日本時間9/3(日)は早朝にイギリスでBOXXER興行、そして日本では岡山で3150FIGHT興行です。
リアム・スミスvsクリス・ユーバンクJrは現地・イギリスでは大盛りあがりの一戦かもしれませんが、日本での話題はほぼないに等しい。こういう興行を配信してくれるU-NEXTは素晴らしいですね。視聴数が少ないとFIGHT SPORTSとの契約を解除しかねないので、かいつまんでですが視聴しましょう!
ABEMAでは3150FIGHT、初の地方興行は岡山。何といってもこの興行の注目は和氣慎吾の再起第二戦で、対戦相手はホセ・ベラスケス!
ベラスケスは負けも多いですがれっきとした世界ランカー、スタイルとしては和氣にとってやりづらい相手ではないかもしれませんが、南米のボクサーらしく相対してみないとわからないことがあると思うので、当然油断はできません。
ということで今回のブログは、イギリス興行と3150FIGHTの観戦記
9/2(日本時間9/3)イギリス
リアム・スミス(イギリス)33勝(20KO)3敗1分
vs
クリス・ユーバンクJr(イギリス)32勝(23KO)3敗
イギリスはマンチェスター、またの名を「マッドチェスター」。灰色の都市であるマンチェスターという場所は、ストーン・ローゼス、ザ・スミス、そしてオアシスといった世界的ロックバンドを数多く排出した都市。
メインの試合が始まる前にはOasisの楽曲が会場で流れ、観客たちは大合唱。これは羨ましい光景。
さて、そんなマンチェスターで激突する英国人気ボクサー。スミス35歳、ユーバンク33歳とともにベテランですね。前戦ではスミスが4RTKO勝利しており、ユーバンクにとってはリベンジマッチですね。
この試合にめちゃくちゃ興味があるわけではありませんが、折角U-NEXTが配信してくれたのでメインだけ見ました。
初回、スミスがハイガードでプレス。ユーバンクはステップワークと鋭いジャブで対抗。早速ちょっと揉み合いの展開も多いですね。
2R、スミスは前進を試みているものの、頭の位置が動かないのでユーバンクが攻めやすそう。先手を取るユーバンクはコンビネーションで攻め入り、良いリズム。
3R、手が出ないスミス、快調にコンビネーションを出すユーバンク。スミスは完全に後手、スミスが攻めようとアクションするとすぐにユーバンクが攻撃を開始し、スミスは全く攻めることができません。
4R、ユーバンクはパンチのつなぎ目が非常にスムーズ、この回転力にスミスはついていけません。前半、ユーバンクは右アッパーをヒットしてスミスがダウン!
前回勝負を決められたラウンドで、リベンジなるか?
ほぼ亀状態のスミス、カウンターを狙っているのかもしれませんが、本当に手が出ません。
5R、ユーバンクが前半にチャージ、スミスは防戦一方。ここでスミスは上体を振って何とかエスケープ、ユーバンクはちょっと打ち疲れでインターバル。
ここで行ければ良いのですが、やはりガードを固めて前進するのみ。ユーバンクの疲労からこのプレスは前ラウンドまでよりは機能していますが、ダメージを与えることはできません。
6R、ラウンド前半元気なユーバンクはコンビネーション、アッパーをヒット。ユーバンクのジャブに対しての右クロスがスミスの生命線か、狙っている素振り。ですがだったらユーバンクのジャブを出させるように仕向けないといけませんね。
ユーバンクは非常に体がキレており、良いですが、スミスは驚くほど悪い。
7R、FIGHT SPORTSはパンチスタッツは出ないのでしょうか。スミスの手数がいかほどなのかを見てみたい。
ジリジリと前進するスミスは、手を出しながらの前進ではない分、ユーバンクのジャブで簡単にストップされてしまっています。
8Rもユーバンク。スミスが入ろうとすればジャブ、その合間にスミスが入ってくればアッパーを交えたコンビネーションを打ってサークル。まさに教科書のような戦い方で、何の苦もなくそれを実践できてしまいます。
9R、スミスが行けばすぐにリターン、それも単発ではなくしっかりとアングルをつけたコンビネーションを放つユーバンク。これがあるからスミスは行けないのか。これがなくても行ってないかもしれませんが。
「ボクシングを組み立てる」を忘れて、一発狙いのボクシングになってしまっているのは、前回の勝利があるからなのでしょうか。ともかく悪すぎるスミスと、ここ最近の中ではダントツのパフォーマンスを発揮するユーバンク、結局差は開く一方で縮まる気が一切しません。
10R、前半にスミスがぐらり。クリーンヒットには見えませんでしたが、ちょっとグラグラなのはダメージか。
ここで一気に攻め入るユーバンク、下がるスミス。ロープにつまり、ユーバンクがラッシュをかけると力なく膝をつくスミス。
ダウンから立ち上がったスミスに、ユーバンクが襲いかかり、この試合何度目かの防戦一方になったところでレフェリーがストップ。
クリス・ユーバンクJr、10RTKO勝利。
これは、リアム・スミスのファンはどんな気持ちなんでしょうか。初回からずっと何もできなかったスミス、明らかな劣勢にも特攻もできず。もしこれがリアム・スミスという名のしれたボクサーではなく、他国から連れてきたボクサーだったとすると、無気力試合を疑われても仕方のないレベルのものだったと思います。
もしかするとクロフォードのトレーナーであるブライアン・マッキンタイア氏がユーバンクに就いたことでユーバンクのボクシング観が一気にレベルアップしたのかもしれませんけど。ユーバンクのパフォーマンスが良すぎて、スミスが並以下のボクサーに見えてしまったとか?
