7/13(水)、久々にボクシングが地上波に帰ってきました。
この地上波放送は井岡一翔vsドニー・ニエテスのみ、これは仕方のないことなのかもしれません。
アンダーカードも配信はしてくれるもの、とタカを括っていましたが、なんと超変則の配信。
第一試合は志成ジムの行う配信、第二試合はParavi、第三試合は志成ジム配信、第四試合はParaviで、メインの第五試合はParaviと地上波のTBS。また、そのほかの予備カードは志成ジムの配信と、大人の事情が絡み合っているとはいえかつてないほどの謎の配信興行となりました。
まあ、見れるだけマシなんです。
ということで今回は、井岡vsニエテスのアンダーカードの観戦記です。
↓プレビュー記事
↓メインの観戦記はこちら
7/13(水)
フェザー級8回戦
堤駿斗(志成)デビュー
vs
ジョン・ジェミノ(フィリピン)23勝(13KO)13敗1分
説明不要の大器、堤駿斗のデビュー戦!相手は百戦錬磨のジョン・ジェミノ。本来、デビュー戦で選ぶ相手ではありませんが、堤のプロとしてのポテンシャルに期待したい。
初回、堤はサークリングしつつ様子を伺います。鋭いジャブを見せて、踏み込んでのワンツー!これが早速クリーンヒット。
ジェミノの攻めに対してはしっかりとしたガードを保持したままステップワークでかわし、ノーダメージ。
後半にもワンツーをヒットした堤はその後コンビネーションで攻め込み、非常に落ち着いた立ち上がりです。
2R、序盤にローブローによる中断はありましたが、その後は堤が多角的なポジショニングからコンビネーション。いよいよ本領を発揮か。
ジェミノは非常にタフに見えますが、ジェミノは全く堤の動きについていけていません。更に堤はガードポジションのまま速く動く分、ジェミノが堤からクリーンヒットを奪える展開が見えません。
3R、ジェミノが距離を詰めて左右のフック!これは堤がこの接近戦を受けてたった、というところでしょうか。リング中央、この接近戦の距離ではジェミノのパンチも当たります。
しかし、後半には堤がコンビネーションの波状攻撃。ジェミノは攻撃する暇をもらえません。
4R、堤は動きながらカウンター。開始40秒ほどのところで、ジェミノの攻撃をバックステップで躱しての左フック!これで効いたように見えたジェミノですが、その後強いパンチを反撃!
5R、堤はステップワーク。ちょっと手数が少ないのではないか、と感じます。
1分ほどのところで堤の右がヒット、これでまたジェミノはダメージを被ります。
6R、堤は狙いすぎのようにも見えますね。やはりあまり手が出ず、動きながらのカウンター。ただ、振り回し続けているジェミノにもやや疲れが見えます。堤は中盤抑えて、後半にチャージするのでしょうか。
7R、このラウンド序盤は堤のジャブが多くでます。やや軽めのコンビネーションですが、いくつものジャブからコンビネーション、右手はしっかりとハンズアップして隙がありません。
その中でジェミノの攻めに対してはプルカウンター。デビュー戦で東洋太平洋ランカーのベテランを翻弄しています。
このラウンドもローブローで中断、ですが、ジェミノは休みたいだけではないかと邪推してしまいますね。
再開後、やっぱりちょっとスタミナが回復した感じのジェミノ。力強いパンチを振るってきますが、堤も強くリターン。
ラストラウンド、堤はサークリングしながらジャブを突き、ジェミノの入り際にはカウンター、ジェミノがサークリングについてこれないところやほんの少し気を抜いたところではコンビネーションで攻め入ります。
この中間距離をキープしている間の堤は完璧で、コンビネーションを打っては離れ、ジェミノは何も出来ない状態。
堤は良いように攻めれてはいるものの、ジェミノのガードは固く、また、非常にタフでもあります。試合は堤が危なげなく完勝、というイメージで終了。
判定は、79-73、80-72×2、勝者は堤駿斗。
非常に安定感のあるボクシングでした、堤。序盤は非常に強さを見せ、圧倒してストップ勝利ができそうだ、と思いましたが、途中、随分手数が減ったように思いました。
のちのニュースでは、拳を痛めてしまった、とのことなので、ここは致し方のないところ。
ただ、堤はこのデビュー戦で早速OPBF東洋太平洋ランキングを獲得することになります。このOPBF東洋太平洋フェザー級王者は清水聡(大橋)。1位には日本王者阿部麗也(KG大和)。2位には元日本王者の佐川遼(三迫)、3位には同門森武蔵、4位には元日本王者の丸田陽七太(森岡)。アツすぎる国内フェザー級戦線に早々に名乗りを上げた堤。
