12/17。
ものすごい数のボクシング配信が押し寄せてくるこの年末、果たして皆さんは全てを視聴することができたのでしょうか??
私はそんな暇はなく、ちょいちょいとかいつまんで視聴。
ライブ配信で視聴できたものはなく、興味のある順で見ていきますが、数年前は見れるものは全部見ていたことを思い返し、時代の流れは早いものだと痛感させられます。
時代に必死で食らいついていかなければいけません。
まあ、そんなわけで今回のブログは、サニー・エドワーズvsジェシー・ロドリゲスをメインに据えたマッチルーム興行の観戦記。
↓プレビュー記事
12/16(日本時間12/17)アリゾナ州グレンデール
ケビン・ゴンサレス(メキシコ)26勝(13KO)無敗1分
vs
ムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)11勝(8KO)1敗
まずはセミファイナル、WBA世界スーパーバンタム級の挑戦者決定戦です。
生歌入場というのはよく見るが、腹の出たおっさんの生歌入場はあんまり見ないなー、と思うケビン・ゴンサレスの入場。
そしてアフマダリエフはいつものベレー帽を被っての入場です。頼むぞMJ。
さて、ゴング。
サウスポー同士、まずはリング中央でジャブの差し合いです。MJの方がやや手が出ているかな、と思ったところでゴンサレスは右フック、これは浅くながらもヒットしたか。
その後もゴンサレスはトリプルジャブで攻め入るなど、良い立ち上がりを見せています。MJも後半には左ボディへと繋げ、強打を放てる体制へと移行しています。
これはゴンサレスのタフネス次第でもありますが、激闘の予感ですね。
2R、MJがペースアップ、コンビネーションを使っていきます。ゴンサレスも強気に打ち返す、ゴンサレスのジャブが長く、数発出てくるので非常に良い。
このラウンドからは互いに力のこもったフック系のパンチを振り始めており、怖いパンチの交錯。MJの方がやはりフィジカルに優れるか。
3R、ここでゴンサレスが気合を入れて攻めてきます。声を上げつつ一発一発に力を込めて打ってきます。これは非常に勢いがあり、ハンドスピードもなかなかのもので、このハンドスピード、特にフック系のパンチはMJを上回るのではないでしょうか。ただ、やや振りが大きいところもあり、MJがステップワークでかわす場面も。この辺のミスブローは後半まで行くことを想定するとあまり良くありません。
4R、頭を振ってプレスをかけるゴンサレスですが、アフマダリエフは前半にサイドステップからの左をヒット。KOパンチになりそうなものでしたが、ゴンサレスはけろり、打たれ強い良いです。
ガードも良いゴンサレスはそこまで決定的なクリーンヒットを喰らわないですが、やはりMJのパンチングパワーは凄まじく、バランスを崩される場面は目立ってきます。
5R、完全にマッチョスタイルに変更したゴンサレスはシントゥーラからの前進。その中でもやっぱりジャブはよく、ボラードに頼らないメキシカンスタイルですね。
こうなるとMJは足を使いながら捌き、下がりながらジャブを出して対抗。その中でも、ゴンサレスが頭を下げてきたところにアッパー、ワンツーで攻め込み止まったところに左ストレートを決めるなど、非常にスキルフルなボクシングを展開しています。この対応力たるや、さすがのものです。
6R、開始と同時になりふり構わず迫ってくるゴンサレス。この思い切りの良さは素晴らしい。
強引に行くゴンサレス、ここでMJの左アッパーがヒットしてゴンサレスは膝をつき、ダウン!
立ち上がったゴンサレスに対し、MJは左右のフックを振るって襲いかかり、ゴンサレスは耐えつつ左フックを強振!!しかしこの左フックの強振、に自身の体が耐えきれず倒れてしまい、これがダウン判定。ダメージもあったと思うのですが最後にコツンとMJのパンチが当たっているからダウン判定なのか、仕方ないところです。
残り1分、ゴンサレスはステップワークとクリンチ、ジャブ、ブロッキングを総動員して何とかエスケープ!!
