どうしても後回しになってしまうのがブログ。
仕事、連盟のこと、部活での指導、そしてブログ、という順番になってしまっています。
本当は指導→連盟→ブログ→仕事という優先順位が個人的に好ましいわけですが、前2つはお金を産まないばかりかマイナス収支、ブログもお小遣い程度のものなのでこればかりは仕方ありません。本当に仕方ないのかはまた考えますけど。
ともあれ、3連休手前、注目試合もあるので一つでも記事を上げておこうとPCを開きました。
この3連休のボクシング、IBF世界バンタム級挑戦者決定戦として行われる西田凌佑(六島)vsクリスチャン・ヒメネスを要する3150FIGHTも十分魅力的だし、エマニュエル・ナバレッテvsオスカル・バルデスも非常に魅力的なカード。
それでもやはり、日本での放映があるということも含めて、我々はこのボクサーを応援せざるを得ません。そう、エマニュエル・ロドリゲス。
ということで今回のブログは、いよいよ世界返り咲きを狙う、エマニュエル・ロドリゲスvsメルビン・ロペスのIBF世界バンタム級王座決定戦について。
8/12(日本時間8/13)アメリカ・メリーランド州
IBF世界バンタム級王座決定戦
エマニュエル・ロドリゲス(プエルトリコ)21勝(13KO)2敗
vs
メルビン・ロペス(ニカラグア)29勝(19KO)1敗
やっっっっと開催される、IBF世界バンタム級王座決定戦。
井上尚弥が正式にベルトを返上して半年以上、これでようやくバンタム級の王者が出揃うことになります。
WBA王者に井上拓真(大橋)、WBO王者にジェイソン・マロニー(オーストラリア)、そしてWBC王者にドネアを破る殊勲をあげたアレハンドロ・サンティアゴ(メキシコ)。
そこに名を連ねるのは、ロドリゲスか、ロペスか。
エマニュエル・ロドリゲスは我々日本のボクシングファンもよく知るボクサーで、いまや伝説として語られるグラスゴーの惨劇の被害者です。
2019年5月、19勝(12KO)無敗という戦績だったプエルトリコの至宝は、この初黒星の2戦前、こちらもおなじみポール・バトラー(イギリス)を破ってIBF世界バンタム級王座を初戴冠していました。
当時からその技術は注目されており、鳴り物入りでWBSSに参戦。初防衛戦では当時無名に近かった現WBO世界バンタム級王者、ジェイソン・マロニーを退けていますが、この戦いは当時評価が高いとは言えなかったマロニーを相手にスプリットの判定勝利、若干評価を落とした試合でもありました。
それでも、WBSS初戦を突破したロドリゲス、井上との一戦は当時「事実上の決勝戦」とまで言われるほどのものでした。
この戦いで、初回から果敢にカウンターを狙ったロドリゲス。思えば、「怯んだら負け」な対モンスター戦において、ともすれば最良の選択だったのかもしれません。
惜しむらくは、ロドリゲスの想像以上に、そして我々の想像以上に井上尚弥というボクサーの対応力とパワーが素晴らしかった、ということです。
全世界誰もが想像していないような2RTKO、勝負はすでに最初のダウンで決まっていたと思われますが、あれもロドリゲスが井上に勝とうとしていた証であるから、ボクサーとしての矜持の面でバトラーとは違います。
未だに語り継がれるのは、初回、井上のジャブに右カウンターを合わせようとしたシーン。このロドリゲスの右カウンターというのは対戦相手からすると非常に厄介で、これを繰り返されると完全にジャブを封じられてしまう、という類のもの。
中間距離で抜群の強さを誇るロドリゲスに対しては、その活路は接近戦に見つけるしかないのでしょう。
さて、井上戦での敗戦を機に、ロドリゲスのボクシングはディフェンス重視に偏ったように見えます。
再起戦となったレイマート・ガバリョ(フィリピン)戦、これは「判定を盗まれた」というワースト・ジャッジ・オブ・ザ・イヤーというような試合ですが、完璧なカウンターを決め、効かせはしたものの、下がりすぎだった印象があります。(当然、この判定結果を容認するものではありません。)だからこそ、「攻勢点」という名目で、ジャッジに「ガバリョにつける」という隙を与えてしまったということなのでしょう。(そんなジャッジは追放で良いんですけれども)
ちなみにこのガバリョ戦前、一度はルイス・ネリ(メキシコ)との試合が決まるも、ネリネリはウェイトオーバー。しかもたった1ポンド。
限界まで減量していないネリなら何とかなりそうな感じでしたが、このウェイトオーバーを受けてロドリゲス陣営は試合を中止、これは当時日本では英断と褒められましたが、世界的にはロドリゲスが逃げた、的な風潮だったと思います。体重別競技を何だと思っているのでしょうね。
そのウェイトオーバー事件からのガバリョ戦での疑惑の判定、更にその再起戦ではゲイリー・アントニオ・ラッセル(アメリカ)との戦いで初回にバッティングで続行不可能となり、ノーコンテスト。
