日本時間で3/12(日)。
オーストラリアでも日付変更線はまたいでいないため、3/12(日)という同日ではありますが、日本との時差は+2時間なので、だいたい16:00前位にメインのゴングが鳴った感じです。
これはアメリカのプライムタイムに当たり、アメリカのロサンゼルスでは3/11(土)24:00前頃のゴング、ニューヨークでは21:00前くらいのゴング。
アメリカのボクシングファンからすると「いつもの時間」であり、アメリカ本土へのアピールもできる時間帯なのでしょう。
できれば井上尚弥vsスティーブン・フルトンもそうしてほしいですが、こちらはどうやら日本の夜開催、アメリカの人たちには早起きして(特にニューヨーカーたちには)見てもらわなければいけませんね。
ともあれ、今回のオーストラリア興行、大注目のティム・チューvsトニー・ハリソンはオーストラリアではKayoスポーツのPPV、そしてアメリカではShowtimeが放送。
大器・チューは、難敵の元王者ハリソンを迎えての初タイトル戦。
Showtimeのスタジオには、ゲストでジャーメル・チャーロ(!)。悲しいことに何を語っているのかわかりませんが、オープニングトークは拳の怪我について語っているようです。(たぶん)
ということで今回のブログは、チューvsハリソンのWBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦の観戦記です。
↓プレビュー記事
3/12(日)オーストラリア・シドニー
日本時間で13:00過ぎ頃、現地と中継がつながったのか、どうやらセミファイナルの途中からの放映開始のようです。サム・グッドマンvsTJドヘニーがセミかと思っていましたが、どうやら違ったようです。
セミファイナルはパウロ・アオクソ(オーストラリア)vsユニエスキ・ゴンサレス(キューバ)。
これが6Rの途中からでしたが、このラウンド、アオクソが古豪、ゴンサレスから見事なアッパーでダウンを奪取。Sweet P(スイートピーのPはポールのP)とはなかなか良く言ったもので、ディフェンステクニック、カウンターテクニックに優れるサウスポーですね。
たった3戦(3勝3KO)のキャリアで、数々の強豪と戦ってきたゴンサレスを翻弄、とくにゴンサレスのジャブへのリターンのジャブ、左ストレートが素晴らしい。距離のコントロールに優れ、反応が良いボクサーで、ときに距離を詰められるも接近戦でもそのディフェンス能力とカウンター技術を発揮して押し返しています。
ゴリ押しでノックアウトを狙うようなボクサーではなく、基本ヒット&アウェイでしょうが、最終回はとにかくサバイバルモードのゴンサレスに対してプレスをかけ続け、ラウンドが終了。ゴンサレスは倒されないようにするだけ、で非常に残念。攻めて最後まで攻め続けてほしかった。
判定は97-92、99-90、100-89で「Sweet P」パウロ・アオクソ。
前半は流れていませんでしたが、ダウンを奪っての完勝。プロ4戦目にしてIBFインターコンチネンタル・ライトヘビー級タイトルを獲得しました。
ここまででスイートPはデビュー戦で5R戦い、2戦目3戦目はともに2Rで試合を終わらせているため、ここで10R戦えたことは大きいでしょう。ちょっと集中力が切れているふうな時間帯もあったのですが、あの展開では仕方ないのかもしれません。
これは楽しみなボクサーですね。今後も期待です。
WBO世界スーパーウェルター級暫定王座決定戦
ティム・チュー(オーストラリア)21勝(15KO)無敗
vs
トニー・ハリソン(アメリカ)29勝(21KO)3敗1分
ShowtimeがPBCの興行を「Showtime Championship Boxing」として放送し始めた頃は、まだまだShowtimeのボクシング興行というのは浸透していませんでした。
ただ、HBOがボクシングから撤退したあと、アメリカのケーブルネットワークではトップランク興行を中継するESPNとの2大巨頭となり、この次に控えるべナビデスvsプラントもPPV、4/22に控えるタンクvsガルシアもPPVと好調といって良いでしょう。
そんなShowtimeが仕掛ける、「Showtime International Boxing」というのが今回の番組名。これはアメリカ国外の興行を中継する場合に用いられる番組名でしょうから、是非ともこのShowtime番組とAbemaあたりが提携して日本のボクシングも世界に流してほしいものです。ほかに「Next Generation」という番組もありますが、こちらは無敗のプロスペクト同士がしのぎを削るという番組ですね。
さて、話がそれました。これはShotimeが自身の番組をコマーシャルしていため、暇だったのですw
さて、会場に戻り、リングアナウンサーはジミー・レノンJr。
アメリカ国歌、オーストラリア国歌が流れて会場の気持ちが高まっていきます。ちなみに、選手入場前の国歌斉唱の方が、私は好きです。
両者の入場、レフェリー、ジャッジの紹介。JBCの中村勝彦氏がジャッジのうちの一人!