個人的には、どうか急がずに、じっくりと行ってほしいと思います。
スーパーフェザー級8回戦
森武蔵(志成)12勝(7KO)1敗
vs
プレスコ・カルコシア(フィリピン)10勝(9KO)1敗1分
伊藤沙月(志成)の試合には当然のように間に合いませんでした。で、一応bitfanで見ようと思いましたが当然のごとくアーカイブは残っておらず。。。まあ、仕方ありません。
気を取り直して。
前戦で清水聡(大橋)との地域王座統一戦に敗北、ジムを移籍しての再スタート。尊敬する井岡一翔のジムメイトとなり、どのようなことを学んできたかに注目です。
初回、プレスをかけながら鋭いジャブを飛ばす森。カルコシアは下がりながらリターンを狙いますが、森は反応よくバックステップで対応します。
2R、森のどっしりとした構えは、体型こそ違えどいおかにそっくりです。奥の手のガードポジションは乱れず、少し頭を振りながらプレス。
ジリジリと追い詰めてジャブから左ボディ、踏み込んでいく森に対してやや後手ながらも強いパンチを返すカルコシア。特に力強い右ストレートは怖い武器です。
3R、振り回してくるカルコシア。序盤にカルコシアの右が森にヒット!その後森もまっすぐの左ストレートを返し、両者単発ながらもクリーンヒットを奪い合います。
カルコシアは依然振り回してくる分怖さがありますが、森はディエンスも良い。
4R、よりプレスを強めた感のある森。早々にバッティングでカルコシアが出血?ドクターチェック。
後半にもバッティングか?森が痛がるそぶり。やや距離が詰まる場面も出てきていますね。
5R、ジャブからボディで攻め込む森。その踏み込みにあわせて振り回すカルコシア。カルコシアも体が柔らかく、反応も良い。良いボクサーです。
後半にはカルコシアの右ストレートで森がのけぞる場面も。ちょっとタイミング的には怖いパンチをバンバン振ってきます。
6R、森はフェイント、ここでカルコシアを出させてからカウンターを打てれば良いですが、カルコシアは踏み込みすぎて体があたってしまいますね。中間距離では先にしかける森に主導権がありますが、接近戦ではどっちつかず。
7R、早々にジャブボディからのコンビネーションで攻め込む森!しかしカルコシアも強いパンチをリターン、これで顔を跳ね上げられる森はやや見栄えが悪い。
ただ、その後しっかり攻めれているのは勿論森。カルコシアのフルスイングはスッとかわし、ディフェンスを考えた攻撃ができています。
攻めれば必ず強いパンチを打ち返してくるカルコシアの攻撃にも随分慣れた感じがします。
ラストラウンド、カルコシアのダメージがどれほどかは映像ではわかりません。(何せ遠すぎる上、全画面表示もできません。)森がよりプレスを強めている事から、ストップを狙っているのか。
しかしカルコシアも強いパンチで応戦、体勢を崩すほどの左フックのフルスイング。これはガードの上からでももらいたくありません。
終盤、近い距離でのボディでカルコシアがダウン!立ち上がったカルコシアは大きく逃げ、ここで規定のラウンドを終了。
判定は、77-74、78-73、80-71で森。
フルマークはちょっと忖度しすぎな感じがありますが、森の勝利で間違いはないでしょう。相手のカルコシアは、想像以上に怖さのあるボクサーで、「未知の強豪」といっても良いボクサーだったような気がします。
このカルコシアがまた日本に登場するようなことがあれば、Aサイドの日本人ボクサーを喰ってしまう可能性もあるスイングをしていましたので、この名前は覚えておいた方が良いかもしれませんね。
バンタム級8回戦
比嘉大吾(志成)17勝(17KO)2敗1分
vs
フローイラン・サルダール(フィリピン)32勝(22KO)5敗1分
この興行で一番不安なのは、リベンジ戦を迎える井岡一翔でも、再起戦を戦う森武蔵でも、プロデビュー戦を戦う堤駿斗でもなければ伊藤沙付きでもなく、比嘉大吾。
相手は強豪、フローイラン・サルダールということもあって、やや安定性に欠く比嘉大吾のパフォーマンスには不安が残ります。是非とも払拭してもらいたいものです。
注目の一戦、ゴング。
1R、まず比嘉の動きは非常にキレがあるように見えます。サルダールも動きは良い。サルダールは特に序盤が強く、体が柔らかいという特徴がありますが、いつも以上に運動量が多くも見えますね。比嘉の速さ、運動量にちょっと釣られているようにも見えます。
比嘉はさほどグイグイと出る感じではなく、しっかりとステップワークも使ってのボクシング。比嘉はやや真ん中が空いてしまうガードポジションのため、サルダールのジャブ、アッパーが怖い。
