7/22(土)、スティーブン・フルトンと井上尚弥、そしてロベイシー・ラミレスと清水聡は横浜ベイシェラトンホテル&タワーズにて、記者会見。
いよいよですね〜。
あのホテルでやる静かな雰囲気、何とかならんもんかと思っていますが、国民気風的には仕方がないのかもしれませんね。
こちらはLeminoで見逃し配信もあるので、是非そちらをご覧ください。
さて、あとは前日計量と試合当日を残すのみとなったこのビッグイベント、そしてこれが終わった後の週末にあるのがエロール・スペンスJr.vsテレンス・クロフォード。
このアメリカ人同士、無敗王者同士、PFPファイター同士の戦いというのは、マッチアップとして今年最大の一戦というべきものでしょう。
ということで楽しみがまだまだ続く、今回のブログは7/29(日本時間7/30)にとうとう起こるスペンスvsクロフォードについて。
7/29(日本時間7/30)アメリカ・ラスベガス、T-Mobileアリーナ
世界ウェルター級4団体統一戦
エロール・スペンスJr(アメリカ)28勝(22KO)無敗
vs
テレンス・クロフォード(アメリカ)40勝(31KO)無敗
「い」と打つと「いよいよ」という予測変換が出てくる今日このごろ。いよいよと使い過ぎています。
ということで、いよいよ(笑)世界ウェルター級タイトルマッチ。
ウェルター級という世界的強豪がひしめき合う階級で、初めてとなる4団体統一戦は、当代きっての最強王者同士のぶつかりあいです。
テレンス・クロフォードがスーパーライト級で4団体統一戦を行ったときや、カネロがスーパーミドル級4団体統一戦を行ったとき、そして井上尚弥がバンタム級で4団体統一戦を行ったときとは全くと言って良いほど趣が違います。
上記の通り、「クロフォードの」とか「カネロの」とか、「井上尚弥の」とか、今回に限ってはそういうのがありません。
オッズはややクロフォード優位と出ていますが、今回のウェルター級4団体統一戦は表記するとすれば「スペンスvsクロフォード」です。つまりは、どちらが勝つのかはわかりません。FOTY(年間最高試合)、KOTY(年間最高KO試合)となる可能性はあっても、アップセット・オブ・ザ・イヤーにはなりません。どちらが勝っても、アップセットとは呼べないものですから。
そんな大変興味深い戦いは、幾度となく話が出ては立ち消え、ついに決まった経緯は最高のものです。
ボクサー同士が直接連絡を取り合い、合意に達した背景は、これからのボクサーも参考にするべきもの。(プロモーターは困るのでしょうが)
↓スペンスvsクロフォード決定の立役者とは
テレンス・クロフォードの「レジュメ」
スペンス本人、スペンス陣営、そしてスペンスのファンは、クロフォードのレジュメに文句を言っているようです。どうやら「スペンスは誰ともやっていない」というのが彼らの言い分のようです。
クロフォードがウェルター級で戦った相手は、ジェフ・ホーン(9RTKO)、ホセ・ベナビデス(12RTKO)、アミール・カーン(6RTKO)、エギディウス・カバラウスカス(9RTKO)、ケル・ブルック(4RTKO)、ショーン・ポーター(10RTKO)、デビッド・アバネシアン(6RKO)。
統一戦こそ経験していないものの、元王者も含めてなかなかのレジュメではないか、と思ってしまいます。それほどに、やはりウェルター級の層は厚い。
対してスペンスがウェルター級の世界タイトル戦で戦った相手は、ケル・ブルック(11RTKO)、レイモント・ピーターソン(7RTKO)、カルロス・オカンポ(1RKO)、マイキー・ガルシア(12RUD)、ショーン・ポーター(12RSD)、ダニー・ガルシア(12RUD)、ヨルデニス・ウガス(10RTKO)。
スペンスの世界タイトル奪取は新しい時代を告げるものでしたが、ピーターソンやオカンポは不足というイメージ、マイキーはちょっと意味不明な試合であり、結局はその後の3戦がハイライト。
ショータイム、スウィフト、そしてウガスとの連戦、王座統一というのは非常に見事。しかもスペンスは、この間とんでもない交通事故を起こしてもいます。
だからといって、クロフォードのレジュメを貶める理由にはならないですね。特に、クロフォードはショーン・ポーターをストップした、という誰にもなし得られなかったレジュメを持っています。
しかし、クロフォード自身もレジュメにおいてスペンスが上回っている、というのは認めているのか、この質問は嫌なようです。そしてクロフォードの言い分は、「正直なところ、ショーン・ポーターのレジュメは私たち二人よりも優れている。だから関係がない。」ということ。
