さて、日本時間6/18(日)も世界各地で非常に興味深い戦いが行われました。
DAZNで中継されたレジス・プログレイスvsダニエリト・ソリージャは、プログレイスへの期待とは裏腹におどろくほどの退屈ファイトでしたね。。。ちゃんと見たのですが、ギヤソフvsカルデロンも含めてちょっと、って感じだったので観戦記を書く気は失せました。(というか展開がアレすぎて書くことがない。)
そしてそのメインイベントがちょうど終わった頃に始まったのがShowtimeで中継されたオーストラリアン・メインイベンツ社の興行です。
オーストラリアでは6/18(日)の日中に開催されたこの興行、日本での放映は残念ながらありませんでした。セミファイナルには日本人にも関係してくる試合もあるのですから、その辺も巻き取ってほしいものですね。せめてU-NEXTさん。
ということで今回のブログは、メインにティム・チューvsカルロス・オカンポ、そしてセミファイナルにサム・グッドマンvsライース・アリームを据えたオーストラリア興行の観戦記。
↓プレビュー記事
6/18(日本時間同日)オーストラリア・クイーンズランド
IBF世界スーパーバンタム級挑戦者決定戦
サム・グッドマン(オーストラリア)14勝(7KO)無敗
vs
ライース・アリーム(アメリカ)20勝(12KO)無敗
初回、様子見もなく、グッドマンが突然に距離を詰めていきます。アリームも応戦、スピーディーなコンビネーション合戦がスタート!
互いに非常に反応がよく、ステップワーク、ボディーワークでかわしているのでクリーンヒットは少ない。これは好試合が期待できますね。
2R、テキパキとした動き、やはり両者とも並ではありません。互いに攻め、守り、非常にアクションの大きな動きにも関わらず均衡が保たれています。その中で、ややプレスをかけるのはグッドマンの方、アリームはカウンターから一気に攻め込むスタイルです。
非常にハイペースなボクシングが展開されています。
3R、グッドマンはプレスをかけてのバックステップ。よく足が動き、よく手が出ています。やや距離が近くなってきたか、両者ともにパンチが当たりだした印象です。
4Rもグッドマンの動きが良いですね。対してアリームはやや雑になってきた印象で、グッドマンの素早いバックステップが機能しているイメージ。
5R、ここでアリームが出てきました。鋭い右のオーバーハンドはグッドマンにヒット。このパワフルな攻撃でグッドマンはちょっと怯んだのか、それとも休憩のラウンドとしたのか、やや下がり気味の戦いを強いられます。
6Rも続いてアリームのパワフルな攻撃が冴えます。このラウンド序盤の打ち合いでは、両者互角の回転力を発揮。アリームの方が大きく振る分、パワフルか。
アリームは徐々に雑になっているイメージでもありますが、この雑さこそが相手が恐れるパワフルさの源かもしれません。やはりこのライース・アリームというボクサーは、攻撃にこそその真価を発揮するのだと思います。
7R、グッドマンはこのままではまずいと思ったか、プレス。アリームが攻めてくればバックステップしてリターン、が常ですが、流石にこのハイペースで足の動きがやや鈍く、時折ブロッキングで受けています。
8R、引き続きグッドマンがプレスをかけて先手。アリームは下がりながらカウンター、ビッグなパンチを繰り出していきますがやや単発、ここはグッドマンの方が見栄えが良い。細かくもしっかりとしたパンチを放つグッドマン、力強いパンチを放ちながらも空振りして体勢を崩すアリーム。
9R、見事に流れを引き戻したグッドマン、この「基礎力」の高さには驚かされます。おそらく勤勉にトレーニングを積んできたであろうグッドマンのボクシングは乱れがなく、それでいて一発一発をしっかりと打てるボクサーで、総合力の高さを感じます。
対してアリームはその反応は素晴らしく、避けそこねてバランスを崩した状態からでもリターンを返せるフィジカル、センスを持っています。