いずれにしろ、最近なかなか歩みを進めないミドル級において、この注目度は良いことでしょう。次のミドル級注目ファイトは10/14(日本時間10/15)、ジャニベック・アリムハヌリとビンセンツォ・グアルティエリの王座統一戦です。
9/3(日)3150FIGHT
和氣慎吾(FLARE山上)29勝(21KO)8敗2分
vs
ホセ・ベラスケス(チリ)32勝(22KO)8敗3分
3150FIGHTは演出も多く、なかなか進みが悪いイメージなのでリアルタイムでの視聴はきつい。ABEMAは無料でこの興行の配信を行ってくれていますが、ことボクシングにおいてはABEMAプレミアムの利用を強くお勧めします。
演出等が好きな人は一定数いるでしょうが、「演出が見たいから3150FIGHTを見る」という人は少ないはずです。というか、いるのか?
まあ、そんなわけでABEMAプレミアムに加入しておくと追っかけ再生、見逃し配信が可能なので、おすすめするわけです。
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並んでみると上背は随分違いますね。さて、ゴング。
やや後ろ荷重のベラスケス。互いにやや慎重な立ち上がりですが、和氣はステップも軽やかでジャブもキレているように見受けられます。
中盤、コーナー近くで和氣が滑ったところにベラスケスが追撃。これは当たっていれば危ない。かなりアグレッシブなベラスケスは、あまりレフェリーの注意を聞かない雰囲気なので、和氣は集中力を保たなければなりません。
2R、頭を下げて入ってくるベラスケスは危険さを感じますが、和氣はクリンチを上手く活用し、ベラスケスの頭を抱え込みます。ただ、身体の強さはベラスケスが上回るイメージで、見栄えは良いとはいえません。
ベラスケスの入り際の和氣の左のタイミングは良いですね。
3R、ベラスケスの外からのパンチは和氣のステップワークで届きませんが、これは当たれば怖い。かなり強力なプレスで、和氣は動かされているようにも見えますが、和氣は左のボディアッパーが特に良く、クリーンヒットの数では負けないでしょう。
4R、決して速くはありませんが、とにかくウェイトをしっかり載せて打ってくるベラスケス。和氣は下がる場面も多いものの、ロープに詰まる場面は少なく、距離が詰まればすぐさまクリンチ、それも自分が頭を下げて打たれない位置にするか、ベラスケスの頭を抱え込むようにしています。これは上手い戦い方。
5R、前ラウンド後半から近い距離でもしっかりとパンチを打ち込むようになった和氣。こうなるとリスクは増します。
中盤、和氣の左ボディへのリターンでベラスケスの右がヒット。その後も左右で追撃、和氣はクリンチでエスケープ。決して打たれ強いとは言えない体つきの和氣、やはりこの距離は危ない。
6R、大きく回る和氣。大きく回って、ベラスケスの入り際にカウンターというのが最も良い戦い方でしょう。ただ、動きが大きくなる分スタミナは使わざるを得ません。
和氣に怖さがないのか、それともベラスケスがとてつもなく勇敢なのか。おそらく後者なのでしょうが、とにかくベラスケスは打たれつつも全く怯むことがありません。
後半、相打ちのタイミングで両者の右が交錯、後ろに弾けとんだのは和氣!
和氣はこのピンチにクリンチ、打ち返すことでサバイブ。
7R、残り2Rは和氣にとって踏ん張りどころ。どうか足を止めないでほしい。
ベラスケスの危険な右ボラードを十分に警戒する和氣ですが、左ストレートを放った後の右はもらってしまっています。
近い距離ではクリンチを駆使したとしてもベラスケスに分がある雰囲気。
完全アウェーのベラスケスは倒しきろうと強振、そこで和氣の軽めのパンチをコツコツともらってはいます。このラウンドは取り返したか。
ラストラウンド、このラウンドはお互いの「得意」を相手に押し付けるラウンド。当然攻めてくるベラスケス、和氣は距離をとって左ボディアッパー。
このラウンドにきての和氣のコンビネーションは非常に効果的で、単発で止められなくても3発4発と速いパンチを打つことでベラスケスを止められる場面もあります。
相変わらずベラスケスのプレスはきつく、強振するパンチにはパワーがありますが、和氣も気持ちを見せて頑張ります。和氣にとっても苦しいですが、明らかにクリーンヒットは和氣!ラストラウンドをしっかりとものにして、規定の8Rが終了。
判定は、78-74×3、和氣慎吾!!!
パワーで押される場面は目立ったものの、しっかりとボックスしてみせた和氣慎吾。これで世界ランク復帰、となるはずです。
36歳、和氣慎吾の挑戦はまだ、続きます。
勝利者インタビューに中川麦茶が乱入、というのはちょっといただけませんね。おそらくこの両者は目指すべきところが異なり、もう交わる必要はないのでしょう。
和氣は本気で世界を目指す。かなり厳しい道のりであることは本人も、ファンも認識しているでしょうが、応援していきましょう。
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