確かに、ポーターのレジュメは素晴らしいもの(だからといって、クロフォードやスペンスのレジュメを上回っているという明確な理由は見当たりませんが)ですが、だからといってポーターをクロフォードやスペンスより上に見るということはできそうにありません。
chop,chop,chop
テレンス・クロフォードはスペンスを大いに警戒しつつも、「敗北は考えられない」と語っています。
その自信は、クロフォードがハードトレーニングを敢行しているためだという記事もありましたが、実際これまでもクロフォードはそういったネガティブな感情を持たずにリングに上がってきたのでしょう。
これまでクロフォードを困らせたボクサーはいましたが、クロフォードが敗北するかも、と思わせたボクサーは皆無。
それでも、今回の「敗北は考えられない」という自信は、いつもより少し、弱いものかもしれません。それほど、クロフォードはスペンスを認めています。
さて、エロール・スペンス。
当然こちらも負けるつもりはサラサラないでしょうが、警戒心はあらわ。
特にスペンスのトレーナーであるデレック・ジェームスは、明確に"Errol needs to be the best version of himself."と語っています。
今回、クロフォード戦に臨むスペンスは、最高の状態でなければならない、と。
ジェームスはスペンスに「本当にやりたいことから決して外に出ないこと」を求めています。つまりは立てた作戦をしっかりと遂行することが重要であり、その作戦を持ってクロフォードをchop,chop,chop(刻んで刻んで刻む)することが勝利へつながる、と語っています。スペンスに求められるのは、練習内容を試合でそっくりそのまま出すことであり、12Rにわたり集中力を切らさないことです。
果たして、クロフォードのように自由自在、どのようなことにも対応できるようなボクサーに対して、愚直に作戦を遂行できるものなのでしょうか。私は個人的に言うと、クロフォードに勝つにはラッキーパンチに似た閃きの一撃だというふうに思っているので、スペンスがクロフォードに勝つ姿が想像できないでいます。
しかし、スペンスも傑物です。
スペンスが過去最高のエロール・スペンスJrを作り出し、フルラウンドに渡って集中力を維持してクロフォードを削れたならば。
「ラッキー」や「トラブル」ではなく、正々堂々といってクロフォードに勝てるのならば、これは当代最高のボクサーという称号となるのやもしれません。
ちなみにこの「やるべきことをしっかりやって、そこから逸脱しない」という宣言は、大きく戦局を覆すような特攻精神を持たずにフルラウンドを戦い抜く心づもり、とも取ることができると思います。なので、スペンスがやらなければいけないことは、まず序盤、絶対にクロフォードにポイントを渡さないことです。
獲物を狙うハンターも、立ち上がりは良いとは言えません。
その時、もしクロフォードに上回られてしまったならば、スペンスの挽回は困難でしょう。
いずれにしろ、ヒリヒリする試合が見れそうで何よりです。
祭りのあと
さて、このボクシング界最高のお祭りのあと、ウェルター級はどう動くのか。
まず、この試合はどちらが敗北を喫したとしても再戦条項を行使する権利があるとのことなので、第2戦目は免れないでしょう。
どんなに良い試合になったとしても、第1戦目ほどの注目度はないはずで、もし接戦の好試合だったとしても、やはり初見の試合というのが一番素晴らしいことはここまでの歴史の中でわかっています。(もちろんウィラポンvs西岡、井上vsドネア等、例外は認めています。)
クロフォード、スペンス、どちらが負けるにしろ、再戦は必須ですが、これがダイレクトリマッチかどうかはわかりません。
ちなみにスペンスはこのクロフォード戦の決着がつけば、スーパーウェルター級に上げるということを希望しています。クロフォードについてはそういった話はないように思いますが、もし再戦があるとすればどうなるのでしょうか。勿論初戦の内容次第ということはありますが、再戦は再戦で楽しみなような気がします。
さて、そうなると割を食うのはウェルター級で待つランカーたち。
ウェルター級はまだまだ魔境であり、特にジャロン「ブーツ」エニスは脅威中の脅威。
一部では既にクロフォード、スペンスの対抗馬として見られているエニス。今後エニスが入って三つ巴、ともなれば最高で、これこそまさに黄金の中量級の復活なのかもしれません。
そこにバージル・オルティスも入ってきてほしいですが、ちょっと難しいのかもしれません。そして、夢のまた夢、の話なのかもしれませんが、このウェルター級の世界タイトル戦線に、佐々木尽が絡んでくるかもしれない、と思うとまたさらに楽しみですね。
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