたように見えました。やっぱり強いですね。
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