2R、比嘉がプレスを強めます。ガードを固めてサルダールのジャブをダックでかわしつつ前進、サルダールもよく手数が出て比嘉を突き放します。
比嘉のブロッキングは固いですが、サルダールのアッパーが怖い。
後半、右と右の相打ちのタイミングから返しの左フックをヒットした比嘉!その後も近い距離での攻防は、比嘉の左右フックが効果的に見えます。比嘉が良い感じです。
3R、比嘉はサルダールのジャブをしっかりと外せています。ただ相変わらずサルダールのアッパーは要注意。
比嘉は少し強引になっているか、比嘉のは入際にサルダールのアッパーがよく当たっているイメージ。その被弾を気にせずに攻め入る比嘉ですが、もう少し丁寧に距離を詰めたいところです。
と、後半、比嘉が額から出血。どうやらバッティングのようです。かなり深そうです。。
会場の応援の拍手に送られ、比嘉が更にプレスを強めたところで終了ゴング。
4R、比嘉は頭を振ってステップイン。非常に危険な接近戦での打ち合いです!比嘉が右をヒットしますが、その後、比嘉がジャブを打った後にその手の引きが遅く、ここでサルダールの右クロスを浴びてダウン!!カウント9で続行の比嘉ですが、かなりダメージは深そうです。
比嘉は頭を振ってサルダールの攻撃を何とかかわし、クリンチ!サルダールはサルダールで強引には攻めず、じっくりと見ながら強弱をつけたコンビネーションです。
ここはこれまでの比嘉の固いガードが功を奏している可能性がありますね。サルダールとしては、空いているところに打ちたいという意識が強い分、ラッシュは仕掛けません!比嘉は力が入らない、というのはあるかもしれませんが、ガードを固く保ち、なんとかしのぎます。
5R、比嘉はまだダメージはありそうです。サルダールのカウンターとアッパーには気をつけなければいけません。
ガードをしっかりと固める比嘉はサークリング。サルダールはじっくりと攻め、やや遠目の距離からリーチを活かして軽いコンビネーション。
比嘉にとってはやや有り難い時間が続いた後、終盤は比嘉が距離を詰めての打撃戦!会場を沸かせます。
6R、比嘉はガードを固めて前進、しかし序盤は相打ちで効かされたのは比嘉。
押し合いの展開から比嘉が回転力のある連打を見舞い、その後もかつての比嘉大吾のような連続攻撃!しかしサルダールもステップワークからジャブ、アッパー、近寄られたらクリンチ。
このあたりは流石キャリアのあるサルダール、巧いですね。
最後まで力強いパンチを放った比嘉、逆転ノックアウトヘの期待を抱かせるラウンドです。
7R、ガードを固めて前進、左フックを振るう比嘉。サルダールはクリンチ、比嘉の攻撃を分断します。ハーフタイム、リング中央で比嘉のコンビネーション!サルダールは近い距離でまわりながらパンチ後からを逃しています!
ここは比嘉のがんばりどころ、ここで左フックのクリーンヒットを起点としてラッシュを仕掛ける比嘉!!しかしサルダールもフラフラになりながらも打ち返し、粘ります!
サルダール、何というタフさ!!
ラストラウンド、ここは比嘉は倒しきって欲しい。比嘉はプレス、序盤に左フックをヒット!サルダールも限界は近そうですが、ステップワークとクリンチで何とかエスケープ!中盤、サルダールをコーナーに詰めた比嘉はラッシュも、ここでもまたクリンチ!
比嘉は続けてプレス、しかしサルダールもアッパー!
その後もぐいぐい攻める比嘉ですが、サルダールからクリーンヒットは奪えず。規定の8ラウンズを終了しました。
76-74、74-77、76-75、2-1の判定で比嘉の勝利。
いやー、ほっとしましたね。ただただ、安心しました。
今日の比嘉大吾は、本当に初回から体がキレており、そして勝敗に関わらず最後までしっかりと前に出れた事が非情に良かったのではないか、と思います。
かつての勢いを取り戻す、ということはできないかもしれませんし、まだまだ心が定まらないというところもあるのかもしれません。
ただ、今回初めてノックダウンを奪われ、個人的には一瞬、「諦めてしまうのでは」という不安がよぎりました。そういったメンタルの不安定さが、比嘉大吾にはあるような気がします。
それでも、その効かされた状態から盛り返し、薄氷とはいえ勝利を手にした比嘉大吾。これは大きな大きな一歩ではないでしょうか。
もう一回言います。本当に安心しました。
そして、今回の一戦は、「比嘉大吾の次戦」を楽しみにするのに十分な内容だったと思います。とりあえず今回はこれを見せてくれただけで十分。
また次戦以降の比嘉大吾に期待したいと思います。
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