7R、ここはジリジリと詰めるMJ。ゴンサレスはサークリングしつつ鋭いジャブ。ゴンサレスのパンチはまだ活きています。
この試合を通じてMJのオーバーハンド気味の左がよく当たっている印象で、MJもこのパンチを多用して攻めています。MJは丁寧に攻め込んでいくもののゴンサレスは自身のダメージを悟ってかディフェンスに注力、このラウンドもサバイブしています。
8R、ゴンサレスは特攻めいた攻撃を見せますが、ここでMJはジャブ、ジャブ、ジャブ。前に出てくるゴンサレスをリードでコントロール。ゴンサレスはくっつけという指示なのか、体を押し付けてMJの強打を殺しにきたイメージか、それはある程度成功しているように見えます。
しかし後半、MJnoステップに遅れてしまったゴンサレス、距離を空けられたところを詰めたところでまたもMJのアッパー!ここで倒れたゴンサレス、とんでもない倒れ方でしたがレフェリーはカウント後の続行を指示!
残り時間15秒というところでMJはワンツーフックコンビネーション、ぐらりときたゴンサレスに左オーバーハンド!!!これでレフェリーが割って入り、ストップ!!!
ムロジョン・アフマダリエフ、圧巻の8RTKO勝利!!!
強いMJが帰ってきました!!戦慄のノックアウト勝利ですね。
ケビン・ゴンサレス、非常にタフでしたが、技術の差は大きく、フィジカルの差も大きかった。このタフなボクサーを完璧に倒し切ったというのは復帰戦であるMJにとって大きなことでしょう。なんでタパレスに負けてしまったのか。
ともあれ、ムロジョン・アフマダリエフ、これにてWBAの指名挑戦権を獲得。MJが挑む王者は井上尚弥か、タパレスか。日本に来てほしいですね。
IBF・WBO世界フライ級王座統一戦
サニー・エドワーズ(イギリス)20勝(4KO)無敗
vs
ジェシー・ロドリゲス(アメリカ)18勝(11KO)無敗
無敗王者同士の対決、これこそが王座統一戦に最も相応しい組み合わせです。
さらにこの二人はタイプ的にも全く異なり、まさにスタイル・メイクス・ファイトという一戦。どちらがより、自分の得意を押し付けられるのか。
注目のゴング。
まずはジャブの差し合い、リードを駆使してのペースの奪い合いです。バムの動きは非常にキレているイメージですね。
サニーの上体を目一杯使って打つジャブも非常に長く、キレがあり素晴らしい。両者ともに調子は良さそうに感じる中、ほんの若干バムのアグレッシブネスがサニーを押していっているようにも感じます。
2R、ボディワークがキレッキレのバム、序盤に小さく飛び込んでの右フックをヒット。本当に今日のバムの体のキレは異常なくらいで、これがフライ級の本領かもしれません。
それでもサニーのジャブで顔を跳ね上げられるのだから、サニーの方も素晴らしい。
もっともっとサニーを追いかける展開になると思っていましたが、サニーもしっかりと踏みとどまってリターン、それに対しても確実に更なるリターンを返すバム。非常に良いテンポで試合が進んでいきます。
3R、数秒睨み合ったかと思うと、互いにフェイントをかけつつシングルショットを狙う展開、そこからいずれかがコンビネーション。息つく間もない、とはこのことで、非常に軽量級らしい戦いが繰り広げられます。
互いに互いのカウンターを警戒しつつ、先手を取ろうとするこの展開は、本当に気が抜けない戦いです。これは、12Rずっと続く集中力の勝負でもあるかもしれません。
4R、サニーがやや大きめに動き始めたか。スイッチを繰り返し、ブロッキングも使って左をヒットするサニー・エドワーズ、やや落ち着いた展開になればサニーは上手く戦います。バムとしては、これまで通りサニーを休ませることなく連続攻撃を仕掛けていきたいところ。
5R、バムが強いプレッシャーでサニーの行手を阻み、途切れることなく攻撃を繰り出していきます。フェイントも使いつつサニーを休ませない、これがバムの戦略にとって一番重要なところだと感じます。