こんな「ありえない」事態の連続は、毎年のように死にかけ体験をしている私とかぶりますw
井上戦での初黒星からロドリゲスがようやく復帰戦を飾れたのは、2022年3月25日のことで、2年10ヶ月が経過したころ。これは調整試合的なものでしたが、再起第二戦ではゲイリー・アントニオ・ラッセルを完膚なきまでに叩きのめし、負傷判定ながらも完勝しています。
このラッセルを倒したのは大きかったですね。
思えばこのロドリゲスvsラッセルが、U-NEXTの放映した海外ボクシングの第一弾、ということになります。
この試合、ロドリゲスのメンタルは完全に復調しているように見えました。
中間距離で戦おうとするラッセルとの相性は抜群で、ラッセルは拳を出せばカウンターが飛んでくる状態、全く思い通りに戦えない展開でした。
ダウンを奪い、ストップ間近かというところで第一戦同様にバッティング(これについてはラッセルがバッティングし易いボクサーだという認識です)、試合がストップ。
このロドリゲスにとってのベストバウトを経て迎える今回の一戦、ロドリゲスに死角はないように思います。
さて、対戦相手のメルビン・ロペス、こちらは近い距離で戦う好戦的なファイタータイプのボクサーです。
ニカラグア出身の25歳ということで、やはり憧れは元PFPキングのローマン・ゴンサレス(ニカラグア)なのでしょう。唯一の敗戦はのちの世界挑戦経験者、ホセ・ベラスケス(チリ)戦で、これは2019年のことですね。話がそれますが、このベラスケスは9月に和氣慎吾(Flare山上)と対戦予定。
結構良い体格をしており、リーチも長いロペスですが、得意なのはインサイド。上手く腕を折りたたんで打つボディや、サウスポースタンスからの右のダブル、近距離でのボディワーク、踏み込みスピード、非常にバランスの取れたファイターです。
ブロッキングも非常に上手いですし、コンビネーションもスムーズ。
とはいえ、やはりロドリゲス優位は変わらないでしょう。
やや直線的な攻めが目立つロペスは、ロドリゲスにとって格好の的になりそうです。
ただ、もしロペスが、ロドリゲスの想像以上のパワーを有しており、決してメンタルが強いとはいえない(たぶん)ロドリゲスが万に一つでも怯めば、試合は面白くなるかもしれません。
まあ、ロドリゲスは前戦もサウスポー、距離が違いこそすれロペスの左オーバーハンドのあとに右ストレートを入れそうな気がしてなりませんが。
ただひたすらにロドリゲスの王座返り咲きを願いますし、ここはハイライトとなるようなダウンシーンを見せてほしいとも思います。
アンダーカードと配信
ちなみにこの興行の落札価格は、25,000ドル。一般人でも買えそうなレベルの世界タイトルマッチです。
この落札価格というのは、両者のファイトマネーの合計なので、二人あわせて450万くらいということです。うーん、世界タイトルマッチとは思えない破格の一戦。
というほど人気のないマッチアップなので、観客とか非常に心配だったわけですが、セミファイナルに出場するのはゲイリー・アントワン・ラッセル(アメリカ)。16戦して全勝全KOというラッセル家の最終兵器は、おそらくアメリカでの人気、注目度の面でいうとメインの二人を大きく上回るでしょう。それでも、メインをロドリゲスvsロペスにしてくれたPBCには感謝です。
アントワンの相手はケント・クルス(アメリカ)というボクサーで、16勝(10KO)無敗3分という無敗のボクサー。映像は見ていませんが、戦績通りなら強豪です。
セミセミも無敗対決で、トレイボン・マーシャル(アメリカ)vsガブリエル・マエストレ(ベネズエラ)。マエストレは元WBA世界ウェルター級王者(暫定王者乱立時代)、5勝(4KO)無敗1分のオールドルーキー(36歳)。対してマーシャルは22歳、8勝(7KO)無敗のプロスペクトです。
勿論、マーシャルのための試合なのでしょうが、そう簡単にことが運ぶとは思えません。これは良いマッチアップですね。
ほかにもマーカス・ブラウンやらホセ・ベナビデスやらが登場する豪華興行、アンダーカードはきっとShowtimeのYoutubeチャンネルで放映されると思うので、気になる方はチェックしてみてください。
なお、メインの3試合に関してはアメリカではShowtime、日本ではU-NEXTが放映してくれます。ほんとに、U-NEXTの放映予定をもっと早く出してくれないですかね。なんで内緒にするんでしょうか。
ということでU-NEXTはこちらから。放映日時は日本時間の8/13(日)9:30〜です。
時間と気力があったらこのタイトルショットの勝者に挑戦する、西田vsヒメネスもプレビューしようかと思ったけど、時間も気力もないのでやめときます。
ではみなさん、週末のボクシング観戦を楽しんで。
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