注目の一戦、ゴング。
初回、慎重な立ち上がり。チューは身体を振って丁寧にプレスをかけていきます。ハリスンは左手を下げてかなり斜に構え、突き放すようなジャブ。
チューはガウシャ戦で学んだのか、まずは相手のスピードと軌道に慣れようという戦略に見え、プレスをかけるも手数は控えめ。
これが後半に入ると少し慣れてきたのか、ハリソンの打ち終わりにリターンを返し始めます。
2R、ガードを固め、明らかにハリソンのジャブへの警戒を怠らないチュー。このラウンドは自分からも攻め始め、ジャブの相打ちと言うタイミングもありますが、明らかにチューの方がパワーは上。ただ、ハリソンのジャブはやはり速く、見えづらいのか、前ラウンドから幾度となくチューの顔面を捉えています。
ただ、チューのリターンも機能してきており、ハリソンも下手なジャブは打てなさそう。
3R、プレスをかけるチュー、ただ素直にはいけず、中間距離での探り合い。中盤、ハリソンのジャブに一瞬遅れて右オーバーハンド!これがヒットしたのか、ハリソンはぐらり!
一気にヒートアップする会場とともに、チューのダイナミックな攻撃も火を吹きます。
ここで明らかな見せ場をつくったチューは、その後も巻き込むような、叩きつけるような右ショートを立て続けにヒット!
4R、強気に攻めるチュー、ハリソンのダメージはどうか?
ハリソンのジャブは相変わらずキレがありますが、体勢を低く構えた逃げの姿勢となっているように見えます。
常にロープを背負う展開であるハリソンですが、生命線であるジャブを止めるようなことはしません。ジャブを打って、攻め込めば自ら距離をつめて追撃をくらわないようにしている、というのがこのラウンド。
チューはプレスをかけつつも、強いパンチをコネクトできないラウンドでもありました。
5R、セコンドからの指示をうけたか、チューは身体を振って前進。中盤、ハリソンをロープに詰めるとボディから入ります。
しつこく前進するチュー、上体を激しく動かして被弾を避けようとするハリソンですが、左ガードがもともと低い分、チューの外側を回るような軌道でくる右ストレートは非常に効果的に見えます。
6R、展開は変わらず、ハリソンはキレのあるジャブを放ちながら動き、上体を激しく振ります。チューは落ち着いてプレス、当たるところまで近寄ってリターン、もしくは自ら攻め入るというスタイル。
後半、ハリソンをロープに詰めてパンチをまとめる場面も。
7R、チューが徐々に力強さを増しているように見えます。ハリソンのジャブはチューのガードに阻まれることが多くなっており、このガードがまた固く、ハリソンの右ストレートでもびくともしません。
こうなると、ハリソンのジャブには針の穴を通すようなコントロールが求められるようになりますね。
ハリソンは打ち終わり、頭の位置を前へ後ろへ下へと非常に工夫しているのが見て取れますが、ほとんどジャブしか出さないハリソンと常に前に出て攻撃をしかけようとしているチューでは見栄えもちょっと違う。
8R、早々にチューの硬質なパワージャブがハリソンにクリーンヒット。かと思えば、続いてチューの真っ直ぐな右ストレートもヒット。
ジャブこそまだまだ元気ですが、もしかすると限界が近いのかもしれないハリソン、ここを逃さじとチューは接近戦を仕掛けます。
ここでハリソンは身体を押し付けてクロスレンジで迎え撃ち、ここでの技術としてはやはりキャリアのあるハリソン、なかなか侮れません。ただ悲しいかな、パワー差は顕著、ハリソン危うし!のところでハリソンが滑り、ここで試合が中断。レフェリーはリングを拭くように指示、ハリソンは休憩時間を手に家rました。再開後間もなく、ラウンド終了。
9R、ここはもう当然のようにいくチュー。またも前半、チューのパワージャブがヒット。
後半に入るころ、チューはハリソンに右をヒット!これでダメージを負ったハリソン、スイッチしてクリンチにいこうと試みますが、チューは追撃の右!
その後は狙いすまして左、狙いすまして右、とまるでハンマーを叩きつけるような左右を叩きつけるティム・チュー!!ハリソンはロープに後退、体制を低くしたハリソンに対してチューは右アッパー、右アッパー、右アッパー!!全部当たっています!!オールパワーショットのティム・チューのラッシュ、ハリソンはもう後ろを向いてしまいそうな雰囲気ですがまだレフェリーは止めません!!
さすがに危険ではないか、と思ったところでとうとうハリソンがダウン!
これで即刻ストップで良いと思うのですが、レフェリーはカウントを数え始め、プライドのあるハリソンは立ち上がります。
ここでリング上を歩かせたレフェリーでしたが、続行不可の判断により試合が終了。
ティム・チュー、9RTKO勝利!!!
WBO世界スーパーウェルター級暫定王座を獲得、暫定ながらも世界初戴冠!!
とうとう世界王座獲得となりました、ティム・チュー。
ガードを固めて前進、思いっきり殴るという「スーパー」ストロングスタイルは、素晴らしい魅力を持ったボクシングです。
このボクシングは、おそらくガウシャやハリソンのようなボクシングとの相性は決して良くないと思うのですが、見事にスタイルで上回っての勝利、これは素晴らしい。特に今回、ハリソンのジャブに比較的早く対応できたことは本当に素晴らしいと思います。これは、次戦となるはずのチャーロ戦でも活きることでしょう。
TVカメラに向かい、(たぶん)チャーロに対戦を呼びかけたティム・チュー。やっぱりこのチューに勝ってほしいですね。
今度こそ、実現を期待したいと思います。
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