日本ではあまり話題にならないビッグマッチ、ジョシュ・テイラーvsテオフィモ・ロペス。
元世界スーパーライト級4団体統一王者vs元世界ライト級3団体統一王者という戦いは、話題にならない方が嘘みたいな話です。
頂点を極めたとはいえ比較的地味めで、安定感があり、オーセンティックなボクサーファイターと言えるテイラーと、ラテンのノリで華があり、パフォーマンスはその日次第、みたいな雰囲気のカウンターパンチャー、ロペス。
この好対照な両者の試合は、きっと好試合となるはずです。
これまでのキャリアを鑑みて、スーパーファイトであると同時に、試合内容にも期待できると思っています。
ということで今回のブログは、テイラーvsロペスの観戦記。
↓プレビュー記事
6/10(日本時間6/11)ニューヨーク
WBO世界スーパーライト級タイトルマッチ
ジョシュ・テイラー(イギリス)19勝(13KO)無敗
vs
テオフィモ・ロペス(アメリカ)18勝(13KO)1敗
いつも陽気なテオフィモ・ロペスはゴールドのグローブ。笑顔でリズムをとりながらの入場。背中にはウォルト・ディズニーの大きなロゴですね。
ローブタイプのタータンチェックのガウンをまとったテイラーは、やや神妙な面持ちか。ジョシュ・テイラーはイギリスの名門、FLYのボクシンググローブを着用。
オッズはやや開きが出たようで、ロペスが+190、テイラーは-230。
初回、まずは互いにリング中央に躍り出て、リードの差し合いです。思ったよりも展開が早いのは、ジョシュ・テイラーの意図する方ではないでしょうか。テイラーは非常に手数が多く、ボクシングのテンポも早めであり、ロペスがそれにつられているようなイメージ。
要所でロペスはカウンターを放ち、流石というところを見せますが、それを凌駕するのはテイラーのこのハイスピードなテンポ。
2R、先に攻めるのがロペス。ロペスはどちらかというとどっしりと構えるタイプのボクサーだと思っていましたが、今日は序盤からハイペース。このラウンドはロペスがプレス、左右のフックをヒットするなどしてテイラーを下がらせる場面が出てきます。むむ、これはパワーではロペスに分があるのでしょうか。
3R、前半はロペスがバランスを崩したり滑ったりする場面が2度。ちょっと集中力を欠いてきているかもしれないロペス、その攻撃はまだまだ迫力こそありますが、待ち+カウンター中心のボクシングに。これが本来のボクシングだと思いますが、とにかくテイラーの攻撃はハイテンポであり、終わりが分かりづらいボクシングです。
ここからは、お互いの「得意」を押し付け合う戦いになるかもしれません。
4R、ヒリヒリした戦いが続く中、今度はテイラーがスリップで尻もち。今日のリングは非常に滑るみたいですね。
後半、ロペスのパワーショットでテイラーはぐらり、後退しますが、これも滑っただけなのか、それともロペスのパンチでダメージを被ったのか。いずれにしろ、このラウンドはロペスが明確なラウンドかもしれません。
5R、ダメージはなさそうなテイラーはプレス。ここでペースを持っていかれまいという所なのでしょうが、ロペスのカウンターを警戒してか波状攻撃を仕掛けることはできず、1度のコンビネーションで終わってしまうのはよくありません。
6R、ロペスはプレスをかけ、相手に手を出させるように仕向けてのカウンター。相手が出てこなければ自分から鋭く攻める。これがテオフィモ・ロペスの得意パターンであり、そういうペースになりつつあるように感じます。
どんどんロペスが戦いやすくなっているようなイメージで、このままいくとテイラーにはまずい結果になってしまいそうな感じです。
7R、互いに持ち味を出し、反応も良い。ただ、こうなってくるとなかなかクリーンヒットを奪うことはできず、どっちづかずのラウンドになってしまいそうですね。
ペース、というほどではありませんが、やや戦いやすいと思われるのはテオフィモ・ロペスか。
8R、ここまでのパンチスタッツが出ます。テイラーは58/205、ロペスが82/280。これはさが開いていますね。このままではテイラーはやばい。
このラウンド後半に差し掛かる頃、ロペスはダンスを踊るような動き、飛び込んでの前手のストレート等を駆使、かなり自由にしています。ノッてきてしまったロペス、テイラーはこれを止める術を持つか。
9R、ロペスの動きがどんどん良くなっています。特にいきなり打つ右、この右を使って打つカウンター、これは脅威。
このラウンドは幾度かテイラーをぐらつかせる場面を作ったロペス、もう明らかな優勢を手にしているように見えます。
10R、挽回を目指す王者テイラー、序盤から強振。しかしロペスのような反応の良いカウンターパンチャーに対して、これはあまり良策とは言えません。
テイラーは空転が多くなっており、ロペスはやはりこうなると楽に戦えているように見えます。後半はテイラーが連打で攻め込む場面、こういうシーンは良いと思いますが、残り2R、間に合うか。
11R、前半、テイラーは攻めてロペスにカウンターを打たせ、そこへリターン。これは良い戦い方ですが、ロペスはカウンターを打った後の頭の位置を変え、このケアが非常に良い。テイラーのリターンは当たりません。
後半に入るとテイラーがやや雑になってきて、ロペスのカウンターがバンバン決まっていきます。テイラーはかなりダメージを溜めてきてしまっている印象です。
ラストラウンド、いくしかないテイラーは鋭い攻撃。中盤、テイラーの攻撃に対してカウンターのロペス、左ジャブのカウンターでテイラーはぐらり。これもマットが滑ったという可能性もありますが、疲労も、これまでのダメージもあるでしょう。
その後もロペスのボディで一瞬動きが止まったように見えたテイラー、やや足元が怪しい中ではありますが攻めの姿勢を忘れません。ただ、こうなるとロペスのカウンターは受けやすく、残り20秒ほどのところでロペスの右!これはよく倒れなかった、というほどのカウンターショットで、このあとレフェリーはストップのタイミングを伺っているように見えます。
残り数秒のところまで攻め続けたロペス、4秒位を残して勝手にニュートラルコーナーへいき、勝利をアピール。そして最終ラウンドのゴング。
勝利を確信しているロペスはコーナーへ登って勝利をアピールしていますね。まあ、ポイント的には完勝でしょう。
判定は、115-113×2、117-111でテオフィモ・ロペス!
思ったより、ポイントは競っていましたね。ただ、ロペスの勝利は明らかでしょう。
ジョシュ・テイラーは初黒星、王座陥落。これは残念ですね。
地力のあるテイラーでしたが、このボクサーはやはり挑戦している時にこそ真価を発揮するボクサーなのかもしれません。今回も調子は良さそうでしたがちょっと戦術面が良くなかったように思え、これまでのキャリアでベストとは言い難い内容。
対してロペスはやはり型にハマった時、その強さが発揮されますね。スーパーライト級のキャリアの中で最高のパフォーマンスを見せたロペス、今後も楽しみです。このボクサーは、ムラがあるからこそ面白いのかもしれません。
今後も要注目ですね。
ちなみに、二人が引き上げた後のリングでホセ・カルロス・ラミレスがインタビューを受けています。テイラーに破れたラミレスも、プログレイスも完全復活。今後のスーパーライト級トップ戦線は、アメリカ大陸を中心に回っていくのでしょう。その覇権がどこに落ち着くのか、これは非常に楽しみですね。
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