10R、両者ともに前に出たほうが良いボクシングをする感じなので、今はグイグイとプレスをかけるグッドマンが良い感じのイメージ。ここに来てもそのコンビネーションは力強く、スムーズです。
アリームは時折さすがの一撃を放つも、単発強振、これで起死回生を狙えるか。
11R、展開は変わらず、グッドマンが良いプレス。アリームの反撃に対してはブロッキングやバックステップ、そしてリターン。プレスをかけつつ休めているようなイメージで、自ら攻めるときはしっかりと攻めます。
インテリジェンスを持つグッドマン、しっかりと中間距離をキープ。軽やかなリズムを刻みながらその踏み込みもその流れから行うスムーズさ、想像以上に良いボクサーです。
ポイントは、後半に入ってからグッドマンがぐっと(断じて言いますがダジャレではありません)引き離した印象。アリームは特攻するか。
ラストラウンド、アリームが大きく振ります。しかしそのパンチは体が流れてしまうほどのもので、当たればでかいですがまだまだ動きの落ちないグッドマンには当たりません。
しかしグッドマンも安全策をとることはなく、その攻撃を受け止めて反撃!想像以上のそれ以上に素晴らしいボクサーです、グッドマン。ハートも持ち合わせています。
ラストラウンドだけにアリームも手数を出して攻め込みますが、その全てを真正面から受け止め、プレスを返すグッドマン。ここで下がるのはアリームの方で、体力的に厳しそうなのもアリーム。最後の最後まで両者ともに攻めの姿勢を崩さなかった両者の素晴らしいファイトは、12ラウンズの好試合を終えました。
判定は、116-112アリーム、117-111グッドマン、116-112グッドマン。
この内容でアリームに入れたのか、という一人のジャッジはなんと日本人ジャッジ。。。
結果的には2-1と割れましたが、ここはグッドマンの完勝という内容ではないでしょうか。この勝利で、IBF世界スーパーバンタム級の挑戦権を獲得したサム・グッドマン。
素晴らしいボクサーですね。そして、まだ24歳。
そのボクシングはある程度完成されているとも言えますが、年齢的にはまだまだ向上しそうなので、今後が非常に楽しみです。
WBO世界スーパーウェルター級暫定タイトルマッチ
ティム・チュー(オーストラリア)22勝(16KO)無敗
vs
カルロス・オカンポ(メキシコ)35勝(23KO)2敗
初回、ガードを固めて頭を振って前進のティム・チュー。後ろ荷重の状態で相手のアクションがあれば一気にいきます。開始30秒、右ストレートをヒット、その後左フックをヒットするとオカンポは早くもぐらり!
すでに足元がおぼつかなくなっているオカンポをグイグイと追い詰めて、右ストレートをクリーンヒットするとオカンポはダウン!!
立ち上がったオカンポに襲いかかるティム・チュー!!最後は左フックでフィニッシュ!!!
ティム・チュー、初回TKO勝利!
とにかく強い、ティム・チュー。今日の試合を見せられると、ここ数戦のうちで判定まで粘ったテレル・ガウシャや井上岳志は評価が上がっても良いのではないか、とさえ思ってしまします。
左手で照準をあわせ、ハンマーで頭をかち割るかのような豪打の右ストレート。それだけでも充分なのに、逃げようとする相手に届く左フック。
やっぱりこのオーストラリア興行は、日本でも絶対流した方が良かったですね。チューやグッドマン、ほかにもマロニー兄弟等、オーストラリアのボクサーたちは非常に勤勉であり、コンディションもしっかり整えてくるし、そして相手を舐めてかからない。だからこそ、素晴らしい勝ち方を見せることも多いし、アップセットを起こすことも多い。
U-NEXTさん、次はKayoSportsと提携しましょうよ。
あとチャーロさん、本当にチューとやりましょうよ。
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