フルトンvs井上の記者会見を見逃し視聴。ラヒーム氏の質問の基となるある出来事とは。

遅ればせながら、7/25（火）のプレスカンファレンスを見ました。

私はあの日本の記者会見があんまり好きではないので、正直見ることは少ないのですが、いくつかの記事を目にすると非常に気になることがあったので結構ちゃんと見てみました。

いくつかのメディアでは、フルトン陣営が井上にいちゃもんをつけた、との報道。

ワヒド・ラヒームトレーナーが言っていることは揺さぶりでも何でもなく、単に心配していることを伝えただけであり、個人的にはラヒームトレーナーの言っていることは特段変なことには思えず、さらにそれを難癖つけてるとかいうのはどうかな、と思います。

このラヒームトレーナーの言っていることにピンときた人も多いと思いますが、井上は過去、ドネア第二戦のとき、バンテージの巻き方の動画を巡って論争というものが起こったことは事実です。

Plenty of chatter online right now about Inoue getting his hands wrapped earlier prior to #InoueDonaire2. This type of pre-taping and padding wouldn’t be allowed in many regions/countries. Keen to get thoughts from fighters/coaches… #boxing @FightDisciples pic.twitter.com/QtnVAGDBGz
— Nick Peet (@Peety_Editor) June 7, 2022

ちなみにこの動画で、井上は手の甲にテーピングを巻いています。この上にハンドラップをして、最後にテーピングで固める、というのが井上の場合、デフォルトです。

バンテージの禁止事項

ちなみにハンドラップ（バンテージ）の禁止事項ですが、ハンドラップの下にテーピングをすること自体は特に不正行為というわけではありませんが、ナックル部分にテーピングをするという行為はいわゆるスタッキングという不正行為なのです。

ただし、これは日本のルールであり、国際的に言うとそれが全てOKというわけではありません。

信太調べ（というか記憶）によると、確かイギリスはダメで、ラスベガスはOKだけどニューヨークはダメ、みたいな感じだったような気がしないでもない。（これは本当にただの記憶ですが、ことアメリカに関しては州ごとに少々ルールが異なります。）

だから、この動画を見た海外の人たちは、「イノウエはハンドラップの下にテーピングをして、拳をガチガチにしている！」と思った人がいたのでしょう。

この動画に対しては、何にでも首を突っ込みたがるレイチェル夫人もなにか言っていたような記憶がありますが、大したことではない（不正行為ではない）ので私はその後追ってはいません。

ただし、そういう論争が起こったこと自体は事実であり、特にことの顛末を知らない対戦相手陣営としては、日本ではこの行為がOKということも知らないでしょうから、はっきり言って心配になるレベルのものだと思います。

結局このことはオフィシャルで話題になっていることではなく、SNS等のさほど信用に値しない界隈での論争ではあるので、このことをこの場で話題に出すのはどうかとは思います。心配ならば、ルールミーティングでしっかりと「どこまでならテーピングをしても良い」ということを確認すべきであり、井上がハンドラップの準備をするときにはフルトン陣営からも誰か見に行くのですから、そこで指摘しても良い事項でもあります。（それはそれでまた別の形で「嫌がらせを受けた」とか言われるのでしょうが）

とかく、ラヒーム氏は公平性、つまりは「インテグリティ」を求めていただけ。そのために、どんな小さな芽も積んでおきたい、というのは、完全アウェーで戦う王者として当然の事柄だと思います。

というか、日本人ボクサーたちも、海外で戦うとき、「こういう妨害を受けた」とか「◯◯がひどかった」とか終わってから言うのではなく、事前に重箱の隅をつつくように確認をしておくべきなのだろう、と改めて思いました。

こういうことは、後からいくら言ったってだめですから。

それから、手の甲にテーピングを貼る、という行為については、パンチ力アップというよりも中手骨含め怪我防止という観点だと思っています。そもそも、「バンテージをどう巻くか」については、「手の保護」は勿論、「拳を固めてパンチ力アップ」という側面もあるのだから、ルール内でどう巻くのかというのは工夫のしどころ。