6R、前半にサニーのジャブをかわし、左をヒットしたバム。これを取り返そうとサニーも比較的前で戦うボクシングを見せるこの回、近い距離での打撃戦でもサニーは結構いけるようですね。
この撃ち合いというのが正解なのかどうなのかは分かりませんが、サニー・エドワーズはこの距離でも上手く、頭の位置やパンチのアングル、バムに引けをとっていません。
しかしパンチングパワー、フィジカル面において劣勢は否めず、下がるのはサニーの方。
後半にはバムがサニーのブロックの上にラッシュを仕掛ける場面もあり、サニーにとっては苦しい展開。かと思いきや終盤はサニーの逆襲、バムは集中力が切れているのか反撃せず。
7R、セカンドから指示を受けたのか、サニーはようやくいつものボクシングにスイッチ。リングを大きく使い、とにかく貰わずに単発を当てる、というボクシングです。
全体的にプレスをかけるのはロドリゲス、ですがサニーはこの攻撃にうまく対応。その中で、サニーが攻め入ることもあり、これはかなりしつこい攻撃のためバムがその対応に苦慮する場面も。ただ、印象的なパンチといえばサニーの打ち終わりに合わせるバムの左であり、これはちょっと見栄えの差、もらい方の差が出そうなイメージですね。
8R、バムの左を警戒してか、確実に顎前にグローブを置いているサニー。ちょっと攻め入られる場面が多くなってきており、ロープを背にすることも多くなってきているように見えます。
中盤、バムの左右のフックがサニーを襲い、これでサニーは一瞬動きが止まります。
これでバムは非常に元気になったのか、相打ちを恐れず手を出し、相手のガードもお構いなしに攻め立てる姿勢。相手と頭と頭がぶつかりそうになるこの距離こそがバムの真骨頂が発揮される場所であり、あのロマチェンコのようなサイドステップも活きる距離。
このラウンドはサニーが意地を見せて反撃したところで終了。
9R、いつもは余裕を持った上でアウトボックスをするサニー・エドワーズ、今回はおそらくリードされている状態でアウトボックスを強いられます。このボクサーとしては逆転の力を持っているか、というとそうではなく、うちあっても分が悪いため、一体どうするか。
バムはやはりヒスパニック系らしくもらいながらも前進、ちょっとサニーはジリ貧気味。これにはサニーがパワーレス、ということも大きく関係しているでしょう。
終盤、サニーの左にバムの左がドンピシャで合い、サニー・エドワーズは前のめりにダウン!!!!これはもう終わっておかしくないダウンでしたが、サニーが立ち上がったところでゴング、この戦いは続くのか。。。!!
と思ったら、インターバル中にサニー・エドワーズ陣営が棄権、ジェシー「バム」ロドリゲスの9R終了TKO勝利が決定!!!
「フライ級ではスーパーフライ級でそうであったような、支配的なパフォーマンスを発揮できていない」というのが私の見解でしたが、いよいよ見れました、ジェシー・ロドリゲスらしいパフォーマンス。
サニー・エドワーズ相手に自分を貫き、比較的サニーが前で戦ってくれたということにも起因すると思うのですが、とてつもなく素晴らしいパフォーマンスだったと思います。序盤からヒリヒリする掛け合いの連続で、気の休まる暇のなかったこの戦いは、サニーにもはや打つてなしか、と思われたところでのBrutalKOというとてつもない結末を迎えます。
この試合に満足しないボクシングファンはいないでしょう。FOTY候補でも一向に差し支えはありません。
素晴らしいファイター二人の大きな拍手です。ボクシングという競技の美しさ、素晴らしさ、本当に良いものを見せてもらいました。
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